●画期的なスーパーストラットサスペンション

7代目カローラのパワートレーンの目玉が20バルブの4A-GE型エンジンであるならば、 シャーシの目玉はスーパーストラットサスペンション(SSサス)である。 これは、レビン(含トレノ)とFXに設定のあったサスペンションである。 このサスペンションは従来のマクファーソンストラット式をベースに各リンク構成を一新したもので、 カローラ発売前の1991年4月に技術発表が行われた。このサスペンションは後に革新的コンパクトカー ヴィッツの開発を担当することになるシャシー設計部の市橋保彦氏が開発を担当したものである。 90年代初頭、ライバルメーカーはマルチリンクサスペンションやダブルウィッシュボーンを スポーツカーや高級車ではなく小型車クラスへ採用を拡大していた。特に、ホンダシビックとは ツーリングカーレースでのライバル関係があり、特にトヨタは、VTEC+ダブルウィッシュボーン式のホンダに劣勢であった。 SSサスは「FF車特有の駆動力がステアリングに及ぼす影響を抑えると共に、旋回時のタイヤ性能を引き出すことにより、 優れた走行性能と車両の安定性を実現する」という目標をもって開発され、ストラット式に近い形態ながら ダブルウィッシュボーン式のようにサスペンションジオメトリーの自由度が高く、 対地キャンバー角の変化が少ないサスペンション形式である。

基本構成は、標準的なストラット式はL型ロアアームのみであるところを、SSサスはロアアームを 二分割構造としている。 そしてそのうちの一方にキャンバーコントロールアームを介してストラットにつながっている。 また、これらリンクの接続部にはボールジョイントを介することで高い剛性と摩擦低減を可能としている。 FF車にハイパワーエンジンを組み合わせた場合、トルクステアという問題がある。 この問題が発生するのは、タイヤ中心とステアリング軸(キングピン軸)の間に一定の距離が存在するために 駆動力や制動力等によってステアリング軸を回転させようとするからである。 また、車両旋回時には車両のロールと共にキャンバー角が変化する。 そのため、タイヤと路面の角度が垂直から傾いてタイヤの能力を使いきれなくなってしまうという弱点がある。 これらの弱点を克服したものがSSサスである。

トルクステアを解消するには、ステアリング軸とタイヤ中心のオフセット(スピンドルオフセット) を減らすことが必要となる。 しかし実際はタイヤ、ブレーキの構成上オフセット短縮には限界がある。そこでSSサスではアッパーボールジョイント を設け、更にロアアームをダブルジョイント化することにより、仮想のステアリング軸を構成し、 スピンドルオフセットの画期的低減(66mm→18mm)を実現している。これにより、駆動力等によるステアリング軸まわりの 入力モーメントが大幅に低減できハイパワーエンジンを搭載したFF車の泣き所であったトルクステアやフラッタ(振動)が 低減されている。またキングピン傾斜角度を従来の半分以下(14°→6°)にして車両の旋回トレース性能を高めると共に、 操舵フィーリングの向上を図った。また、対地キャンバー変化に関しても、アッパーボールジョイントと 新設計のキャンバーコントロールアームを設けることにより、タイヤのバウンド・リバウンド時におけるキャンバー角の 変化を少なく抑えることができ、ロール時にタイヤの性能を十分発揮させることができるため 旋回性能、レーンチェンジ性能が大幅に向上することとなった。

SSサスは大きな話題を呼ぶこととなり、TRDがチューンしたVVTレスの4A-GE型エンジンと組み合わせられ ツーリングカー選手権に出場したが、ライバルの壁は厚かった。 これはパワートレーンやシャーシの問題というより、重量の面で重くなったことが原因とも言われている。 このことにより、8代目カローラのレビンは大幅な軽量化や改良が加えられることとなった。

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