●初代カローラのメカニズム

初代カローラのサスペンションはマクファーソン式ストラット/リ−フリジッドの組み合わせ が採用された。 この当時は乗用車サスペンションにダブルウィッシュボーン/リーフリジッドという組み合わせが 一般的だった。 しかし、初代カローラの開発チームは、性能・コスト・重量やスペース効率の面で、 その優秀性にいち早く注目し、マクファーソン式ストラットをフロントサスペンションに採用する事にした。 しかし当時まだ、ノウハウのほとんど無いマクファーソン式ストラットの開発・内製はかなり難航した という。 例えば、 最初の試作車を走らせてみると、たった500mでブッシュが焼き付いて走行不能に陥るようなトラブルが 発生したというが、 現在の乗用車のサスペンションはマクファーソン式ストラットサスペンションが主流となっているが、 いち早くマクファーソン式ストラットサスペンションを採用した カローラ開発チームの読みは正しかったといえるだろう。 ちなみに初代カローラのフロントサスペンションにはスタビライザーを兼ねた横置きリーフ スプリングが2枚搭載されていた。当時の自動車工学書にも「他に例のない」と書かれていたが 、リーフスプリンングとリーフスプリングの間に泥や砂が入り込んで騒音を発する可能性があった ので、2代目カローラからは横置きリーフスプリングは採用されていない。

リアサスペンション は当時一般的だった半だ円リーフスプリングによるリジッドアクスルだったが、3枚のスプリング の間に合成皮革が巻き付けられていて騒音の低減に努力されていた。さらに3枚のリーフスプリング の上には、逆ぞりの吸振リーフが取り付けられている点が新しかった。これらのリーフスプリングに 接続するリアアクスルは50mm程前方にオフセットして取り付けられていた。 これは、制動時にノーズダイブを抑制させるためである。 また、ショックアブソーバーは車体に対して垂直に取り付けられており、 作動ストロークを大きく取って減衰効率を高めて、操縦安定性や乗り心地を高めていると同時に、 トランクルームのスペースを大きく取れるというメリットもあった。

ブレーキは当時としては一般的だった前:2リーディング/後:リーディングトレーリングというタイプの ドラムブレーキが採用されている。その基本設計はパブリカのものを流用しているが、ライニングの幅を 拡げることで高出力に対応している。後にディスクブレーキが採用されるが、このドラム式もこの後 長きに亘って使用されることになる。トランスミッションは先進的な4速フロアシフトを採用した。 これはカローラのスポーティ性を際立たせる魅力の一つである。 小排気量高回転型エンジンを気持ちよくドライブするには当時としては多段である4段が望ましいと 主査の長谷川氏は考えた。ところが当時は運転を楽にするために、 変速段数はなるべく少ないほうが良く、そのために3段が常識であった。 また、手元でシフトチェンジが行えるようにコラムシフトを採用するのが乗用車の流行であった。 カローラの4段フロアシフトは、当時はトラックの変速方式として主流であった為に、社内でも 問題になった。結局、主流はフロアシフトにする事にしてそれとは別にコラムシフトも別に 用意して対応したが、売れ行きは芳しくなかった。またフロアシフトにするにあたっては、より 簡素でフィーリングも良いダイレクト式を採用した。これにより小気味良いシフトチェンジを実現した。 特に高速道路への合流において3速で100キロまで引っ張ることが可能なセッティングにすることによって シフトチェンジを面倒なものからスポーティな魅力の演出として利用することに成功した。 クラッチは現在ではもはや常識となったダイヤフラム式スプリングを採用した乾式単板クラッチである。 従来のコイルスプリングのばね特性は線形であったが、ダイヤフラム式は非線形である為に 操作力を軽減することが出来るだけではなく、設計によっては高回転での遠心力の影響を 受けないようにすることも可能であった。従来のコイル式では遠心力で押付荷重が抜ける恐れがあった為、 高回転型エンジン搭載車では必要以上の押付荷重が要求され、クラッチが重かった。 このダイヤフラム式スプリングを採用したクラッチを採用している点だけを見てもカローラは エンジンの高回転化に対応するだけではなく、扱いやすさも十分に考えられていることが分かる。 なお、クラッチカバーとプレッシャプレートの保持は当時一般的だったラグドライブ方式を採用している。 (現在でも大型自動車は大荷重に耐え、分解整備性の高いラグドライブを採用している。)、 レリーズ方式はオーソドックスなケーブル式である。(これ以後、長らくKE系車はケーブル式を採用している)

初代カローラの新技術をまとめると、
・5ベアリングクランクシャフト小型エンジン(日本初)
・スラント小型エンジン(日本初)
・4MTフロアチェンジ(日本初)
・ATフロアチェンジ(日本初)
・マクファーソン式フロントサスペンション(日本初)
・垂直式リアショックアブソーバー(日本初)
・バンパーフェイスの除去(日本初)
・丸型メーター(日本初)
・2スピードワイパー(日本初)
・大衆車クラスの両ざしキー(日本初)
などが挙げられるされている。 これらの多くは、カローラのプラスαの特徴であるスポーティ性を高めるため、 あるいは実用性を高める為(両ざしキー)に採用されている。 またこれ以外にも、ボディ構造を、当時としては例の少なかったユニット構造ボデーとした。 これは量産のしやすさ、車体重量の低減、車室内空間を広くとる事のできることから採用されている。

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