●8代目カローラのバリエーション

カローラワゴンはセダン/レビンのフルモデルチェンジに合わせてマイナーチェンジを受けた。 待望の4輪駆動とディーゼル追加をしたのである。それまで控えめだったコマーシャルも積極的に展開し 若者のエントリーワゴンという位置づけで販売された。基本は質感の高い 7代目カローラをベースとしていることもあって販売は好調であった。 1996年にはホットモデルのBZ-ツーリングが追加された。このグレードは、4A-GE型エンジンや 4輪ディスクブレーキ、専用スポーツシート、専用ホワイトメーター(基盤はFX用を流用)が装備されたグレードで コンパクトワゴン初の本格スポーツグレードとして貴重な存在であった。 1997年5月のビックマイナーの時にヘッドライトとリアコンビランプをマルチリフレクター化。 この他にも装備の充実、安全装備の強化を行った結果、旧型モデルにも関わらず大人気車種となり、 カローラシリーズの受注台数の約半分がワゴンという時もあったそうだ。

カローラセレスはモデルチェンジ後にマイナーチェンジを受けてセダンに準じた エンジンの改良や安全装備の販売が続けられ、2000年8月まで生産が続けられた。 本来は8代目カローラをベースとした新型セレスの開発が進められ、クレイモデル製作まで行ったが 既にハードトップ市場は冷え切っており、開発が中止されるという憂き目にあった。

8代目カローラがデビューした直後の1995年8月、スプリンターカリブがフルモデルチェンジした。 先代ではスプリンターシエロをベースとしていたが、新型では8代目カローラ/スプリンターセダンをベースにしている。 実際に内装と、4枚のドアはカローラと共通である。フェンダーはスプリンターと共通のパーツである。 しかし実際は、アンバー色のターンレンズや、CARIBの文字にくりぬかれたグリルが個性を主張する。 このグリルはコストがかかるために採用されるかどうかが微妙であったそうだが、CEの本多氏のこだわりによって採用が決められたという。 ボンネット下部にはメッキのモールが付けられたが、これは先代カリブを意識した処理である。 サイドに回るとカローラと同じドアを持つ車種とは思えないアクティブな印象である。 太いサイドプロテクションモールが力強さを表現している。クオータウィンドゥはカリブの中でも色々と変わってきた部分であるが、 今回は勢いのあるカーブを描いたものとなった。初代や2代目と比べると没個性的との指摘もあったが、ルーフラインとの 協調性を無視して一気にクオータウィンドゥを描く辺りが、担当デザイナーの感じたカリブらしさなのだとか。 リアはカリブらしさを前面に出した縦型コンビランプが装備されるが、 今回はコンビランプの縁まで綺麗に色が見えることに重点を置いたという。 なお、このモデルのアッパーボデー開発は豊田自動織機製作所が担当した。

内装は基本的にスプリンターセダンと全く同じであるが、メーターパネルの化粧板をシルバーにすることでイメージを変えている。 この他にも助手席側に深い小物入れを設置したことは新しいが、いかにも助手席エアバッグ用スペースを思わせる。 しかも、安全性が重要視されてきた時代に衝突時に乗員に危害を与えかねない小物スペースは当時の目から見ても疑問となる。 内装色はカリブのオリジナルである。有名な絵画「ゴッホのひまわり」をイメージしたというシート柄は華やかで遊び心のある 楽しいデザインである。ボディカラーもアクティブなオアシスグリーントーニングという緑色を採用して遊び心を表現している。

エンジンは欧州向けカローラに搭載される7A-FE型と従来の改良型の4A-FE型 が搭載された。先代の1600ccでは走りっぷりに不満があったことを考慮して低回転でもトルクのある1800ccエンジンが 起用されたのである。基本的な部分は4A-FEと変わらないが、バルブのリフト量を上げるといった最適化が行われている。 サスペンションは先代の4リンク式から進化して4輪ストラットの独立懸架となった。

今回のカリブでは4WDらしい演出に乏しくオンロードユーザーへの歩み寄りが顕著となったモデルチェンジであった。 オフロードよりのRV車は既にRAV4が圧倒的な支持を得ている一方、オンロード志向としてみればカルディナがあった。 そうした板ばさみのような状況であったために、若干オンロードよりの4WDとしてカリブのアイデンティティを守ったのである。 もちろん、従来からのオフロード派ユーザーのためにもRVパッケージとして大型バンパー、テールゲートグリップや方位、 外気温、気圧の変化から予測した8時間後の天気を示すフィールドモニターがセットでオプション設定されている。 用品での展開で更にハードなイメージの4WDに仕立てることもできる一方でオンロード派ユーザーのために エアロやTOM'Sのアルミによるスポーツルックも用意されている。

デビューから一年後にはカリブに初のFF車が追加された。FF車には1600ccのみの設定となったが、 これと同時に4A-GE型エンジンを積んだBZ-ツーリングというグレードが追加された。 このグレードはカローラワゴンにも設定があるグレードで世代は違えど同機種化が図られたといってよい。 この後カリブは1997年にはセダンと同時にビッグマイナーチェンジを受け、ロッソというグレードが追加された。 ロッソは、カローラの欧州仕様と同じマスクを採用したグレードでボディカラーには専用のレッドが採用されている。 コンビランプはメッキのモールがついた専用品である。内装は木目調パネルが採用されていた。 販売は振るわなかったが、強烈な個性を放つ一台である。この後はカリブはヴォルツが発売されるまでの間 、控えめに販売されていた。1982年にデビューしたカリブは国内においてRVという言葉が流行する前からいち早く RVを名乗り、RVという言葉が一般化したのを見届け、アメリカから輸入されたヴォルツにその座を譲った。

1997年1月にはトヨタ最小のMPVとしてカローラ・スパシオが新発売された。 これは、カローラのプラットホームをベースに関東自動車工業が提案した6/4人乗りの ミニミニバンである。ワイドバリエーションを誇るカローラではあるが、時代の移り変わりとともに セダンやワゴン、クーペからハードトップと様々なバリエーションを加えてきたわけであるが、 新しい時代に向けて新しい価値観をもったバリエーションを生み出すことが求められた。 長きに亘りカローラレビンの開発・生産に携わってきた関東自動車工業では8代目カローラが発売されて 半年くらいたった頃からリサーチを始め、コンパクトながらにも多人数乗車を可能とする3列シート車の デザインを始めた。当初はカローラをベースにとこだわったわけではなかったが、後に カローラCEであった本多氏が惚れ込み一気に開発に拍車がかかったのだという。

開発は、ターゲットユーザーを子供がいない、もしくは乳児のいるヤングファミリーと絞ることで 明確な使いやすさを打ち出した。 スタイルは丸みを帯びた2BOXでカローラよりも150ミリ小さい全長に3列シートを押し込んだ。 ヒップポジションを上げることで何とか6名の乗員を座らせることに成功しているが、 実際は大人6人を快適に座らせることは考慮していない。それがカローラスパシオの一番のポイントなのである。 大人6人では二列目のレッグスペースやシートサイズが限界ギリギリであるが、その二列目を完全に 子供用と割り切ることで独特のキャラクターを勝ち得たのである。 二列目シートは、子供が乗ってもシートベルトが有効に機能するようにリフトアップ機構が備えられている。 子供が座るときは座面を左右独立にワンタッチで持ち上げることができる。 二列目は前列に座る(であろう)両親から子供の姿が良く見え、手も届きやすい。 また、見晴らしがよくなることと、揺れが少ない車両の中心に子どもを座らせることで乗り物酔いにも配慮している。 3列目はというと知人や親戚を乗せるための緊急用として位置づけられている。 こういった3列シート車の場合は、3列目からの乗り降りが非常にしにくい車が多いが、 カローラスパシオは二列目シートを右にオフセットした関係で3列目へのアクセスが驚くほど容易にできる。 兄弟がいる人には想像しやすいが家族で自動車で出かける際、兄弟で隣同士には座りたがらないものである。 小突き合いに始まり、最後には取っ組み合いのケンカに発展することもしばしばである。 そうしたときに3列シート車ではお互い別々の列のシートに座るためケンカをしない・・・といった、冗談のような 効能もある。また2列目シートは国産車では初めて取り外しが可能となっており、使わないときは外してアタッチメントを取り付けることで 屋外ベンチとして使用することもできる。 ちなみに、スパシオのバリエーションは3列シート車の2-2-2と2列目シートレスの2-0-2の二種類があったが、 後のマイナーチェンジで一般的な2-3というバリエーションも追加されている。

開発当初は、「私の部屋」を意味する「マ・メゾン」にちなんで「豆象クン」と呼ばれていたが、 最終的にイタリア語で空間を意味する「SPAZIO」(英語のspece)からスパシオとなった。 この豆象クンをトヨタの重役にプレゼンテーションする際には、女性デザイナーが幼児をイメージした人形を抱いて 登場して好評を博した。勢いに乗った関東自動車の開発メンバーは発売が近くなると、 販売店オーナーや販売担当者へのプレゼンテーションでは実際の試作車を使ったスライドを作成して行った。 出演者は全て開発スタッフでそのモデル家族の名前は「花冠さん」。もちろんカローラにちなんだものである。 テーマは「花冠さんがスパシオを買ってからの生活」であり、花冠ファミリーが子供二人を乗せて ドライブに出かけたり、花冠さん一家との花冠さんの両親を乗せて出かけたりするのだという。 ちなみに花冠さんはエクステリアデザイナーの芳賀さん、そしてその父親役は関東自動車の田村主査が演じている。 このように関東自動車工業が一丸となってカローラスパシオの開発に取り組んで来たということが伺える。

エンジンは改良を施した1600ccの4A-FE型で、変速機は4速電子制御ATのみの設定である。 機構部分には変化は無いが、GOAやソフトアッパーインテリアなど同年5月に改良が加えられたカローラセダン/レビンの 内容を先取りした改良が施されている。 内装は未来感あふれるデジタルメーター(トヨタ初の内製品)が目を引く。 内外装ともにターゲットユーザーを意識したカローラスパシオは好評を博した。

1997年4月のビッグマイナーチェンジではカローラ史上初の6速マニュアルと、 パワーアップを果たした4A-GE型エンジンを引っさげて2年ぶりにGTグレードが復活した。 エアロパーツ、GTエンブレムを装着しつつも、全体的に控えめな外装はカローラGTの公式通りである。 内装はスポーティな専用シート、レビンと共通の小径3本スポークの本革巻きステアリング、 赤文字の専用メーターパネルなど、刺激とくつろぎが同居する独特の雰囲気を醸し出している。 また、パワートレーンやシャーシ部品はレビンと共通のスペックとなっており、 ハードな走りにも十分対応したGTの名に恥じない内容となっている。 8代目カローラで復活したGTは、歴代で最後のGTグレードとなり2000年8月まで販売されたが、 未だに小型セダンスポーツを愛して止まないファンからの高い支持を得るモデルとなった。

8代目カローラの海外仕様はこの世代からは従来よりも現地化が加速した。 輸出仕様のフルモデルチェンジは北米や欧州では二年から三年のズレがある。 比較的マーケットの小さい地域では日本仕様とほぼ同じ仕様で販売されていたりもするが、 北米や欧州は重要なマーケットであるため、独自の内外装をもつモデルとして開発された。 また、アジア向けも裕福層に向けたアプローチとして従来よりも高級感を強く押し出したモデルも 開発されている。1998年モデルとして発売されてた8代目北米仕様は、7代目カローラのような専用のフロントマスク、とアメリカらしい アクの強いリアデザインを持つ。 エンジンが従来型同様に7A-FE型エンジンのみのラインナップ(後期型では国内では8代目カローラには 搭載されなかった1ZZ-FE型エンジンに換装)で、変速機は5速マニュアルと4速電子制御オートマチックと 廉価仕様にのみ3速オートマチックが設定されている。 また、インテリアは北米仕様専用のインパネが採用されている。 特に、自分のコーヒーカップを車に持ち込む習慣があるアメリカの事情に配慮して 専用形状のカップホルダーが装備されるほか、 リアシート組み込み型のチャイルドシートやサイドエアバッグ(後期)などが装備されている点が国内とは異なる。 また、外装にエアロパーツを組み込んで若年層を狙ったツーリングパッケージが追加された。 以後、北米仕様にはスポーティバージョンが設定されることとなった。 なお、台湾仕様は北米仕様に準じている。


8代目カローラの輸出仕様を語る上で外せない存在が欧州仕様である。 欧州ではハッチバックが主流であるが、国内ではブームが去ってしまい国内では絶滅したカテゴリーであった。 しかし、これで国内を無視して欧州のみに注意を払って開発を進めることができたため、 欧州市場に特化したポップで個性的なエクステリアにすることができた。 それは、某スクープ専門誌が韓国車であると誤報を出してしてうほどアクの強いフォルムであった。 フロントマスクは円を基調とした力強いもので、 テールランプはスパシオと共通のイメージを持ち、これも曲線を基調としたものである。 なお、内装は国内向けのビッグマイナー仕様に準じている。 エンジンは仕向け値によって異なるが、メインは1300ccの4E-FE型エンジンとディーゼルの2C型エンジンである。 欧州でのメインエンジンがディーゼルに切り替わる兆しとなったエンジンである。 また、欧州モデルの3ドアにはG6というスポーツグレードが設定された。 これは4E-FE型エンジンに、C160型6速トランスミッションを組み合わせたモデルで、 レビンと同仕様の15インチアルミホイールが装備されている。 また、トヨタが当時力を入れていたWRC(世界ラリー選手権)用モデルのベース車としてセリカに代わり 欧州向けのカローラ3ドアが選ばれたため、このモデルは日本には投入されていないにも関わらず、 国内での認知度は意外と高いものとなったことが特徴である。 モデルライフ後半ではフェイスリフトが行われ、丸目4灯式風に異型ヘッドライトとなった。 欧州モデルは、欧州以外にも中東やオセアニア地域でも販売された。

アジア向けのカローラも8代目では大きな変革を遂げた。 アジア向けは従来から基本的に日本仕様に近いもの、或いは北米仕様に準じたモデルが販売されてきたが、 後期モデルでは若い裕福層にフォーカスしたアルティスという高級仕様が開発された。 写真に示したアルティスはタイ仕様で、基本的に国内仕様をベースとしているが、 フロントマスクは国内向けのセダンのマルチリフレクター式ヘッドライトを使用している。 グリルは専用の二分割タイプで、バンパーも専用の大型タイプが奢られている。 その一方でリアコンビランプは欧州仕様である。 さらに、ラジオのアンテナも国内仕様のAピラーからリアフェンダーに移設され電動化している。 インテリアは基本的には国内仕様と同じだが、上級仕様の1800ccのモデルには 国内には設定のない本革内装となっている。アジア向けの場合は日本の乗用車は 高級車という扱いであるために本革シートが設定されていることが多い。 アルティスも例外ではなく7A-FE型エンジンを積む1.8 SE.Gグレードには 本革シート、本革ステアリング(4本スポーク)、助手席エアバッグ、エアコン、木目調パネルなど 豪華絢爛な装備が奢られている。 4A-FE型エンジンを積む1.6 SE.Gではシート、本革巻きステアリングはGTと同形状の ものとなる(生地はアルティス専用)ほか、1800ccには設定があったエアコンに代わり、 クーラーのみの装備となる事、助手席エアバッグがレスとなる点が大きな違いである。 また、両者ともリアシートはヘッドレストが一体式となた国内の前期モデルに準じた形状のものとなる。 他にも、エンジンに7代目カローラで取り付けられていたアルミの加飾ステッカーが貼られていたりと、 見栄えにはかなり配慮が行き届いた内容となっている。

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