●花冠meetsCOROLLA(NZE120)

私が所有するセカンドカーの車検の際、代車として中期型の9代目カローラXを一週間借りました。

#居住性はどうだったか?
プラットフォームを新設し、グッとパッケージングが変化してアップライトに座らせる着座姿勢である。 ただ、エクステリアデザインはルーフを丸くしてしまったために後席のヘッドクリアランスはビスタやプラッツで 感動したほどではなく、常識的なものとなっている。もっとも現代のセダンは後部座席に座る乗員を無視して ルーフラインを引いてしまうので確保されているだけでむしろすごいのだと言える。 フロントに座っている限り頭上空間や足元空間が狭いという事はありえない。 ベルトラインが高いので開放感は少なめ。これを狭く感じると受け取るか囲まれ感があって落ち着けると受け取るかは ユーザー次第の部分であるが、個人的には気にならないと言っておく。

#使い勝手は良かったか?
インパネの圧迫感は少なくないが、オーディオが目の前にあり操作しやすく、 大型のレジスターのおかげで空調性能も申し分ない。 ヒーコンパネルはXグレードのため、ダイヤル式だが、操作がしやすく秀逸である。 最下級グレードのXと言えど、装飾的な部分がシンプルになっているだけで 機能性は少しもスポイルされていない。 少し驚いたのはイルミネーテッドエントリーとキー照明がキチンと装備されている事だ。 この手の装備は下級グレードでは省略されがちであるが、トヨタはユーザーの好みをしっかり分かっているのだろう。 特に、シニア層のユーザーが多いカローラにとっては鍵穴を探す煩わしさに着目した部分が心憎い。

#市街地走行
通勤のため、9代目カローラに一週間使用した。 取り回しは今までのカローラと大きく異なる部分がある。それは「フードがドライバーから見えない」という点である。 先代モデルでは意匠ハード(デザイナーに出す必達要望)にまでした部分を今回は取り除き、運転席の視界から 自車の鼻先が消えたのである。これはカローラにとっては一大事件といえる。 個人的には鼻先が見えない車にも慣れているのでこれと言って不便は感じないが、保守的なベテラン層にとっては 相当大きな抵抗要素になるように思われる。ただ、こんなものは慣れてしまえば問題ない。 トヨタはフードが運転者の目に入ることよりも、Aピラーを前に出す事で傾斜させ、高速走行時の空力に配慮したのだろう。 このせいで実は乗降性も犠牲になっている。日本と海外の使用環境が大きく異なってきていると言うカローラのジレンマが 垣間見れる要素である。話が横道にそれたが、一般道を走行すると9代目カローラは90点以上の出来栄えである。 ストレス無く加速し、路面のショックをうまく吸収し、静粛性も高い。デビュー直後は大いに問題の合ったEPS (電動式パワーステアリング)も素人レベルの私なら合格点を出せるレベルまで洗練された。 1300と言うこともあり動力性能に不満が出そうだが、実際のところ一般道路では不満を感じることは無かった。 ただし、ブレーキに関しては一言文句を言いたい。初期制動のしっかり感を演出したのかも知れないが、 少しブレーキを踏んだだけでものすごいGが立ち上がってしまい、「カックンブレーキ」の様相を呈する。 思わず運転が下手くそになったのか?と錯覚しそうな味付けに違和感がある。 「ブレーキが効く」と思わせる狙いも分からなくは無いが、本来はコントローラブルであるべき。 一週間乗ってみて最後のほうは、カックンブレーキにならないように運転できるようになったが、 むしろそのことに神経が行ってしまい、好ましくないという印象は変わらない。

#高速走行
通勤では高速道路を使用するため、9代目カローラの高速道路での印象も付け加える。 いわゆる制限速度域内なら一般道と変わらず良好だ。空いた追い越し車線を走るようなシチュエーションで ようやくパワー不足だと感じられるようになる。逆に言えば大人しい運転をするドライバーなら 1300を選んで十分なのかも知れない。あとは多人数乗車をするかどうかの判断になるだろう。 Xグレードにはタコメーターが無いのだが、この意匠が秀れている。速度計を中心に置いた3眼式で タコメーターが無いという引け目をあまり感じないで済むのだ。個人的にタコメーターがあった方が 好みではあるが、このクルマの場合あまり気にならなかった。むしろ、高いグレードが売れなくなると思ったのか、 後期型になるとトヨタはわざわざメーターのデザインを変えてしまってみすぼらしくしてしまった。 高速走行に話を戻すと、直進性は申し分ない。かつて試乗した前期モデルについていたOEタイヤは 転がり抵抗を追いかけ過ぎた恐ろしいタイヤがついていた。何しろ、急旋回などを試みると 予想よりも早くアンダーが出てしまい、怖い思いをしたものだ。 今回借りた代車はタイヤが新しい最近のものに変わっているおかげかそのような不安な挙動は見せなかった。 かなりのハイスピードまで安定して走ることができる。この辺りは2000年代頃から急激に良くなってきた部分である。

#おまけ―フィールダー1.8S
会社の同期がフィールダーの1800Sに乗っているので、バリエーション違いで印象が異なる部分を追記したい。 このフィールダーは珍しい5速MT仕様で個人的には9代目カローラ最良の仕様だと思っている。 1800シリーズは油圧パワステが選択されており、成熟の域に達したしっとりしたフィールが味わえ、 さらに低速トルクの厚いエンジンとMTというドライバビリティに優れた乗り味が楽しめる最後のトヨタ車と言える。 一般道でのゼロ発進が力強いのはもちろんの事、高速走行においても安定した走りを見せる。 さらにワゴンボディということもあり居住性がセダンよりもグッと良くなる。特に後席のパッケージングは よく考えられていて長距離旅行に適しているだろう。 Sグレードは上級グレードのため装備水準も高く、安っぽさは微塵も感じさせない。 現代のMTモデルは一部の廉価グレードにしか設定が無いが、上級エンジンにMTというのも良いなと思わせる満足度の高い一台だ。

#まとめ
世界共通プラットフォームのカローラとしては最後のモデルとなった9代目カローラ。 歴代カローラと較べると確かに異質な部分もあるが、基本性能のしっかりした お買い得なセダンというカローラのポジションは明確に残されていた。この内容のセダンが 135万円で買えたというのは脅威と言って良かったのではないか? 2000年から物価水準が変わっていない2010年代の今、 135万円で買える車の内容を考えると如何に9代目カローラがお買い得だったかが分かるだろう。 今でも中古車として乗るにはオススメできる一台だ。

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