●花冠meetsCOROLLA<KE20>

とある年の秋、私はある決断をしました。それは市内を走っている2代目カローラのオーナーに話しかける事です。 その車は以前から市内を走っていたので、カローラファンとしては非常に気になっていたのです。 先日、ひょんなことからオーナーの住所を知り、是非カローラを見せて頂こうと考えていました。 早速、住所の方へ自転車(当時は免許を持っていませんでした)を走らせていたら、 ハイスピードで走り去っていく2代目カローラを発見したものの、 自転車だったのとカローラが思いのほかハイスピードだったため追いつく事ができず、 調べた自宅のポストにオーナー宛ての手紙を書く事しかできませんでした。

どうせ返事はすぐには来ないだろうと思った私は、友人と名古屋の産業技術記念館 へ出かけてしまいました。資料室でビデオを見ている時に家族から「カローラの人から電話があった。」 「車は明日でスクラップになる」という内容の電話がありました。 あまりに急な話だったのですぐに帰る事ができずに結局夜の11時に家に着きました。

早速電話をすると小学校の教師をしていたという50歳くらいの男性が電話に出ました。 彼は私がなぜカローラが好きなのか不思議そうでしたが、しばらくするとカローラでの思い出を聞か せてくれました。 彼は1972年に新車でカローラを購入して以来、大事に大事に毎日の通勤、旅行に使っていたのだそうです。

しかし、ある事情で泣く泣くカローラを廃車にしなくてはならなくなり、 新しく軽自動車を購入する事になったのだそうです。(彼は本当に悔しそうでした) オーナー氏は明日の午前中まではカローラはありますよ、と言ってくれましたが、 その日は学校がある為にどうしても行くことができません。 私はは「朝にちょっとだけでも見せてもらえませんか?」と無理なお願いをしてみたところ、 オーナー氏は「いいですよ、どうぞ見に来てください」と言って下さいました。

翌日、私は制服を着て再びカローラに会いに行きました。 折角なので一通り写真を撮った後、オーナーの了解を得て2代目カローラのドライバーズシートに座らせていただきました。

#居住性はどうだったか?
カローラの室内は当時のカローラのセールスポイントである「スポーティ性」抜群の室内だった。 室内は黒一色でまとめられている。その割に室内は決してタイトであるという事はなくファミリーカー らしい広々とした室内空間だった。前席しか座っていないが、シートも生地がビニールで少々の チープさを感じさせたが、大きさ、硬さもとても適切なものに思われた。 この時の広さは、頭〜天井までが、こぶし1.5個分でまあまあの広さ。そして肩〜ドアまでがこぶし1個分であった。 このカローラの室内は簡素だが、ただ簡素な寂しいものではなくスポーティさを感じさせてくれた。

#室内の装備品はどうだったか?
このカローラは1200デラックスというグレードでカローラの中でも中級といえるグレードである。 装備品は結構充実していて、ヒーター、クーラー(OPT品)、AMラジオ、時計等が装備されていた。 特にクーラーは当時としては珍しいオプションだったと言えるだろう。 冷静に考えてみれば、これだけついていれば、そう不便なこともないと思われ、27年間乗り続けることもできるだろう。

#ドライブモードに入ってみた
運転席に座り、シート位置を調整し、シートベルトを締めた。 このシートベルトというのはすでに3点式が装備されていた(助手席も)のだが 現在のシートベルトとは違い、肩ベルトの部分は固定されていて、腰ベルトの方にELRがついている。 というもので、少々の違和感があったが別に窮屈なことはない。 現在の目で見るといささか細すぎるステアリングを握ってみた。視界はかなりいい。今までのカローラ の中でトップクラスの見切りの良さだ。というのはボンネットの両端が中心部より上がっていて、 それが見切りの良さにつながっているのだ。8代目カローラも見切りの良さを向上させるために同様の 手法をとっているが、おそらくこの2代目カローラのボンネットがヒントになったのだろう。 (初期型はのっぺりしている)但し、後ろはカローラ独特のセミファストバックの為見切りは悪い。 とはいえ後ろが短いため、若干の救いがある。 車内のスイッチ関係は現在の車と大きく違う個所がいくつかあった。たとえば、 ハザード、ライト、ワイパーのスイッチは押引式のスイッチになっていたりする。 (ステアリングの横にはウインカーレバーしかない) しかもステアリングの半径の中に配置されているため運転中の操作はやりづらそうだ。 しかも、シフトレバーがかなり前の位置にあるので、シートを前の方へ出さねばならなくなる。そうか といって、シートを前へずらすと今度はペダル類(FRらしい自然な配置で好感が持てた) が近すぎるという事になってしまう。 しかし、ラジオ、ヒーターはかなり使いやすくできている。ラジオはもちろん一番使いやすいインパネ の上部に位置しそのすぐ下にヒーターコントロールパネルがある。 これも今ほど機能が無いから一度使い方を覚えるとかなり使いやすいデザインになっている。 ここで面白いと感じたのが昔の操作系の照明方法である。それは、青いプラスチックがラジオの上部の ひさしの部分に取り付けられていてライトを点けるとそのプラスチックが青く光るという方法である。 透過照明が当たり前だと思っていた当時の私は、逆に新鮮に感じられた。 スピードメーターは初代以来好評の丸型メーターである。このメーターは160km/hまで目盛りが 刻まれている。オドメーターは84400キロとなっていたが、実際は384400kmであり、 これは地球から月までの距離である。 この距離はオーナー氏のこだわりであり、この走行距離を達成するために、車検が切れる日の夜12時 まで走り続けた帰り道の自宅付近でやっと達成できたそうだ。

#まとめ
1972年にオーナー氏が購入以来ほとんど毎日乗っていたカローラが廃車になるこの日、私は初めて 20系カローラに乗ることができました。20系カローラと言えばTE27系カローラが有名でスパルタンなイメージがありますが、 やはり基本は家族ドライブに活躍する「ちょっとうれしい」ファミリーカーなんだな、と感じました。 僕はこの頃は生まれていませんが、当時の空気のような物を感じることができたと思っています。 オーナーさんあの日は朝から起きていただいて本当にありがとうございました。 カローラデラックスさん、27年間お疲れさまでした。

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