●4代目カローラのエンジン

1979年3月のデビュー時には3代目時代に登場した4K-U型エンジン、 ターセル/コルサに搭載されていた1A-U型を改良した新開発3A-U型エンジン、 EFIと三元触媒によって復活した2T-GEU型エンジンの3種類がラインナップされた。

スペックは、4K-U型が最高出力72ps/5600rpm、最大トルク10.5kgm/3600rpm。
3A-U型が、最高出力80ps/5600rpm、最大トルク11.8kgm/3600rpm。
2T-GEU型は最高出力115ps/6000rpm、最大トルク15.0kgm/4800rpmであった。

4K-U型エンジンは、エンジン本体に手は加えられなかったが、パワーロス低減のため、 ラジエータの冷却ファンに電気式を採用したほか、 オルタネータを駆動するクランクシャフトプーリーを大型化し、またエアコン取り付け性を 高めるため二段構造に、更にシステムの簡素化などの小変更にとどまっている。 また、53年規制に適合した際に改良が加えられているため、2T-GEU型もごくわずかな変更にとどまっている。

主力のT-U型に代わって 搭載された3A-U型は、1978年にトヨタ初のFF車として登場したターセル/コルサに搭載されていた1A-U 型をベースにさまざまな改良を施した新世代エンジンである。 排ガス規制の時代には従来のエンジンを改良して排ガス規制を乗り越えることに必死であったが、 その間もクリーンで高性能な新世代エンジンを着々と開発していたのである。 新世代エンジンはアクセルを踏んだときすぐに反応する気持ちよさを取り戻すことを目標とした。 それまでの排ガス規制対策車のアクセル操作に対する反応の遅さにユーザーはうんざりしてきた。 それを取り除くために、燃焼を良くすること、運動部分を軽量化、摩擦損失の低減、、 燃料と空気の比(空燃比)の変動を抑えていかに適正な範囲にキープすることを実現しなくてはならない。 エンジンの改良は排ガス規制で停滞していたエンジン自身の高性能化を目指し一大プロジェクトとなった。 このプロジェクトで最初に生まれたエンジンが全くの新開発ではないが1A-U型を改良した3A-U型である。 その後、1S-U型、1G-EU型が生まれ、トヨタの新世代エンジンとしてバリエーション化がはかられている。

4代目カローラには1A-U型が搭載される予定だったが、発売の半年前に3A-U型が完成すると、 急拠搭載エンジンを1A-U型から3A-U型に変更した。 1A-U型エンジンと3A-U型エンジンはボアもストロークも一緒なので当然排気量も同じである。 しかし共通なのはシリンダーブロックのみで、そのほかのシリンダーヘッドや補機類は全くの新設計となっている。 (ブロックが共通なのでシリンダブロックを示す型式が1Aから3Aに変わることはおかしい) ちなみに1A-U型と3A-U型の違いは1A-U型エンジンの燃焼室を改良してTGP(乱流生成ポット)を 廃止してスキッシュを強化している点である。結果としてカタログデータはさほど変わらないが、トルクが増えている。 シリンダーヘッドはアルミ合金製で燃焼室形状はくさび型、吸排気マニホールドのレイアウトは T型系のクロスフローからカウンターフロータイプに変更され、 排出ガス対策は酸化触媒と二次空気導入装置及びEGRを主としたもので適合させていた。 燃費は当時の10モードで15.0km/l、60キロ定地走行で24km/lという良好なデータであった。 エンジン変更は緊急処置だった為いろいろトラブルもあったらしいがギリギリの仕事で間に合わせたという。 そこまでして搭載された3A-U型であるが、当時の試乗レポートでも1A-U型と比較して回転が スムーズに上がりトルクが増強されたことが体感できる、と記されており、 3A-U型を搭載したカローラ1500はたちまち人気車種となった。 またターセル/コルサもマイナーチェンジを機に3A-U型に換装している。 その後3A-U型をベースに1300ccとした2A-U型も開発され、ターセル/コルサに搭載された。

デビューから5ヶ月後の1979年8月には、新たに1800シリーズが追加された。 エンジンは上級小型車に搭載されている13T-U型で、12T-U型を排気量アップさせた TGPつきの希薄燃焼エンジンである。 従来型からの排気量アップに加え燃焼室形状を変更しスキッシュエリアを拡大し、圧縮比を 12T-U型の8.6から9.0に上げつつ低速トルクを増強した結果、 最高出力95ps/5400rpm、最大トルク15.0kgm/3400rpmという性能を発揮する。 自他共に認める大衆車であるカローラになぜ1800ccを追加したのか? カローラに1800ccというは似合わないのではないだろうか?という疑問が沸いてくるが、 その答えとして色々な噂が流れた。 以前の3代目カローラには12T-U型と2T-U型という2種類の1600ccのエンジンを選ぶ事ができたが、 4代目カローラはそれらが標準車のエンジンから落とされ、 新開発1500ccエンジンが最上級レンジになったため、3代目カローラ1600ユーザーから 不満の声がでるのではないかという営業サイドからの心配の声が出た、という説(一番有力)や、 カローラの完成度が高いので上級車ユーザーの取り込みを図ろうという動きが出たという説もある。 こうして生まれたカローラ1800であるが、パワーの割りにカローラ1800は走りっぷりに不満が残ったという。 13T-U型は重く、ハンドリングもそのせいでダルなものになってしまっていた。 メーカーオプションでカローラ初のパワーステアリングが装備されたが、 結局、軽量エンジンを搭載した1500の方が良く走り、尚且つ税金も安いということで 結局1800シリーズは1981年8月にカタログから落とされた。

1981年8月に行われた改良では、1300、1500シリーズ共に搭載エンジンに 改良が施されて新世代レーザーエンジンと呼ばれるようになった。 1300は4K-||型、1500はレーザー3A-||型を名乗った。 レーザーとは「Light-weight Advanced Super Responce Engine」という言葉の頭文字を 集めたものである。「軽量で先進的なとてもレスポンス(反応)のよいエンジン」という意味である。 1979年、3A-U型から始まった新世代エンジン群をアピールするため「名前をつける会」なる会が発足し、 そこで決められた名称である。LASREエンジンは語感が最先端技術のレーザーに似ており、一層新しいイメージが引き立った。 TVなどで大々的に広告されるようになるとその名称は浸透したが「レーザーという車をくれ」という お客さんが現れたという逸話を持つ。 レーザー4K-||型は、スキッシュを拡大した燃焼室や突き出しプラグ、ピストンリングなど 主要部分が新設計された他、O2センサー、マイコン、 エアコントロールバルブ(ACV)などの新機構と高性能な三元触媒の採用によって 最高出力が72ps/5600rpm、最大トルク10.7kgm/3600rpmとなり性能が若干アップした。 3A-||型エンジンは、クランクシャフトを中空化して軽量化し、キャブレターも新設計したほか、 O2センサー、マイコン、エレクトロニックエアコントロールバルブ(EACV) 及び三元触媒を採用し、スペックに変化はないが燃費が向上した。 2T-GEU型エンジンも改良を受け、燃焼室形状を半球型から多球形へ変更しスキッシュエリアを 拡大して火炎伝播効率を向上させ圧縮比を8.4から9.0へあげることが出来た。そのほか バルブタイミングの変更など事細かなリファインがなされ 燃費、低速域での動力性能、サービス性が向上した。(ちなみに2T-GEU型はレーザーではない)

1982年2月にはカローラ初のディーゼルエンジン、レーザー1C型が追加された。 ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて熱効率が高く燃費が良い、 寒冷地での始動性が良い、燃料費が(政策的に)安いというメリットがある。 特に経済性を重視するユーザーに向けて追加された車種である。 4代目カローラが販売されていた時期は、第二次オイルショックの最中であった。 レギュラーガソリンの価格がどんどんと上昇し、一時期は170円台にまで高騰した。 このような状況から、燃料代の安いディーゼルエンジンが注目を浴びたのである。 トヨタでは1950年代末、クラウンに1500ccのR型をディーゼル化したC型ディーゼルが発売され、 その後はクラウン等の上級車には2200ccのL型ディーゼルが搭載されてきたが、 1C型エンジンは1800ccと更に小型である。 小型車用の1C型エンジンは、ガソリン車に慣れたユーザーにも 違和感無く受け入れられるように配慮されたエンジンである。 その特徴は小型軽量で高回転型であることで、ロッカーアームを用いないダイレクト駆動OHC、 アルミ製シリンダーヘッド、小型噴射ノズルなど当時の最新技術が採用されていた。 ディーゼルの違和感を消すため、エンジンマウントを工夫したほか遮音材を増やすなどしている。
1C型のスペックは、最高出力65ps/4500rpm、最大トルク11.5kgm/3000rpmであった。
60km/hの定地燃費32.0km/Lと良好でリッターカー並の燃費である。 カローラディーゼルは、乗用車として必要十分なトルクと高い経済性を兼ね備えていた。

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