●花冠meetsCOROLLA(TE71)

私が保有するTE71は瀕死の状態でしたが、この状態を救ってくれたのは 友人K君であります。彼は私の経済状況が改善されるまでTE71の車検をとって乗ってくれると 言ってくれました。2004年12月に登録が完了してTE71は彼の元へ渡りました。 最後と言うことで当企画用に運転させてもらってきました。今回乗ったのは、 1981年式のカローラクーペ・レビンです。1981年式といってもマイナーチェンジモデルや 新仕様というわけではなく、前期型の決算期登録仕様(?)です。 距離は私の手元に来た時は8万キロ代でしたが譲り渡す時は9万キロを超えていました。

#外から見てどうだったか?
外装はかなりボロボロでボンネット先端は腐って無くなり、 モール類は黒塗装が剥げてシルバーになり、塗装も補修による塗り斑や 浮き錆が発生してお世辞にも綺麗とは言えない。 ただ、そんな状態でも斜め後ろ上方から見下ろした感じはあらゆる面が複雑に光を反射してカッコよく、 私が一番大好きな角度である。 ボディの4代目カローラというと四角いイメージがあるが、実際は曲がり角のRを 小さくしてシャープにした他、一直線のプレスラインを入れてあるためにそう見えるだけで、 実際は前後/上下共に絞込みがあるために実際は丸い。 この手法はジウジアーロのデザインしたゴルフIで用いられたテクニックで軽量化と空力に効果がある。 前から見るとハードトップ/クーペ/LB共通のフロントマスクなので、特に個性はないが、 ボンネットのプレスラインやVの字のフロントマスクはシャープで力強さを感じさせる。 サイドに回ると、コンパクトな全長からは考えられない、スポーティなプロポーションをもっている。 ボンネットは長く、屋根は低く、といった感じで現代ではもう無理だろう。 サイドには大まかに2本のプレスラインがありますが、その下側は車体の端で切れ上がり軽快な印象。 また、サイドプロテクションモールの上部にはストライプが入れられ、「DOHC EFI」と誇らしげに 書かれている。いまやライトバンでさえDOHC+EFIの時代だが当時はこれでよかったのだろう。 「5speed」なんていうのも思い出される。 ピラー類も非常に細く、剛性や安全性を考えた形跡はない。しかし薄い屋根と相まって繊細な 感じが出ているので良しとする。 また、今回乗ったクーペは社外品のアルミを履いていたが、この色が車体色と合わせた白色なので 元オーナーである私は結構気に入っていた。周囲は純ノーマル派の人ばかりなので理解が得られず 純正の鉄ホイールを履けと言われるが、黒塗りのホイールでは軽快感が出ないと考えている。 後ろは大きなバックドアがついたハッチとクーペオリジナルのテールランプがついています。 ハッチのガスケットは劣化した結果雨漏りしていたがバスコーキングで埋める事により解決した。 見栄えは悪いですが部品が全く供給されないので仕方がない。 総合してクーペの外装はシャープなラインで構成され見る人に結晶のような美しさを感じさせてくれる。 尤も、このクルマの場合ダイヤの結晶というより、ミョウバンの結晶って感じなのだが(笑)

#居住性はどうだったか?
ドアを開けて乗り込むと、クーペの室内は外から見た印象どおりかなりタイトである。 普段自分がとっているドライビングポジションでは天井に屋根が当たってしまい、ステアリングが近すぎるのだ。 もちろんスピードメーターも見えない。 そこで思い切ってシートバックを倒し気味にしてストレートアームのポジションをとった。 ストレートアームにすると、室内は適度に広くメーターも見やすくなった。 本来、スポーツ走行をする際にも腕を曲げて余裕をもったポジションにすることが理想であろうが、 ストレートアームがスポーティとされていた時代のようである。 シートはクーペ専用のバケットタイプが奢られている。バケットといっても現代の目から言うといわゆる ただのハイバックシートである。ただ、バケットシートとカタログに書かれているので 意地でもこれはバケットシートなのである。座面は大きめだが、 シートバックは胴長の私にはちょっと小さすぎる印象である。 足元スペースは右足は広いが、センタートンネルの影響でフットレストの付近は狭い。 このあたりがFFとFRのパッケージング上の違いなのだろう。 インパネはセダン/バン系とはとは違い、低い専用品がついており、 ラジオが一番下に追いやられた形になる。メーターは6眼式で速度計、タコメータ、電圧計、 燃料計、水温計、油圧計がついている。現代のクルマは極力メーターを減らし、 警告灯にすることで計器盤の限られたスペースを広く使っているが、この時代はメーターが たくさんあるほうが偉いのである。たとえそれが飾り物であっても。 現代の目から見ると冷気の上部レジスターが下にありすぎる点が気になるが、薄型のインパネのおかげで 実際より広く見える。 4代目カローラの目玉装備の一つとしてエアミックス式ヒーターが挙げられる。TE71の空調は非常に高性能である。 クーラーも恐ろしく効く上に、ヒーターもかなり効く。さらにバイレベルもあるので、 なかなか快適なドライブが可能となる。オーディオは現代のDINサイズではなく、専用のオーディオが付けられていた。 スーパーサウンドコンポというツイーターつき4スピーカーのメーカーオプション品である。 残念ながら、AMラジオが故障しているので聞くことはできないが、カセットとFMはまだ生きていた。 音質は意外に悪くない。重低音も出ているが、走行中はフロアのこもり音に打ち消されている気もする。 そのまま後席に移ってみた。本来後席の居住性など語る必要は無いであろうが、 せっかくなので乗ってみましたが、さすがに狭い。もう少しトルソー角が立ててあると バックドアに頭が当たらないのがが、室内長を稼ごうとする形跡が認められた。

#たくさん乗ってみた
EFIが採用されたTE71を始動するには何のコツもいらない・・・はずなのだが、スタータが寿命なので エンジンがかからない時がある。スタータが回りそうに無い時は諦めて数回チャレンジすると、 「よよよよよよよ」と「か弱い」セルの音が聞こえてくる。セルさえ回ればエンジンは一発でかかってくれる。 ただ、始動直後は「パンパン」と生ガスが燃える音がするのでしばらく暖機させる必要があった。 暖機後は普通に走ることができる。結構ローギアードな設定なのでものすごい加速をしている感覚に陥るが、 実際は軽自動車より遅い。回りに車が無いときは、2000rpmを境にシフトアップしていけば良いが、 これでは既に現代の交通の流れについていけず、そういうときは2500〜3000rpmまで回す必要がある。 1000rpm位からでも加速はするし、1500rpmくらいからなら普通に走れるのだがこもり音がひどいので あまり使えない。クラッチのゴムがヘタっているからではないかと予想される。 まともに走るのは2000rpmを超えてからである。3000rpmを超えると、更に元気になり 6000rpmあたりまでは男らしい太いサウンドを響かせていく。6500rpm〜7000rpmではビーンというビート音が 発生し、DOHCであることを主張してくれる。そしてしばしばドライバーを誘惑してくるので、 無用な急加速をしてしまう。急加速をしたところで遅いので周囲のクルマはすぐ後ろにいるのだが。

高速道路に入ると、5速80キロで2500rpm程度となる。この回転域では エンジンは静粛そのもので、なおかつ大抵の坂道は登ることができる。 時速100キロでは3200rpm近傍となるが、トルクが沸いてくる回転域であるため、 ついつい、スピードが上がってしまう傾向にある。 出足では完全に現代のクルマよりも遅いのだが、高速走行時は現代のクルマと 一緒に追い越し車線を走ることができる。これは昔助手席に乗せてもらったRT55Mと同じ印象である。 市街地と高速道路でその走りが全く違った事を思い出した。 高速道路では基本的に5速に入れっぱなしで問題ないと思われるが、 もちろん4速に落とせば力強く加速してくれる。 高速道路で気をつけねばならないのは横風である。ちょっとの横風で意外に流されてしまうため、 ヒヤッとさせられることがある。 現代のクルマはFFが主流となっていることもあり横風に強いのだが、TE71は横風に気をつける必要がある。 ちなみに、車線変更も握りこぶし一個分というセオリーをしっかりと守る必要がある。 まぁ、急にハンドルを切っても車は一次おくれのような曖昧なリアクションしか返さないのだが。 ちなみに、燃費はクーラーをガンガン使った街乗りでは8程度。高速を飛ばし気味で走ると10〜11。 燃費を意識して長距離走ると12〜14程度である。(一般道、高速関係なし)

ボールナット式を採用したステアリングはラックアンドピニオンを経験した私たち現代人の 目から見ると、いささか頼りなく感じる。有名なAE86と今回の地味なTE71の一番違う点はこの ステアリング形式であると思う。16.1:1という若干重めなギア比のステアリングであるが、 走り出せば重いとは全く感じず、逆にふわふわと頼りなく感じる。しかし操作は 間違いなく伝わっており、深く切り込んでいくとグッと重くなる、という感じである。 スタッドレスタイヤを履いていたので無茶はできないが、コーナリングは頼りない。 スプリングは純正、ショックはビルシュタイン社製のものがついていたが、既にスカスカなので、 コーナリング中は路面の変化に対して常に注意を向ける必要がある。 ボディ剛性が足りないので、ガタピシと不穏な音がする。基本的にはアンダーステアだが、 意識すればアクセル操作でクルマを曲げることもできる。クルマの調子が万全でないことが全ての原因であるので このクルマの印象をTE71の資質として書くことは正しくは無い。しかし、たとえこのクルマが本調子であったとしても、 ボディ剛性は圧倒的に不足していると感じるだろう。実際にドアを開けてジャッキアップすると、 ドアを閉めることができないばかりか、一目で車体がたわんで、両端支持梁のようになっているのが分かる。 この時代は、排ガス規制や石油危機の影響で車体軽量化への要求が高まっており、この4代目カローラも 最新だったFEM(有限要素法)を用いて設計されているという。この頃の設計はまだまだ応力中心の設計であったのだろう。

夜になると、ヘッドライトをつけるがTE71のヘッドライトは意外に明るいことに気づく。 私が所有していたTE71はメーカーオプションでハロゲンヘッドライトが装備されていたので、 バルブがH4に取り替えられていたのである。さらにガラス製のレンズの為に現代のプラスチックレンズのクルマと比較して 抜群の透過率を誇る。夜間のドライブで注意せねばならないのは電圧である。TE71のスペシャルティ系のGTモデルには 電圧計が装備されている。日中に走行している時はつねに12Vの少し上を示しているが、電装品を使うと、一気にその針は 12Vを下回ってしまう。ウインカーを出している時にも音に同期して激しく針が動くので気が気でない。 そんなわけで信号待ちでは大昔の習慣である「ライトオフ」を実行せねばならなくなる。 デフォッガーを使用していると走っていても12Vを下回ってしまう。台風の中走らねばならない時は、 電装品をフル稼働させていたのでバッテリーが上がりそうで本当に怖かった。

#まとめ
以上が私が4年間保有したTE71の感想です。悪い所だらけなんですけど、何だか許せる。 そういうクルマでした。来年からは新オーナーの下でガンガン使ってもらえるそうなので、 もっと調子が良くなってくれると信じています。

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当時の試乗記より