●5代目カローラのエンジン

5代目カローラのセダン系車種には、 1300の2A-LU型(新採用)、1500の3A-LU型、 1600の4A-ELU型(新開発)、1800ディーゼルの1C-L型が搭載されている。 2A-LU型のベースとなった2A-U型は1500の3A-U型を縮小したエンジンで、 3A-U型同様くさび型燃焼室を持つOHCエンジンである。1500の3A-LU型同様、 エンジン型式にLがつくものは、横置き用にマニホールドや補記類を改良にしたもので、 縦置きと横置きが混在していた時代に区別するために「L」が付けられていた。 2A-LU型と3A-LU型には、スワールコントロールバルブ(SCV)付きヘリカルポートが採用されていた。 スワールコントロールバルブ付きヘリカルポートとは、各吸気ポートの内部 が2つに分かれていて負圧によって開閉するSCVが片方の通路を閉じたり、開けたりする機構で、 例えばゆっくり走っている低負荷時の場合はSCVが吸気ポートの1つを閉じる。 すると吸気ポートが狭くなるので、吸気の流速が増速して強い空気の渦(スワール)が燃焼室に発生する。 すると燃焼効率が良くすることができ、燃費が向上する。 またアクセル全開の高負荷時にはSCVが開いて吸気量が増して高出力が得られるという仕組みになっている。 このSCVは後にトヨタが世界で初めて実用化に成功するリーンバーンエンジンのための重要な機構である。

2A-LU型は最高出力74ps/6000rpm、最大トルク10.9kgm/3600rpmとなっている。
3A-LU型は最高出力83ps/5600rpm、最大トルク12.0kgm/3600rpmと両者とも若干性能アップした。
これら2つのエンジンはSCVつきヘリカルポートのほか、マニホールドコンバータIIAの 採用や、排出ガス浄化装置の一部変更などの改良を施し燃費、動力性能および信頼性のより一層の向上を図っている。 IIAというのはIntegrated Ignition Assemblyの略である。 IIAはイグニッションコイルを内蔵したディストリビュータで、軽量で耐水性が強く信頼性が高いという特徴がある。

1600の4A-ELU型は、1500の3A-U型をベースに、 排気量アップと共にエンジンを横置き化、燃料供給方式をEFI化(カローラ実用エンジンで初)する とともに、TCCS(TOYOTA Computer Controlled System)の採用などにより 3A-U型の優れた低燃費、低騒音低公害な小型軽量エンジンという特徴を受け継ぎ、 かつハイパワー高トルクを発揮するFF車用新開発高性能エンジンとして開発されたエンジンである。 TCCSとはマイクロコンピュータを用いてEFI、点火時期制御およびアイドル回転制御を制度良く 最適に集中制御するシステムで、これにより低燃費と良好な運転性を高い次元で両立させている。 ちなみに、4A-ELU型のEFIはエアフローメーターを用いずにバキュームセンサを用いる方式の EFI-Dを採用している。EFI-Dの採用によりエンジン吸気系にエアフローメーターは不要となり 吸気抵抗の低減及び軽量化を図っている。 カローラの1600シリーズはDOHCのGTを除いてしばらく、ラインナップされていなかったが、 久しぶりに5代目カローラに1600シリーズが復活する事となった。 当初は5ドアのみのラインナップであったが、後に4ドアにも設定が拡大されている。
スペックは、最高出力100ps/5600rpm、最大トルク14.0kgm/rpmとなっている。

また、4代目のモデルライフ後半で追加されたディーゼルエンジン1C型も横置き化され、 1C-L型となった。FF化のためにフライホイールの軽量化や補機類の合理化がなされた。
性能に変更は無く最高出力65ps/4500rpm、最大トルク11.5kgm/3000rpmである。

一方レビンのエンジンは従来からのキャリーオーバである1500ccの3A-||型と 新開発1600ccDOHCの新開発4A-GEU型の2種類が用意された。 3A-||型は今回のフルモデルチェンジでデュアルエキゾーストマニホールドやIIAの採用、 排出ガス浄化装置の変更を行い燃費や動力性能及び信頼性の向上に努めている。 一方、ツインカム系は名機と言われた2T-GEU型に代わって4A-GEU型が新開発された。 4A-GEU型は、1500ccの3A-U型をベースにツインカム4バルブ化したエンジンである。 もともと4A-GEU型エンジンは2バルブで開発が進められていたが、高速域での出力、 燃焼効率、燃費、吸排気の際の損失などを考慮して約1年後に4バルブ方式に変更されたという。 変更後にもクランクシャフトを鋳造品から鍛造品に変更したり、フライホイール の取り付けボルトを6本から8本に変更するなど耐久性や信頼性を向上させる改良が 次々と施された。 4A-GEU型エンジンのシリンダーヘッドはアルミ合金製で、バルブ侠角50度によるペントルーフ型燃焼室を持つ。 軽量、高剛性構造のおかげでエンジン重量が2T-GEU型より23kgも軽い123kgとなった。 4A-GEU型は新時代DOHCとして様々な新技術が投入されていた。 上記のペントルーフ型燃焼室を採用による燃費の向上、 高圧縮比化、可変吸気システム(T-VIS)の採用などの結果、高レスポンス(800rpm→7700rpm、0.98秒)、 高出力が得られると共に低燃費(10モード燃費は13.4km/l)を実現した。 T-VISというのは、吸気管内に設けられた開閉弁が4650rpm以下では 吸気ポートの半分を閉めて、2バルブ状態で走ることで、中低速トルクを確保し、 逆に高回転時には開閉弁を開けて吸気ポートを全開にして高出力を得るというシステムで、 ちょうどSCVを高出力追求型にしたようなものである。 ハイテクな4A-GEU型は従来の2T-GEU型に代わる新世代ツインカムエンジンとして 圧倒的な支持を得る事に成功した。 当時、レーザーエンジン世代のDOHC(トヨタ流に書けばツインカム)エンジンは LASREαと呼ばれていた。他に、2000cc直列6気筒24バルブの1G-GEU型が一年早くデビューしており、 シリンダヘッドカバーのデザインも上級エンジンである1G-GEU型と似たものになっていた。 (投入された新技術も1G-GEU型と4A-GEU型は似ていた) 結果レビンのDOHCエンジン車の販売が好調でシリーズ全体の販売比率の30%以上を DOHC車が占めていた時期もあったという。
スペックは、最高出力130ps/6600rpm、最大トルク15.2kgm/5200rpmと、当時としては かなり高性能な部類に入っていた。

1984年10月には4A-GEU型をFF用に変更した4A-GELU型がセダン、FXに搭載されている。 カタログ値に変更は無かったが、実際に両者を乗り比べると、マニホールドの形状の違いなどから FF用の方が速いと噂されていた。この4A-GELU型は日本初ミッドシップエンジン車であるMR2(AW10系) にも搭載されたことで4A-GファミリーはFF、FR、MRの3種類の駆動方式に搭載されたことになる。 (実は、カリブにレビン用の4A-GEU型が搭載可能で、雑誌の企画で実際に搭載した改造車が存在した)

1985年5月には1300シリーズのエンジンが新開発の2E-LU型に変更された。 当時、FFに駆動方式が変更されたスターレットに積まれた新エンジンで K型エンジンに換わりトヨタの底辺を支えるエンジンとなっている。E型シリーズは1300ccの2E型の他、 輸出向けには1000cc(1E型)や1500cc(3E型)などが存在している。E系エンジンの特徴は、 SCV、クロスフロー式ポートや、主吸気バルブと副吸気バルブを持つ3バルブ方式のシリンダヘッド、 可変ベンチュリキャブレター(Vキャブ)等を採用したハイパワーと低燃費を両立したエンジンで それまで搭載されていた2A-LU型から大きく進化しており、
最高出力81ps/6000rpm、最大トルク11.0kgm/4400rpmを発生する。
このエンジンで特筆すべきは、カスタムDXに設定された「パーシャルリーンシステム」で これは主流気をヘリカルポートに通し希薄な混合気に強い渦を起こして燃焼を安定させると共に 空燃比をコンピューター制御して燃料を節約するもので、このパーシャルリーンシステムを採用した カスタムDXの60km/h定地燃費は29.0km/lという高燃費を記録した。(改良型では32.0km/l) 2E-LU型はその後のトヨタエンジンのマルチバルブ化のはしりとなったエンジンである。

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