●5代目カローラのメカニズム

5代目カローラは駆動方式をFFに変更し、大きな改良が施された。 特にサスペンションは完全に新設計で、フロントサスペンションがL型 ロアアームを持つストラット式で、 キャンバー角が路面に対して少し開いたメガティブキャンバーを採用しコーナリング性能 をアップさせている。 リアサスペンションはロアアームを2本としたデュアルリンク式ストラット式となり、それまでのリジッ ドから独立懸架へレベルアップした。 このサスペンションはコーナリング時には進行方向を向くように設計されていて、Fサスのネガティブ キャンバーとの相乗効果で一般的に良いハンドリングとされる弱アンダーステア特性となっていた。

一方レビン系は先代モデルのキャリーオーバーのI型ロアアーム+テンションロッドの ストラット式/4リンクリジッドを踏襲している。 主な改良点はフロントサスペンションアライメントの変更による走行安定性や乗り心地の向上。 リアサスペンションはラテラルロッドの配置を変更し二名乗車時にほぼ水平に位置するようにして 直進性の向上を図っている。

トランスミッション類はエンジン横置き化のためにすべて新設計されていて、 全長が短くなるように設計されていた。 マニュアルは4速と5速、オートマチックは3速ロックアップ付きがディーゼル用に用意され、 ロックアップなしが1300と1500に用意されていた。(後の一部改良でロックアップ付きに統一) ロックアップとは正式にはロックアップクラッチといい、 オートマチック車の高速走行時にトルクコンバータ(トルコン)の入出力軸を 直結させるクラッチのことで、燃費の向上に効果的な装置である。 その性格上、最初に燃費志向のディーゼルに搭載されたものである。 1600EFIエンジンには電子制御4速オートマチックECT-Sが採用された。 カローラほどの狭い車幅に4速のATを乗せるというのは非常に高い技術が要求される。

ECT-Sとはコンピューターが変速とロックアップを制御するもので、2速から4速まで ロックアップ機構が作動しエンジンのパワーをフルに引き出す走りからと静粛で経済的な走り までを自動的に制御し、また道路状況に応じてPWR(引張り気味のシフトスケジュール)、MANU(マニュアルモード) のスイッチ操作をすることにより様々な状況に対応するシステムでクラス初の高度なメカニズムである。

レビン系では最初から1500ccの3A-||のみにロックアップ付き4速ATが設定された。 ガソリンエンジン車への4速オートマチック搭載自体は、 対米輸出仕様で既に採用済み(1800ccに組み合わせられた) の技術であるために特に目新しいものではなかったが、 国内向けへの投入はとてもインパクトのあるものであった。 1980年に最初のOD付き4速ATが採用されてから、同じ内容のものが4年でカローラクラスにまで実用化されたのである。 一方、スポーツ系の1600ccには当初、5速マニュアルしか用意されなかったが後に カローラセダン系に搭載されたものと同じ機能を持つECT-Sが追加されている。

1984年2月の一部改良では、それまで3速ATしかなかった1300、1500、ディーゼルシリーズ の一部にも、ロックアップ付き4速ATが追加された。 これは、ECT-Sとと基本部分を共通とするトランスミッションである。 ODギアの追加により特に燃費、静粛性の向上を図った。

4代目カローラのメカニズム欄でも触れた燃費スペシャルは5代目カローラでも続けられている。 3A-LU型搭載のDXグレードがそれで細いタイヤ、専用のギア比に加え、車重を減らすために燃料タンクを 他のものより10L減らしている。(車重で10kg程度の軽量化である)その甲斐があって4速マニュアル仕様しかないにもかかわらず、 標準車の15.2km/l(10モード)に対して17.8km/lという成績を残している。 後期型では、2E-LU型にパーシャルリーンシステムを採用したグレードでは、標準車が17.0km/lを大幅に上回る 20.5キロに達している。(共に10モード)こうした、カタログ値のみを追いかけただけのグレードを設定する風潮は、 5代目カローラがフルモデルチェンジされ、バブル景気に突入する頃に無くなっていった。

ステアリング装置は、全車ラックアンドピニオン式となった。FF化によりハンドルが重くなることに 対して、ラックの間隔を変えてバリアブルレシオ化したステアリングが採用された。 このほか、パワーステアリングも大幅に拡大採用されている。パワーステアリングが着いている車種では 逆にレスオプションを設定してユーザーの選択肢を広げている。 ちなみに、パワーステアリング付き車では、直進性に関係するキャスター角が寝かされており 直進安定性を向上させている。キャスター角を寝かせると、ステアリングが重くなってしまう為、 パワーステアリングと組み合わせることが必要不可欠なのである。パワーステアリング無し車では キャスター角が立てられ、軽いハンドル捌きを重視した。

現代の車に大きく近づいた外装上の変化はドアミラーが全車に設定されたことが挙げられる。 従来のフェンダーミラーと比較して像が大きいというメリットのあるドアミラーは デザイン面でも有利に働き、認可と共に流行の兆しがあった。ドアミラーは 法令で接触の際は倒れることが条件とされているため、5代目カローラのドアミラーも 始めから倒れるようになっているが、駐車のときに折りたたむには、ドアミラーを手で折りたたんだ後に 専用の保持具をはめないと折りたたむことが出来ないという欠点があった上に、 ドアミラー仕様車を選ぶとグレードによっては電動フェンダーミラーから手動リモコン式ドアミラーに なってしまうというデメリットがあった。その後マイナーチェンジで電動リモコン式となり、 さらに折りたたみも容易に出来るようになった。

エレクトロニクスの発達で電気系の装備が大きく充実した。スピードメーターがLEDを用いた バー型タコメータ付きデジタルメータとなったことは既に触れたが、そのほかサンルーフも電動化された。 また、この時期流行したパーソナル無線も販売店装着オプションとして用意されている。 上級グレードに限り間欠時間調整式ワイパーやオートエアコン(オプション)が採用されている。 集中ドアロックやパワーウインドゥ、など現代の基本的な装備がはじめてカローラクラスに 採用されている。 またアクセルペダルを踏まなくても低速走行を続けるオートドライブのような、 高級車にしか装備されていなかった装備も採用された。

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