●6代目カローラのエンジン

6代目カローラのエンジンは当初、1500シリーズに新開発ハイメカツインカムの5A-F型 (Fはハイメカツインカムの記号)と、EFIを装着した5A-FE型の2種用意された。 そして1300シリーズが、旧型のマイナーチェンジ時に追加された2E型のみ。 スポーツ系1600シリーズにはスポーツツインカムの4A-GE型(Gはスポーツツインカムの記号)、と 4A-GE型にスーパーチャージャーを装着した4A-GZE型(Zはスーパーチャー ジャー付きの記号)の2種類が設定されていた。 さらにディーゼルの1C-||型エンジンの計6種類が設定されていた。 この時期に、エンジンの性能表示がエンジン単体で計測したグロスから搭載状態に近い条件で 計測されたネットに変更されたため、各スペックは軒並みダウンすることとなった。

2E型は、点火時期、燃料蒸発ガス抑止装置およびエンジンマウントの変更が行われた以外は、 特に変更はない。2E型はセダンとFXにそれぞれ搭載されている。
スペックは最高出力73ps/6000rpm、最大トルク10.3kgm/4000rpmである。

5A-F型、5A-FE型は6代目カローラの目玉となるメインエンジンである。 この5A系エンジン開発時の狙いは、
・トップレベルの高性能と低燃費を、求めやすい価格で実現する。
・低速から高速まで、よりフラットなトルク特性を持った、実用性の高いゆとりのあるエンジンとする。
・大衆車、小型車のレベルを超えた心地よい音色を持ったエンジンとする。
となっており、従来の3A-LU型を基本として一気筒あたり4バルブ、DOHCを実現したエンジンである。 3Aから5Aと型式が変わっているのは、排気量が1452ccから1498ccとなっているからである。 独自のDOHC16バルブエンジンをトヨタではハイメカツインカムと呼んだ。 ハイメカツインカムは従来のDOHCの様に2本のカムを直接タイミングベルトで 動かすのではなく、1本のカムだけを駆動し、残りのカムシャフトを、ギアによって駆動することで コンパクト化をはかり、その性格もスポーティ性というよりむしろ、高効率低燃費を 目指した味付けがされていた。カムシャフトをギア駆動にすることでシリンダヘッドがコンパクト(4A-GE型比で-60mm)になり、 バルブ挟み角も小さく(4A-GE比で50°→22.9°)することができた。またDOHC採用により シンプルな動弁系にしてクロスフロー、センタープラグを実現している。 5A系にはキャブレター仕様とEFI仕様の二種類が存在する。 5A-F型はVキャブレターを採用し、従来から採用されていたSCVも4バルブエンジン向けに最適化されて継続採用されている。 このキャブレター仕様の5A-F型はセダン系、FXの一部に採用された。 5A-FE型は5A-F型をベースにEFI-Dを採用したエンジンで、電子制御化により一層の高性能化を はかったもので、SCVはつかない(SCVのスペースにインジェクションがつく)が、インテークマニホールドが サージタンクと一体で細長く成形されており、慣性過給効果を利用して低・中速トルクの向上を図った。 この5A-FE型はレビンとFX、シエロに搭載されている。 後々にセダンにも上級グレードに限ってEFI仕様が追加されたが、後には全車がEFI仕様に切り替えられている。 この措置はキャブレター自体の評判が芳しくなく、不具合の無いEFI車に統一したという噂がある。 また、当時の批評の中には5A系に採用されたDOHC16バルブは過剰な演出であり、先代の3A-LU型とスペックもさほど変わらないので 単なるギミックに過ぎないと否定的な見方もあったが、これは正しくない。トヨタが行ったテストでは体積効率や動弁系、エンジンの摩擦損失は 3A-LU型を大幅に下回っている。スペックも、グロス表示の3A-LU型とネット表示の5A-F型を比較するのは説得力に欠ける。 ネットに換算した3A-LU型のスペックと比較すると、6kgの重量増で12ps、0.9kgmの向上となっている。
スペックは、5A-F型は最高出力85ps/6000rpm、最大トルク12.5kgm/3600rpm。
5A-FE型は最高出力94ps/6000rpm、最大トルク13.1kgm/4400rpmである。

スポーティエンジンの4A-GE型は、従来の4A-GELU型をベースにバルブタイミングと カムプロフィールを変更し、若干のパワーアップを果たしている。 そのほか、コネクティングロッド、クランクシャフトを強化し、エキゾーストマニホールドもポート断面積を大きくするなどして 背圧を下げ、高出力化に対応している。 そしてFFになったレビン最大の飛び道具はこの4A-GZE型である。4A-GZE型の最大の特徴は スーパーチャージャーとインタークーラーが装備されていることである。 スーパーチャージャーとは過給機の一種である。自然吸気エンジンの場合、シリンダに入る吸気は ポンピングロスがあるために排気量分だけも入ることは無い。 そこで吸気を機械的に押し込むことでエンジンの排気量分だけ、もしくはそれ以上の働きを させようとしたものを過給機と呼ぶ。 過給機といえばエンジンの廃熱を利用したターボチャージャーが有名であるが、 スーパーチャージャーはクランクシャフトから回転をとってルーツ式と呼ばれるまゆ型のロータを 回し過給する装置である。過給中はターボチャージャーもスーパーチャージャーも変わらないが、 ターボチャージャーには機構上、ターボラグと呼ばれる応答遅れがあるのに対しスーパーチャージャーは 応答遅れの無いリニアな特性になるのが特徴である。更に吸気をよりたくさん押し込むために 空気を冷却するインタークーラーも装備されている。この4A-GZE型は1986年にMR-2に搭載された エンジンで、当時はAE86と組み合わされるのか?と話題になったが結局はFFになったAE92系の トップモデルとしてデビューした。4A-GZE型は基本的に4A-GE型に準じているが、 圧縮比を9.4から8.0に落としたほか、シリンダブロックの補強、鍛造ピストンの採用、大容量インジェクタ の採用、DLIの採用など信頼性を高める改良が施された。
4A-GE型のスペックは最高出力120ps/6600rpm、最大トルク14.5kgm/5200rpm。
スーパーチャージャー付き4A-GZE型は最高出力145ps/6400rpm、最大トルク19.0kgm/4400rpmである。

ディーゼルエンジンの1C-||型はインジェクションノズルの改良、噴射タイミングの最適化により 排ガス規制への適合をはかった。1C-||型のスペックは
最高出力64ps/4700rpm、最大トルク12.6kgm/2600rpm。

上記エンジンのうち、セダンには2E型、5A-F型、4A-GE型、1C-||型が搭載され、 FXには2E型、5A-F型、5A-FE型、4A-GE型が搭載され、 レビンには5A-F型、5A-FE型、4A-GE型、4A-GZE型が搭載されている。

1987年9月には4WD車が追加され、専用の4A-F型が搭載された。4A-F型は4A-ELU型を ベースにハイメカツインカム方式のDOHCを採用したエンジンで、シリンダブロックに4WD機構の スペースを考慮したクリアランスがとられていることが特徴であった。ちなみにSCVは採用されていない。
スペックは最高出力91ps/6000rpm、最大トルク13.5kgm/3600rpmである。

1988年2月にはフルモデルチェンジを受けたスプリンターカリブ用に4A-FE型が開発された。 4A-F型をベースにEFIを装着しカリブのキャラクターに合うパワフルなエンジンとなっている。
スペックは最高出力100ps/5600rpm、最大トルク14.0kgm。

1989年5月にマイナーチェンジを受けたカローラはエンジンのリファインが行われ、 5A-F型と4A-F型に代わり、EFIを採用した5A-FE型、4A-FE型へと切り替えられた。 このとき、FXやレビンにはハイチューン版の5A-FHE型が搭載されている。(最高出力105ps) またレビンに搭載されていた4A-GE型と4A-GZE型はガソリンがプレミアム指定となり、 吸気系の改良でそれぞれ120psから140ps、145psから165psと大幅なパワーアップが図られた。 このほか、ベーシックエンジンの2E型はフューエルカットを行える電子制御キャブレターの採用で燃費が改善された。 1800ディーゼルの1C-||型エンジンは細部の改良により64psから67psへとパワーアップしている。

当初、4WDに搭載されたエンジンはガソリンエンジンのみであったが、 ユーザーの要望に応える形で1989年9月には2000ccのディーゼルエンジンが搭載された。 寒冷地では始動性が高いディーゼルエンジンへの根強い需要は無視できなかったからである。 2000ccのディーゼルエンジンは形式名を2C-III型といい、これにはビスカスカップリング式 センターデフを用いた4WDシステムが採用されていた。 当時、カムリ/ビスタに搭載されたシステムを流用したものである。

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