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交響曲2

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M.アーノルドの部屋


交響曲第4番 Op.71

作曲年 1960年
第1楽章 アレグロ−ポコピモッソ−テンポプリモ
第2楽章 ヴィヴァーチェ マ ノン トロッポ
第3楽章 アンダンティーノ
第4楽章 コン フコ−アラマリカ−テンポプリモーマエストソーアレグロモルト

この交響曲は題名を勝手につけるなら「熱帯雨林の夜」。
大体楽器編成が通常の打楽器に加えマリンバ、ボンゴ、タムタムなど
エキゾ系カリブ系が動員されていることからもわかる。
モワッとした湿度の中、決して日の光の届かない熱帯雨林の中で幻覚を見ているような不思議な感触を持った交響曲。

第1楽章、開始早々からこれらの打楽器群は活躍する。一区切りこれらの挨拶が済むとヴェネゼエラあたりの歌謡曲のメロディーが流れ始める。
そのあとも、その主題を元に楽しくも優しい音楽が繰り出される。
第2楽章は、またまた夜のひそやかな音。
ここでは熱帯雨林の夜の動物たちが動き回っている。
第3楽章は、甘く切ない南米のセレナード。
多少の感情の高ぶりはあるが最初の主題が延々と繰り返され夢見るように閉じる。
第4楽章は、活気あるフーガで始まる。途中で各種パーカッションの競演が重なり合うようにして盛り上がったら、突然マーチの開始!
どうしても彼は従軍時代のトラウマから抜け出せないのか。なぜか悲痛の叫びをあげながら終結に向けて疾走する。

演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 第1楽章 第2楽章 第3楽章 第4楽章
@ アーノルド LPO リリタ 1990 18:48 5:40 18:40 11:03
A ヒコックス ロンドンシンフォニア シャンドス 1993 13:56 4:53 13:03 8:33
B ハンドリー RLPO コニファー 1995
C ペニー  アイルラン国立SO ナクソス 1996 13:00 5:01 11:36 7:59

本来的にはヒコックスやペニーを聴くのが穏当。ただ、ここでの自作自演盤は異様な音楽に仕上がっており他の盤とはまるで違う。(ハンドリー未聴)
演奏時間を見てもらうとわかるが、ともかく作曲者のものはテンポが尋常ではない。CDもこの一曲のみ収録で54:11秒である。
他の盤がスタイリッシュに事を運んでいるのに、作曲者のは宇宙の黄昏のような音が聞こえて来る。
録音が1990年であるから、高齢による心的テンポの遅延とも考えらるが、少し前まで人生の難局に直面していた人のなんともいえぬ枯淡の境地といえなくもない。ワルツのリズムは変形し今にも止まりそうである。でも、でもこの作曲者の盤は捨てがたい。なんともほのかな温かみが立ち上ってくるのである。ぞくぞくする美しさだ。
LPOが老大家に敬意を払いながらも必死にこの棒についていこうとしている姿が目に浮かぶ。
でも、最初に聞くなら他の盤がいいでしょね。


交響曲第5番 Op.74

作曲年 1961年
第1楽章 テンペストーソ
第2楽章 アンダンテ コン モト−アダージョ
第3楽章 コンフォコ
第4楽章 リソルート−レント

アーノルドの交響曲の中で作曲者自身がもっとも愛好するものでかつ純音楽的に見ても優れた作品。
わたしもこの曲でアーノルドに開眼した。
第1楽章は、短い警句の後、チェレスタの響きとともにクールにスタイリッシュに音楽は進む。全体が緊張に支配されている。カッコイイイ音楽で身が引き締まる。短いパッセージが明滅しなが雷鳴の中スッと幕を閉じる。
第2楽章は音楽の形相が一転する。マーラーの5番のアダージェットを想起されたい。甘い甘い映画音楽みたい。
第3楽章は再び緊張をもって始まるがどこかおどけた雰囲気で弾むように音楽が進む。
第4楽章は、やはりアーノルド、軍隊を皮肉ったような行進曲で始まる。緊張感がどんどん高まったところで第2楽章の主題が戻ってくる。あーこれで救われる、と思いきやエイリアンは実は生きていた的結末。

演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 第1楽章 第2楽章 第3楽章 第4楽章
@ アーノルド バーミンガムSO EMI 1972 10:31 11:25 5:08 6:12
A ヒコックス ロンドンSO シャンドス 1995 9:44 11:24 4:59 6:04
B ハンドリー RPO コニファー 1995 8:44 11:11 4:42 6:06
C ボストック ミュンヘンSO クラシコ 1999 9:18 9:02 4:53 6:33
B ペニー  アイルラン国立SO ナクソス 2000 10:32 10:54 5:07 6:03

この曲の素晴らしさに気づかせてくれたのはヒコックス盤。第1楽章から心地よい張り詰めた空気感がなんとも言えず引き込まれていった。打楽器群や弦のアクセントも粒だっている。録音も抜群によくオーディオチェック用とし使っていた。第2楽章は一転して超メロウ。第1楽章の緊張感が高かっただけにその落差は大きい。
作曲家の指揮のものもその後聞きなおして素朴な力に満ちている。第2楽章など作曲者の淋しげな方向性が見て取れる。
ボストックは早めのテンポでさっさとすすむ。第2楽章も必要以上にべたべたにならないで爽やかな印象。最終楽章はおどけた感じを上手く出している。オケがミュンヘンなのが面白いが機能性はもうひとつか。
ペニーも悪くない。中庸の美というところ。シリーズ後半でかなりよくなってきた。
但し、この曲はとにかくヒコックスの圧倒的な名盤がありどうしても他が霞んでしまう。
最近、ハンドリー盤を入手した。第1楽章がタイムをみてわかる通りセカセカしている。わき目も振らず紋切り型に突進する。弦セクションの足並みが乱れようとお構いなしだ。全体を通して非常に角張った音楽で首尾一貫している。これでオケと録音がもう少し鮮烈だったら、そして踏み込みが一層激しければ、とやや残念。

交響曲第6番 Op.95

作曲年 1967年
第1楽章 エナージコ
第2楽章 レント
第3楽章 コン フューコ
第1楽章は、どこかクールジャズ的な音楽で緊張感を伴って開始する(チャーリー・パーカーの想い出とのこと)。
で、この楽章の聴き物は終結部で2度繰り返される巨大なクレッシェンド!
このゾンビが襲ってくるような音楽は鳥肌もの。
第2楽章は、音符の少ないひそやかな進行のなか突然ボサノヴァリズムの乱入。
思わず指パッチン。
第3楽章は、勢いのいい如何にもアーノルドらしい音楽。ギャロップのように飛び跳ねながら突き進む。
3楽章制といいどこか軽いのりといいショスタコの6番を連想させる。

演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 第1楽章 第2楽章 第3楽章
@ ハンドリー RPO コニファー 1993 8:59 10:54 6:48
A ヒコックス ロンドンシンフォニア シャンドス 1994 7:46 10:49 6:29
B ペニー  アイルラン国立SO ナクソス 2000 8:09 9:19 7:13

ハンドリーは、やや鈍重な感じでリズムが重いがそれだけに上記ゾンビのクレッシェンドは息が詰まらんばかり。 終結部の大太鼓も頑張っている。
ヒコックスはスタイリッシュでリズム感があり、そして録音もいい。まずはお勧め。第5番と組み合わせのこの盤は本当に名盤だ。
ペニーも頑張っている。オケの切れはヒコックスに比べ一歩譲るが終結部の打楽器群はメチャたたいている。
なお、ハンドリー、ペニーともに作曲者立会いのクレジットあり。