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交響曲 3

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M.アーノルドの部屋



交響曲第7番 Op.113


作曲年 1973年
第1楽章 アレグロ エナージコ
第2楽章 アンダンテ コン モト
第3楽章 アレグロ

彼のもっとも激烈な交響曲。なんと、3人の子供に捧げられている。
キャサリン、ロバート、エドワードの3人のこどものうち
3番目のエドワードが自閉症であったがその回復が彼にこの曲を創らせた。
しかし、まったくそこには穏やかな雰囲気はなくひたすら荒れ狂う世界がある。
第1楽章はのっけから引きつっている。アーノルドの交響曲の中でももっとも狂暴な音楽。
有無を言わさずすべてのものをなぎ倒さんばかりの狂おしい力が支配する。途中にJAZZバンドのようなフレーズが唐突に挿入される。
第2楽章は荒涼としたこれまたアーノルドの交響曲の緩助楽章特有の世界。第1楽章が激烈なだけに慰めがほしいが・・・。終結にかけて咆哮が聴かれる。
第3楽章は重苦しく始まるが中間部からもろにアイルランドの舞踏が始まる。何でもこれはエドワードの好きだった調べとのこと。
しかし、それもつかの間巨大な力にさえぎられ絶叫して終わる
演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 第1楽章 第2楽章 第3楽章
@ ハンドリー RPO コニファー 1990 15:54 13:54 7:52
A ペニー  アイルラン国立SO ナクソス 2000 16:23 13:58 7:43
B ガンバ BBCPO シャンドス 2001 13:15 12:04 6:26


シャンドスのアーノルドシリーズですばらしい演奏を展開していたヒコックスがなぜか7番以降ガンバに変わってしまった。
最初はこの知らない若造で出たのを見てがっくりしたが、演奏を聴いてびっくりした。なんという思いきりのよさ! 恐るべきスピードとともに、狂気の表出がすごい。ハンドリーの演奏を聴いていた耳にとってまったく別の曲を聴く思い。
この盤は心の準備をしてかけないとまずい。
ガンバと同時期に出たペニーも悪くないが比較になると部が悪い。演奏に漂う殺気がまるで違うのである。
ハンドリー、ペニーともに作曲者監修だけにお墨付きなのだろうがガンバからみるとやや中途半端な感が。

交響曲第8番 Op.124

作曲年
第1楽章 アレグロ
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 ヴィヴァーチェ

第1楽章 高らかな序奏のあと、突如始まる少しおどけたアイルランド調のマーチ。しかし、油断は禁物しっかとばかりに打楽器群が殴り込みをかける。このマーチの主題に沿って進行するがどうも顔が苦痛に歪んでいる。横暴な行進が続く。
第2楽章は一転してやや甘く悲しげなメロディーが流れる。
第3楽章はくるくる回るオーケストラのラプソディー。ヴィヴァーチェながらやっぱり顔が歪んでいる。
演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 第1楽章 第2楽章 第3楽章
@ ハンドリー RPO コニファー 1990 11:45 8:55 5:47
A ペニー  アイルラン国立SO ナクソス 2000 11:21 7:54 6:36
B ガンバ BBCPO シャンドス 2001 10:15 8:34 5:39


演奏はガンバのものがものすごい突進力を見せる。ティンパニの硬質な音がバシバシ入る。マーチは快速しかしそのバックで持続される弦の不協音は不気味。
ここまでやらなくても…という気もするが、とにかく7番同様思いきりがいい。
煽り立てるスピードがなんとも言えない焦燥感を表出している。
これに比べるとハンドリーはより重厚感がある。ペニーは大太鼓が風圧を感じさせるほどたたいて頑張っている。
各者それぞれ聴き所があり7番より主張がある。


交響曲第9番 Op.128


作曲年 1986年
第1楽章  ヴィヴァーチェ
第2楽章  アレグレット
第3楽章  ジウビローソ
第4楽章 レント

第8番の初演後、1985年のヨーロッパ音楽年に向けてBBCより委嘱されていたが結局彼が1982から1986年まで作曲ができない状態になったため間に合わなかった。この間彼は私生活のトラブルもあり極度の神経衰弱になり自殺未遂まで起こしていた。しかしながら、彼の親友であるアンソニ−・デイの献身的な支援によって創作意欲を回復させ3週間という驚異的なスピードでこの曲を完成させた。但し、オーケストレーションに難点もあったようで、よき理解者であったグローブスの尽力で1992年に初演にこぎつけた。
出来上がったこの曲は・・・ほんとに痛ましい。作曲者をして地獄をみたと言わしめた壮絶な5年間がこの交響曲を過去のそれとは全く違った姿にした。

第1楽章は、ヴィヴァーチェという楽想とは全くかけ離れている。心が締め付けられる。骨と皮のような全く力の抜けきった風情。
第2楽章は、暗い路地をさ迷い歩くよう。
第3楽章は在りしの快活さを取り戻すが長くは続かない。
第4楽章はこの曲の半分を占めるレント。真っ暗闇の絶望の中を漂う。この楽章を聴いているとマーラーの9番や10番を通り越して不幸を一身に背負ったような交響曲を作りつづけたスウェーデンのアラン・ペッタションを思い出すほどだ。
金管はなりを潜め弦が静かに波打つ。生命の糸が何度か切れそうになる。
しかし、しかし最後に渾身の力を振り絞って一筋の明かりが射し込む。
「人生はいろいろあるな」と語りかけて微笑んで終わる。
なんとも感動的である。

演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 第1楽章 第2楽章 第3楽章 第4楽章
@ ペニー アイルランド国立SO ナクソス 1995 8:33 8:35 6:40 23:10
A ハンドリー ボーンマスSO コニファー 1996 8:48 10:01 6:13 23:48
B ガンバ BBCPO シャンドス 2001 8:47 8:04 5:58 24:12

この曲の初録音はペニーによってなされた。全くの予備知識なしにこの曲を聴いて以前の交響曲の延長を期待していたため正直言ってがっかりしたものだった。
同じ音形の繰り返しが細々と続くことが多く明らかに創作力が枯れている。
しかし、何度か聴いていくうちにこの曲の素晴らしさ、またアーノルドの人となりを聴く思いがして惹かれる様になった。

@ペニーは演奏効果を狙うのでなくひたすら作曲者に奉仕して地味ながら味わいのある演奏。素朴な力強さもあり結部の光明のさしかたは感動的。
なお、CDには最後に10分ほどペニーと作曲者の対話が収録されている。作曲者の肉声は口をあまりあけないような発声でよく聞き取れないが、彼の人生の到達点を示すような語り口である。
Aハンドリーはペニーと同傾向。この人らしく誠実に作曲者に奉仕している。
落ち着いた美しい演奏。録音はペニーより透明でうるさくならない輝かしさもある。
Bガンバは、ペニーほど老成しておらず音にハリがある。オケや録音も優秀。第3楽章のギャロップは非常な勢いがある一方終楽章はゆったりくるあたりこの人も一筋縄でない。全体的に重くなりすぎずに終楽章もはっとする美しさを表出したりしている。やや、力みもあるがこの演奏も好感が持てる。