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管弦楽 1

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M.アーノルドの部屋


ピータールー序曲 Op.97

作曲年 1967年

英国労働組合会議の100周年を記念し作曲が委嘱された標題音楽的性格が強い序曲。「ピータールー」とは1819年マンチェスターのセントピ−ター広場で起こった虐殺事件を指す。
音楽は荘厳にいかにも英国のゆったりした行進曲調のコラールで始まる(政治変革を求める街頭演説)、が程なくして小太鼓の音がクレッシェンドして音楽をかき乱す(義勇農騎兵団)。逃げ惑う人、銃器を使用する者など大混乱状態が音楽によって表出される。しばらくして騒乱の場にも静けさが戻り最初の厳かなテーマが戻り徐々に拡大し肯定的に終わる、と書くとやや気恥ずかしいが・・・。
しかし、管弦楽法は極めて効果的で格調と荒々しさが同居したわかりやすい内容。


演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 時間
@ アーノルド BBC SO BBC classics 1968 8:42
A アーノルド バーミンガムSO EMI 1973 9:01
B ハンドリー BBC Conncerto O Conifer 1997 10:13
C 浅田亨 浜松交響吹奏楽団 佼成出版 1995 8:03
D ボストック Tokyo Kosei W.O. 佼成出版 2001 10:06
E ガンバ BBC PO Chandos 2004 10:08

@は作曲者自身の指揮によるライブ。白熱した演奏で期せずして混沌とした情景描写がされている。Aはその後のスタジオ録音で表現は大きく変わらないがより整った条件。Bのハンドリーは曲の入りがゆったりとしておりスケール大きな表現。終盤もしみじみした感じが出ている。
CDは吹奏楽による演奏。編曲ものながら最初からこの曲が吹奏楽用に創られたかのようにフィットして効果的である。Cは速めのテンポでやや細身ながら中途の騒乱の場面のパーカッションが荒れ狂う姿など迫真の演奏といえる。DはCに比べると恰幅のいい横綱演奏。深深とした包容力が魅力。
Eガンバは荘重かつシンフォニック。特に騒乱が収まってから静けさが戻りオーボエが最初の主題を奏し弦が引き継ぐところは思い切ってテンポを落とし感動的。フィナーレにかけても壮大に盛り上げる。

大大的序曲 op57(A Grand Grand Overture)

作曲 1956年

これは笑える!アーノルドの面目躍如の珍曲。
有名な冗談音楽祭である「第一回ホフナング音楽祭」のために書かれた序曲。題の通り曲は極めて大げさかつ姑息なつくりでオーケストラが効果的かつゴージャスに鳴り響きながらベートーベンの5番以上に終わると見せかけしぶとく終わらずこれでもかこれでもか「フィナーレ」をくりだしやっと大団円を迎え終わってくれる。
また、楽器編成も特異でフルオーケストラにオルガン、ライフル、そして掃除機3台!!床みがき機!?が活躍。ぜひご一聴あれ。
(なお、ヘッドフォンでこの曲を聴くときにはライフル音にぶっ飛ばないよう注意!)

演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 時間
@ アーノルド ホフナングO. EMI 1956 8:09
A アーノルド LPO EMI 1957 7:42
B マッセイ PO London 1988 7:28
C ハンドリー LPO Conifer 1992 7:17
D ガンバ BBC PO Chandos 2004 7:59

@がホフナング音楽祭初演時のライブでAが翌年スタジオ録音した物で、いずれもモノラルだが勢いがありユーモラスでほんとにおもろい。特に@は聴衆がノリノリで大笑い。すべてが大げさでその場にいたらどんなに楽しかったろう。
Bは1988年のホフナングのライブだが@に比べるとややおとなしく本家本元にはかなわない。
Cはスタジオ録音で音は良い(ライフルがサラウンドするが音量注意!)、豪快かつ切れ味のある表現。ユーモアのセンスはちりばめられているが、LPOがこの曲をスタジオで一生懸命演奏している姿を想像するとおかしい。ハンドリー、見た目は無骨だがやる時やるな。
Dガンバは割りとまじめなノリで序曲集としての統一感を出しているよう。しかし個人的にはもっと羽目をはずしてほしかった。ブラスの表情は堅いがパーカッションのノリはよい(これはLPOとBBCのオケの個性の差かも)。しかし逆にいうとまじめな演奏に突如挿入される左右からの掃除機の「独奏」には笑える。音作りは豪快そのもの。

序曲 タモシャンター op51(Overture”Tam O’Shanter”)

作曲 1955年

アーノルド版のティル・オイレンシュピーゲル的な楽しい曲。
作曲年のプロムズで初演されて以来描写的なわかりやすさからしばしば演奏され、ブラスバンド用にも編曲されている。
題材は同名のロバート・バーンズ(1759〜1796)の詩から採られている。
イギリスでは有名な詩らしくnet上でも公開・解説されている。

 http://www.kennedym.demon.co.uk/tamoshanter.htm

あらすじは酔っ払った主人公タムが、真夜中、帰宅途中に魔女の宴に出くわし追いかけられ命からがら逃げ帰るというもの。
冒頭おとぼけタムがバスーンで呈示され、雷鳴のとどろく中ふらつきながら帰途につく様子が描写される。その後スコットランド民謡的なテーマが壮大なオーケストラでバグパイプのように奏でられ魔女に集まりを示す。タムと魔女のおっかけっこの末、魔女に愛馬の尻尾をとられながらもなんとか逃れほっと一息でおしまい。

演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 時間
@ アーノルド PO EMI 1956 7:55
A ジュンキン ダラス Wind Symphony Reference 1995 8:09
B ダニエル イギリス・ノーザン・フィル NAXOS 1996 8:28
C 大植 ミネソタ Referencer 1997 8:08
D ボストック 東京佼成 wind orch 佼成出版社 2001 8:17
E ガンバ BBC PO Chandos 2005 8:17

@は作曲者指揮のもので豪快さでは一番。但しモノラルなのが残念。
AとDは吹奏楽バージョン。この曲はもともと吹奏楽的なので違和感が全くない。アレンジは両方ともジョン・P・ペンター。演奏は両者とも優れたものだしユーモラスな感じもよく出ている。ただ、CもそうだがReferennceレーベルの音はHDCDで広大な音場と深々とした低音が魅力(好みはありましょうが)。
Bはプロムスラストナイトの定番集の一曲で手慣れた感じ。音もいい。
Cはメフィストと称された妖怪・魔法使い音楽集の一曲。ちょっとまじめな作りですね。バグパイプのしゃくりあげなど、もっとど派手にして欲しかった。大植英二がんばれ!ただし、パーカッション群は録音もあり、オドロオドロシイ雰囲気出してます。
E最初はユーモラスで多彩な表情。徐々にシンフォニックで豪快な表現へ。