直線上に配置
管弦楽 2

トップ アイコン
M.アーノルドの部屋


舞曲集


作曲年 1950〜1986年
1. イギリス舞曲集SET1 op.27
2. イギリス舞曲集SET2 op.33
3. 4つのスコットランド舞曲集 op.59
4. 4つのコーンウォル舞曲集 op.91
5. 4つのアイルランド舞曲集 op.126
6. 4つのウェールズ舞曲集 op.138


アーノルドの最もポピュラーな一面が出た音楽がこの舞曲集ではないだろうか。
作曲年は上記のように作曲活動全般の時期に亘っており、その時々に住んでいた場所と連関して作曲され、またアーノルドのそれぞれの時代を映し出している。
どの舞曲集も4曲からなっており両端に快活な舞曲、中間に優しく哀愁を帯びた舞曲といった感じでバランスがとられている。
なお、舞曲ということで素朴な調べも流れるが、全く踊りは想定しておらず聴いて楽しい曲集ということになる。また、輝かしい金管を伴い都会的な響きも聞こえて来るのがアーノルドの「舞曲」の特色だ。

1.2.は1950、1951に書かれた初期の作品ながら管弦楽法は素晴らしく冴えわたっている。コープランドが「アパラチアの春」で用いたシェーカー教徒の調べも採用されているようだが、そうした癒し的な部分と映画音楽的な壮大な管弦楽が混載されている。

3.は1957年作曲。スコッチの豪壮な音楽で始まるが、
聴くと日本のソーラン節なんかとのも似てなくもない。
しみじみするアレグレットのあとは快活なコンブリオで閉められる。

4.は1966年作曲。ここら辺にくると曲はやや複雑さを増しメランコリックな雰囲気も漂わせ始める。

5.は1986年作曲。作曲者の困難な時期でもあり、第2・3曲などは舞曲を完全に離れ交響曲第9番の片鱗すら覗かせる北欧的響きがする。

6.は1989年作曲。初期の明るいゴージャスな響きからするとこの曲はやはりかなり枯れた感じがする。重々しく終わる。

演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 収録曲
@ ボールト LPO Deeca 1954 1.2.
A アーノルド LPO エヴェレスト 1958 3
B アーヴィング PO EMI 1958 3.
C アーノルド LPO BBC classics 1966 4.
D グローブス ボーンマスSO EMI 1977 1.2.
E ファーノン BBCノーザンSO BBC classics 1977 4.
F トムソン PO シャンドス 1990 1.2.3.4.5.
G ペニー クイーンズランドSO ナクソス 1995 1.2.3.4.5.6.
H ジュンキン ダラスwind so Reference 1995 1.3.
I ハワース グライムソープバンド RCA 1997 1.2.3.4.
J ボストック RLPO RLPOlive 2001 2.

Gのペニー盤が収録曲の多さ、入手の容易さから言ってまず第1にお勧め。演奏・録音もトップクラスで文句ない。また、この盤の収録順は初期から後期まで作曲順であり、通して聴いてみるとそれぞれの時代の作曲家の傾向の変遷がよくわかる。

なお、全般的に年代の古い録音のほうがより節回しに民謡的特徴が見られるが(ペニーなどはさらりと洗練された感じ)、この曲自体それほど土着色を求めておらず拘ることはないであろう。
なお、Hは映画「ブラス!」のモデルであるグライムソープ・コリアリー・バンドによるもので、ブラスによる編曲ものであるが素朴な哀愁が漂っている。この曲集も吹奏楽で取り上げられることが多い。


第六の幸福をもたらす宿(映画音楽による組曲)


作曲年 1958年
1.ロンドン・プレリュード
2.ロマンティックな間奏曲
3.ハッピー・エンディング

ピータールーと並び最近の吹奏楽で非常によくお目にかかるレパートリーで、業界では「六宿」と略されている!?。
映画は、実在の英国女性が中国に渡り辺境の地でキリスト教の伝道師となるというもので、1958年に公開され大ヒットとなった(主演:イングリッド・バーグマン)。
「第六の幸福」とは中国の教えである五福(長命、富貴、健康、徳行、天寿)に更に加えられるところの福で、映画の中ではキリスト教ということになるらしい。
(以下、映画のあらすじ〜映画紹介のページから)
『イギリスのある邸の召使女グラディス・アイルワード(イングリッド・バーグマン)は、中国伝道を志願するが、無資格のため断られ、自力で中国に旅立つ。シベリア経由の鉄道旅行は予想外の困難を伴ったが、彼女はついに中国の奥地にあるヤンチェンと云う山村に着く。村では永く単身働いていた女伝道師ロウソンがグラディスを歓迎したが、村人が彼女の徳に従う迄には長い間の忍耐と努力を要した。彼女はロウソンに協力して騾馬を追う人人のために“6番目の幸福"と云う旅館を経営するが間もなくロウソンは不慮の死をとげる。村の省長(ロバート・ドーナット)に纒足禁令を伝えに訪れた中国軍の混血将校リナン(クルト・ユルゲンス)は彼女の帰国を勧めるが彼女の熱意は従わず、困難と思われる纒足禁止調査員の役目も見事に果たし、囚人の暴動もしずめ、3年間の献身はすっかり村人たちの信望を集めた。リナンが再び日本軍進攻を知らせにヤンチェン村を訪れた。土民の協力を説いて廻るリナンと纒足調査員として共に旅するグラディスは次第に心ひかれる仲となる。リナンは彼女の孤児養育に心を動かされるが、省長は感謝のしるしに自らクリスチャンとなって彼女を感激させる。日本軍接近につれて、彼女のもとに集る孤児の数は増しついに100人に至る。折しも伝道本部から3週間以内に孤児を西安に連れて来ればバスで安全な所に避難させる旨知らせて来た。出発にあたりリナンは彼女に安全な道を教え、ヒスイの指輪を与え彼女への愛を誓う。西安への道は困難をきわめた。子供たちは飢えと疲れに弱り、数多の危険に遭遇し苦しい旅だった。激しい雨や風は一行を攻めたて、日本軍は一行をおびやかした。しかしついに奇蹟の行軍の末、一行は無事目的地西安に着き人々の脅威と歓迎を受けた。大任を果したグラディスはリナンとの再会と、戦火に荒れはてた村を建てなおすために再びヤンチェン村へ帰って行くのであった。』

曲の紹介
1.はロンドンを旅立つ主人公の決心のテーマから始まる壮大な音楽。
  汽車の進行音も聞こえる。そのあともう一つのテーマである愛の主題がつづく。
  豪快さと優しさの同居する、いかにも「アーノルド」を垣間見せる。
2.はリリカルな世界。主人公の女性と中国の軍人リン・ナンとの交流が描かれる。
  フルートでオリエンタルな主題が提示されたあとチェロが引き継ぎ1.の主題が
  絡む。吹奏楽の編曲ものではチェロパートがアルト・サックスに変化する。
3.は2部構成。輝かしく壮大な主題の後、日本軍の侵攻に伴い緊張感を帯びる。
  が、ここで突如音楽はがらりと雰囲気を変えイギリス民謡「This Old Man」の
  おちゃめな主題の繰り返しが始まる。これは、主人公が子供たちを連れて
  安全な山に避難する場面の描写。愛らしいピッコロで口火を切り楽器を加え
  ながら10回繰り返したあと1.のテーマを交えハッピーエンドに盛り上がって
  大団円。

演奏 指揮者 オーケストラ レーベル 録音 1 2 3
@ ヒコックス LSO Chandos 1992 3:41 3:40 6:39
A ボストック 東京佼成WO 佼成出版社 2001 3:48 3:21 6:56
B 秋山和慶 大阪市音楽団 FONTEC 2003 4:17 3:13 6:15
C 鈴木孝佳 UNLV.WO. MARK 2003 4:16 3:09 5:49

@はアーノルドの映画音楽集1に含まれる正統派管弦楽版。
A以下は吹奏楽版。
Bは気宇雄大な表現とライブならでの盛り上がりが素晴らしく一押し。演奏後に思わず観客のヴラヴォーが入る感動もの。
Aもさすがの余裕の演奏。ややまじめな感じ
Cは表情豊かなで独特なタメとパーカッションの煌びやかな演奏。弦も参加しておりこれも楽しい。
吹奏楽版の新しいものはどれも録音がよい。