「モーツアルテイアン449の独り言」


高規格CD・5.1チャンネルDVDレポート(その2)、

「モーツアルテイアン449の独り言」 mozartian449


高規格CD・5.1チャンネルDVDレポート(その2)、


      1、はじめに、


   ユニバーサル・レーベルの高規格CDへの参加により、フイリップス、グラモフォン、デッカの三大レーベルの輸入盤SACDが多数発売されるようになって、高規格CDのリリースが毎月着実に増加しつつある。それと同時に、クラシック音楽分野の5.1チャンネル録音の高規格CDやDVDが次第に多く発売されるようになってきた。 
 最近では、モーツアルトの作品や私の好きな演奏家やジャンルの5.1チャンネル・ソースも増え始めてきた。新しい規格のこれらのCDやDVDは、従来のCDに較べて比較にならないほど多量の信号が入っているせいか、いずれもしっかりした音作りがされており、安心して聴けるものが多いようである。そのため、これらの新しいCDを入手の都度、逐次その内容を、特に気になる音声の状態を含めて、私のHPでご紹介してゆくようにしたいと考えた。

2、二つの高規格CD、

 ユニバーサル・レーベルの第一号は、ブレンデルのピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271「ジュノム」と第25番ハ長調K.503であり、SACDの5.1と2チャンネルのハイブリッド盤(PHILIPS UCGP-7002)である。マッケラス指揮のスコットランド室内管弦楽団の2001年7月の新しい演奏であるが、ブレンデルはこの組み合わせで新しくピアノ協奏曲を録音し直すのであろうか。SACDになると音の静聴感がはっきりし、実に透明感のあるオーケストラの音が広がる中で、ピアノが輪郭のはっきりした音で中央に定位する。楽音の分離がとても良く、さすがと思わせるほど極め細かく明瞭に聞こえ、これまでのCDとは明らかに一線を画している。

 第9番のジュノムは、冒頭から出てくるソロピアノであるとか、第二楽章のアンダンテイーノではハ短調の暗い序奏で開始されるなど、これまでにない話題の豊富な若々しい曲であるが、ブレンデルのピアノは常に堂々としており、この様な変化にも安心して豊かな音の中に浸っていられる。フィナーレのロンド楽章の中間部に現れる意表をつくような美しいピッチカートを伴うメヌエットなども丁寧に演奏されており、聴かせどころは実に明快である。
 一方の第25番は、ピアノ協奏曲の中ではオーケストラ部分が充実した交響的な色彩の強い曲であるが、独奏ピアノは管弦楽に少しも負けずに充実した名人芸を披露していた。特に第二楽章の中間部の独奏ピアノの演ずる即興風の自由なパッセージなどはみごとであった。この曲のフィナーレの中間部でも素晴らしいエピソードが展開されるが、美しくのどかに歌われていた。



 SACDの第二号は、これもフイリップス・レーベルで、内田光子のシューベルトのピアノソナタ第7番変ホ長調D.568と楽興の時D.780であり、これも同様に5.1と2チャンネルのハイブリッド盤(PHILIPS UCGP-7003)である。2001年8月にウイーンのムジークフェラインで録音しており、彼女のシューベルトの連作の最新盤であろう。ソロピアノのSACDは増えてきたが、5.1チャンネル録音は珍しく、これが初めてかもしれない。

 内田光子の「楽興の時」は思い入れ深く、非常に遅いテンポの演奏であるが、彼女の弱音を大切に弾くさまが実に美しいピアノの音で収録されていた。  ソナタ第7番は、未完の楽章の集まりとされ、ソナタ全集でなければ聴くことが困難な曲であるので、彼女は全集としての完成を意識しているに違いない。この曲の第一楽章は特に第二主題が馴染みやすくはじめてきく人にも親しみ易い。第二楽章のアンダンテでは、彼女のテンポが実に良く、また第二主題の力強い和音が連続するテーマでは、音が透明でくっきりと美しく浮かび上がり、さすがSACDと思わせる部分に魅せられた。

 SACDを聴くと、最初のうちは音の良さを味わいながら注意深く聴いているが、次第に音の良さに馴れてくると、注意力が散漫になり全く安心して音像に浸っている自分に気がつく。自分の部屋で100%音に浸れるというコンサートでは味わえない異質の世界が開けてくるような感慨を覚え、これがレコード音楽に耽溺する究極の世界かとふと思ってしまう。



3、二つの5.1CHの録音のDVD、

 秋葉原の石丸電機で、ARTHAUSという輸入盤のDVD(ART100229)で、バルトリのコンサート「ヴィヴァ・ヴィヴァルデイ!」−アリアと協奏曲−と言うタイトルの5.1チャンネルの映像を入手した。2000年9月パリのシャンゼリゼ劇場におけるコンサートライブである。言語は日本語が選択でき、音声も2CHとドルビーまたはDTSの5.1チャンネルが選択できる。なお、全ての曲ではないが、*印のついた5曲には、画面上に、楽譜を表示するサービスがついているが、この様なサービスは初めてであった。

 ヴィヴァルデイのオペラやオラトリオからアリアが10曲ほど選ばれているが、ヴィヴァルデイのアリアは初めてであり、凄い技巧曲ばかりが選ばれている。冒頭の曲のピッコロが伴奏するアリアでは、バルトリの見事なコロラチューラの技巧と輝くようなピッコロの音に圧倒され、これぞ5.1チャンネルという感じがした。このピッコロのアントニーニが指揮する古楽器の室内楽団イル・ジャルデイーノ・アルモニコは、凄い腕達者の集まりで、明るい輝かしい演奏には驚かされる。バルトリの選んだ古い曲の伴奏にはピッタリで あり、歌とオブリガート楽器の多彩さとその技巧は、さすがイタリアであると思う。アリア以外でも、特に初めて聴くヴィヴァルデイのピッコロ協奏曲の軽妙さと美しさには舌を巻いた。このARTHAUSというレーベルは国内盤より割安(2580円)なので、レコード店でいつも注目しているが、種類が少ないようだ。



 最後に最新盤で、ウエザー・メストとチューリッヒ歌劇場の「魔笛」(TDK TDBA-0023)を入手した。2000年7月の公演記録で、言語は日本語とドイツ語、音声は2CHとドルビーまたはDTSの5.1チャンネルが選択できる。チューリッヒ歌劇場のアーノンクール・フリム演出のダ・ポンテ三部作は既にBS放送で収録済みであるが、今回DVDで「フィガロの結婚」とこのメストの「魔笛」が発売され、魔笛は未放送の映像であったので、比較の意味も兼ねて購入してみた。

 オペラ録音は、5.1CHの録音が効果的であり、この魔笛も音の広がりが良く、空間を感じさせるようだ。特にオーケストラ伴奏の重唱や合唱などが、オケと声が分離されて聞こえ、とても明瞭で聴きやすい。この舞台は、フリーメースン調一色の演出が印象的で、狭い舞台を有効に使った見応えのあるもので、歌手陣もザラストロのサルミネン、パミーナのハルテリウス、パパゲーノのシュリンジャーなど過去の映像でお馴染みの歌手が揃い、今年の春に見たウイーン国立歌劇場の舞台より優れていると感じた。とても気に入った映像なので、時期を見てホームページのソフト紹介の10月分(3-10-1)で詳しくご報告することを考えている。

(以上)(03/08/14) 



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