−−私のビデオコレクションから−−その3−−


−過去1年間のベスト・ソフトの紹介と例会発表を終えて(末尾に追加)

フェラインの5月例会発表(04年5月9日;カーサ・モーツアルトにて) 

−−私のビデオコレクションから−−その3−− 倉島 収(千葉県mozartian449)



 フェラインの例会の講師の都合による急な変更に備えて、その穴埋め用にいつも準備をしているが、最近は私のエアチェックビデオのコレクションから、「最新の素晴らしいビデオ」、「懐かしいビデオ」、「珍しいビデオ」、などに整理してご報告している。今回もそれにならってここ1年くらいの間に収録したビデオのうち、毎月ソフト紹介としてホームページで紹介しているものの中から、面白そうなものを拾い出して見た。いわば、私の一年間のコレクションの中のベストナンバーとお考え頂きたい。用意したプログラムは、別紙の通りである。 

   第一曲目は、ごく最近の素晴らしい映像として、 キーシンとアルゲリッチの4手のピアノソナタハ長調K.521であり、二人の名人が4手でむつまじく、時には競い合って弾く緊張感あふれるライブの魅力をタップリ聴かせる演奏である。03年7月のスイス・ヴェルビエ音楽祭の大コンサートの第一曲目に弾かれている。このコンサート自体が10人の世界的ピアニストが集まったまさに絵になる凄いものであった。

 第二曲目は、懐かしい映像として度々取り上げられるワルター・クリーンのピアノによるモーツアルト最後のピアノ協奏曲第27番変ロ長調、K.595である。クリーン氏はこの演奏の翌年に残念ながら亡くなっているが、この演奏ほどピアノが歌う演奏は珍しく、フィナーレではカデンツアに歌曲「春へのあこがれ」K.596の一節を取り入れたユニークな演奏で、歴史的な名演とされている。

 第三曲目は、珍しい映像として二つのオーケストラと行進曲・メヌエット・ロンドと言う変った構成の面白い曲「セレナータ・ノットウルナ」K.239であり、クレーメルと彼の育てた優れたクレメラータ・バルテイカの演奏である。1群と2群のオ−ケストラの使い分け、賑やかな装飾音、コントラバスやテインパニーのカデンツアなどが珍しく、映像でないと見逃してしまう曲である。

 第四曲目は、最近チューリッヒ歌劇場でパミーナ、コンスタンツエ役などで売れっ子になっているマリン・ハルテリウスの歌う初期のオペラアリア二曲で、2001年のモーツアルト週間へのデビューで成功した珍しい映像である。ブリュッヒェン指揮のモーツアルテウム管弦楽団の演奏で、羊飼いの王様からのアリンタのアリアが珍しく、オブリガート・ヴァイオリンをコンマスのお馴染みのマーカス・トマージが弾いている。

最後は、最近の新しい音楽ドキュメンタリとして、カナダ制作の一時間番組「音楽の申し子」である。モーツアルトの生涯を四楽章に分けて解説され、弦楽四重奏曲第15番ニ短調K.421の各楽章を伴奏音楽としてバレエでも表現する、意表をついた構成と演出には驚かされる一見に値する素晴らしい作品になっている。





       例会発表プログラム 


1、最近の素晴らしい映像、


 キーシンとアルゲリッチの4手のピアノソナタハ長調K.521、スイス・ヴェルビエ音楽祭03年7月(4-3-2)、
−−二人の名人が4手で競い合う緊張感あふれるライブの魅力−−
(04年1月11日NHKBS103CHのハイビジョン放送を、D-VHSのLS-3モードでS-VHSテープにデジタル録画)

2、懐かしいビデオ、

 ワルター・クリーンのピアノ協奏曲第27番変ロ長調、K.595、指揮若杉弘、NHK交響楽団89年(4-1-3)、
−−春へのあこがれを歌った今は亡きクリーンの27番の名演奏−−
(03年9月14日NHK教育テレビの放送をD-VHSのLS-3モードでS-VHSテープにデジタル録画)

3、珍しいビデオ、

3−1、 セレナード第六番ニ長調「セレナータ・ノットウルナ」K.239、クレーメルのヴァイオリンと指揮、クレメラータ・バルテイカ(3-7-2)2002年モーツアルト週間、
−−クレーメルと現代曲もこなす若くて伸び盛りの腕達者たちの競演−−
(03年5月3日クラシカジャパンの放送をD-VHSのLS-3モードでS-VHSテープにデジタル録画)


             =====休 憩====


3−2、マリン・ハルテリウス(S)の初期のオペラ・アリア2曲(ミトリダーテよりK.78-9、羊飼いの王様よりK.208-10)ブリュッヒェン指揮、モーツアルテウム管弦楽団、マーカス・トマージ(Vn)、2001年ザルツブルグ・モーツアルト週間(2-6-1)、
−−チューリッヒ劇場の若き歌姫マリン・ハルテリウスのモーツアルト週間デビュー−−
(CS736CH、D-VHSテープでデジタル録画)

4、最近の素晴らしい音楽ドキュメンタリ映像、
 、音楽ドキュメンタリ「音楽の申し子」、弦楽四重奏曲第15番ニ短調K.421、オルフォード四重奏団、カナダ映画、監督レイモンド・サンジャン、製作2000年(3-11-1)、
−−意表をついた構成と演出のモーツアルトの音楽ドキュメンタリ−−
(03年9月9日クラシカジャパンの放送をD-VHSのLS-3モードでS-VHSテープにデジタル録画)

(以上)(04/04/09)





5月のフェライン例会発表を終えて、 

 5月の連休直後のフェラインの例会で、昨年に引き続き、「私のビデオコレクション−その3−」と称して例会発表を行った。一応、過去一年間のいろいろな分野のベストの映像のつもりで選定したものを4〜5編選び、最新の素晴らしいもの、懐かしいもの、珍しいものなどに分けて見て頂くことにしている。私がHPで紹介した文章を資料として配付しているので、内容説明は程々にして、皆さんには特に映像を見ることに集中して頂くようにお願いした。

 はじめのキーシンとアルゲリッチの4手のためのピアノソナタK.521は、後期の充実したソナタで曲がよく、ライブでも見ることが少ない4手の連弾であり、二人の名人が火花を散らす熱演であったので、終わってから皆さんから拍手が出るほどの盛況であった。映像を見て拍手が頂けるのは、紹介者にとってはうれしいことである。

 第二曲目のワルター・クリーンとN響のピアノ協奏曲第27番は、第三楽章のカデンツアの冒頭に、リート「春へのあこがれ」K.597を取り入れて、この楽章の主題と対比して見せた珍しい演奏であり、解説の池辺晋一郎氏がピアノを弾きながら説明した部分もビデオに取り入れておいた。指揮者は若杉弘で89年の演奏であるが、NHKが過去の名演として2回も取り上げたものを2回とも録画している。この演奏は、ピアノもオーケストラも実に良く暖かく歌い、透明感溢れる素晴らしい名演として納得できるものであった。

 第三曲目は、「セレナータ・ノットウルナ」K.239の映像である。CDを聞く限りこの曲はコントラバスとテインパニーが目立つ程度であるが、2ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバス、テインパニーの独奏者たちとオーケストラとが交代で演奏する面白い曲であることが分かる。また、賑やかな装飾音や、独奏者たち特にコントラバスやテインパニーのカデンツアなども珍しい。クレーメルと彼の弟子たちのクレメラータ・バルチカが2002年のモーツアルト週間で演奏しており、彼等がアンコールで弾いた"Mc Mozart's Eine kleine bricht Moonlight Night Musik"と言う曲もおふざけではあるが、面白い趣向であった。

 休憩後の第四曲目は、今やチューリッヒ歌劇場の花形歌手であるマリン・ハルテリウスのモーツアルト週間・デビューでのオペラアリア2曲であった。ブリュッヒエン指揮のモーツアルテウム管弦楽団の2001年モーツアルト週間からの映像で、2曲目のオペラ「羊飼いの王様」からのアリンタのアリアが珍しく、オブリガート・ヴァイオリンをコンサート・マスターのお馴染みのマーカス・トマージ氏が弾いていた。彼女は現在、パミーナ、コンスタンツエ、ブロンテ、マルチェリーナ、アデーレ、グレーテルなどを歌うリリックなソプラノとしてチューリッヒ歌劇場で大活躍している。

 最後の映像は、最近の新しい音楽ドキュメンタリとして、カナダ制作の一時間番組「音楽の申し子」である。モーツアルトの生涯を四楽章に分けて解説され、弦楽四重奏曲第15番ニ短調K.421の各楽章を伴奏音楽としてバレエでも表現する、意表をついた構成と演出には驚かされる一見に値する素晴らしい作品になっている。フィナーレのウイーン時代を表現する二組の男女のうち、1組はモーツアルト夫妻であることは明らかであるが、もう一組はどういう人たちか探すつもりで見て欲しいとお願いしたところ、バレーの終わりに例のランゲの未完の肖像画が出てくるので、モーツアルト夫妻を公私の面で支えたランゲ夫妻であろうという意見があった。懇親会の席でも、いろいろと関連質問があり、楽しくご覧頂けたという感じを得た。

(以上)(04/05/31)




6月号の事務局レターに掲載された5月例会の報告(第227回/04年5月9日)
 
 編集担当の古田さんが事務局レターに、次のように報告してくれた。


「私のビデオコレクションから・・・その3」 お話・・・倉島 収氏(本会副会長)

「私の1年間のビデオ・コレクションのベストナンバー」と自信を持っておっしゃる倉島コレクションの紹介も回を重ねて3回目となりました。今回も魅力的なプログラムのオンパレードでした。

(1)キーシン&アルゲリッチのK521・・・キーシン(32歳)、アルゲリッチ(62歳)で何と年齢差30歳の2人による連弾。第1楽章はちょっとテンポが速すぎる感じでしたが、第2楽章になると息はバッチリで、時折アルゲリッチがいたわるようなまなざしをキーシンに投げかけ、まるで彼のお母さんのような余裕を感じさせました。

(2)ワルター・クリーンのピアノ協奏曲27番・・・晩年のクリーンによる演奏は彼の62歳の時のもの。ブレンデルと同年代ということですが、比較的長命の多いピアニストの中では早世と言えるのではないでしょうか。話題の中心は第3楽章でしたが、聴き慣れたカデンツァのなかに「春への憧れ」をさらりと滑り込ませるその手法は見事なものでした。

(3)クレーメルのセレナータ・ノットゥルナ・・・倉島さんによれば、クレーメルによるこの演奏は観客うけを狙った遊びが多く、あまりお好きではないそうですが、CDの曲目解説などで語られる「2つのオーケストラ」の意味が、この映像を見て初めて理解できたということで紹介してくださいました。オーケストラの前に弦楽のソリスト4人(1Vn、2Vn、Va、コントラバス)が立って演奏するという、バロックでいう協奏交響曲のような演奏形態で、聴き慣れたこの曲が、演奏風景を見ながらだと全く違って聴こえるのに驚きました。

(4)ハルテリウスのアリア・・・ザルツブルクで人気のソプラノ、ハルテリウスによるオペラアリアは2曲目の「羊飼いの王様」が秀逸でした。お馴染みのトマジさんのヴァイオリンも素晴らしく、指揮のブリュッヘンが見事にまとめているという印象を受けました。

(5)音楽ドキュメンタリー「音楽の申し子」(原題:Child of music)・・・倉島さんのプログラムでは、毎回ハイライトにあたる「とっておき映像」があるのですが、今回のハイライトがこれでしょう。テーマ曲として全曲演奏されるのが、弦楽四重奏K421で、各楽章ごとにバレエの振り付けがあり、楽章間にモーツァルトの短い生涯のエピソードが、イメージ映像とナレーションで説明されるという内容になっています。

見どころはやはりバレエシーンで、広いスタジオで4人の若い弦楽奏者(オルフォード四重奏)とダンサーが一緒に演じており、奏者はそのままですが、モーツァルトの成長に沿って、楽章ごとにダンサーが、姉と弟(第1楽章)、父と息子(第2楽章)、さらにアロイジア、ベーズレ、モーツァルト(第3楽章)というように変わっていきます。K421という一見地味な曲が振り付けに見事にハマり、抜群の効果をあげていたように思いました。昨今ブームの「コラボレーション」が成功した素晴らしい映像作品といえるのではないでしょうか。(F)

(以上)(04/05/31)

古田さん、今年もコメント有り難うございました。来年も頑張ります。宜しくお願いします。   倉島 収



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