「デジタル化への取り組み」
−NHKの5.1チャンネル・デジタルハイビジョンの録画に成功!−


ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団の「第九」他

ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団の「第九」他、

−NHKの5.1チャンネル・デジタルハイビジョンの録画に成功!−


 ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団、ベルリン放送合唱団、NHKホール(03/10/31)

(ソリスト);(ソプラノ)ルート・ツイーサク、(メゾソプラノ)マリーナ・コンパーラ、(テノール)ヘルベルト・リッパート、(バス);フランツ・ヨーゼフ・ゼーリッヒ、
(曲目)1、リゲテイ;「永遠の光」、2、ウストヴォリスカヤ;交響曲第四番「祈り」、3、ベートーヴェン;交響曲第九番ニ短調「合唱つき」作品125、
(03年11月1日NHKBS103CH、5.1CHデジタルハイビジョン放送をD-VHSテープにHVモードで録画)


 NHKではテレビ放送開始50年、NHKホール開館30年の記念のためのNHK音楽祭と称して、このところ海外からのオーケストラと指揮者による記念コンサートが目白押しのようである。このケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団の「第九」他もその一環であり、03年10月31日NHKホールで演奏されたものであるが、それが11月1日深夜にNHKの5.1チャンネルのデジタルハイビジョンで放映されたのでエアチェックしてみた。この交響楽団の前身は、古いLPファンならご存じの、フェレンツ・フリッチャイの時代に有名になったRIAS放送管弦楽団であり、その後マゼール、シャイ、アシュケナージなどに引き継がれてきた楽団で、2000年からケント・ナガノが音楽監督をしている。一見して女性の楽団員が多いことに気が付き、特に第九ではオーボエ奏者の活躍が目立っていた。

 5.1チャンネルの放送と言えば、デジタルハイビジョン放送に限られるのであろうが、私の記憶では、02年6月の横浜アリーナでの三大テノールのライブ・コンサートがあり、最近では、03年8月の「思い出のメロデイ」の地上波との同時放送や東京ジャズフェスト2003などが、記憶に新しい。いずれもハイビジョンによる生中継番組であったと記憶している。というのは、私自身もDVD再生は別として、5.1チャンネル放送のAAC音声の正しい再生も初めてに近いし、ましてその放送の録画となるとその機会が限定されるため、良く覚えている。限られた5.1チャンネル放送時にはVTRの録音設定にいつも苦労しており、トライ&エラーを重ねて今日に至っている。

 5.1チャンネルの放送があると、私のD-VHSのVTRでは、幸いチューナーとはi-LINKで接続されているので器械にお任せであり、放送を見るときにはAVアンプがAACサラウンドで受信していることとを確かめ、また録画するときにはAAC音声はビットストリーム記録のためHSモードとするよう録画モードの選択をすることなどに、特に注意するようにしている。今回のNHK音楽祭の録画に当たっては、D-VHSテープを使用しHSモードに設定したため、ハイビジョン上の全ての信号をそのままテープ上に記録したかのように、全く見事に完璧に録画されていた。本当に録画技術もここまで来たかと感動を覚えるほど、鮮明に良く撮れていた。また、NHKホールでの5.1チャンネル録音も、マイクはいつものように舞台上方に配置されていたように思ったが、5.1チャンネルとしてほぼ満足すべき状態に撮れていた。




 このコンサートは、始めにリゲテイの「永遠の光」という合唱曲で始まった。合唱団はベルリン放送合唱団である。この曲は、人の声を素材にした最前衛の合唱曲であり、お経のような祈りの言葉をベースとしており、約9分くらいの難しい曲であった。
 第二曲は、ロシアのウストヴォリスカヤという人の交響曲第四番「祈り」と言う曲であり、これも1985年の作と言うから最前衛の曲である。トランペットとピアノに銅鑼の響きを伴奏として、メゾソプラノが発する祈りの言葉の声の直接的な表現を活用した面白い曲で、どうしてこれが交響曲のイメージか不思議な感じの約8分くらいの曲であった。

 最後のベートーベンの第九交響曲は、現代的な感覚でありながら、重厚な芯のある第九を久しぶりで聴いたような気がする。ケント・ナガノの指揮ぶりは、若いだけに古楽器趣向の影響を受けているが、先に来日したサイモン・ラトル以上に、伝統的な演奏も重視するタイプの指揮ぶりであり、格式あるドイツのオーケストラの重量感ある音を十分引き出していた。それがこの5.1チャンネル録音に向いていたような気がする。




 第一・第二楽章は速いテンポで進められたが、第三楽章でゆっくりしたテンポになり、第四楽章では標準的なテンポであった。ハイビジョンなので、画像の中で4人のソリストがよく目立ち効果抜群であり、合唱団もさすが全員が暗譜で歌っていた。フィナーレで大太鼓の音が明瞭に把握され、5.1チャンネル録音の効果が随所に現れていた。とくに合唱とソロとオーケストラが見事に分離され、合唱にありがちな音の混濁がなく聞きやすい音に収録されていた。放送であると、どうしても高域がCDと比較すると薄くなりがちであるが、この録音でもやはりSACDに較べると高音域の伸びがすくないが、全体の音像は明確で安定しており十分満足できるものであった。

 この録音を何回か再生してみて、私にとっては、昭和20年代後半のSPレコードから始まり、LPのモノラル、ステレオ、CD、テープ、LD、SACD、DVDなどと長い間体験してきたいろいろなオーデイオ・ビデオの最終的な成果が、このテープに全て凝縮されているような気がしている。この録画テープは、過去の多くの第九にまして、オーデイオ・ヴィジュアル的に満足度の高いものであった。これも、これまでの技術的な限界に対する悩みや苦労を超越してやっと到達した結果であろうと考える。

 5.1チャンネルの録音も最近始まったばかりで、これからも技術的な向上が続くのであろうが、その第一号の段階で高い満足度を得てしまった。要はこの程度の高い水準に達してくれれば、オーデイオ・ヴィジュアル的なことは余り気にならなくなり、むしろソフトの内容にもっと集中できるものと思われる。今後自分なりにやってみたいことは、画像の大画面化であったり、また、ソニーが開発したブルーウエイ方式の新らしいDVDレコーダーを試用してみたいと考えているが、それ以上に希望したいことは、高規格CDは明らかに従来CDよりも優れた方式であるので、サラウンドを含めて、新しいソフトがもっと増大して値段も安くなって欲しいものだと思う。

(以上)(03/11/07)



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