5.1チャンネル・サラウンドの音の饗宴、


−−5.1chサラウンドのいろいろなソースの体験−−

5.1チャンネル・サラウンドの音の饗宴、

−−5.1chサラウンドのいろいろなソースの体験−−


倉島 収(mozartian449、千葉県)


はじめに、

 5.1チャンネル・サラウンドシステムを導入して1年を超えて、5.1チャンネルのDVDビデオ、5.1チャンネルのSACD、ハイビジョンによるAAC録音などの5.1チャンネル・エアチェック・ソースが増えてきた。5.1チャンネルと言ってもピアノやヴァイオリンの器楽曲・協奏曲、交響曲などオーケストラ曲、オペラやミサ曲、紅白歌合戦のような歌謡曲やジャズのライブ、映画やアニメ、野球中継放送などの多様なソースが含まれている。ここでは最近入手して感心した5.1チャンネル録音について報告してみたい。 

1、サイエンス・フイクション映画「コンタクト」、(97年米映画)

 今年のお正月の2日にハイビジョンで5.1チャンネルの米映画「コンタクト」が放映され、待ちかまえてエアチェックをした。今回はハイビジョンなので、事前にヘッドクリーナをかけ、Dテープを節約してS-VHS140テープ を使用してみたが、ハイビジョン録画および5.1チャンネルAAC録音ともにHSモードにより見事に成功した。まさに放送そのままに見事に再生が可能であった。S-テープでも録れたことで、もの凄く経済的にエアチェックが出来たことになり、この意味でこれからのエアチェックが楽しみになった。

 この映画は、やや難解なサイエンス・フィクションであり、天文学者に成長したエリーが解読に成功した地球外生命体からの信号は、時空間移動装置の設計図であった。この移動装置が組み立てられ、1号機は大爆発して失敗するものの、オホーツク海に組み立てられエリーが乗り込んだ2号機は発射に成功する。そして、地球外の惑星に到着して、亡くなった父親に再会し、再び地球に戻ってくる夢のような旅行を体験する。しかし、エリーは科学者でありながら地球外惑星に到着したことを証明することが出来ず、エリーの幻想であったとされてしまう不可思議な物語である。

 5.1チャンネル・サラウンドの圧巻は、この巨大な時空間移動装置が発するもの凄い回転音とエリーの乗った動力船の音の饗宴にあり、部屋中が震動と轟音に包まれて映画館よりももっと直接的な音の洪水であることに、さすがサラウンドと驚かされた。映画のそれ以外の部分でも5.1チャンネルの音像がいろいろな場面で生かされており、やはり5.1チャンネルは、クラシック音楽ではまだ始まったばかりであるが、映画では生々しい臨場感を体験させる手段として、欠かせない存在になっていることを痛感させられた。


2、巨人・阪神戦のナイター中継、

 5.1チャンネル・サラウンドは、かねてライブ放送向きであると考えていたが、ドーム球場でやっていたジャズ・フェステバルに続いて、本番のナイター中継にも登場してきた。その第1号は、4月3日(土)の巨人・阪神のプロ野球開幕戦のハイビジョン中継であった。さすがエアチェックはせずに見るだけであったが、広い球場の暗騒音のすごさや、声援の響き(タイコの音とカットバセーなどの声の音)が広がって聞こえ、臨場感の豊かさや生々しさを伝えていた。その一方で、対談しているアナウンサーと解説者の星野前監督の声が、普通の声量でフロントスピーカーにピタリと定位しており、環境音との違いが明確で音量を上げなくても聴きやすく、実用性があると考えられた。

 この分では、大型システムを持っている人には、この生々しさのために多いに喜ばれるに違いなく、野球ばかりでなく、スピードの早いサッカーだっていずれ5.1チャンネル・サラウンドが出て来るであろうと思った。地上デジタル放送が始まり、ハイビジョン放送が当たり前になると、日常的なスポーツの中継はみな音声は5.1チャンネルという時代が直ぐそこまできていると感じている。


  3、世界初の5.1チャンネル・サラウンドのハイビジョンTVアニメ・シリーズ、−アニメ「火の鳥」の一括放送−04年3月21日(土)

 最近、NHKのハイビジョン番組のコマーシャルの音がうるさくなってきたが、繰り返し放送されていたのがこの「アニメ・火の鳥」の放送の宣伝であった。マンガ界の神様・手塚治虫のライフワークとされる「火の鳥」が、5.1チャンネル・サラウンドの高画質・高音質で、ハイビジョンTV用にアニメーション化されたとなると、記念的に、そして孫たちとの対話の材料として、エアチェックをしてみた。

 普段テレビでアニメを見ることは殆どないが、この新しいハイビジョンによるデジタルの映像を見て、この世界も色彩の鮮やかさと言い、漫画を動かす表現技術と言い、生々しい音響技術と言い素晴らしく、原作さえ良ければその内容を伝えるメデイアとして映画と同様に完成の域に到達してきたと感じさせられた。エアチェックの結果も、S-VHSテープを使っているが、画質も音質も放送と殆ど変わらない状態に再生でき、D-VHSの威力を改めて感じさせられた。テープはDVDよりも確かに使い勝手が悪いが、最近発売されてきたブルーレイ方式のDVDが、このテープの値段(約250円)と同じ水準になるには何年ぐらいかかるかと言う思いがした。

 このアニメの物語については触れないが、戦争で剣を交わす音や弓矢が飛んできてグサリと命中する音などが実に臨場感があり、明らかにサラウンドの音が映像を補完していた。 火の鳥が飛ぶときの羽根の音などは、人工的ではあるが音によって現実感を与えており、また火山の爆発や地震動なども大音響の音声による効果によって、迫力ある画像が得られたものと考えられる。兎に角、映画や動画の世界では、サラウンドの音像効果を抜きには語れなくなってきているものと思われる。

4、DVDのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」の5.1CHのサラウンド録音、

   チューリッヒ劇場のウエザー・メストの指揮によるフンバーデイングのDVDのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」が発売されたので購入した。ケルビーノ・ドラベッラ・ツエルリーナなどを巧く演じていたルーマニア出身のニキテアニューと、ブロントヒェン・パミーナ・コンスタンツエなどを上手に歌っていたスイス生まれのマリン・ハリテリウスの二人の大好きな歌手が、揃って出演していたからである。このオペラの舞台は、少年と少女の童謡の、森の中の冒険話として漫画風に演出されており、背景や衣装は子供達が喜びそうな幻想的な絵が中心であった。また、フンバーデイングは、ワグナーと一緒に楽劇の創作に協力した人でもあり、このオペラでは音楽による幻想的なまた写実的な音響効果を重視した造りになっていた。

 私はこのオペラの映像は、ファスベンダーとグルベローヴァが歌ったショルテイ・ウイーンフイルの1981年のLDの名盤を持っているが、今回の新しい5.1CHサラウンド録音のDVDによって、フンバーデイングの音楽の音像効果が実に良く出ていることに初めて気がついた。このオペラでは、まるで音の中に浸っているような感覚があり、これまでのオペラの5.1チャンネル録音には得られなかった独特の5.1CH効果がみられた。最初の前奏曲や第三幕の前奏曲では、4つのホルンがかもし出す独特な幻想的な響きが印象的であったし、眠りの精や暁の精が歌い出す夢のようなファンタジックな雰囲気が音によっても強められていた。また、このオペラではテノールが歌う魔女の存在感も5.1CHの音像により高められていた。

 このオペラでは、序曲の開始からオーケストラの音が部屋一杯に拡がり、声も響きすぎるぐらいであって、残響が強い録音であると感じていたが、オペラが進行しこの響きにも馴れると、まるで舞台やオケピットにいるかのように良く聞こえた。終幕の合唱や子供達の踊りなども凄い響きであり、拍手も部屋全体に拡がって聞こえた。この劇場は狭い劇場に属するが、劇場全体が鳴り響いたような感じすら受けた。メスト・チューリヒ劇場の「魔笛」のDVDよりも5.1CH効果が明確であり、これは録音の違いばかりでなく、モーツアルトとフンバーデイングのオーケストレーションの違いを反映しているように思われた。


5、正面像の大型モニターの必要性、

 このような予想以上の5.1CHのサラウンド効果を体験して、私は自分の現行のシステムで生じてきた問題点を改善しなければと考えている。現行のハイビジョンモニターは、32インチのフラット型のブラウン管であるが、装置全体の場所の関係でこのTVを据え付ける以前からテレビ映像は正面に対して左前方で見ていた。これまでのステレオの音声の時は、映像は正面になくても余り問題であるとは思っていなかったが、今回の5.1CH化によってやはり映像は正面に据え付けなければ効果が半減することが分かった。5.1CHの場合は映像を正面で見ながら、音は部屋全体、からだ全体で聴くようなものだからである。

 5.1CH用のAVアンプを購入し、フロントスピーカーを据え付けた時点で、正面のテレビの置き台も一緒に買って据付済みなので、薄型の大型モニターを購入すれば良いだけになっている。しかし、これまでテレビは37Vの液晶型が良いと考えてきたが、地上デジタル放送が始まってから、チューナー分離型のテレビが出てきたり、同じ値段で性能が高まったプラズマ型の42Vが出始めて、機種選定に迷いが生じてきた。一度購入したら、買い換えが出来ない大型システムなので、目下、どれがよいか慎重に検討している状況にある。

(以上)(04/04/27)



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