
今年のベルリンフィルハーモニー管弦楽団の日本講演は以下のような日程で行われました。
オペラ
2000年11月23日(木・祝)
11月27日(月)
12月1日(金)
オーケストラ
2000年11月25日(土) プログラムA サントリーホール
11月26日(日) プログラムC サントリーホール
11月29日(水) プログラムB 東京文化会館
11月30日(木) プログラムC 横浜みなとみらいホール
12月3日(日) プログラムB ザ・シンフォニーホール
12月5日(月) プログラムA フェスティバルホール
プログラムA 指揮:クラウディオ・アバド
ベートーベン:
「エグモント」 Op.84 序曲
ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.15
交響曲第7番イ長調 Op.92
プログラムB 指揮:クラウディオ・アバド
ベートーベン:
ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
交響曲第6番ヘ長調 Op.68「田園」
プログラムC 指揮:マリス・ヤンソンス
ウェーバー:
歌劇「オベロン」序曲
ショスタコーヴィチ:
ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 Op.99
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
ドヴォルザーク:
交響曲第8番ト長調Op.88
その他
ホルン8重奏「ベルリンフィル・ハーモニー8人のホルン奏者たち」
2000年11月28日(火)
プログラム
ロッシーニ:狩りのファンファーレ
G.ガブリエリ/レイノルズ:第1旋法によるカンツォーナ・ペル・ソナール
シャイト/レイノルズ:過ぎ去りし古き年 第1集
シュターミッツ:エコーズ 2、6、3、8番
A.チェレプニン:4重奏曲
〜休憩〜
ロ・プレスティ:8つのホルンのための組曲
ワーグナー/クリエール:ラインの黄金ファンタジー
ベルリオーズ/ロビンソン:ローマの謝肉祭 序曲
感想
11月26日 オーケストラ、プログラムC
待ちに待ったベルリンの演奏会。はやる気持ちを抑えつつ、席についた。この日のお目当てはベルリンフィル・ソロホルン奏者:シュテファン・ドール。以前テレビで見たシューマンの4本のホルンのためのコンチェルトシュトゥックの熱演が忘れられず、生で聴けることのうれしさに浸っていたが・・・。最初に現れたトップはドールではなかった。この日のトップはがっちりとした体つきの知らない人だった(遠くから見ていたので誰だかわからなかった、まさかバボラクがベルリンの演奏会に出るなんて思ってもいなかったし)。3rd:ヴァレンドルフ、4th:クリアはすぐにわかった。長年ベルリンフィルのホルンを支えてきた人たちだもの。それにしても、「オベロン」序曲のホルンソロはすばらしかった。あれほど艶やかなホルンの音色は忘れられないと思う。あれだけビブラートをかけて、かつオーケストラにうまく溶け込んでいて、絶妙のバランスを保っていたと思う。今思うと、ああいったことができるのはバボラクくらいだろう。ドボ8はさすがベルリンフィルと思わせる仕上がりだった。情熱のこもった、でも熱くなり過ぎず、くどいとは感じさせない。初日にして興奮が収まらなかった。これから、ホルンアンサンブルとオペラを聴けると思うと、本当に幸運だったと思う。
11月28日 ベルリン・フィルハーモニー8人のホルン奏者たち
以前CD化されたベルリンフィルのホルン4重奏を聴いて以来、いつかはなまで、と思っていたのがやっと実現。しかし、すでにザイフェルトは退団していたのは残念。今日もバボラクが出るということはすでに情報を入手していて、ソロホルン奏者のドールとバボラクがどのように掛け合っていくのか楽しみにしていた。客席に入ると、譜面台がステージ上に4本、客席通路に4本置かれていた。演奏会が始まり、ステージ裏から、狩りのファンファーレが聞こえてくる。それに呼応して、客席側のドアの向こうからファンファーレが聴こえてきた。それを合図にステージにバボラク、マックウィリアム、ヴァレンドルフ、クリアが登場。客席側のファンファーレを受けて、ステージでバボラクたちが吹く。さらに、客席側通路にドール、シュレッケンベルガー、イェツィルスキ、グレーベルが登場し、ベルリンフィルのホルン8人による演奏会が幕を開けた。この演奏会は演奏する場所はステージだけでなく、客席、ステージ裏とホール全体を使った演出がいたるところにあり、ライブならではの聴き応えのある演奏会だった。ベルリンフィルの面々を間近で見ることができたが、ドールをはじめみんなが楽しそうに吹いていたのが印象的だった。ドールがHighAを当てたときはみんなで称えていたし、常にアイコンタクトをしながらすばらしい演奏を聞かせてくれた。バボラクの透き通った音色、マックウィリアムの的確な奏法、シュレッケンベルガー、クリアの見事な低音。そして、流暢なヴァレンドルフの日本語による解説。どれをとっても楽しい演奏会だった。アンコールはブラームスの子守唄だったが、一人また一人とステージを降りていく。それと一緒に照明も少しずつ落とされ、夢のようなひと時がとうとう終わってしまうのかといった名残惜しさをいっそう引き立てていた。今回大活躍のバボラクもドールに目で合図をし、ステージ上にドール(1st)、マックウィリアム(8th)を残し去っていった。マックウィリアムも去り、暗くなったステージ上でドールが残りのソロを吹き、遠くのほう(ステージ裏)から先に去ったバボラクたちが静かにドールの伴奏をし、ソロを吹き終わるとステージ、客席ともに真っ暗になり、ドールもステージを去っていってしまった。憎いくらいの演出に涙が出そうだったお客さんも少なくないはず。
いまだにあのときのことを思い出すと熱く語りたくなるくらい興奮も冷めません。実際、感想を書こうと思ってもやはりあの場にいないとこの感動は伝わりにくいと思わざるをえません。本当に幸せなひと時でした。