**** Geoffrey Rush ****

  ★☆ フリーダ・FRIDA (2002) ☆★

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  〜〜 つかの間、暗殺者の手をすり抜け、フリーダの愛の炎に包まれたトロツキー 〜〜
                   『何年振りだろう。命の喜びを味わうのは・・・』  by Rag 〜〜


   燃えていく、燃えていく・・・フリーダの亡骸がベッドに横たわったまま・・・青い炎に包まれていく・・・・
  でも、フリーダの顔は,幸せに満ちて、微笑んで・・・・・・・   

  「お願い、私が死んだら、燃いて・・。埋めないで。もう、寝るのはたくさん・・・焼いて。」
  “死”という翼を得て、フリーダの魂はスクリーンから舞い上がり、人々の胸にその金色の炎を宿らせ、再び高く舞い上がる。

  時さえ、残酷にも、フリーダを痛みから解放しなかった。
  30回以上もの度重なる手術は、身体を回復させるどころか苦痛をさらに増し、
  涙を砂漠のように枯らせ・・・・・。    
  しかしフリーダは耐えた。愛しているから、絵を、ディエゴを、家族を、メキシコを。
  フリーダは振り返らない。あまりに痛く苦痛に満ちているから。
  彼女は陽気に笑い飛ばす。あまりに痛く、苦痛に満ちているから。

  最愛の夫、ディエゴも、残酷だった。「私の人生には、事故がふたつ・・・。バスと、あなたよ。あなたは、最悪だわ。」
  フリーダの、翼は、双方とも折れた。彼女にはもう飛ぶ翼がなかった。足さえ、自由にならない。

  そんなフリーダを、トロツキーは愛した。短い、一瞬の流れ星の瞬きのような、喜びだったのに・・・・。
  トロツキーの瞳には、フリーダの翼が見えた。「君の絵の、そこが好きだ。誰でも孤独と苦痛に耐えていると。」
  フリーダの心奥の涙にふれて、トロツキーの背にも、翼が生えた。
  フリーダと共に過ごした短い一時、死に神のような暗殺者の銃声を忘れ、革命と亡命の重圧から解放され、
  明日をも知れぬ、その不気味な黒い風にゆらぐ命の炎を、フリーダに捧げた。
  しかし・・・無情な暗殺者の斧が振り下ろされ・・・・。命の瞬きは、余りに突然、吹き消された。

  ディエゴは、翼を再び無くし飛べなくなったフリーダに、またも深い傷を負わせて去っていく・・・。

  ある日、やっと戻ってきた・・・・愛に気づくのが遅すぎたディエゴ。
  枯れた涙の痕が深く刻まれたフリーダの、バラバラになった翼が、蘇った、かのように見えた・・・。

  でも、彼女は、燃えてしまうんだよ・・・・・・。

  「出口が喜びに満ちているといい・・・。私は、戻りたくない・・・・。」

    〜 炎が上がった夜 燃えるベッドは浮き上がり そして彼女は自由に飛んだ
      花火の所に来てみてごらん 黒い髪の女が微笑んでいるね 彼女は燃えてしまうんだよ
      この家を燃やそう 青く燃やそう 心臓がむなしく脈打つ あなたなしではこんなに空っぽ・・・ 〜
                                      〜 サントラ BURN IT BLUE より抜粋〜


Frida*********************************************Frida
監督:ジュリー・テイモア
フリーダ・カーロ : サルマ・ハエック
   ディエゴ・リベーラ: アルフレッド・モリーナ
  レオン・トロツキー: ジェフリー・ラッシュ
  ティナ      : アシュレイ・ジャッド
  ロックフェラー  : エドワード・ノートン

Frida~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~Frida

  監督ジュリー・テイモアは、とてつもなく、優れた女流演出家です。
  「ライオンキング」などを手がけ、舞台演出家としても活躍する彼女の見事な感性は、
  細部にわたって美しく画期的な手法で練り上げられ、
  女性ならではの、優しく、深く、慈愛に満ちた眼差しで激しくも残酷なフリーダの生涯を描き切ります。
  フリーダの魂で、ディエゴを愛し、ディエゴを憎み、ディエゴを求め・・・・。
  フリーダの眼差しで、トロツキーを見つめ、トロツキーに身をゆだね・・・・。
  フリーダの身体で、何人かの女性を愛し、関係を持ち・・・・。

  女は、時には、実は男より、遙かに強くいさぎよい。
  本能です。考えて行動するのではなく、「今この時」となって、瞬時に身を決めねばならないとき、
  もう、迷わないのです。
  フリーダの「いさぎよさ」も、男性監督ではなく、ジュリーだからこそ、ここまで描き切れたのではないか、と思います。
  トロツキー夫妻が、寝ている寝室で機関銃で襲われた時、
  ベッドから転がり落ち、相方を守ったのは、レオンではなく、妻のナタリアでした。
  浴びせられる銃弾から守ろうと、愛する人に覆い被さった妻の肩越しに、恐れに身を固くしたレオンの顔をカメラが捉えます。
  ジェフリー・ラッシュの、円熟した演技が光る一瞬でした。
  容赦なく浴びせられる銃弾の恐怖に怯え、緊張した眼差しの中に、危機一髪で死を回避できた安堵の息づかいが聞こえてきます。
  このシーンでも、スクリーンを見守る女性達は、監督が妻の立場で演出しているのを心奥で感じたことでしょう。
  ジュリー・テイモア監督の、慈愛の眼差しと、母性に溢れたその鋭い感性が、
  切ないほど深く美しく、時には涙の絵の具で彩られ、「FRIDA」というキャンパスに塗り込められています。
  太っていて決して美男ではない、フリーダの夫、アルフレッド・モリーナ演じるディエゴをも、
  ジュリー監督=フリーダ=サルマの、愛に満ちた眼差しを通し、身勝手で才能に溢れて、
  尚かつセクシーで魅力ある男性として、見事に描かれています。

  素晴らしい俳優達と最高のスタッフに恵まれ、「サルマ・ハエックのFrida」は、忘れられない珠玉の名作となりました。

  この作品は言うまでもなく、メキシコに実在した女流画家フリーダ・カーロの実際の人生をつづった伝記的映画です。
  彼女、及び主演のサルマに関しては、他の多くのHPなどで今までにも取り上げられていますので、敢えて省略しました。
  また、映画はジェフリー扮するトロツキーの出演シーンは短く、殆どは夫ディエゴとフリーダの愛の物語ですが、
  ここはジェフリー・ラッシュを紹介するサイトなので、ディエゴよりトロツキーの扱いの方が重くなってしまうことを
  ご理解いただけましたら幸いです。

  尚サルマはこの役で2003年度のアカデミー主演女優賞にノミネートされました。
  全編に激しく美しく、切なく漂う、音楽もこの作品をくっきりとメロディーによって描き上げ、
  アカデミー最優秀作曲賞、ゴールデングローブ音楽賞をダブル受賞の栄誉に輝きました。

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