シェバーリン


ロシアの民謡主題によるシンフォニエッタ

○ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(OLYMPIA)1954・CD

モノラル。戦後の作品だがもろ社会主義リアリズムといった感じで、20年前の作品より更に50年溯ったような
古臭さがある。この曲に対しては依然「ロシア国民楽派」という称号が相応しい。それを念頭に置いた上で、尚結
構楽しんで聞くことができる。ガウクはちょっと野暮ったいが力感はあり聞きごたえは十分。ロシア民謡を使用し
ているとはいえロシア流儀の田舎臭さは少ない。民謡の使い方としては寧ろヴォーン・ウィリアムズあたりに近い。
ヴォーン・ウィリアムズの民謡編曲は卑俗な主題と華麗なオーケストレーションというミスマッチの妙が一つの特
徴となっているが、この曲もそのケがある。旋法的な旋律廻しも似ている。ソヴィエトのシンフォニエッタといえ
ばミャスコフスキーの名作が思い浮かぶが、あの曲の描く暗い幻想とはまた違った明るい美感を持つ作品とは言え
るだろう。迷ったが○としておく。



ヴァイオリンと管弦楽のためのコンチェルティーノOP.14-1

○シュルギン(Vn)プロヴァトロフ指揮ソヴィエト国立交響楽団アンサンブル(OLYMPIA)1978・CD

10分強の小規模な作品だが30年代の流行りの音楽をよく伝える楽曲である。モダニズムふうの無調的パッセージ
がもろプロコフィエフの作品のように響いて耳馴染みが良い。ソヴィエトにありがちな曲といえばそうだが2楽章の
古風で旋法的な音楽の魅力はどうだろう。私はこれを聴いていて寧ろヴォーン・ウィリアムズの澄み切った感傷的な
音楽を想起してしまった。この時期のシェバーリンはけっこうフランス音楽やバロック以前の音楽に影響を受けてい
たようで、ソヴィエト音楽としてはちょっと不思議な肌触りがする。プロコフィエフやカバレフスキーに近いことは
近いものの、あからさまな表現を避けており、民謡旋律も決して前面に立って主張することはない。このラルゴ楽章
はシェバーリンの白眉たるもの、一聴の価値がおおいに有ります。バッハからイベールまで取り込んだ長い長い旋律
に、伴奏はひたすら後打ちで感傷的なハーモニーを重ねる。最初から最後までえんえんとソロ・ヴァイオリンが歌う
だけの楽章、最後にちょっとチェロ・ソロが絡みますが、ほとんどそれだけの単純な構造がまた泣かせる。3楽章は
ふたたびラプソディックで激しい音楽になるが、短い。ちょっと最後が物足りない気もするが、きっぱりとしていて
潔い。簡潔な楽曲に○ひとつ。ソロは微妙に不安定になるところもあるがおおむねソフトな音色で聞かせます。



ホルンと管弦楽のためのコンチェルティーノOP.14-2

○ボリス・アファナシエフ(HRN)アノーソフ指揮ソヴィエト国立放送交響楽団アンサンブル(OLYMPIA)1962・CD

ヴァイオリン小協奏曲に比べればいくぶん落ちるような感もあるが、ソヴィエトには珍しいホルン協奏曲であり、
ロシア独特のホルンの音色を楽しむ事が出来る。といっても12分16秒の短い曲、ホルン自体音域が低くイマイチ
オケに埋没してしまうというか地味感があって記憶に残りにくいところがある。作風はやはりプロコフィエフ風
で、新古典主義の色に染め抜かれた作品といえよう。アノーソフはどこか野暮ったい指揮者だがここではまあま
あ。オケは巧い。迷ったが○としておきます。