トライパス D級アンプ

またの名を "音波少年 Tezukuri in The World"

こんなパクリが許されるのか心配になるような副題を付けたのは、このアンプが非常に小型で携帯に便利なことと、電源電圧が100V〜240Vに対応するワールド仕様だからです。さらに見かけによらない性能を秘めているので、ちょいと外国人どもを驚かせてやりたいという気持ちもこもっています。でも顔つきはスターウォーズのC3POを連想させてユーモラスです。

 

愛用のスーツケースに乗せてみました。

 

パスポート・サイズ?……ちょっと大きめです。

 

内部はこのようになっています。下の黒い直方体がDC12V0.9Aのスイッチング電源で、中央のトロイダルのチョークと4700μFx2のケミコンで電源のスイッチング・ノイズを除去するフィルターとしています。上方にはアンプのICと周辺部品を載せた基板を押し込んでいます。右のフロントパネルにはライン入力のRCAコネクタ、ボリューム、電源インジケータLEDを取り付け、左のリアパネルにはスピーカ出力端子、電源スイッチ、AC電源の引き込みを設けました。真空管アンプ用のボリュームとスピーカ端子は間伸びして見えます。

 

ICとその周辺です。ICはTriPath社のTA2020で、ラジオ技術誌で概略が紹介されましたが、同社のホームページで詳細なデータを参照することができます。基本的にはカーステレオやPCのハイエンド・サウンド・カードを主たる用途としていて、ICひとつでステレオアンプを組むことができます。ICメーカ各社が出している同様なICと異なるのは、一般的な増幅回路を持たず、スピーカの駆動がすべてディジタル化されていることです。

入力信号レベルをディジタル回路でパルス幅に変換し、MOSスイッチをオン・オフしてスピーカを駆動するパワーを得ています。詳細は明らかにされていませんが、パルス幅をわざとランダムに変化させて、ディジタル処理に起因する量子化ノイズの影響を排除していると推測されます。これによって従来のスイッチング方式の通称D級アンプよりも高精度のパルス幅を得ているようです。MOSスイッチはブリッジ構成で、いわゆるBTLの接続になりますので、低い電源電圧でも大出力が得られrます。このアンプでは12Vの電圧ですが、8Ω負荷に約5Wの出力が得られます。

このICは消費電力が非常に少ないので特別に放熱を図る必要はありませんが、固定を兼ねて3ミリ厚のアルミチャンネルを介してケースにねじ止めしていますので、かなり冷却されるようです。この結果、通常の使用状態ではICの温度上昇はほとんどありません。

 

基板の部品面はこのようになっています。この基板は某スピーカ販売店でICとセット販売しているものですが、基板上の部品を自分で調達したためか穴位置が合わないなどの問題があって、本来の実装とは少し違っています。基板上の小型トロイダル・コイルはスイッチングノイズをスピーカに出さないためのLCフィルタを構成します。

 

このアンプでは内部のスイッチングに対応する高周波ノイズがスピーカ端子に少量ですが漏れ出てきます。筆者が持っている歪率計はごく普通のもので、基本波を除去した残りの成分を計測する機能しか持ちません。従ってスイッチング・ノイズを高調波として計測してしまいますので、正確に歪率を測定することができません。聴感ではかなり低歪のようですが数値的な把握ができていません。

聴感評価は主観的になって、インターネットで不特定多数の方に流布することには疑問を感じます。そのため筆者のページではアンプの音質のことを原則として記述していないのですが、このアンプは例外として聴感に触れたくなるような特徴があります。高音域に透明感があって、シンバルやトライアングルなどの金属音が澄み切った感じで、一枚ベールをはいだようなクリアさが感じられます。その影響か、全体に明るく爽やかな音が持ち味になっています。しかし、スイッチング・ノイズ除去のLCフィルタの影響でこのような音になっている可能性があって、このICの特徴とは言いきれません。また原音に忠実かどうかもよくわかりません。でも、こういうアンプを1台持っていてもいいなと思わせるものはあります。

 

最大出力 5W @8Ω
ケースサイズ 90W x 120D x 50H (mm)
電源 AC100〜240V
周波数特性  
ゲイン  
ダンピングファクタ  
残留雑音 (無補正)  

回路図(ボード除く)

ボード回路はICのマニュアル(PDF)にて

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