Composer of 'C'



ジャック・カステレード Jacques Castérède (1926 - )

フランスの作曲家,教育者。1926年4月10日,パリ生まれ。ビュフォン校(lycée Buffon)で学んだのち,1944年に国立パリ高等音楽学校へ進学。アルマン・フェルテにピアノ,トニー・オーバンに作曲法,オリヴィエ・メシアンにアナリーゼを師事し,1948年から1953年に掛けて,ピアノ科,室内楽科,解釈法(アナリーゼ),和声法,作曲法の5部門で一等を得た。1953年に『パンドラの箱(La boîte de Pandore)』でローマ大賞を獲得し,翌年から1958年までローマに留学。帰国後,1960年からパリ高等音楽学校でソルフェージュ科の教授となる。その後1966年に練習指導科教員(Conseilleur aux Etudes),1971年にはアナリーゼ科の教授も務め,1983年から1988年まではエコール・ノルマルで作曲法の教鞭も執り,1988年から1997年には同校高等科でアナリーゼの指導にもあたった。1988年には中国政府の要請を受けて,北京中央アカデミーでも作曲法科の教員に就任。1998年に辞令が更新され,現在もその職にある。作曲家としても受賞歴豊富。1991年に自作品がパリ市民賞,1995年にはシャルル・クロ大賞,レコード・アカデミー賞を受賞している。


主要作品

歌劇 ・室内歌劇【奇蹟の宮殿】 la cour des miracles (1954) {sop, msp, alto, btn, orch}
・オラトリオ【ヨブの本】 le livre de Job (1958) {recit, tnr, btn, bss, choir, orch}
・バレエ【バスケットボール】 basket ball (1959) {hrp, p, perc, orch}
・バレエ【ゴール】 but (1959)
管弦楽曲 ・弦楽交響曲第1番 1ère symphonie pour cordes (1952)
・夜に構わぬは愚か者 la folle nuit de n' importe où (1955) {orch, clvcn, hrp, perc}
・大いなる畏れ la grande peur (1955) {martenot, 2p, child-choir, sop, fl, orch}
・5つの交響的舞曲 cinq danses symphoniques (1956) {orch, p, hrp}
・ポーの怪奇小説の音楽 musique pour un conte d' Edgar Poe (1957) {hrp, clsta, xylo, vib, p, recit, orch}
・オネゲルを偲ぶ3楽章の組曲 suite en trois mouvements à la mémoire d' Arthur Honegger (1957)
・ルーベンスの十字架降ろしの絵画 la descente de croix de Rubens (1958)
・交響組曲【アリアーヌの糸】 le fil d' Ariane (1959)
・交響曲第2番 symphonie No.2 (1960)
・前奏曲とフーガ prélude et fugue (1960) {strings}
・パンプルムース pamplemousse (1962)
・ソフィー・ドロテー Sophie-Dorothée (1962)
・春の散歩道 promenade printanière (1963)
・夏の喜遊曲 divertissement d'été (1965) {p, hrp, brass, choir, perc?}
協奏曲 ・ピアノ協奏曲第1番 concerto No. 1 pour piano et orchestre à cordes (1954) {p, strings}
・コンチェルティーノ concertino (1958) {tp, tb, p, perc, strings}
・ピアノ協奏曲第2番 concerto No.2 pour piano et orchestre (1970) {p, orch}
・ギター協奏曲 concerto pour guitare et orchestre (1973) {g, orch}
・秋の情景 trois paysages d'automne (1982) {vc, strings}
室内楽/器楽 ・間奏曲 intermezzo (1953) {ob, p}
・田園詩曲 pastorale (1953) {as, p}
・スケルツォ scherzo (1953) {as, p}
・吹奏五重奏曲 quintette (1953) {fl, ob, cl, hrn, bssn}
・トランペットとピアノのためのソナチヌ sonatine pour trompette et piano (1953) {tp, p}
・神話風の組曲 suite mythologique (1954) {3martenot, p}
・ヴァイオリン・ソナタ sonate pour violon et piano (1955) {vln, p}
・組曲形式のソナタ sonate en forme de suite (1955) {fl, p}
・クラリネット・ソナタ sonate pour clarinette et piano (1956) {cl, p}
・オーボエ・ソナタ sonate pour haubois et piano (1957) {ob, p}
・トロンボーンとピアノのためのソナチヌ sonatine pour trombone et piano (1957) {tb, p}
・前奏曲と舞曲 prélude et danse (1959) {3tb, tba, p, perc}
・協奏幻想曲 fantaisie concertante (1960) {b-tb (tba), p}
・音楽 musique (1960) {fl, vln, vla, vc, hrp}
・カプリッチョ capriccio (1961) {vln, p} ...
パリ音楽院試験課題曲
・いかさま師 fileuse (1961) {bssn, p}
・12の練習曲 douze études (1961) {fl}
・笛吹きの休日 flûtes en vacances (1962) {3fl (4fl)} ...
4本で演奏する際は即興演奏のピッコロ・フルート一本を追加。
・オンド ondes (1962) {martenot, p, perc}
・チューバとピアノのためのソナチヌ sonatine pour tuba et piano (1963) {tba, p}
・交錯 interférences (1963) {p, perc}
・地獄 ténèbres (1963) {recit, p, 3perc}
・ヴィオラ・ソナタ sonate pour alto et piano (1968) {vla, p}
・数列的合奏曲 arithmophonie (1974) {4perc}
・夜明け前 avant que l'aube ne vienne (1975) {2vln, vla, vc, p}
・4月のソナチヌ sonatine d'avril (1985) {fl, g}
・アポカリプスの3つの幻想 trois visions de l'Apocalypse (1986) {7 brass, org}
・コロによる3つの音楽的瞬間 trois moments musicaux d'après Corot (1987) {fl, cl, vln, vc, p}
・情熱的に pro tempore passionis (1988) {2vln, vla, vc}
・弦楽四重奏曲 quartettsatz (1989) {2vln, vla, vc}
・5月のソナチヌ sonatine de mai (2001) {fl, hrp}
・ピンク・フロイド礼讃 hommage aux Pink Floyd (-) {g}...
ピンク・フロイドはプログレッシブ・ロックのグループ名。
ピアノ曲 ・パッサカリアとフーガ passacaille et fugue (1953)
・舞踏組曲 suite à danser (1953) {2p (diverse inst)}
・4つの練習曲 quatre études (1957)
・変奏曲集 variations (1960) ...
パリ音楽院試験課題曲
・ダイアグラム diagrammes (1961)
・十字架の炎 feux croisés (1963) {2p}
・ピアノ・ソナタ sonata pour piano (1967)
・セロニアス・モンク礼讃 hommage à Thelonious Monk (1983)
・太陽の行程 la course du soleil (1992)
・ショパンの墓に寄せて pour un tombeau de Frédéric Chopin (1992)
歌曲 ・ポール・フォルの詩による3つの歌 trois mélodies sur des poèmes de Paul Fort (1951)
・ナポレオン戴冠式のファンファーレ trois fanfares pour des proclamations de Napoléon (1952) {recit, chamber (11brass), timp, perc}
・カンタータ【愛の痛みの歌】 la chanson du mal-aimé (1960) {recit, btn, 4f-vo, chamber}... 
G. Apollinaire詩
・室内カンタータ【世界の裏側】 cantate instrumentale 'l' autre bout du monde' (1960)
・ロベール・デスノスの4つの詩 quatre poèmes de Robert Desnos (1965) {btn, p}
・生者と死者の典礼 liturgies de la vie et de la mort (1980) {3vo, choir, strings, perc}
・(邦訳不詳) Jusqu'à mon dernier souffle (1986) {narr, choir, brass, perc}...
V. Hugo, P. Eluard詩
・詩篇第8番 psaume VIII (1987) {sop, vc, org}
・世界の創造を讃え cantique de la création (1994) {2vo, brass, strings, org, perc}
・ dans les abîmes de l'absence (1996) {btn, p}...
A. Suied詩
・我らの父よ,貴方に身を委ねます mon père je m'abandonné à toi (1997) {4vo}... C. de Foucauld詩


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★★★★
"Hommage à Thelonius Monk / Sonate / Feux Croisés" (REM : 311092 XCD)
Hervé Billaut, Geneviève Ibanez, Jacques Castérède (piano)
典雅な擬古典様式の佳品『五月のソナチヌ』が素敵すぎるカステレード。1989年に出たこのCDは,彼が1960年代に書いたピアノ曲2編に,モンクへの追悼を意図したと思われる1983年作曲の1品を加えた珍しい作品集。『十字架の炎』のみ作曲者とイバネ女史の連弾で,残る二曲がビローによる独奏です。シェーンベルク彷彿の無調風装飾音とモンク特有の和声が交錯する『モンク礼讃』は,モンクが世を去った直後の1983年に,ロン国際コンクールのために書かれたもので,本盤で弾いているビローが初演。時折,「ラウンド・ミッドナイト」と「クレパスキュール・ウィズ・ネリー」の和声進行が,クラスター和音と無調モロ出し装飾音の洪水の中で浮かんでは消える「自画像」と,ブギウギ・ピアノのリズムが前衛和音で演奏される「アポカリプス」の2曲からなるこの独奏作品を聴いた時点で,既に『5月のソナチヌ』の穏健なモダニスト像は完全に崩壊。シェーンベルキーな創作態度は続く『ソナチヌ』でも全く同じ。「い,いつかは彼も改心してくれるに違いなひ・・」。『五月のソナチヌ』の,あの無垢なスマイルをなまじ知っているがゆえ,あっしはまるで,非行に走った息子の無罪を信じる愚直な母の如く,グギョッ・ドギョヒッ・ギャーンと金切り声を上げるピアノを,茫然自失の侭,聴く羽目になりました(苦笑)。連弾になって少しは変わるかと思ったんですけど,1台でやっていたのを二台に分業したくらいで,大した違いはなし。こ憎たらしいことに,本盤に参加したピアノ弾き三名が,揃いも揃って怖ろしく腕が良いと来ている。酷評できないじゃないかっ!ビローとイバネはどちらもパリ音楽院ピアノ科一等だそうで,前者はその後ロン国際で優勝,後者はマリア・カナルス入賞ののち,ブローニュ・ビアンクル音楽院教授になったとか。勿体ない・・特にビロさん!お前だよ!そんだけスゲー腕なのに,なんでもっと録音してくれないんだよ!こんなゲテものばっか録れやがって,うっき〜!というわけで,せっかくの珍しいカステレード作品集は,前衛好きな貴方にのみ推薦です。残念でした。

★★★★☆
"Valse Romantique / Bruyères..(Debussy) Suite en Duo (Cras) Les Cygnes / Les Ecureuils (Büsser) Duo Concertant (Lancen) Pièce en Forme de Habanera / Pavane (Ravel) Sonatine de Mai (Casterede)" (Quantum : QM 7012)
Duo Thaïs : Florence Bellon (fl) Caroline Rempp (hrp)
デュオ・タイスはパリ高等音楽校の各楽器部門で1980年代始めに一等を得た才媛2人によって結成された二重奏団。フルートはマリオンの,ハープはジャクリーヌ・ボローの弟子と毛並みが好く,解釈はともかく演奏技術は闊達です。「瞑想曲」でお馴染みマスネーからいただいたコンビ名を見ても,穏健なモダニストを救済しようとの目論見は明らか。このCDはそんな両者の嗜好が良く出た近代秘曲集。客寄せパンダ的色彩の濃いドビュッシーとラヴェルの編曲ものを除くと,クラ,ビュセール,カステレードにランセンと,キラ星の如くマイナー作家が並べられています。出色は滅多に録音をお見かけしないカステレードの「五月のソナチヌ」。奏者の2人のために書き下ろされた新曲だとか。ダマーズ,ベルトミューやボザと同じく20世紀の作曲家である彼は,ロパルツ,フレム,ヴィユマンら「穏健なモダニスト」の第2世代にあたります。果たして作風はお仲間と同じく,近代和声法の影響をさりげなくとり入れた優美なロマン派音楽。いずれも3分前後の小品なんですが,簡にして要を得た穏健な書法は大変瀟洒にまとまっていて,ローマ大賞受賞も頷ける素晴らしい健筆であると思います。音楽史上では重要じゃないかも知れませんけれど,我々が聴くのは講義ではなく,音楽なのだから!こういう音楽らしい音楽を書ける人こそ,ぜひ評価されて欲しいものです。(追記:カステレードの作風は日和見的で,無調風などもある模様です。他盤をご購入の際はご注意を

(2005. 11. 29)