Dの作曲家



マルセル・デュプレ Marcel Dupré (1886-1971)

フランスの作曲家。1886年5月3日,ルーアン生まれ。父にオルガン奏者アルベール・デュプレ,母にチェロ奏者のマリー=アリス・ショヴィエールを持つ音楽的な家庭で育つ。1888年からオルガンをアレクサンドル・ギルマンに師事し,1902年にパリ音楽院へ進学。ピアノ科(1905年),オルガンと即興演奏科(1907年),さらにフーガ(1909年)の一等賞を得た。1906年にウィドールから指名されて聖シュルピス聖堂の準オルガニストとなり,1934年には彼の後を継いで正オルガニストとなる。二度の挑戦の後,1914年に『プシュケ(psyché)』でローマ大賞を獲得。1920年代から10年間を費やし,バッハの全オルガン作品のリサイタルを敢行して世界的に知られるようになった。1926年ウジュヌ・ジグの跡を継いでパリ音楽院オルガン科の教授,次いで1954年から1956年まで院長も務め,1934年から世を去るまで,聖シュルピス聖堂のオルガニストも務めた。教育者としても優れ,弟子にはアランやメシアンがいる。1971年5月30日ムドン(Meudon)の自宅にて死去。


主要作品 ※Dupre, M; Kneeream, R.(trans) Recollections. Belwin-Mills Publishing.入手。作品表更新予定但空時間次第。

歌劇/交唱曲 ・プシケ psyché (1914)
・深淵 de profondis (1917) {vo, choir, org, orch}
・フランスの受難 la France au calvaire (1952-1953)
管弦楽曲 ・友を亡くして a l' amie perdue (1911)
協奏曲 ・幻想曲 fantaisie (1912) {p, orch}
・付曲と連祷 cortège et litanie (1921) {org, orch}
・交響曲 symphonie (1928) {org, orch}
・協奏曲 concerto (1934) {org, orch}
器楽/室内楽 ・ヴァイオリン・ソナタ sonate pour violon et piano (1909) {vln, p}
・3つの小品 trois pièces (1916) {vc, p}
・6つの前奏曲 six préludes (1916) {p}
・4つの小品 quatre pièces (1921) {p}
・変奏曲 variations (1924) {p}
・バラード ballade (1932) {org, p}
・英雄的な詩曲 poème héroïque (1936) {brass, org}
・2つの主題による変奏曲 variations sur deux thèmes (1938) {org, p}
・シンフォニア sinfonia (1946) {org, p}
・ハーモニウムのための8つの短い前奏曲 eight short preludes (1947) {hmnium}
・四重奏曲 quatuor (1952) {vln, vla, vc, org}
・三重奏曲 trio (1955) {vln, vc, org}
・ソナタ sonate (1960) {vc, org}
オルガン曲 ・3つの前奏曲とフーガ trois préludes et fugues (1912)
・スケルツォ scherzo (1918)
・15の唱句 15 versets pour la vêspres du commun des fêtes de la Saint Vierge (1920)
・美しきクリスマスの変奏曲 variations sur un vieux Noël (1922)
・ブルターニュ組曲 suite Bretonne (1922)
・受難の交響曲 symphonie-passion (1924)
・悲曲 lamento (1926)
・交響曲 symphonie (1929)
・7つの小品 sept pièces (1931)
・79のコーラル 79 chorals (1931)
・信仰の道 le chemin de la croix (1931)
・3つのエレバシオン trois élévations (1935)
・お告げの祈り angélus (1936)
・3つの前奏曲とフーガ trois préludes et fugues (1938)
・招魂 évocation (1941)
・ティトルーズの墓 le tombeau de Titelouze (1943)
・組曲 suite (1944)
・汚れなき捧げもの offrande à la vierge (1944)
・2つの素描 deux esquisses (1946)
・「テ・デウム」のパラフレーズ paraphrase 'Te Deum' (1946)
・展望 vision (1947)
・ミゼレーレ・メイ miseréré Mei (1948)
・詩編 psalm xviii (1950)
・3部作 tryptyque (1951)
・6つのアンティエンヌ six antiennes pour le temps de noël (1952)
・ニンファエウム les nymphéas (1954)
・24のインヴェンション 24 inventions (1956)
・受胎告知 l'annonciation (1956)
・コラールとフーガ chorale et fugue (1957)
・3つの讃歌 trois hymnes (1958)
・2つのコーラル deux chorals (1959)
・入場,瞑想と退出 entrée, méditation sortie (1962)
・4つのモーダルなフーガ quatre modal fugues (1963)
・2つのアンティエンヌ deux antiennes (1964)
・聖ウアン聖堂のステンドグラス le vitrail de St.Ouen (1965)
・イン・メモリアム in memoriam (1965)
・紡ぎ手 la fileuse (-)
・瞑想 méditation (1966)
・天の女王 regina coeli (1969)
歌曲/合唱曲 ・2つの歌曲 deux mélodies (1913) {f-vo, p}
・4つのモテット quatre motets (1916) {sop, alt, tnr, btn}
・アヴェ・ヴェルム ave verum (1936) {sop, alt, tnr, btn, org}
・2人姉妹 les deux soeurs (-) {vo, p}
・侯爵 marquise (-) {btn, p}
・夜の薔薇 rose dans la nuit (-) {vo, p}
・雨の中を sous la pluie () {vo, p}

※慶氏,シュウシュウ女史より誤訳をご教示頂きました(2003.1.13)。


デュプレを聴く


★★★★☆
"Symphony in G minor (M. Dupré) : Organ Concerto No.1 in F (J. Rheinberger)" (Telarc : CD-80136)
Michael Murray (org) Jahja Ling (cond) Royal Philharmonic Orchestra

フランス・オルガン界にその名を遺したマルセル・デュプレは,オルガン単独の作品集についてはかなりの録音がありますが,それ以外となると極端に録音が不足しているようです。そんな彼の珍しい管弦楽作品を発見し欣喜雀躍。しかもテラーク盤でオルガンがマイケル・マレイとなれば,嫌が応にも思い出すのはあのジョンゲン『協奏的交響曲』。大いに期待しつつ購入しましたが,果たしてこれは大当たり。初期作品(作品25)で大規模な管弦楽付帯作ということで,本人も本気で臨んだのでしょう。彼の欠点である六人組的キッチュさは微塵もなし。重厚な新古典的様式美,絢爛豪華な和声感覚ともにデュプレの頂点をなす仕上がり。マイケル・マレイの素晴らしいオルガンも絶品です。名曲名盤万歳!(ラインベルガーのほうは,ドイツ物で印象主義度はほぼ皆無です)。

★★★★
"Works for Organ vol. 9 : Quartet / Trio / Sonata / Chorales" (Naxos : 8.554378)
Bruce Neswick (org) Timothy Durbin (vln) Jennifer Rende (vla) Clyde Beavers (vc)
マレイ/デ・ワールト盤の素晴らしいオルガン協奏曲で,熟達した管弦楽手法を遺憾なく見せつけたフランスの名匠デュプレ。ナクソスが大量に出している彼のオルガン曲集中に,器楽奏者を迎えた作品集を発見,欣喜雀躍早速購入しました。当然,ジョンゲン彷彿の和声感覚を期待したのですが,意に反してこのCDで聴ける彼のオルガン作品は強い旋法性と,どこまでも所在なげな無調風の和声進行が織りなすアヤシイ空気横溢。タイプとしては,荘厳なのにどこか大戦へと向かう世相の不穏な空気を感じさせたジャン・アランのオルガン作品を想像していただくと良いでしょうか。曲によっては彼一流の神秘的な曲想に溜飲が下がるのですが,個人的にはちょっと掴み所がなくて敬遠気味です。ラングレ,アランを既にご存じで,彼らがとりわけ好きな方にのみお薦めします。

★★★☆
"Organ Music :
Prelude and Fugues / Esquisses / Placere Christe Servulis / Choral et Fugue / Te Lucis Ante Terminum / Variations sur un Vieux Nöel" (Hyperion : CDA 66205)

John Scott (org)
ウィドールの弟子で,彼の後を継いで聖シュルピス聖堂のオルガニストを務め,名オルガン教師として数多くの弟子を輩出したマルセル・デュプレのオルガン曲集です。当たり前といえば当たり前ですが全体に多調による対位法様式を基調とした書法で,やはりバッハの影響が強いのでしょう。同じフランスのヴィエルヌやトゥルヌミールより構築的で色彩感に富み,その意味では(初期の『序奏とフーガ』など)ジョンゲンなどに近いと思います。ただ,フランスものらしく6人組的なコミカルさ,おどろおどろしさも大。出来不出来のムラがあります。オルガンのジョン・スコットはイギリスを中心に活躍中だそうで,或いはジョンゲンのオルガン曲集を録音したジョン・スコット・ホワイトリーと同一人物か。同盤を実家へ島流しにしてしまった今となっては洋として知れません。

(2001. 7. 15)