Dの作曲家



ルイ・デュレ Louis Durey (1888-1979)

1888年5月27日,パリ生まれ。本名ルイ・エドモン・デュレ(Louis Edmond Durey)。幼少期,頑なにピアノの練習を拒んだため,正規の音楽教育はほとんど受けぬまま音楽とは関わりなく過ごし,1908年に20才で商学(Hautes Etudes Commerciales)の学位を得たが,この頃ドビュッシーの【ペレアスとメリザンド】を聴いて感銘を受け,音楽への道を志す。パリのスコラ・カントールムで聖ジェルヴェ聖歌隊を指揮していたレオン・サン・リキエ(Léon Saint Riquier)に音楽教育を受け,また彼を通じてシャルル・ボルドと邂逅。その弟子となる。彼の影響で合唱曲へ傾倒。1916年からオネゲル,プーランク,ミヨーらとともに六人組の一員となり1921年に,サン・トロペに移住するまで同組の一員として活躍した(『エッフェル塔』に彼の参加がないのもこのため)。その後1936年にパリへ帰郷。フランス大衆音楽家連盟(Fédération musicals populaire)を通じて社会主義レジスタンス運動に身を投じ,フランス古典民謡の合唱配置などの活動を行うとともに,1950年からセ・ソワール誌やユマニテ(L'humanité:共産党機関誌)上で批評家としても健筆をふるった。1956年に仏大衆音楽家連盟長。1961年にSASEM賞。6人組中では最年長であったが,エキセントリックなところのない作風のためか,知名度には恵まれないままである。1979年7月3日サン・トロペにて死去。


主要作品

舞台作品 ・ユーディット Judith, op.12 (1918) {1act} ...G. GallimardおよびP. Lanux 台本(F. Hebbelによる)
・喜劇【機会】 l'occasion, op. 34 (1923/1925) {1act}...
P. Merimée原案
・付帯音楽【侵入者】 l'intruse, op. 44 (1933) ...
Maeterlinck原案
・ラジオ放送のための【夫人の家庭】 feu la mère de madame, op. 49 (1945) ...
G. Feydeau台本
・付帯音楽【朝鮮農夫の歌】 chant des partisans coréens, op. 72 (1952) ...
R. Vaillant台本
映画音楽 ・オラドゥール oradour, op.48 (1944) ...P. Ceria監督
・人生の戦い la bataille de la vie, op.58 (1949) ...
L. Daquin監督。S.Niggと共作
・遠洋漁業 grande pêche, op.76 (1954) ...
H. Fabiani監督
・呉越同舟 des hommes comme les autres, op.77 (1955) ...
H. Fabiani, R. Vogel監督
管弦楽曲 ・田園詩曲 pastorale, op.27 (1920)
・イルドフランス Ile de France, op.78 (1954-1955)
・小交響曲 sinfonietta, op.105 (1965-1966) {strings}
協奏曲 ・幻想協奏曲 fantaisie concertante, op.53 (1947) {vc, orch}
・小協奏曲 concertino (1956-1957) {p, piccolo, 2fl, 2ob, 2cl, 2bssn, ctr-bssn, 2tp, 2hrn, tb, tba, b, timp}
・交響的楽章 mouvement symphonique, op.97 (1964) {p, strings}
・消せぬ思い obsession, op.108 (1968) {winds, hrp, orch}
室内楽曲 ・ ピアノ三重奏曲 trio avec piano, op.6 (1916-1917) {p, vln, vc} ...紛失
・弦楽四重奏曲第1番 quatuor à cordes No.1, op.10 (1917) {2vln, vla, vc}
・小品 pièce, op.18 (1919) {2ob, e-hrn, bssn} ...作曲者により破棄
・弦楽四重奏曲第2番 quatuor à cordes No.2, op.19 (1919-1922) {2vln, vla, vc}
・二重奏のためのインヴェンション集 inventions, op.35 (1924-1927) {vln, vc (vln, vla)}
・ソナチヌ sonatine, op. 25, 103 (1920-1925/1965) {fl, p /fl, strings}
・弦楽四重奏曲第3番 quatuor à cordes No.3, op.39 (1927-1928) {2vln, vla, vc}
・バルトークを偲んで trio-sérénade 'à la mémoire de Béla Bartók', op.79 (1955) {vln, vla, vc}
・ヴァルフェールの夕べ les soirées de Valfère, op.96 (1963) {fl, cl, ob, hrn, bssn}
・交響八重奏曲 octophonies, op.106 (1965) {3vln, 2vla, 2vc, b/strings}
・喜遊曲 divertissement, op.107 (1967) {ob, cl, bssn}
・ニコリオスとフルート Nicolios et la flûte, op.111 (1968) {fl, hrp}
・間奏曲 interlude, op.112 (1973) {4tp, 4hrn, tba, timp}
・2つの対話 deux dialogues, op.114 (1974) {fl}
・3つの短い小品 trois pièces brèves, op.115 (1974) {ob}
ピアノ曲 ・2つの小品 deux pièces, op.7 (1916-1918) {2p /orch}
・サーカスの風景 scènes de cirque, op.9 (1917)
・2つの無言歌 deux romances sans paroles, op.21 (1919) ...
「六人組のアルバム」のために
・3つの前奏曲 trois préludes, op. 26 (1920)
・前奏曲と哀歌 prélude et élégie, op.28 (1921)
・2つの練習曲 deux études, op.29 (1921)
・青麦 le blé en herbe, op.30 (1921-1926?) ...詳細不詳。紛失。
・夜想曲 nocturne, op.40 (1928)
・10のインヴェンション集 dix inventions, op.41 (1929-1930) {p/hpcd}
・2つの秋の小品 six pièces de l'automne, op.75 (1953)
・16の自画像 autoportraits, 16 pièces, op.108 (1967-1969)
・3つの小品 trois pièces 'en complement aux autoportraits', op.109 (1970)
・詩曲 poème, op.116 (1974)
歌曲 ・ヴェルレーヌの3つの詩 trois poèmes de Verlaine, op.2 (1914)
・ジャメの5つの詩 cinq poèmes de Francis Jammes, op.3 (1914)
・歌の捧げもの l'offrande lyrique, op.4 (1914) ...
R. Tagore詩 (A. Gide訳)
・ユリアンの航海 le voyage d'Urien , op.5 (1916) ...
A. Gide詩 (1921年にNo.2, 管弦楽配置, op.5b)
・クルゾエへの心象 images à Crusoé, op.11 (1918) {vo, p /vo, fl, cl, hrp(cel), 2vln, vla, vc} ...
A.St-L. Leger詩
・サティ礼讃 hommage à Eric Satie (1918) {vo, p}
・テオクリトスのエピグラム epigrammes de Théocrite, op.13 (1918) {vo, p}
・ペトロニウスの3つの詩 trois poèmes de Pétrone, op.15 (1918) {vo, p}
・蜜柑の木に彫られた碑文 inscriptions sur un oranger, op.16 (1918) {vo, p} ...
E. Parny詩
・動物詩集 le bestiaire ou cortège d'orphée, op. 17 (1919) {vo, p /vo, 2fl, ob, cl, tp, p, 5strings} ...
G. Apollinaire詩
・2つのロマンティックな歌 deux lieder romantiques, op.20 (1919) ...
H. Heine詩
・6つのマドリガル six madrigaux de Mallarmé, op.22 (1919) {vo, p /vo, fl, ob, cl, bssn, p}
・バスク地方の歌 chansons Basques, op.23 (1919) {vo, p /vo, ob, e-hrn, cl, bssn /vo, 2vln, vla, vc} ...
J. Cocteau詩
・海の底の春 le printemps au fond de la mer, op.34 (1920) {vo, 2fl, ob, e-hrn, 2cl, 2bssn, hrn, tp} ...
Cocteau詩
・ポール・ヴァレリーの3つの詩 trois poèmes de Paul Valéry, op.31 (1921-1923)
・監房のカンタータ cantate de la prison, op.32 (1922-1923) {vo, p (orch)}...
G. Apollinaire詩
・グルモンの3つの詩 trois poèmes de Rémy de Gourmont, op.33 (192-) {vo, fl, cl, bssn, 2vln, vla, vc, pf}
・生け簀 la vivier, op.38 (1927) ...
R. Chalupt詩
・果樹園 verger, op.42 (1931-1932) ...
R.M. Rilke詩
・モレアスの4つの解 quatre stances de Moréas, op.45 (1935)
・真夜中の4つの詩 quatre poèmes de minuit, op.47 (1944) {vo, p(orch)} ...
G. Audisio詩
・歌う南方の女 une femme du sud chante, op.65 (1950) ...
L. Hughes詩
・飢えし者のストライキ grève de la faim, op.64 (1950) ...
N. Hikmet詩
・ホーチミンの2つの詩 deux poèmes de Ho-Chi-Minh, op.69 (1951)
・エリュアールの3つの詩 trois poèmes de Paul Eluard, op.74 (1952-1953) {vo, p(orch)}
・薔薇と愛のカンタータ cantate de la rose et de l'amour, op.104 (1965/1966) {vo, p(strings)}...
L. Emie詩
・コア坊やの格言 le dit du petit garçon Khoa, op.110 (1968) ...
Dang Khoa訳
・6つのベトナムの子どもの詩 six poèmes d'enfants vietnamiens, op.113 (-) {sop, 9 inst}
合唱曲 ・2つの無伴奏合唱曲 deux choeurs à cappela, op.1 (1914) {sop, alto, tnr, bas} ... H. de Régnier, C. d'Orléans詩
・礼讃 élogues, op.8 (1916-1917) {sop, alto, tnr, bas, fl, ob cl, bssn, hrn, hrp, 2vln, vla, vc, b, perc (orch)} ...
A.St-L. Leger詩
・3つの四部合唱曲 trois quatuors vocaux, op.37 (1926-1927) {sop, alto, tnr, bas} ...
S. Mallarmé, P. Valéry, L. Tailhade詩
・幸せな眠りのための祈り prière pour dormir heureux, op.43 (1933/1964) {2sop, 2alto, strings, p /strings} ...
M. Fombeure詩
・子どもの暦 calendrier des enfants, op.46 (1937/1964) {childchoir, p (strings)} ...
Y. Lacote詩
・建築家たち les constructeurs, op.50 (1947) {2vo-unison, p /sop, alto, tnr, bas} ...
P. Seghers詩
・武器を取れ! aux armes!, op.52 (1947) {sop, alto, tnr, bas, p} ...
A. Wazyk詩
・自由の闘士たちの歌 chant des combattants de la liberte, op.54 (1948) {sop, alto, tnr, bas} ...
E. Guillevic詩
・3つの音楽的な歌 trois chansons musicales, op.55 (1948) {sop, alto, tnr, bas} ...
F. Garcia Lorca詩
・氷河の洞穴 la grotte aux glaçons, op.56 (1948) {3vo} ...
E. Guillevic詩
・戦争と平和 la guerre et la paix, op.57 (1949) {tnr, bas, sop, alto, tnr, bas, (9winds), p} ...
J. Freville詩
・長征 la longue marche, op.59 (1949) {tnr, sop, alto, tnr, bas, orch} ...
Mao Tse Tung詩
・民に普く平和を paix aux hommes par millions, op.60 (1949) {sop, sop, alto, tnr, bas, orch} ...
V.V. Mayakovsky詩
・4月28日 28 avril, op.61 (1950) {2vo, unison, p /sop, alto, tnr, bas} ...
J. Freville詩
・鳩の翼の上で sur l'aile de la colombe, op.63 (1950) {2vo-unison, p} ...
J. Marcenac詩
・4つの闘争の歌 quatre chants de lutte pour la jeunesse republicaine de France, op.70 (1951) {choir, orch} ...
J. Gaucheron詩
・ベン・アリのカンタータ cantate à Ben Ali, op.73 (1952) {tnr/sop, sop, alto, tnr, bas, chamber} ...
B. Fontenelle詩
・10の仕事の合唱曲 10 choeurs de métiers, op.82 (1956-1957) {sop, alto, tnr, bas, insts} ...
J. Marcenac詩
・3つの多声合唱曲 trois polyphonies, op.94 (1963) {sop, alto, tnr, bas, insts} ...
M. Hernandez, L. Emie, M. Fombeure詩
・1963年のスペイン España 63, op.95 (1963) {m-choir(choir), p} ...
C. Alvarez詩


デュレを聴く


★★★★☆
"Images à Crusoé / Éloges / 6 Madrigaux / 3 Chansons Basques / Quatuor à Cordes No.1, 2 / Le Bestiaire / Concertino / Le Printemps au Fond de la Mer" (Mandala : MAN 4980/81)
Frédérique Brodard (sop) Sylvie Sullé (msp) Marcel Quillévéré (tnr) Lionel Peintre (btn) Philippe Biros (p) Ensemble Erwartung
六人組で一番の年長者でありながら,一番過小評価されている可哀相な人デュレの作品は,フルート奏者がたまに作る『六人組のアルバム』などのオムニバス企画で,後輩の名声を借りてやっと録音して貰えるくらい悲惨な状況にありました。個人的には斜に構えた頽廃的な洒落っ気とブルジョア主義を取った六人組に,後年音楽における平等主義の理想郷作りに目覚めちゃうような生真面目なデュレが合わなかったこと,そして彼の目指したコミュニスティックな音楽そのものが,他ならぬ彼の理想主義的な生き方と,実のところ対極なものだったという皮肉が,彼を無名なままにしてしまったんじゃないかと思えてなりません。さらに哀しいことに,彼が亡くなるまで,西欧諸国の自由主義は一貫して勝利していたという現実。彼が結局半端者的扱いを受けたのが,ポリティカルな事情と無縁でないとなれば,世界同時不況な今頃になってデュレが注目されるのも,決して偶然じゃないのかも知れません。本CDは室内楽選となってはいるものの,大半は独唱者を加えた歌曲。編成からも,後年のミヨー,あるいはラヴェルの『マダガスカル民謡』や『ステファヌ・マラルメの3つの詩』が念頭にあるのは明らか。かの偉大な天才に比べるといかにも垢抜けしない地味で素朴な筆致ではありますが,『海の底の春』などはかなりの逸品で,その慎ましやかなリリシズムに彼の堅実な人柄を見る想いがします。あまり有名なレーベルとはいえないマンダラの本盤。しかしカプレ盤,クラ盤でもお馴染みの熱唱男ペイントル以下演奏は大変良いです。彼を知るのに格好の一枚。お薦め作。

★★★★☆
"Hommage à Satie / Chanson Basques / Le Bestiaire / Deux Lieder Romantiques / Epigrammes de Théocrite / Trois Poèmes de Pétrone / Inscriptions sur un Oranger / Images à Crusoé" (Hyperion : CDA67257)
François Le Roux (btn) Graham Johnson (p)
『デュレ歌曲集』と題された本盤は,マンダラから出た室内楽付帯の歌曲集と並んで,目下デュレ作品をまとまった形で聴くことのできる有り難い一枚。ここに収められた歌曲はいずれも1920年以前の作。彼がパリを離れ,サン・トロペに隠棲するまでの初期作品と言うことになります。申すまでもなく六人組の一人ではあったデュレ。しかし,その作風は六人組にしては人を喰ったところもなく,新宿歌舞伎町狂想曲めいた毒気も,乱痴気騒ぎめいた派手さもありませんでした。一方にオーリックや初期ミヨー辺りを置くと,タイユフェールやデュレはまさしく彼らと対極といっても良いほど穏健。ときにラヴェルを思わせる繊細なピアノ伴奏書法と,ラヴェルにしては薄味で,軽音楽的な風合いは,ピアノ伴奏によるこの作品でも全く不変。ラヴェルの『博物誌』の向こうを張ったかのような『動物詩集』は,心の底では印象主義者を礼讃しつつ,六人組の隅の方でいじいじしていたこの人の姿勢を良く物語っているのでは。結局,プーランクやミヨー,オネゲルも,六人組を離れたのちそれぞれのベクトルでロマン派や新古典派の流儀へと立ち戻ったのを見るにつけ,数年もせぬうちに空中分解してしまった六人組は,彼らの【若気の至り】に近い運動だったと思わずには居られない。長い目で見れば,一番地に足が付いていたのは,この人だったのかも知れませんねえ。歌唱を担当するのはご存じルルー御大。少し重く痩せたお声に年齢を感じるものの,相変わらず良くコントロールされた歌唱。彼ほどの有名人でも,海外の演奏家は平気でデュレやヴェローヌ,セヴラックを録音する。この辺りの厚みの違いが,積もり積もって,内外の文化水準の違いへと繋がっていくのでしょう。

★★★★
"Deux Pièces pour Piano à 4 Mains / Romance sans Paroles / Deux Études / Nocturne / Six Pièces de l'Automne" (Calliope : CAL 4815)
Françoise Petit, Madeleine Chacun (piano)
自社の旧音源の再発を進めるカリオペから,デュレのピアノ曲集が登場しました。これまでにも,『無言のロマンス』あたりが,六人組を扱った他盤で採録されてきたとはいえ,こうしてまとまった形で録音したのは,本盤くらいじゃないかと思います。それも道理,これには伏線があってのもの。1973年,ノートルダム=ドゥ・リバン教会で行われた本盤の録音には,作曲者が自ら立ち会って監修している。作曲家の解題としてこれほどの説得力はなく,恐らくこの録音がスタンダードになってしまったのでしょう。大衆音楽家連盟長だった彼の政治的意図が少なからず関与しているのではないかとの憶測は,聞き慣れないソリストの人選からも窺える。演奏者のフランソワ・プチ女史は,録音当時はピアニストとして活動し,パリ音楽院を出たほど腕が良かったものの,その後仏国立高等演劇大学へ転じてジョルジュ・シャマラに学び,やがて女優さんになってしまった人。複数の分野に跨って仕事をこなす《行動する芸術家》ぶりに,微妙な政治色を感じるのは私だけではありますまい。とはいえそこはパリ音大。やや運指が摩滅するものの,充分にリファレンスとするに足るレベルの演奏をしているのではないでしょうか。デュレというと,ラヴェルを薄味にしたような歌曲が印象に残りますけれど,ピアノ曲における彼の表情は,驚くほどアトーナル(ときにポリ・モーダル)で鋭角的。『古代の墓碑銘』や『前奏曲第2巻』のドビュッシーの様式に,デュティーユの晦渋な和声あしらいを折衷したような曲想ですか(後者で言えば,『ソナタ』の第2楽章が一番近いです)。最もよく見かける『2つの練習曲』と『無言のロマンス』は,実際問題最も耳当たりの柔らかい,印象派風の叙情に富んでいるが故に録音してもらってたのかと妙に納得してしまいました。

★★★☆
Le Groupe des Six "Sonate (Poulenc) : Imaginées / Aria (Auric) : Forlane (Tailleferre) : Romance / Danse de la Chèvre (Honegger) : Deux Dialogues / Sonatine 1 / Sonatine 2 / Sonatine 3 (Durey) : Album des Six : Sonatne (Milhaud)"(Adda : 581176)
Loïc Poulain (fl) Daria Hovora (p)
ゴベールのフルート曲集も好内容だったプーレンによる「六人組」作品集。この盤の発表後,ほとんど同じ企画がエトセトラに,ランソム・ウィルソンのフルートで残されていますが,それだけこの盤の企画は注目に値する内容だったと言うことでしょう。堅実な仕上がりのウィルソン盤に比して,欧州勢によるこちらの演奏はより洒脱。ただ,トリッキーなタンギングに終始するプーランクのソナタ第3楽章などで,主役の粗さと技巧不足が見え隠れするのが難点でしょうか。小生的にはこの盤の魅力,何と申しましてもデュレの作品が5曲も聴けてしまう点に尽きます。小生は密かにデュレを(六人組でありながら)印象主義者だと思っているのですが,その小早川秀秋的なところが過小評価につながっているのだとしたら勿体ない話。ここに収められた5曲(プラス『六人組のアルバム』の1曲)を聴いて,小生はこの御仁の力量を確信致しましたよ。今後さらなる発掘を熱望。

★★★★
"Saudades de Brazil (Milhaud) Sonate No.2 (Tailleferre) La Nativité (Auric) / Sonate (Poulenc) / Romance et Danse de la Chêvre (Honegger) Sonatine (Milhaud) Les Chemins de l'Amour (Poulenc) Moulin Rouge (Auric)" (Etcetera : KTC 1073)
Ransom Wilson (fl) Christopher O'Riley (p)

ジュリアード出身のフルート奏者はバーンスタインに見いだされ,ニューヨーク・ソロイスツの音楽監督を務めた経歴を持つ人物。ソロでも活動しているクリストファー・オライリーとは長年コンビを組んで活動しており,1989年にはこのコンビで全米公共放送賞を受賞した経験もあります。アメリカを拠点にする彼のフルートはフランス人とは楽器や奏法が違うんでしょうか。音色は本場の演奏家に比べ湿って重いので,フランスものを好きなフルートを嗜む方には少々違和感があるかも知れませんけれど,この盤の魅力は技術的水準の高さ。瑞々しい運指のピアノ共々,上記プーレン盤に比べて遙かに充実しており,技巧的なプーランクのプレストなどではその差歴然。最近では六人組のCDはかなり出るようになりましたが,この盤あたりは,かなり上位の一角に食い込む出来映えではないでしょうか。印象主義を素朴なロマン派様式に置き換えたようなデュレもさることながら,改めて聴いてみるとタイユフェルの瀟洒なソナタに吃驚。ちょっと過小評価してたかなあ。

(2002. 10. 24)