Kの作曲家



エルランド・フォン・コッホ Erland von Koch (1910 - )

スウェーデンの作曲家,オルガニスト。1910年4月26日ストックホルム生まれ。1931年に王立音楽院へ進み,1935年まで学ぶ。1936年から1937年にフランスとドイツへ留学しパウル・ホッファーに作曲,クラウディオ・アラウとクレメンス・クラウスにピアノを師事。さらにスウェーデンでトー・マンに指揮法を師事。1939年から1945年までカール・ウォルファルト(Karl Wohlfart)音楽院の教員となり,1943年から1945年にはスウェーデン放送局の解説者および常任指揮者を務めた。戦後,1953年から1975年まで王立ストックホルム音楽院で和声法の教鞭を執り,1968年には教授に就任。1957年に王立音楽アカデミの委員。また1947年から1963年までスウェーデン作曲家連盟評議員なども歴任している。作風は明朗な新古典派様式と,カラフルな和声感を活かした躍動感に富む。1958年に米クライスト・ジョンソン賞,1979年にアッテルベリ賞,1981年にアルヴェーン賞など受賞歴豊富な現代スウェーデンを代表する作曲家の一人。


主要作品

管弦楽曲 ・民謡のパラフレーズ parafras över en dalapolska (1936) <orch>
・ラルゲットとスケルツォ larghetto och scherzo (1937) <orch>
・交響曲第1番 symfoni No.1 (1939)
・パストラール pastorale (1940) <orch>
・ノルウェー風カプリッチョ Nordiskt capriccio (1943) <orch>
・狂詩曲風の舞曲 dansrapsodi (1953) <orch>
・オックスベリ変奏曲 Oxberg-variationer (1956) <orch>
・ラップランド・メタモルフォーゼ Lappland-Metamorfoser (1957) <orch>
・スウェーデン風狂騒舞曲 Svensk dansrapsodi (1957) <orch>
・スカンジナビア舞曲 Skandinavista danser (1959) <orch>
・衝撃 impulsi (1964) <orch>
・エチ echi (1965) <orch>
・リトミ ritmi (1966) <orch>
・アリオーゾとフリオーソ arioso e furioso (1966) <strings>
・ポルシュカ・スウェーディス polska svedese (1968) <orch>
・ニューヨークのスウェーデン人 a Swede in New York (1976) <orch>
バレエ音楽 ・ Askungen (1942)
協奏曲 ・ヴァイオリン協奏曲第1番 violinkonzert, No.1 (1937) <vln, orch>
・ピアノ協奏曲第1番 pianokonsert No.1 (1937) <p, orch>
・室内協奏曲 concerto per ochestra da camera (1955) <chamber-orch>
・ダルカリア組曲 dalecaria-svit (1957) <cl, orch>
・サクソフォーン協奏曲 saxofonkonsert (1958) <sax, orch>
・ピアノ協奏曲第2番 konsert piano No.2 (1962) <p, orch>
・幻想協奏曲 fantasia concertante (1964/1978) <vln, orch>
・ピアノ協奏曲第3番 konsert piano No.3 (1970) <p, orch>
・サクソフォニア saxofonia (1976) <4sax, wind-orch>
・コンチェルト・ピッコロ concerto piccolo (1976) <sax,orch>
・ヴァイオリン協奏曲第2番 violinkonzert, No.2 (1979-1980) <vln, orch>
・ギター協奏曲 konsert, gitarr (1982) <g, orch>
・ダブルベースと弦楽のためのセレナード serenade for double bass and string orchestra (1985) <b, str-orch>
器楽曲 ・弦楽四重奏曲第1番 strakkvårtett (1934) <2vln, vla, vc>
・前奏曲第1番 preludium, b-dur (1935) <p>
・前奏曲第2番 preludium No 2 b-moll (1936) <p>
・ソナチヌ第1番 sonatin No.1 (1937) <vln, p>
・ソナチヌ第2番 sonatin No.2 (1939) <vln, p>
・夜想曲 nocturne (1941) <vln, p>
・ hemvärnsmarsch (1946) <p>
・弦楽四重奏曲第3番 strakkvårtett, musica intima (1950) <2vln, vla, vc>
・ソナチヌ第2番 sonatin (1950) <p>
・協奏的間奏曲第1番 intermezzo concertante no.1 (1963) <p>
・協奏的間奏曲第2番 intermezzo concertante no.2 (1963) <p>
・協奏的間奏曲第3番 intermezzo concertante no.3 (1963) <p>
・変奏曲 varianti (1965) <p>
・スタッカート・マーチ staccato-marsch (1968) <p>
・ミニアチュア miniatyrer (1970) <4sax>
・コントラスト kontraster (1973) <org>
・歌と踊り canto e danza (1975) <vln, p/fl, g>
・スウェーデン民謡によるパラフレーズ parafras över en Svensk vallät (1978) <org>
・バガテル bagattella (1980) <vln>
・ヴァイオリンとピアノのための特徴的な小品 karaktärer för violin och piano (1980) <vln, p>
・アレグロ・モデラート moderato ed allegro (1981) <11sax>
・トロンボニア trombonia (1983) <tb, p/tb, orch>
・テューバニア tubania (1983) <tba, p>
・ラウマ rauna (1984) <g>
・小鳥の組曲 liten fågelsvit (1985) <3fl?>
・或る島の教会のために Till en skärgårdskyrka (1986) <org>
・メロス第1番 melos (1988/1991) <org>
・メロス第2番 melos (1988/1991) <org>
・メロス第3番 melos (1988/1991) <org>
・瞑想曲 meditation över "Kvällen stundar" (1989) <org>
・メロディエッタ melodietta (1992) <org>
歌曲 ・アルボワンのバラード Balladen om Kung Alboin (1943) <btn, p>
・4つのスウェーデン民謡 4 svenska folkmelodier (1971) <vo, p>
・夏の詩篇『忘れ得ぬ魂』 de blomster som i marken bor (1974/1993) <vo, org/p>


コッホを聴く


★★★★
"Lappland-Metamorfoser / Impulsi / Echi / Ritmi / Oxberg-Variationer" (Swedish Society Discofil : SCD 1024)
Stig Westerberg (cond) Stockholm Philharmonic Orchestra
私の知っている限り,世界に彼の作品集は2つだけ。いずれもスウェーデン政府絡みのレーベルですから,彼の評価は一国内に未だとどまっているといって良いでしょう。しかし,ストックホルム音楽院で和声法の教鞭を執ったというだけに,彼の作品はそのカラフルな和声感覚と躍動的なリズム,明瞭な対位法を基調とする分かり易い新古典派様式で,ちょうどNHKの大河ドラマの主題歌の乗りで楽しめる,大変親しみやすいものです。この盤は彼の管弦楽作品を集めたもので,そうした彼の持ち味が良く出た好内容盤です。

★★★★☆
"Nordiskt Capriccio / Skandinavista Danser / Saxofonkonsert / Svensk Dansrapsodi / Karaktärer för Violin och Piano" (Phono Suecia : PSCD 55)
Sigurd Rascher (as) Andreas Röhn (vln) Kerstin Hindart (p) Stig Westerberg (cond) Swedish Radio Symphony Orchstra :Münchner Philharmonic Orchestra
コッホの数少ないCDの中でも一枚をとなれば,小生が推すのはこの作品です。シグー・ラシェルのアルト・サックスをフィーチャーした「サクソフォーン協奏曲」は,コッホらしい明晰で堅牢な新古典様式美に溢れた出来映え。その他にも管弦楽作品からヴァイオリン向けの器楽作品まで,安定した演奏で愉しめるお徳用盤。大抵の作曲家は,大規模な編成の作品が得意だと,小規模の作品ではいまいち,ということが多いのですが,コッホは編成を選ばず,常に安定した出来をキープできる逸材であることが良く分かります。

★★★★
"Concerto for Double Bass and Orchestra :
Concertino for Double Bass and String Orchestra (Lars E. Larsson) / Serenade for Double Bass and String Orchestra (Koch) / Concertino for Double Bass and Orchestra" (Opus 3 : CD 8502)

Jan-Olav Wedin (cond) Thorvaid Fredin (b) The Oskarshamn Ensemble
スウェーデンの音響マニア・レーベル「オーパス3」から出た協奏曲集です。この録音でソロを弾くトーヴァル・フレディンという御仁はコッホとも親しいようで,何とこの「セレナード」は,このアルバムの録音のため直々にコッホに依頼して作らせたもの。その辺りの経緯はアルバムに寄せられた作曲家の献辞にもある通りです。とはいえ,安定感抜群のコッホのこと。どのような場面でどのような編成の作品を依頼されても動じることなく,彼ならではの音癖を巧みに練り込んだ曲作りはまさに至芸の一語につきます。