Dの作曲家



ジャン・ダニエル=ルシュール Jean Yves Daniel-Lesur (1908-2002)

フランスの作曲家,オルガン奏者。本名ジャン・イヴ・ダニエル=ルシュール。1908年11月19日パリ生まれ。作曲家でもあった母アリスの指導のもと,幼少期から作曲に親しむ。12才でパリ音楽院に進み,ジャン・ガロンに和声法,次いでジョルジュ・カッサードにフーガを師事,またピアノをシャルル・トゥルヌミールに師事し,1927年から,聖クロチルド教会の助演オルガニストとしてトゥルヌミールの補佐を務め,1935年から1939年まで,1942年から1944年までの2度にわたって,パリのベネディクト・アベイのオルガニストに就任した。1936年にオリヴィエ・メシアン,アンドレ・ジョリヴェ,イヴ・ボードリャール(Yves Baudrier)とともに『若きフランス(Groupe Jeune France)』を結成し,音楽に於ける人間性の回復を掲げて活動。1935年にスコラ・カントールムで対位法の教鞭を執るようになり,1957年には同校の院長へも就任。ベルギー王立フランス研究院委員,ヨーロッパ科学アカデミー芸術部門の委員なども歴任している。パリ市賞,セーヌ議会賞,著述家と作曲家協会賞など受賞歴豊富。2002年7月2日死去。


主要作品

舞台作品 ・アンドレア・デル・サルト Andrea del Sarto (1969)
・水の精 ondine (1982)
・死せる王女 la Reine morte (1987)
管弦楽曲 ・パストラール pastorale (1938) <chamber>
・弦楽のためのセレナード sérénade (1954) <strings>
・舞踊交響曲 la symphonie des danses (1958)
協奏曲 ・ピアノと弦楽オーケストラのための変奏曲 variations pour piano et orchestre a cordes (1943) <p, strings>
・幻想協奏曲 la fantaisie concertante a l'intention de Rostropovitch (1994) <vc, orch>
映画音楽 ・運命の1球 le bal du destin (1965)
室内楽 ・六重奏曲 sextuor (1948) <fl, ob, cemb, vln, vla, vc>
・弦楽四重奏のための組曲 suite (-) <2vln, vla, vc>
・ピアノ四重奏のための組曲 suite (-) <p, vln, vla, vc>
・中世風の組曲 suite medievale (-) <fl, hrp, vln, vla, vc>
・我が想い出の乙女の墓碑 stele a la memoire d'une junne fille (-) <fl, 2vln, vla, vc>
合唱曲 ・雅歌 le cantique des cantiques (1953) <12vo>
・今ひとたびの幸運なひととき(フランス合唱団に捧ぐ) encore un instant de bonheur (1994) <?choir>
・歓喜のミサ messe du Jubilé (-) <choir?>
・コロンヌの歌 cantique des Colonnes (-) <choir, small-orch>
歌曲 ・セシーユ・ソヴァージュの3つの詩 trois poèmes de Cécile Sauvage (1939)
・日がな一日 clair comme le jour (1945)
・カンボジアの歌 chansons cambodgiennes (1946-1947)
・起こしておく子守歌 berceuse à tenir éveillé (1947)
・芸術のめざめ l'enfance de l'art (-)
ピアノ曲 ・コントル・フーガ contre-fugue (-) <2p>


ルシュールを聴く


★★★★☆
"Oeuvres Orchestres : Symphonie de Danses / Nocturne / Variations / Stelle a la Memoire d'une Jeune Fille / Serenade" (Pavane : ADW 7302)
Bernard Calmel (cond) Orchestre Bernard Calmel
ジョリヴェらとともに音楽の脱中心化を推進した(らしい)ルシュールの珍しい作品集。演奏するベルナール・カルメルのアンサンブルは,一方では古典物を演奏する古式ゆかしい?楽団ですが,こと近代ものになると演目マニアック。同じパヴァーヌからリヴィエの交響曲集なんかも出しており,なかなかどうして見過ごせない楽団です。ルシュールはジョリヴェと徒党を組んで活動した作家ということもあり,いやが応にも高まる警戒心。しかし,作風は意外にも穏健。もちろん,ミヨーなどに間接的な影響を受けたらしいフォーヴィスティックな表情を持ちますが,ジョリヴェのように「野蛮」を彼岸に置きエキセントリックに見ようとする姿勢はなし。絵で言えばゴーギャンか。和声感の厚ぼったさがミヨー的であるということで,曲の構成は素朴です。「野蛮な」ということばを,「文明化されていない」ととれば,同じフォーヴィズムも素朴さや素直さに通じるものとして,共感を持って理解できるわけです。近代的な書法に立脚した素朴主義,北欧ならグリーグ,フランスならセヴラックなどと哲学的には近いところに立脚し,書法の上ではミヨーあたりに立脚した作風というのが,一番近いと思います。六人組のようにパリ被れした(人を食った)ところのないミヨーの体で,すんなりと聴けました。

(2002, 9. 4)