Mの作曲家



ポール・モーリス Paule Maurice (1910-1967)

フランスの女流作曲家,教育者。1910年9月29日パリ生まれ。パリ高等音楽大学へ進んで,ジャン・ガロンに和声法,ノエル・ガロンに対位法とフーガ,アンリ・ビュセールに作曲法を師事。23才でジャン・ガロンの助手となり,のち1942年にはパリ音楽院和声法科の教授に就任した。私生活では,1937年のローマ大賞受賞者でもある批評家のピエール・ランティエ(Pierre Lantier:1910-1998)と結婚。彼の紹介でサックス奏者のシグー・ラシェルやマルセル・ミュールと邂逅し,後者には代表作の『プロヴァンスの音画』(1959)を献呈している。著述家としても活躍。アンリ・ルベル(Henri Reber)の『和声法』にその後の知見を加え,夫と共著で執筆した【『和声法』に関する補足教程(Complement du Traite d'Harmonie de Reber)】(Combre刊)を始め,各種の教則本を著している。1967年8月18日パリにて死去。


主要作品 暫定版:貧弱でまことに申し訳ない。鋭意調査中。

バレエ ・コスモラマ cosmorama (-)
・異国趣味の牧歌 idylle exotique (-)
付帯音楽 ・マリアンヌの気まぐれ les caprices de Marianne (-)
・ on ne badine pas avec i1 amour (-)
・ワトー Watheau (-)
・ patounet (-)
管弦楽曲 ・交響曲 symphonie (-)
・ピアノ協奏曲 concerto pour piano et orchestre (-) {p, orch}
・2台ピアノと管弦楽のための組曲 concerto pour deux pianos et orchestre (-) {2p, orch}
・コンチェルト・ジョコーソ concerto giocoso (-) {p, orch}
・交響詩【シテールへの船旅】 l'embarquement pour Cithère (-)
・組曲【カルチェ・ラタン】 Quartier latin (-)
・組曲【観光旅行】 tourisme (-)
・組曲【ナイトクラブ】 night club chez Belzébuth (-)
室内楽 ・プロヴァンスの音画 tableaux de provence: suite pour saxophone (1954-1959) {sax, p (orch)}
 1) farandole des jeunes filles, 2) chanson pour ma mie, 3) la Bohemiènne, 4) Des Alyscsamps l'âme Soupire, 5) Le Cabridan
・フルート四重奏曲 quatuor de flûtes (-) {4fl}
・弦楽四重奏曲 quatuor à cordes (-) {2vln, vla, vc}
・吹奏三重奏曲 trio pour anches (-) {ob, cl, bssn?}
・ヴァイオリンとピアノのための3つの小品 trois pièces pour violon et piano (-) {vln, p}
・フルート四重奏のための組曲 suite pour quatuor de flûtes (-) {4fl}
 1) preamble, 2) divertissement, 3) pavane, 4) fughette, 5) arioso, 6) rondo
・ volio (-) {sax}
・メロディカ mélodica (-) {sax, p}
ピアノ曲 ・6つの小品 six pièces pour piano (1942)
・9つの2台ピアノのための組曲 suite pour deux pianos (-) {2p}
・コスモラマ cosmorama: suite pour deux pianos (-) {2p}
1) La Rioja, 2) Vienne, 3) Kou-Kou-Nor, 4) Florence, 5) Guayaquil, 6) Tolede, 7) Harlem, 8) Delhi, 9) Ile de France
・それは過去の il était une fois (-) {2p}
・変奏曲集 variations pour piano (-)
・5つの小品 cinq pièces pour piano (-)
・9つの小品 neuf pièces pour piano (-)
・5つの前奏曲 cinq préludes pour piano (-)
・太鼓とラッパ,アメリカ人形,マー・ジョン tambour et trompettes, poupée d'Amérique, mah jong (-)
・王子と美女のワルツ valse du prince et de la belle (-)
歌曲 ・歌曲集 mélodies (-)

※もか氏より著作,作品刊行年について一部情報提供を頂きました。感謝いたします。


モーリスを聴く


★★★★
"A la Francaise : Sonata (Decruck) Croquembouches (Delvincourt) Lamento et Rondo (Sancan) Tableaux de Provence (Maurice) Etudes (Koechlin) Prelude, Cadence et Finale (Desenclos)" (BIS : CD-1130)
Claude Delangle (sax) Odile Delangle (p)
『サクソフォン・フォ・ア・レィディ』では,そのビロードのように艶めかしい音色で聴き手を圧倒したパリ音楽院教授ドゥラングル夫妻。彼らの手によるフランス近代サックス曲集の第2弾は,サンカン,デサンクロを始めとする激マイナー作家選。そもそもケックランが一番知名度的に恵まれているという発掘精神旺盛な選曲に吃驚。1941年からパリ音楽院長を務めたダルヴァンクール,夫がニューヨーク管のサックス奏者だったドクリュック,プロヴァンス地方の民謡収集をやっていたらしいモーリスなど,名前しか聞いたことがない作家オンパレードです。やや六人組の香りを漂わせつつも,基本的にロマン派イディオムのドクリュック,完全におどけた六人組的作風のダルヴァンクル,同じくミヨー風のモーリス,彼としてはかなりオネゲル的なサンカンに現代音楽要素もふんだんに採り入れたデザンクロと,内容にはかなりの開きがあります。個人的には呪術的な語法に独自性をきっちりと織り込んだデザンクロの出来が突出していると思うのですが,これまで聴いたこともなかったモーリスは思わぬ拾いものでした。前盤同様,現代屈指の名手ドゥラングル氏の演奏は相変わらず見事です。ぜひ続けていただきたい。


(2002. 12. 8)