Vの作曲家


ピエール・ヴェローヌ Pierre Vellones (1889-1939)

フランスの医者,作曲家。1889年3月29日パリ生まれ。作曲家を志し,ジャン・ルヴィエ(Jean Hugues Louvier)に師事したのち,ほぼ独学で作曲法を修得。しかし,父親の強い反対により音楽への道を断たれ,薬学を専攻。その後は,医者として生計を立てることになった。本業の傍ら作曲活動を継続。やがて自作曲によって次第に知られるようになり,ピエルネ,フォーレ,ラヴェル,ルーセルらと交流を持つに至った。彼は電子楽器を用いたクラシック作品のパイオニアでもあり,1929年にはオンド・マルトノの制作者モーリス・マルトノ(Maurice Martenot :1898-?)のために,フランスの作曲家で初めてオンド・マルトノ作品("split et vitamines"か?)を作るなど,新しい楽器を用いた作品作りに情熱を傾けた。僅か50才の短命であったため,実質上の作曲活動は1919年からの20年間にほぼ限られており,サックスのための作品を除くと,その存在は忘れ去られた状態に置かれている。今後の再評価が待たれる。1939年7月17日パリにて死去。(情報僅少です。さらなる情報をお持ちの方のご提供をお待ち しております)


主要作品

舞台作品 ・バレエ【包囲されたグラナダ】 grenade assiégée, op.8 (1918) ... A. Birabeau and M. Hervieu台本
・バレエ【隠密の美】 le beau ténébreux, op.10 (1919) ...
A. Birabeau and M. Hervieu台本
・オペレッタ【小さく厳かなものたち】 leurs petites majestés, op.43 (1931) ...
M. Larrouy台本
・バレエ【楽園】 le paradis d'Amitabha, op.97 (1937-1939) ...
Vellones台本
・バレエ【やさしき故郷】 au pays du tendre, op.14 ...R. Kerdyk と G. Arnoux台本
管弦楽曲 ・幻想的な祝祭 la fête fantastique (1935)
・騎兵組曲 suite cavalière (-)
・前奏曲と舞曲 prelude et danse indienne (-)
・カスティリア風に Castillane (-)
映画音楽 ・カラコルム Karakoram (1935) {7 ondes martenot}
協奏曲 ・サクソフォーン協奏曲 concerto pour saxophone et orchestre, op. 65 (1934) {sax, orch}
・コロンビアのための2つの小品 two Pieces for Columbia, op.67 (1935) {ondes martenot, chamber}
・サクソフォン四重奏と管弦楽のための交響詩『招宴』 'rastelli' poème symphonique, op. 82 (1936) {4sax, orch}
・ロンド・カプリチョーソ rondo capriccioso, op.88 (1937) {vln, orch}
・最高裁の裁判官 a cadix, op.103 (1938) {2ondes martenot, chamber}
室内楽 ・ステファヌ・マラルメの5つの詩 cinq poèmes de Mallarmé (1929) {vo, 4hrp, 2sax, b/msp, p/ p /orch}
・海豚 les dauphins (1929-1930) {4sax}
・アンダルシアの騎士 cavaliers andalous, op. 37 (1929-1930) {4sax}
・ split et vitamines (1929) {onde martenot}
・スペインの印象 impressions d'Espagne, op. 68 (1934) {hrp, fl, bssn /p}
・狂詩曲 rapsodie, op. 92 (1937) {as, hrp, celesta, ds}
・三重奏曲 trio harpe, flûte et hautbois, op. 94 (1938) {fl, hrp, ob(vla)}
・操り人形たちの芝居 théâtre des marionnettes (-) {5winds, p /2p}
・ヴェルサイユの人 a versailles (-) {5winds, p}
・ペルーの印象 images Peruviennes (-) {fl, p}
・前奏曲とフランス風ロンド prélude et rondo français (-) {4sax}
・セヴィラーヌ Sévillanes (-) {4sax, perc}
歌曲 ・グリーン green (1908) {btn, p}
・前奏と舞曲 prélude et danses indienne, op. 16 (1923) {choir, orch}
・雅歌 le cantique des cantiques, op. 18 (1925) {sop, tnr, bass, chant, fl, bssn} ....
J. Lahor詩
・ステファヌ・マラルメの5つの詩 cinq poèmes de Mallarmé, op. 24 (1929) {vo, 4hrp, 2sax, b}
・フローリアンの前奏曲と5つの寓話 prélude et cinq fables de Florian, op. 28 (1929) {voix elevee, p /jazz orch /orch}
・3つの自然の詩 trois poèmes de la nature (1930) {btn, p}
・ルイ・ドゥ・ラ・サールの2つの詩 deux poèmes de Louis de La Salle (1930) {vo, p}
・聖ヴァンセラのカンタータ cantate de Saint Venceslas, op.45 (1931) {2vo, choir, org, bell, timp} ...
K. Toman詩
・雨 pluies (1932) {vo, p}
・ジョン・シャッグ John Shag, op.58 (1933) {vo, orch} ...
G. de Voisins詩
・5つの墓碑銘 cinq épitaphes (1935) {btn, p}
・ソロモン王 le roi Salomon, op. 93 (1938) {vo, choir, orch}
・エレジー élégie (-) {vo, p /2vln, vla, vc /fl, hrp /orch}
・中国の古老の5つの恋歌 cinq chansons d'amour de la vieille Chine (-) {vo, p /fl, p, perc}
・我が道 à mon fils (-) {vo, p /orch}
・小さな村 le petit village (-) {vo, p /orch}
・ランボーの2つの詩 trois poèmes de Rimbaud (-) {vo, p}
・ポール・フォルの2つの詩 deux poèmes de Paul Fort (-) {msp, btn, p}
・イドゥメの夜 soir d'Idumée (-) {vo, p /orch}
・親愛なるクローディヌに la grosse Claudine (-) {female-vo}
・青い小鳥 oisillon bleu (-) {4 female-vo}
ピアノ曲 ・地球 planisphère, op. 23 (1928) {p /jazz ensemble}
・野生動物たちの庭 au jardin des bêtes sauvages, op. 26 (1929-1930) {p /4sax}
・半音階的ワルツ valse chromatique (1929-1930) {p /4sax}
・バラード ballade pour piano et orchestre, op. 42 (1931) {2p /p, orch}
・悪漢ビネッティ le bal Binetti, op.60 (1933)
・トッカータ toccata (1936)
・音楽への招待 invitation à la musique (1937) {2p}
・子象パバールの冒険 une aventure de Babar (1929-1937?) {2p}


ヴェローヌを聴く


★★★★
"Mélodies et Pièces pour Saxophones : Rapsodie / Trois Poèmes de la Nature / Trois Pièces pour Quatuor de Saxophones / Valse Chromatique / Cinq Poèmes Cinq Épitaphes" (REM : 311303 XCD)
François Le Roux (btn) / Hanna Schaer (sop) Fabrice Moretti (as) Quatuor de Saxophones 'Sans Frontière' : Ensemble Musique Ville d'Avray
近代フランス楽壇に人知れず咲いた徒花。本CDを入手するまで,恥ずかしながらこの人は全く知らなかったことを白状せねばなりません。本作品集は,恐らくほぼ唯一といってよいほど(2002年1月現在で,これを含め僅かに4種類)僅少な,ヴェローヌをフィーチャーしたCDで2枚からなります。作曲家はかなりの辺境ですが,演奏陣は豪華。アコール盤でお馴染みシェーア,セブラック歌曲のルルーらそうそうたる顔触れで,演奏も好いです。ヴェローヌの作風は実直で朴訥。印象主義の色彩感は十全に採り入れつつも,どこか朴訥で垢抜けない作風に人柄が滲みます。性格が慎ましやかな人だったのでしょう。特に印象主義ファンには,六人組より穏健,印象派より庶民的でお薦め。近代フランスの秘曲をお探しなら,ぜひどうぞ。

★★★☆
"Trios & Pièces pour Pianos : Invitation à la Musique / Planisphère / Impressions d'Espagne / Toccata / Trio / Ballade"(REM : 311311 XCD)
Geneviève Ibanez / Odette Chaynes-Decaux (p) Ensemble Musique Ville d'Avray
2枚からなるヴェローヌ作品集,こちらは室内楽およびピアノ作品集です。印象主義の語法を十全に吸収していながらも,どこか朴訥で牧歌的な彼の作風が展開されます。印象主義よりは通俗的で,六人組に近い素朴さがありますが,かといって六人組のような,人を食ったところも全くない。瀟洒で流麗な印象主義のイデア,浮ついたパリ社交界を斜めから見ているような六人組のおどろおどろしさのイデア,そのいずれの流れからも一歩距離を置き,悪く言えばどちらのイデアも充分に消化し切れなかったもどかしさが漂う。その辺りが,今ひとつ時流に乗りきれなかった所以なのでしょう。豪華メンバーの上記盤に比して,こちらの演奏陣には,パリ音楽院教授イバネ女史を含むにも関わらず演奏は格落ち。曲はこちらのほうが印象主義度高めなのですが,今ひとついただけません。まず一枚という方は,最も演奏機会の多い代表曲『狂詩曲』,『半音階ワルツ』を含む,上記の盤からどうぞ。

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ベルギーのレーベルから出ているピアノ連弾曲集の存在を把握しております。ただし,現在の所入手至難の状態です。入手できましたらレビューを掲載しますので,しばらくお待ち下さい)。

(2002. 3. 18 upload)