Wの作曲家


シャルル=マリー・ウィドール Charles-Marie Widor (1844-1937)

フランスのオルガン奏者,作曲家,教育者。本名はシャルル=マリー=ジャン=オベール・ウィドール(Charles-Marie-Jean-Albert Widor)。1844年2月1日リヨン生まれ。オルガン建造家でオルガン奏者だった父から最初の手ほどきを受け,11歳で当地のリセー(lycée)で教会オルガニストとなる。アリスティド・カヴェイエ=コル(Aristide Cavaillé-Coll)の招きでブリュッセルへ留学し,オルガンをジャック・ニコラ・レンマン(Jacques Nicolas Lemmens)に,作曲法をフェティシュ(Fetis)に師事。帰国後,1860年にリヨンの聖フランソワ教会でオルガニストとなり,次いで1870年から,ルフェビュール=レヴィ(Louis Lefebure-Wély)の後任として聖シュルピス聖堂のオルガン奏者へ就任。これ以降,64年間に渡ってその地位を全うした。教育者としては,1890年にフランクの死を受けてパリ音楽院オルガン科教授となり,6年後にテオドール・デュボワが同院院長へ就任した際には,彼の後任として作曲法科教授も務めている。1910年に芸術院会員となり,4年後には名誉秘書官(終身職)にも就任。不遇のもとに置かれた作曲家を擁護する目的で,ヴィラ=メディチの分荘としてカーサ・ヴェラスケス(Casa Vélazquez)の創設を唱えたのはヴィドールである。1937年3月12日パリにて死去。


主要作品

舞台作品 ・バレエ【ブルターニュの妖魔】 la korrigane (1880) {2act}...F. Coppée, L.F. Merante台本。一幕の歌劇版もあり。
・付帯音楽【4月の物語】 conte d'avril, op.64 (1885) ...
シェイクスピア『12番目の夜』をもとにA. Dorchain台本
・付帯音楽【ジェイムス二世党の人々】 les Jacobites (1885) ... F. Coppée台本。
・アンブロ先生 frame lyrique: maître Ambros (1886) {4act}...
Coppée, Dorchain (喜劇版はFavart)台本。
・無言舞踏劇【ジャンヌ・ダルク】 Jeanne d'Arc (1890) {4act}...
Dorchain台本。
・歌劇【聖ジャンの漁師】drame lyrique: les pêcheurs de Saint-Jean (1905) {4act}...
H. Cain(Favart)台本。
・歌劇【ネルト】 drame lyrique: Nerto (1924) {4act}...
F. MistralによりM. Lena台本。
管弦楽曲 ・交響曲第一番ヘ長調 symphonie No.1 en fa majeur, op.16 (1882)
・交響曲第二番イ長調 symphonie No.2 en la majeur, op.54 (1882)
・交響詩【ワルピュルジの夜】 la nuit de Walpurgis, op.60 (1888) {choir, orch}
・交響曲第三番 symphonie No.3 pour orgue et grand orchestre, op.69 (1895) {org, orch}
・スペイン序曲 ouverture éspagnole (1898)
・古典交響曲 symphonie antique (1911) {org, orch, choir}...
終曲に合唱を付加
・神聖交響曲 sinfonia sacra, op.81 (1908) {org, orch}
協奏曲 ・大幻想曲 grande phantasia (1865) {org, orch}
・ピアノ協奏曲 concerto pour piano et orchestre, op.39 (1876) {p, orch}
・ヴァイオリン協奏曲 concerto pour violon et orchestre (1877) {vln, orch}
・チェロ協奏曲 concerto pour violoncelle et orchestre, op.41 (1878) {vc, orch}
・幻想曲 fantaisie, op.62 (1889) {p, orch}
・コラールと変奏 choral et variations (1900) {hrp, orch}
・ピアノ協奏曲第二番 concerto pour piano et orchestre No.2, op.77 (1905) {p, orch}
室内楽 ・ピアノ五重奏曲第一番 quintette avec piano No.1, op.7 (1868) {2vln, vla, vc, p}
・セレナード sérénade, op.10 (?-1883) {fl, vln, vc, hmnium, p}...
編曲版多数
・ピアノ三重奏曲 trio, op.19 (1874) {vln, vc, p}
・ヴァイオリン・ソナタ第一番 sonate pour violon et piano No.1, op.50 (1881) {vln, p}
・ピアノ四重奏曲 quatuor avec piano, op.66 (1891) {vln, vla, vc, p}
・ピアノ五重奏曲第二番 quintette avec piano No.2, op.68 (1894) {2vln, vla, vc, p}
・ヴァイオリン・ソナタ第二番 sonate pour violon et piano No.2, op.79 (1907) {vln, p}
・チェロ・ソナタ sonate pour violoncelle et piano, op.80 (1907) {vc, p}
・3つのワルツ trois valses, op.18 (-) {vln, p}
・3つの小品 trois pièces, op.21 (-) {vc, p}
・4つの小品 quatre pièces (1890) {vln, vc, p}
・組曲 suite, op.34 (1898) {fl, p}
・アルザスの夕べ soirs d'Alsace, op.52 (1908) {vn, vc, p}
・カヴァティーナ cavatine, op.57 (-) {vln, p}
・序奏とロンド introduction et rondo, op.72 (1898) {cl, p}
・組曲 suite, op.76 (-) {vln, p}
・3つの小品 trois pièces (1909) {ob, p}
・組曲 suite (1912) {vc, p}
オルガン曲 ・オルガン交響曲第一〜四番 symphonie d'orgue No.1-No.4, op.13 (1872)
・オルガン交響曲第五〜八番 symphonie d'orgue No.5-No.8, op.42 (1887)
・オルガン交響曲第九番【ゴシック風】 gymphonie gothique, op.70 (1895)
・オルガン交響曲第十番【ローマ風】 symphonie romane, op.73 (1900)
・サルヴム・ファク・ポピュルム・トゥーム salvum fac populum tuum, op.84 (1917) {3tp, 3tb, perc, org}
・フロレンティーナ組曲 suite florentine (1920) {fl(vln), p}
・ラテン組曲 suite latine, op.86 (1927)
・3つの新奇な小品 trois nouvelles pièces (1934)
ピアノ曲 ・アリアと舞踏 airs de ballet, op.4 (-)
・華麗なるスケルツォ scherzo brillant, op.5 (-)
・セレナード sérénade, op.6 (-)
・祈り la prière, op.7 (-)
・東洋風のスケルツォ l'orientale, scherzo, op.8 (-)
・カプリース caprice, op.9 (-)
・3つのワルツ trois valses, op.11 (-)
・即興曲 impromptu, op.12 (-)
・演奏会用変奏曲 variations de concert sur un thème original (1867)
・サロン用の6品 six morceaux de salon, op.15 (1872)
・前奏,アンダンテと終曲 prélude, andante et finale, op.17 (-)
・悪しき風景 Scenes de bal, op.20 (-)
・6つの個性的なワルツ six valses caracteristiques, op.26 (1877)
・12のアルバムの頁 12 feuillets d'album, op.31 (1877);
・森にて dans les bois, op.44 (-)
・ロマンス romance, op.46 (-)
・【イタリア幻想曲】より「小舟」 la barque, fantaisie italienne (1877)
・【イタリア幻想曲】より「ラ・コリコロ」 la corricolo, fantaisie italienne (1877)
・スケルツォ=ワルツ scherzo-valse (1878)
・ポロネーズ組曲 suite polonaise, op.51 (?-1885)
・組曲 suite, op.58 (1887)
・謝肉祭 carnaval, op.61 (-)
・秋の物語 conte d'automne (1904)
・スコットランド組曲 suite écossaise, op.78 (?-1905)
・製糸女工 fileuse (1909)
・親しげな記述 pages intimes (-)
・6つの二重奏曲 six duos (1891) {p, hmnium}
宗教作品 ・オ・サルタリス O salutaris, op.8 (-) {vo, vln(vc) /vc, org}
・タントゥム・エルゴとレジナ・コエリ tantum ergo et regina coeli, op.18 (1874) {choir, org}
・詩篇第83番 psaumes lxxxiii, op.23-1 (1875) {4vo, 2org, 2vln, vla, vc}
・汝はペトロなり tu es Petrus, op.23-2 (1875) {2choir, 2org}
・サセルドスとポンチフェ Sacerdos et Pontifex, op.23-3 (1875) {choir, 2org}
・アヴェ・マリア Ave Maria, op.24 (-) {msp, hrp, org}
・3つの合唱曲 trois choruses, op.25 (-) {4vo}
・ミサ曲 mass, op.36 (1878) {2choir, 2org}
・神聖合唱曲 chant seculaire, op.49 (-) {sop, choir, orch}
・アヴェ・マリア Ave Maria, op.59 (-) {vo, org}
・オ・サルタリス O salutaris, op.63 (-) {vo, vc /vln, org}
・詩篇第112番 psaumes cxii, (1879) {2choir, 2org, orch}
・アヴェ・ヴェルム Ave verum (1930)
歌曲 ・6つの歌 six mélodies, op.14 (1872)
・6つの歌 six mélodies, op.22 (1875)
・3つの歌 trois mélodies, op.28 (1876)
・2つの二重唱曲 deux duos, op.30 (1876)
・3つのイタリア歌曲 trois mélodies italiennes, op.32 (1876)
・3つのイタリア歌曲 trois mélodies italiennes, op.35 (1878)
・6つの歌 six mélodies, op.37 (1877)
・2つの二重唱曲 deux duos, op.40 (1876)
・6つの歌 six mélodies, op.43 (1878)
・6つの歌 six mélodies, op.47 (1879)
・2つの二重唱曲 deux duos, op.52 (1881)
・6つの歌 six mélodies, op.53 (1881)
・夏の夕べ soirs d'été, op.63 (1889)
・子らのための老いた歌 vieilles chansons pour les petits enfants (1890)


ウィドールを聴く


★★★☆
"Symphonie en sol mineur (Widor) Alleluja / Hymne (Jongen) Concerto (Parker)" (Guild : GMCD 7182)
Franz Hauk (org) Alfredo Ibarra (cond) Philharmonic Ingolstadt
1844年生まれのウィドールは,ドビュッシー(1862年生まれ)やラヴェル(1875年生まれ)よりも一世代上の作曲家。ほぼ同世代のフォーレ(1842年生まれ)や師匠世代のフランク(1822年)などの,保守的な作風と類同的です。当然ドビュッシー以降の近代的な色彩感は乏しくなってしまいますが,彼ら後期ロマン派の作品でも,抵抗なく聴けてしまう穴場的ジャンルが,合唱ものやオルガンの入った宗教的色彩の強い諸作品。これは,室内楽やピアノ曲に比べ圧倒的に『レクイエム』が聴きやすい,フォレの場合を考えれば充分でしょう。このCDはオルガンと管弦楽の協奏による作品集。カップリングのジョンゲンは,近代ベルギーを代表する重鎮で,当然近代フェチの皆さんにとって最大の聴きものは,色彩的な和声感覚が溢れるジョンゲン『アレルヤ』になりましょう。しかし,このウィドールも穏健で高貴な気品に溢れた,なかなかの佳品。特に緩楽章「アンダンテ」の敬虔な佇まいは,フォーレの『バラード』を思わせる気品に溢れています。それだけに本盤,演奏と録音がもう一つなのは残念。不安定な弦部がマルコのBクラスに匹敵するインゲルシュタット管。ヒドイッ!誰が決めたわけでもないのに,メジャーなオケは演る曲もメジャー。滅多に演奏されぬマイナー作家は,たまに演奏して貰えたとしても演奏劣悪。幾らでも代わりの録音があるも〜っちゃるとなんかよりずっと,マイナー作家の録音ニーズは高いのに。ああ世の倣いとは何といびつなもんであることよ。(;△;)こうして日々,権威は再生産され,有名無名の格差は増強されていくのです・・

(2005. 11. 4. upload)