星の数ほどある黒人霊歌の中でもかなり有名な一曲です。1934年にウィリアム・L・ドーソンという人が合唱用に編曲したものが人気を博し、ロジェ・ワーグナー合唱団に歌われるなど一気にメジャーなものになりました。
ゴスペルの女王マヘリア・ジャクソンも歌ったのですが、これが映画「イミテーション・オブ・ライフ」のクライマックスに流れる歌として起用され、感動のあまり各地の映画館が涙で水びたしになってしまったという逸話が残っています(さすがに水びたしは大袈裟でしょうが)。
黒人霊歌は奴隷としての悲しみの歌、祈りの歌、仲間達を慈しむ歌、クリスマスの歌、色んなジャンルがありますが、これは特に極端な「悲しみの歌」です。

あらかじめ聞き所チェック!
この曲は黒人奴隷達の苦しみが非常に効果的に表現されており、ちょっと他の歌では変わりがきかないような魅力があります。

まずメインメロディーの、主線以外の部分!

もうすぐ私はこの、絶望の世界から死んでいなくなるだろうをずーっと連呼するのですが、音がほとんど変わらず呪文のように歌い続けます。奴隷たちがどこか暗い所で苦しそうに蠢(うごめ)いている様が、まるで目に見えるようです。黒人奴隷の悲しさと恐ろしさを感じます。

後半になると男声部分が途切れることなく呟くようになり更に怖くなります。

この歌は黒人英語で歌われますがこの男声部分では「スンナウィルビダンナウィルビトラッブレソッディワッディワッディトラッブレソッディワーディトラッブレソッディワッディワッオ」と発音されています。この発音の音感もなんかゾクッてくるんですよねー!ワッディワッディの辺りが何か、蠢いている印象を更に強くしているような気がしますよ。

そして、この曲といえば絶対に聞き逃せない、最後の一音!

God!と神を叫ぶラスト。すごく綺麗な和音ですよね?このSoon-ah will be doneはずーっと暗い短調で歌われるのですが、最後の最後、ラストの一音だけ驚くほど鮮やかな長調のハーモニーで幕を閉じます。 何で最後だけ長調なんでしょう!?これはもしかして歌詞(下記参照)の内容から察すると、死んで天国にいってしまったということなんでしょうか? 「生き残り自由を勝ち取る希望を最後の一音に託している」という説もありますが、果たして・・・? 
この盛大にもり上がる一音のおかげで、演奏会ではステージの大トリ曲にもってこいの曲に仕上がっています。 

それでは聞いてみて下さい。どん!


ネットサーフィンしながら聞くのをおすすめします。
是非最初から最後まで聞いて、ラストの綺麗な一音への移り変わりを確認してみましょうよ!

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※このMIDIはウィリアム・L・ドーソン編曲のものに非常に似ている、諸井昭二さん編曲のものです。そのため著作権の仕組み上、このページはこの曲の訳詩を掲載することができます。

意訳

もうすぐ私はこの、絶望の世界から死んでいなくなるだろう
この絶望の世界から この絶望の世界から
もうすぐ私はこの、絶望の世界から死んでいなくなるだろう
そして神のもとへ召されるのだ。

もうすぐ私はこの、絶望の世界から死んでいなくなるだろう。
この絶望の世界から この絶望の世界から
もうすぐ私はこの、絶望の世界から死んでいなくなるだろう。
そして神のもとへ召されるのだ


お母さんに会いたい!お母さんに会いたい!お母さんに会いたい!
神の御許へ・・・!


もうすぐ私はこの、絶望の世界から死んでいなくなるのだろう。
この絶望の、この絶望の世界から
神の御許へ・・・!

もはや、涙はとうに枯れ果てている
もはや、もはや、そうもはや! 涙は とうに枯れ果てているのだ!
もはや、涙は とうに枯れ果てている・・・

もうすぐ私はこの、絶望の世界から死んでいなくなるだろう
この絶望の世界から この絶望の世界から
もうすぐ私はこの、絶望の世界から死んでいなくなるだろう
そして神のもとへ召されるのだ

イエス様に会いに イエス様に会いに イエス様に会いに
神のもとへ召されるのだ
神の御許へ・・・!神の御許へ・・・!!


邦題は「もうすぐ私は終わりだ」なんですからねっ!
この「Soon-ah will be done」を訳した邦題は「もうすぐ終わる」が最も一般的です。「-ah」の部分を叫び声だと解釈して省いて「Soon will be done=もうすぐ終わる」となったのでしょう。
違う!それは違う!
この「-ah」は黒人達が白人の英語を見よう見まねで覚えた「黒人英語」というもので、これは「I=わたし」という意味です。つまり「Soon I will be done=もうすぐ私は終わりだ」が正解になるのです。 「もうすぐ私は終わりだ」と訳しているのもあるのですが、圧倒的に「もうすぐ終わる」とか、とにかく「ah=I」と解釈されて無い方が普及しています。違う!それは本当に違う!

この曲の大ファンとして私は、「ah=I」であり、邦題が「もうすぐ私は終わりだ」になることを、このページをもって声高にネット上に発信したいっ!
証拠があるので〜す!

じゃじゃーん!これがウィリアム・L・ドーソンという人が1934年に出版した原本です(もちろん画像のは再販に再販を重ねられたものですが、中身は同じ!)。最初に書いたとおり、このドーソンさんのこのスコアによって世界的に有名な合唱曲になりえたのです。これに「ah=I」だって書いてあるんですよ。

楽譜をめくってみると・・・

何か、Soon ahの左上に注釈の星印が付いていますよね?

この注釈を探してみると下のほうに・・・

ほら〜〜〜!!
ねー!わざわざ注釈までつけて、「ah=I」であると説明してあるではありませんか。決定的な証拠ですっ!
「もうすぐ終わる」よりも「もうすぐ私は終わりだ」の方が何かこう、ぐっときません?カッコイイと思いません?
この曲名の邦題は「もうすぐ私は終わりだ」でファイナルアンサー(古い)です。間違いないっ!



参考文献
・小川洋司著「深い河のかなたへ 黒人霊歌とその背景」(音楽之友社)
・北村崇郎著「ニグロ・スピリチュアル―黒人音楽のみなもと」(みずず書房)
・アンソニー・へイルハット著「ゴスペル・サウンド 改訂版」(ブルース・インターアクションズ)
・WILLIAM L..DAWSON「TUSKEGEE CHOIR SERIES "SOON-AH WILL BE DONE"」
 (NEIL A KLOS MUSIC COMPANY)

JASRACコード
069-3471-4


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