
1世紀ごろに作曲されたギリシャの歌で、1883年に発見された石版に刻まれていたものです。セイキロス スコリオンでキーワード検索してみると数件ヒットするように、発見されている楽譜の中では5本の指に入るほど古いもので、音楽史において大変重宝されています。このたったこの1曲のみでウィキペディアに掲載されている程です。
また、同じ最古の歌の部類に入るアポロ讃歌や太陽讃歌など(この2つも有名なものです)は神を讃えた歌ですが、このセイキロスのスコリオンは人間に向けて、しかも愛する妻の死を歌ったものです。
「相手を思う歌」としては、もしかしたらこれが世界最古の作品なのかもしれません。

生命かがやかしく、嘆きもしらねど、よろこびは束の間。時は容赦なく終わりをきざむ。
再生スイッチの横にある画像はこの歌が刻まれている石版そのもので、背景の画像は刻まれてある楽譜を紙面に写したものです。詩の上に小さく文字が記されて、ひとつひとつの音の高さを示しています。その上には棒や点が記してあり、これらは音の長さやアクセントを示しています。
これが古代ギリシャの楽譜の形式です。この古代ギリシャの楽譜は研究により、現代の楽譜に解読することが出来ます。その為、今の私達はこのようにMIDIで聞けたり、実際演奏することが出来るんですね。
…ただし、当時の音楽理論によると「古代ギリシャの音程は現代のものとかなり違っていた」という説がある為、本当にこの旋律が古代ギリシャで演奏されていたかどうか疑わしい部分もあります。
セイキロスが妻エウテルペの死をいたんだ墓碑の詩。
平安時代の俳句や短歌などを通して、愛する人への思いは今も昔も変わらないことを私達は知っていますが、それは2000年前も同じだったみたいですね。紀元1世紀らしい原始的な旋律の中にも、どこか抒情的な美しさを感じます。
皆川達夫著「合唱音楽の歴史」 全音楽譜出版社

管理人が個人的に「合唱曲紹介の神様」と崇めている皆川達夫さんの著書で、古代からの合唱のはじまりから20世紀の合唱音楽に至るまでの歴史を詳細に記述してあります。
膨大な資料と、音楽史研究に秀でた皆川達夫さんならではの確かな洞察、丁寧でまるで物語のように楽しく読むことができる語り口と、実際に合唱の演奏が楽しめる楽譜もかなりの数を掲載されているという、全500ページ。合唱愛好家にとってこの上ない、デラックスな本です。1965年に発行された本なのですが、大変な名著である為、重版に重版を重ねられ、今現在でも購入することができます。
このページの曲は、「合唱音楽の歴史」に楽譜付きで紹介されていた作品をMIDIに打ち込んでみたものです。勿論、「合唱音楽の歴史」を手に入れることにより、この作品を実際に演奏することも出来ます。
「合唱音楽の歴史」を手にとって読んだとき、こんな凄い本が世の中にあったのだと、目から鱗が落ちる思いでした。そして折角、珍しい数々の合唱曲が、楽譜ごと掲載されているのだから、これを是非合唱でYEAH!に取り入れて、MIDIでもいいから、実際に音を鳴らしてみたいと思ったのです(同志を募って実際に全曲演奏したりするのは大変なので…)。
掲載されている楽譜は(途中で楽譜が途切れているものを除いて)出来る限り、合唱でYEAH!で紹介したいと思います。
「セイキロスのスコリオン」は「合唱音楽の歴史」第1章「合唱のはじまり 古代のエジプト、ユダヤ、ギリシア」の項に掲載されていたものです。
※この曲の歌詞に関する著作権は、消滅しています。