
A FUNKY JAZZ BOX ALBUM COLLECTION
Tea For Two
| ここでは「Alone Together」とともにデュオのアルバムを紹介してゆきます。 私がドラムの勉強中ということもあって、ドラム+αもしくはドラムデュオという珍しい編成が中心になっています。ここでは「Alone〜」よりは比較的とっつきやすいものを集めました。 |
『percussion duets
』
Billy Martin & G. Calvin Weston
(95年 AMULET)
| personnnel: Billy Martin (drums,percussions and drummachine) |
G. Calvin Weston (drums,percussions) *John Medeski (prepared piano and toy piano) |
| 1. Hawaiian Eyes* 2. Baby Dodds Speaks 3. Top-Side City 4. Savannah 5. Migration 6. Drumming Toad 7. Malabe 8. Beatbox1 9. Baby Dods |
●: Baby Dodds' voice |
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このアルバムはテンポ・フリーの演奏はあんまりなくて、ファンクやアフロ・ビートにのせた即興という感じになっています。それも、交互にソロのスペースをとってその時もう片方は止めるかバッキングをするというのではなく、流れの中でこまめに相手の演奏に反応するという感じで、2人の音の重なり具合にも気配りが感じられます。それがこのアルバムの方針であり2人の主張だということなのでしょう。そのようなテンポ・拍子の制約がある中で、多彩な展開を見せてくれます。 それで驚きだったのは2人の音がよく似ていること。スネアの音が似てるのかな?実はもう1人のカルヴィン・ウェストンという方を知りませんでした。ちょうどその方の新録(『Layin' In The Cut 』/ジェイムズ・カーター:Atlanticよ、解説ものせてよ…写真(胸毛見え)はいいからさ〜)が出たので買って聴いてみた所、なんかビリー・マーティンに似てんなーと思いました。(←ごめん。今聴いたら別に似てないや。)力みのないスカスカ気味のいい感じのファンクです。テンパらずに聴けて永遠に踊っていられそう、という印象。 それで雑誌のレコ評やMMWサイトを読んでみると、オーネット・コールマンと一緒にやっていたそうです(またgのジェイムズ・ブラッド・ウルマーとよく一緒にやってる。あとラウンジリザーズとか)。と言われても私には『Virgin Beauty』かあ…聴いたことあるけど忘れた…よくわからないし(坂本龍一や渡辺香津美や梅津和時の後に聴いたってなあ…)という程度の認識しかありませんが、確かに記憶の印象と似ています。そうかそうか。そちらが先とわかってよかったです。サイトにはビリー・マーティンも一緒にツアーしたとも書いてあるのでその頃から親交を深めていたのでしょう。というかツインドラムだったのかな?それもありえるなあ…息合ってるもんなー。 アルバム55分で17曲。1分に満たない曲とサンプリングも入っています。ベイビー・ドッズ(戦前のジャズドラマー)のアナウンスはいいとしても、ドラムマシーンの曲は正直言って意味不明(笑)。でも合間に入ってくると和むのが不思議。1と11はMMWで一緒にやってるジョン・メデスキとのデュオです。プリペアド〜というのは、ピアノの中に何か仕込んだやつのことです。MMWのアルバムにもこういうのたまに入ってますね…でもビリー・マーティンのパーカッションとかメデスキさんのピアノとか、もっと素朴な感じです。彼は昔サンバの打楽器隊にいたそうだし、このアルバムでもアフロへのアプローチがかなり手慣れているように思えます。アフロと言っても何種類も雰囲気の違った曲があるので、その方面に興味がある方におすすめです。 |
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そのアルバムでも1曲ですが、デュオの演奏が入っています。ピアノのTut
Soperとやっているのが『Tea For Two』。この演奏が好きなので、このページの題名に使いました。1コーラス目はピアノのメロディにタップのようなリズムで合わせています。解説によるとなんと右足をタムの上にのせてピッチを変えているという。古い技なんだなあ…見てみたかったですな。そしてピアノソロになるとバスドラの頭打ちにスネアの標準的なスタイルにカウベルやウッドブロック(トライアングルやベルのような音も聴こえます)を混ぜたユーモラスな演奏になります。セッションだけあってかなり場当たり的でラフで、聴いてると楽しくて笑ってしまいます。この一曲だけ聴いたりするんですよね。 |
『Home Cookin'』
Susie Ibarra & Assif Tsahar
(98年 HOPSCOTCH RECORDS)
| personnnel: Susie Ibarra (ds,perc,clay whistle,vibes) |
Assif Tsahar (ts,bc,fl,vc,bamboo recorder,perc) |
1. Arival/Salutations 2. Dream Song #1 3. Ambrosia 4. Dream Song #2 5. Liquid Time 6. Dream Song #3 7. At Dawn 8. Dream Song #4 9. Happy Disillusion 10. Dream Song #5 11. What Is Not |
●:recorded at |
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スージー・イバラは70年生まれで、ピアノを習っていたが16歳からドラムを始める。17歳でジャズをやろうと思ったそうです。インタビューによると(全文はこちらからどうぞ。英語ですが…)、ロックとか4ビートとかひととおりやったそうなんですが、いまいちはまれなくて悩んでいた時にサン・ラを見て大感激したそうです…10代でサン・ラのライブが見れるなんてうらやましいことだ。そして大学で本格的にドラムやパーカッションを勉強(ミルフォード・グレイブスにも師事)し、さまざまな活動を経て96年にデビッド・S・ウェア(ts)のカルテットでデビュー。そこからデレク・ベイリー(g)とのデュオなどのソロ活動(discographyはここです)や、カルテットで一緒だったウィリアム・パーカー(b)のバンドなどに加わったり、また自分のバンドを始めたりしています。アシフさんともトリオでやってますね。今はデビッド・S・ウェアとは一緒にやってないようですが、彼女のトリオ(g,p&harp)はもうアルバムをこのHOPから出しています。自分でレーベルを持つっていいですね。 Dream Songはジャンベやバラフォン、親指ピアノやガムラン(おもちゃ)などがクレジットされていますが、スージー・イバラはドラムセットの時も同時にたくさんのパーカッションを使います。既にピアノの藤山裕子のバンドなどで来日ずみで、そのライブを新宿ピットインで見たのですが、セットのまわりに大量の鳴りものを並べて使っていました。フロアタムの近くにもうひとつハイハットスタンド(古道具屋にありそうな、彫りの入った小型のチャイナベルみたいなものを入れていました)を立てていたのを覚えています。ドラムセット自体は普通の3点セットです。シンバルもよくジャズで使うタイプの、ダークな音のライドとクラッシュでした。「Alone Together」でも彼女のアルバムを紹介していますが)、効果音以上のものとしてきちんとパーカッションを使う所に非常に共感します。 スタイルはオーソドックスなフリーフォーム(なんか矛盾してるかも…皮肉じゃないんだけどね)に中近東やアジア地域の楽器(中国の鉦とか)や民族音楽のリズムパターンを消化して使っています。彼女はアジア系(フィリピン)ですが、アメリカ生まれの2世という「距離感」がよく出ているんじゃないかと思います。例えばヴァイブもバラフォンも打楽器として一緒に使ってしまう(どっちも鍵盤だけどチューニングが違うはず)といった所にそれが現れてるんじゃないでしょうか。トルコや中近東方面はNYの流行とか(アシフさんの影響かな)あると思うんですが、それに加えて東南アジアの楽器を使ったりして、何というか、全体的に若干「気温が高い」雰囲気があるのも南国育ちの私にはたまらない所です。線は細いけど充分にコントロールされて、緊迫感から癒しまでさまざまな感覚を誘ってくる。しかもすべてポシティブな。 また独特のグルーブ感があって、特に9や17の最初のような民族音楽のリズムパターンを使う時の解釈が変わってて、すごく複雑なものになっているんだけど、あんまり違和感なく聴けてしまう。(というかそういうものがあることを私が知らないだけかも…。)オーガニックとはこういうことなのかなと思います。一緒にやっているアシフさんの音の軽さもちょうど合っている。Dream
Songもタイミング合いすぎてこわいほど(合ってる瞬間を選んだんだろうけどね)です。 |
『Eleven Ghosts』
Myla Melford & Han Bennink
(94年 hatlogy)
| personnel: Myla Melford (p) |
Han Bennink (ds) |
1. The First Mess 2. How Long Blues 3. Frank Goes To 4. Another Mess 5. Which Way Is That? 6. Three Ghosts |
7. Some
Relief ●:old standard tune |
『Duet For Eric
Dolphy』
高瀬アキ & Rudi Mahall
(97年 enja)
| personnel: 高瀬アキ (p) |
Rudi Mahall (b-cl) |
1. 17 West 2. 245 3. Hat And Beard 4. I'm Confessin' 5. Something Sweet, Something Tender 6. A Chotto Matte 7. Les 8. Gazzeloni |
9. Serene ●:standard and AKI's tune |
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高瀬さんのソロは両手のうちわでばたばたたたき出す所から始まりました。そういう茶目っ気が随所で見られる一方で、一つ一つの音が硬い石柱のように明晰に立ち上がってゆく。あんまりペダルを踏まないで一つ一つの「打鍵」(やっぱりこの言い方じゃないとという気がする)に賭けてる感じが好きです。ストライドがすごいすてき。スタンダードの解釈の仕方や自作曲などがすごくしっかり構築されていて(特にコードボイシングといった垂直方向に)、安易に流れない生真面目さと即興の気ままさが共存している。オードソックスでちょっと野暮ったい感じもする伊藤さんとの組み合わせがなぜか悪くない。歌伴もアグレッシブだけど。気のおけない友だちと、台所でご飯とかおやつ作って食べながらおしゃべりしてるみたいですね。効果で使うものがピンポン玉とかアルミのプリン型っていうのも気さくないい感じ。難解ながら敷き居が低いという不思議なライブでした。ここで全て書けないけどいろいろ考えさせられましたね。(今年の夏のライブのレビューはこちらです。) このアルバムにもそういう「難解なのになぜか親しみやすい」空気が広がっています。なんでだろう…エリック・ドルフィーなのに。しかも『Out To Lunch』の曲(3・5・8・11)は順番もまんまだ。そういえば『Out 〜』はピアノが無くて2管にヴァイブという編成。初心者でいきなり聴くと気分悪くなっちゃうようなインパクトがあるんだけど、そこをうまくピアノ(とサックス)に移しかえている。全体的にモンクっぽいのがむしろいいのかもしれない。昔のジャズのサウンドにうまく溶け込んでいる。ドルフィーの曲もブルージーになるもんだなあと思います。もともと持ってるブルージーさをもっと素直に聴けるように引き出しているのがすごい。 特にピアノ・ソロの13はこの上なくエグいメロディのテーマなのに、そういうエグさを隠さずに(というのがポイント)デリケートな美しさが加えられている。私がいちばん好きなのは2ですが、ああ、そういう曲だったよね!と膝をたたくような感情が起こる。クラリネットがブルースハープに聴こえてきますね。そういう叙情性と一緒に3やオリジナルのリズミックさや、単純なしかけの遊びも盛り込まれている。3のベースリフをずっと続けている所に関係なくソロのフレーズが周りを走り回ってるような演出(たぶん技術的にすごい難しいと思う)がおもしろいです。オリジナルはどれもポップ?というかリズムが楽しめる(題名もかなり遊んでますねー)。それで1曲が最高でも4分とすっきり短い所もいいと思う。11なんかひと息で吹き切ってるという感じ。派手さはないけどはったりもなく、肩の力が抜けているけど本気で遊んでいるというセッションです。こんなふうにできると楽しいでしょうね。 |