Adai-Adai アダイアダイ <音楽・踊り>
漁師の歌から発展したという踊り・音楽で、サバ州南西ムンバクット(Membakut)に伝わる。男女のダンサーが漁の動作を演じ踊る。伴奏にはガンブスと小型太鼓のコンパンが使われる。結婚式などの祭事で披露される。
Angalang アンガラン <音楽・踊り>
サバ州のムルット族の踊り・音楽で、従来は首狩りの成功を祝う儀式のために行われていたが、現在は結婚式などでも披露される。戦士役である男性1人がマヒヒアラン(Mahihialang)というダンスを踊るのに合わせ、女性たちがアンガランを踊る。鳥の羽がついた帽子をかぶり、男性はガヤン(Gayang)という刀を振り回し、女性たちはリンプル(Limpur)という衣装を着て踊る。伴奏には通常、6つの大型ゴングや竹製のタグンガック(Tagunggak)、タンボル(Tambor)などの打楽器が使われる。
Asli アスリ <音楽・踊り>
マレー独自の音楽/踊りという意味で、アスリ(オリジナル)と呼ばれる。ゆったりとしたスローテンポで、打楽器が3連符を交えたシンコペーションのリズムを刻む。ダンスもシンプルかつ優雅な動きが特徴。
Berendoi ブルンドイ <音楽・踊り>
出生7日目の子どもの髪を剃るイスラムの儀式で、複数の歌い手により歌われる歌。マレー半島北西部のプルリス州が有名。
Bertitik ブルティティック <音楽・踊り>
Limbaiの項を参照。
Bolak-Bolak ボラック・ボラック <音楽・踊り>
サバ州東海岸のバジャウ族の踊り・音楽。もともと結婚式で新郎を新婦の家族に披露する儀式で行われ、ダンサーは手に持ったカスタネットを叩いてリズムを鳴らす。伴奏には、9つの小型ゴングをセットしたクリンタンガン(Kulintangan)や大型のゴング、太鼓などが使われる。
Canggung チャングン <音楽・踊り>
タイと国境を接するマレー半島北部のプルリス州で生まれたとされるマレー半島北部のダンス/音楽。バイオリンやゴング、2組のルバナ、グンダンなどで伴奏される。結婚式などの祭典で演奏されることが多い。チャングンという呼び名は、「踊り子たち」というタイ語が語源といわれる。
Dabus ダブス <音楽・踊り>
アッラーや預言者ムハンマド、聖戦に参加した戦士らを讃える歌。ルバナなどの打楽器による伴奏がつく。
Daling-Daling ダリンダリン <音楽・踊り>
サバ州東海岸に住むスルック族の踊り・音楽。語源は英語のダーリン(Darling)とされる。男女がペアになって踊る。ガバン(Gabang)という木製ガムランとバイオリンの伴奏に、独唱や合唱がつくこともある。
Dangdut ダンドゥット <音楽・踊り>
インドネシア生まれの現代ダンス歌謡。インドやアラブなどの影響を受けた大衆音楽の楽団オルケス・ムラユ(直訳すれば"マレー・オーケストラ")のサウンドをベースに、60年代後半、後に「ダンドゥット王」と呼ばれるようになったロマ・イラマらがロックなどの要素を新たに加えて基本的なスタイルを確立した。楽器編成はグンダン(2組の太鼓)、スリン(スルリン=竹笛)、エレキギター、マンドリン、エレキベース、キーボードなど。マレーシアでは、グンダンの代わりにタブラがよく使われる。
Dansa ダンサ <音楽・踊り>
マレー語で「ダンス」(主に西洋風の踊り)を意味する言葉だが、東マレーシア(ボルネオ島)・サバ州東海岸ラハッド・ダトゥ(Lahad Datu)のココス島に同名の独特な踊り・音楽がある。通常は結婚式や祭事などで、バイオリンの伴奏に合わせて3組の男女が足を踏み鳴らすようにして踊る。
Dikir Barat ディキル・バラット/ディキール・バラット <音楽・踊り>
通称はディキル。コール&レスポンス式の掛け合いにより歌われる。マレー半島北東部のクランタン州で生まれたとされ、この地域の方言が使われることが多い。通常は男性だけが参加し、「トゥカン・カルット(tukang karut)」と呼ばれるリーダーが歌う即興の詞を、10人以上のグループがリピートする形が一般的。
ディキルの原形は楽器を使わず、手拍子でリズムを取っていたようだが、最近ではルバナやゴングなどの打楽器の伴奏がつくのが通常になった。クランタン州には敬けんなムスリム(イスラム教徒)が多いとされるが、現代のディキルでは宗教的な事柄よりも政治・社会問題がテーマに使われることが多い。テレビなどではしばしば、コミカルな詞で観客を笑わすディキル・グループの姿が見れる。
Dondang Sayang ドンダン・サヤン <音楽・踊り>
15世紀にマラッカで生まれたという恋愛バラード/ダンス。バイオリンとゴング、ルバナなどのシンプルな編成の伴奏をバックに、男性と女性が掛け合いで歌うのが最もポピュラーだが、最近ではアコーディオンや他の打楽器が入ることも多い。
イントロとエンディングには、バイオリンによるお決まりのフレーズが入る。もともとスローテンポの曲が多かったドンダン・サヤンだが、近年はジョゲットを取り入れたバージョンも盛ん。このほかにもロック風、サンバ風といった変型ドンダン・サヤンもある。
Ghazal ガザル <音楽・踊り>
ペルシャとインド/パキスタンやペルシャが起源とされる音楽だが、19世紀中頃にスマトラ島リアウを経由してマレー半島に伝来したという説もある。本来のガザルはウルドゥ語で恋愛叙情詩を指す。
マレーシアで独自発展したガザルはジョホールのものが最も有名だが、マレー半島西海岸一帯で演奏されている。タブラやハルモニウム、バイオリン、ガンブスの伴奏で女性または男性が歌うのが一般的だが、最近のガザル・バンドはマンドリンやギター、アコーディオン、シンセサイザーなども使う。
北インド式のガザルは、マレーシアでもインド系コミュニティの間で演奏されている。
Hadrah ハドラ <音楽・踊り>
アッラーや預言者ムハンマド、聖戦に参加した戦士らを讃える歌。コンパンや小型のルバナなどの打楽器による伴奏がつく
Inang イナン <音楽・踊り>
マラッカ王朝時代に社交ダンス用として広まった音楽だったが、ムラユ音楽を代表するリズムに発展。歩くようなステップが特徴的なダンスは、’Tarian Si Kembang cinta’(シ・クンバン・チンタの踊り)との別名がついている。
伝統的なスタイルではルバナとバイオリン、グンダンなどの伴奏がつく。リズムのアクセント位置の共通性から、ダンドゥットの原形の1つともいわれる。
Joget ジョゲット/ジョゲ <音楽・踊り>
マレーシア全土で盛んなダンス音楽で、芸術・文化祭や結婚式などで演奏されることが多い。歌入りのものはronggeng(ロンゲン)とも呼ぶ。ポルトガル起源のダンス音楽branyo(ブラニョ)が前身で、もともとはポルトガル語で歌われていたという。
現在ではルバナとゴングが刻む速く跳ねるリズムにアコーディオンやバイオリンの伴奏が入るスタイルが一般的。足と手の動きが特徴的な踊りは、地位や階層などを超えた国民的社交ダンスとしても広まった。ムスリムのお祭り「ハリラヤ・アイディルフィトリ(Hari Raya Aidilfitri=断食明け大祭)」の歌にも、このリズムが使われたものが多い。
Kasidah カシダ/カシーダ <音楽・踊り>
Qasidahの項を参照。
Keroncong クロンチョン <音楽・踊り>
ポルトガル人の音楽の影響を受け、ジャワ島で16世紀に生まれた大衆音楽。マレー半島にも早くから伝わっていたらしく、現在も広く親しまれている。楽器編成は、ウクレレに似た小型のクロンチョン・ギターが2本と生ギター、フルート、バイオリン、チェロ、ダブルベースというのが現在の一般的スタイル。マレーシアにもクロンチョン楽団がいくつか存在するが、本家インドネシアの楽団との相違点はほとんどない。
Kuda Pasu クダ・パス <音楽・踊り>
サバ州に住むバジャウ族の踊り・音楽の一つ。もともとは騎手が踊っていたが、現在は、新郎が新婦の家に入る儀式で、付き添いの男女のダンサーが踊ることが多い。伴奏の音楽はティガッド・ティガッド(Tigad-Tigad)と呼ばれる。
Liliput リリプット <音楽・踊り>
サバ州ボーフォートなどに住むビサヤ族の踊りで、悪霊に取りつかれた人から悪の魂を取り除くために行われる。
Limbai リンバイ <音楽・踊り>
サバ州西海岸のコタブルッド(Kota Belud)に住むバジャウ族の踊りで、結婚式などで披露される。手首を回転させる動作が特徴。3、4組の男女が互いに輪を作り、女性が座ると男性はその後ろに立つ。伴奏の音楽はブルティティック(Bertitik)と呼ばれ、9つの小型ゴングをセットしたクリンタンガン(Kulintangan)や両面太鼓のガンダン(Gandang)などの打楽器が使われる。
Magunatip マグナティップ <音楽・踊り>
サバ州のカザダン族やクウィジャウ族、ムルット族などの有名なダンス・音楽。複数の竹ざおを叩き合わせて鳴らすリズムに合わせて竹ざおの間を跳び越えながら踊る。
Masri マスリ <音楽・踊り>
アラブ起源と思われるダンス/リズムだが、比較的近代に形が作られたという。打楽器が刻む"ドタンタ・ドンタ"というビートが特徴。ダンスはマスリ・クルチン(Masri Kercing)とも呼ばれ、アラブ風の衣装を身に付けた女性が数人で踊ることが多い。
Menangkuk Piring ムナンクック・ピリン <音楽・踊り>
サバ州北部のコタマルドゥ(Kota Marudu)に住むカザダン族の踊り・音楽で、結婚式などで披露される。手に皿を持って踊るのが特徴で、皿を落とすと縁起が悪いとされる。皿の真ん中に蝋燭(ろうそく)を乗せて踊ることもある。
Mongigol Sumundai モンギゴル・スムンダイ <音楽・踊り>
サバ州のクダットやピタスに住むルングス族の踊り・音楽。1人の男性ダンサーに3〜8人の女性ダンサーが付き添って踊る。伴奏には通常、4つのゴングとトントッグ(Tontog)という太鼓が使われる。
Mongigol Tuaran モンギゴル・トゥアラン <音楽・踊り>
Sumayauの項を参照。
Nasyid ナシッド/ナシド <音楽・踊り>
イスラムの教えを歌う宗教歌謡の一つ。通常は複数の歌手からなるグループにより歌われる。シンセサイザーなどの現代楽器が使われる新しいものは、“ポップ・ナシッド”とも呼ばれる。
Ngajat ンガジャット <音楽・踊り>
東マレーシア・サラワク州の少数民族(イバン族、カヤン族、ビダユ族など)の間に伝わるダンス/音楽。16世紀ごろからイバン族が戦いの勝利を祝うために踊っていたといわれるが、現在は主に収穫祭や訪問者の歓迎などの機会にこの踊りが披露される。演奏には大小のゴングなどの打楽器が使われ、男性は大きな羽を添えた冠や刀と楯(たて)などを身に付け、跳躍を交えて踊る。
Paina パイナ <音楽・踊り>
サバ州のカダザン族の踊り・音楽の一つで、収穫祭や感謝祭などで男女の踊り手が披露する。手の動きが特徴的な男性の踊りに対して、女性は足の動作で応える。
Rodat ロダット <音楽・踊り>
アラブ起源の宗教合唱の一つ。タール(Tar)と呼ばれる小型のルバナによる伴奏がつく。歌詞は通常アラビア語で、踊りながら歌われる。
Qasidah カシダ/カシーダ <音楽・踊り>
イスラムの教えを詩にしたもの、またそれを歌う音楽。アラビア語で歌われることが多い。演奏にガンブスというアラブ系の楽器が使われることが多いため、インドネシアでは“ガンブス”(Gambus)とも呼ばれる。
Sumayau (Mongigol Tuaran) スマヤウ(モンギゴル・トゥアラン) <音楽・踊り>
サバ州に住むロトッド族の踊り・音楽で、人の頭蓋骨に宿る魂に捧げるルマハ(Rumaha)という儀式などで披露される。複数の男女が踊る。女性は赤い羽根がついたバンドを頭に巻き、男性はシガル(Sigar)という巻物を被る。ゴングや太鼓の伴奏に合わせて、男性は衣装についた振鈴(しんれい)を鳴らす。
Sumazau Papar スマザウ・パパル <音楽・踊り>
サバ州西海岸パパルに伝わる踊り・音楽で、男女のダンサーが披露する。女性はスナウンドゥン(Senaundung)という帽子を被り、男性はシガルという巻物を頭につけ、サンダイ(Sandai)というスカーフをまとう。
Sumazau Penampang スマザウ・プナンパン <音楽・踊り>
サバ州のカザダン族の踊り・音楽の一つで、男女のペアが踊る。伴奏は、6つのゴングと太鼓からなる合奏ソンポゴグンガン(Sompogogungan)という音楽。
Tarirai タリライ <音楽・踊り>
サバ州東海岸に住むバジャウ族の踊り・音楽で、「貝殻を探し旅する人々」をテーマにした神話が基になっている。
Tigad-Tigad ティガッド・ティガッド <音楽・踊り>
Kuda Pasuの項を参照。
Titikas ティティカス <音楽・踊り>
サバ州サンダカンのキナバタンガンに住むオラン・スンガイの踊り・音楽。インキインキ(Ingki-Ingki)という遊びをモチーフにしたダンスで、木製ガムランのガバン(Gabang)、カントゥン(Kantung)という大型ゴングなどの伴奏がつく。
Zapin ザピン/ザッピン <音楽・踊り>
ペルシャ起源とされるダンス音楽。現在では、打楽器群に加え、ガンブスやアコーディオンの伴奏が入ることが多い。元来は結婚式などで演奏されることが多かったが、いまは観光客向けのイベントでも欠かせない存在。現代的なシンコペーション・リズムのためか、最近の伝統系ポップスにも盛んに導入されている。ダンスは、足のステップの動きが多いのが特徴。