♪♪ ローター・コッホの小部屋 ♪♪       - Last Updated 010330 -

みんなのアイドル、みんなのスーパースター。
あんまりみんなが好きだからたくさん紹介したくなくなっちゃいますが、 僕も大好きです。(でも、数年前、久しぶりの大学オケで現役メンバーと 話をしていたら、コッホをあまり知らない人が多くて大ショックでした。
カラヤンの黄金時代を支えたオーボエ吹きで、体中を揺り動かして ヴィブラートをかける姿、そしてそこからわき出る丸くてごつい音色、 朗々としたソロ(そしてちょっぴりもさっとしたスタッカート)... 今のベルリン・フィルからは完全に失われた遺産かも知れません。
北京公演で、飛行機のタラップがはずれ、落下事故に遭った後(同時にこのころはアル中の絶頂期だったらしいですが)衰えが目立ち始め音も変わったように思えます。

余談ですが、ショートスクレープのとっても分厚いリードを吹いていると聞き、学生時代(いや社会人になってからも発作的に)重〜いリードを口、のど、おなかで目一杯ヴィブラートかけて無理して吹きたくなるのはなぜなのでしょう?

楽器についてですが、
・ずいぶん若いころはグレッセル(ドイツの今はなきオーボエメーカー)

・全盛期は、上管と中・下管をそれぞれグレッセル/ピュヒナーの
組み合わせ(変わったことしていたものですね)
90年あたりに楽器屋さんで聞いた話では、今はマリゴーだよ、 ということでした。

【ねほりんのおすすめ】
R.シュトラウス 「オーボエ協奏曲」(D Grammophon)

カラヤン・ベルリンフィルを従えての堂々のソロは、R.シュトラウスがモーツァルトをイメージして書いた曲だということは置いておいて、とにかくコッホ自らの「英雄の生涯」といった、唯一無二の素晴らしい演奏。
特筆すべき点は、何と言ってもレガートが本当に素晴らしい!オケの中のソロはどちらかというとちょっと堅物的に聞こえるときもありますが、ここでの音楽は、まさにワーグナー、R.シュトラウスの際限なき無限旋律的なフレーズがとにかくずっとずっとつながって聞こえ、これが演奏のスケールの大きさをより一層引き出しているのではないかと思います。

確か随分前に出版された、同じくベルリン・フィルの超人クラリネット吹きの カール・ライスターの自叙伝の中で、ライスターのベルリンフィルでのもっとも 印象深い演奏のひとつとして、カラヤン指揮、コッホがソリストの R.シュトラウスの協奏曲をあげていたと記憶しています。 レコードも持っていましたが、このCDは我が家でもっとも針、いやレーザー光線を当てた一枚かも知れません。


マルチェッロその他 「オーボエ協奏曲」(RCA)

ホリガーや宮本さんの演奏を聞き慣れていて、これを初めて聞いたとき、何ともごつごつした、でもまじめな演奏だな、という印象を持ちました。

モーツァルト:オーボエ協奏曲 カラヤンBPO(EMI)
モーツァルト:オーボエ四重奏曲 アマデウスSQ(D Grammophon)
モーツァルト:オーボエ四重奏曲 ブランディスSQ(Ninbus)
モーツァルト:オーボエ協奏曲 カラヤンBPO(EMI)
モーツァルト:セレナーデ第10番「グラン・パルティータ」 ベーム指揮 ベルリンフィル管楽アンサンブル(D Grammophon)
モーツァルト:セレナーデ第10番「グラン・パルティータ」 ベルリンフィル管楽アンサンブル(D Grammophon)
ダンツィ・ライヒャ・シュターミッツ 木管五(四)重奏曲: ベルリンフィル木管五重奏団(D Grammophon)
モーツァルト:ディヴェルティメント第11番ベルリン・ゾリステン(コロムビア)
モーツァルト、ベートーヴェン:木管とピアノの五重奏曲 ベルリンフィル管楽ゾリステン (Denon)
J.S.バッハ:カンタータ BWV159 カール・フォルスター指揮ベルリンフィル(EMI)

(以上、解説はこれから)

その他 オケの中での圧倒的な演奏
ブラームス:Vn協奏曲 メニューヒン(Vn) ケンペ指揮BPO (1957)
R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」、サロメより7つのヴェールの踊り他 ベーム指揮BPO(1963)
他おもいっきりたくさん...


<ねほりん>
コッホの音色(吹き方)って、編成・曲・録音でずいぶん違うと思います。
私的に気に入っているコッホの音は、
オケ:
 メニューイン/ケンペBPOのブラームスVn協奏曲('57?)
  ⇒勇壮、太いがちょっとドライな音、少しゆったりして振幅の大きいヴィブラート
 ベームBPOのシューベルト「ロザムンデ序曲」('70あたり?)
  ⇒ウェット、割合速いヴィブラート
アンサンブル:
 ダンツィ、ライヒャの五重奏('70あたりだったっけ)
  ⇒これは割合オケっぽいところをそのままアンサンブルに持ち込んだ感じ?
 モーツァルト ディヴェルティメント第11番('69)
  ⇒他よりも一番「丸く、暖かい」音に感じられ、私的にはこのアルバムのコッホの音が
   大好きです。ヴィブラートは浅く速く控えめです。
不器用とは決して思いませんが、概してアンサンブルでは小回りが効かなさそうにきこえたり
します。やっぱ独逸ヲーボエだからなんでしょうかねえ...


<ぶろーしゃさん>
確か、大学2年の時だったと思いますが、先輩が教えてくれた
LPでモーツァルトの協奏曲を初めて聞き、そりゃあ、おったまげ
ました。その日は5回くらい通して聞いたのを良く覚えています。
1楽章ソロの出だしの所、コッホ独特のルバートにあのCのロングトーン!
まさに、私にとっての「オーボエの音」のイメージは、その瞬間に
出来上がったのです。
DIvertimentNr.11もいいですね。この演奏もレコードで持っていましたが、
日本限定のCDも早速GETして楽しんでいます。
でんかさんの友人さんの話を読んで思いましたが、
コッホの凄さって、やはりオーボエを自分で吹く人でないと良く分からない
のかも知れません。あのDivertiment 11番だって、一般の批評家は
オーボエのことには一言もふれずに、ごちゃゴちゃ意味不明な
能書きを垂れているだけです。
私の場合も、高校生の頃からオケ曲を中心に聞いて
いましたが、やはり自分でオーボエを始めて2年くらいするまでは、
オーボエの音のイメージ自体がなく、全体的になんとなく演奏が
気に入ればどこのオケでもいいと思っていたので良くわかります。 
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ヲーボエの歴史は、実は戦後経済の発展史と驚くほど一致しています。
60、70年代は、まさにヲーボエの最盛期でしたが、その頃は、日独
をはじめとした西側諸国が最も上り坂にあった時期でもあります。

その時代を支えた奏者は、コッホを皮切りにここ10年でほとんど
引退し、ついにWangenheim氏も引退することになりました。
きっと、後釜には国際派奏者が入ることでしょう。
80年にクレメントが出てから、これで総入れ換えになります。

私見では、今の若者が音楽に限らず、軽くて調子良いものを求めるのは、
将来に対する大きな不安の裏返しであり、楽観的に考えないと生きていけない
時代を反映していると思います。
私は30代後半に入ったところですが、高度成長期に子供時代をすごした
世代であり、今20歳前後の世代とは、育った社会背景が大きく異なります。
そのことから、ヲーボエマニアがある程度上の世代に集中しているのも
理解できます。

伝統ヲーボエは、多くの伝統的なものと同じく、いくら価値があるものでも
経済活動に乗らなければ廃れていく運命にあるのは明らかです。
これは、多数派の価値観が変われば仕方がないことです。
だからこそ、その価値を理解する少数の者が、その良さを後世に伝えていく
使命があると思います。
私は、今後も国際派奏者にはわき目もふらず、伝統ヲーボエの継承に
力を尽くそうと考えています。
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コッホはオケ奏者として数多くの録音があり、
その大半で素晴らしい音色を堪能させてくれるので、録音が少ない
などと嘆くことはないかも知れません。
ひとつ残念なのは、最盛期の録音がほとんどカラヤンとのもの
だということです。
もちろんカラヤンとの共演にも素晴らしいものがあり、
私の一番のお気に入りはBrucknerの9番です。
あと、コッホファンに絶対に聞いてもらいたいのが、
ロッシーニの「絹のはしご」序曲。これは凄いです。
今日も、昨日仕入れたばかりのベームBPOのベト7(58年録音)
のLPを聞いています。ヲーボエはシュタインスですが、
透明感のある音色はやはりコッホと双璧で、実にすばらしい
ものがあります。
静電気を完全除去できる洗浄液を使うと、状態の良い
LPならほぼノイズなしで聴くことが出来、マスタリングの
悪いCDよりも良い音がします。
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でんかさん、私の好きな話題に振っていただきありがとうございます。
協奏曲1つ目は、有名なカラヤンとの共演ですね。
この演奏は私が最も多く聞いたCDだと思います。隅々まで覚えており、
ここでのコッホの吹き方が自分の演奏の規範にもなっています。
コッホというとまずこの演奏が思い浮かぶほどに、まさに超人的としか
言いようのない、完璧な名演だと思います。
この録音だけで、今世紀最高のヲーボエ奏者の名は永遠に
レコード史に残ることでしょう。
(ねほりんさんのコッホの紹介にこの演奏が出ていないのが以前から気になって
いました。この演奏はお嫌いですか?)
2つ目の演奏をご存知とは、さすがでんかさんですね!!
これはEMIエレクトローラでドイツ国内向けにCD化されたもので、私は日本の
CDショップで見かけたことがありません。
コッホの吹き振りなのですが、録音のせいか音が乾いており、また
テンポもせかせかして今一歩です。

コッホのモーツァルトでもう一つの完璧な名演は、オーボエ四重奏です。
これも、65年頃のブランディスとの共演と75年のアマデウス四重奏団
との共演がありますが、前者はCD化されていないはずです。
75年の演奏の方が流麗さが増しており、CDで入手できるのでおすすめです。
これは、上記の協奏曲に匹敵するほどの完璧な名演です。
この二枚だけで、コッホという人が全盛期にいかに超人的な素晴らしい
演奏をしていたかが十分に分かります。
この2曲とシュトラウスの協奏曲はヲーボエの三大作品であり、
それらの演奏で他の奏者をを全く寄せ付けない録音を
残したコッホは、やはりヲーボエの神様の名にふさわしいと思います。
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古典派音楽におけるヲーボエの位置付けは、それ以後
の音楽におけるそれとは大きく異なっています。
例えば、ベームBPOのMOzart初期交響曲を聞いてみましょう。
tuttiで厚みのある弦楽器に、コッホやシュタインスの
ヲーボエによるかっちりとしたロングトーンが相まって、
あの安定感あるオケの響きが生み出されます。
現代高機能奏者の音では、こうした響きは
決して得られません。
つまり、独逸ヲーボエにとってヲーボエの音とは、
オケの響きの核をなすべきものであり、そこに
全身全霊を注ぎ込むのは当然のことなのです。
また、こうした奏法を実践する人にとって、ビブラートとは
音色の一部であるので、常にばりばりにかかっている
必要があります。つまり、ノンビブラートの音は
ヲーボエの音としてありえないものなのです。
このことが感覚的に理解でき、また重要だと感じる人が、
正統独逸ヲーボエの支持者になるのでしょう。
つまり、彼らにとってヲーボエの「ぱぱーん」が聞こえなかったら、
オケの音として何の魅力もないものに感じるのです。
きっとアメリカ系の奏者にもこの辺の感覚は理解しがたい
ものなのでしょうね。


<でんかさん>
嫌いな人もいるとは思いますが、あれだけオーボエのイメージを変えた演奏は、かなり画期的だったのではないでしょうか。初めてコッホを友人の家で聞いたとき、その友人は「なんかこもってて変な音だよ」と言ってました。でもそれを聴いたとき「こりゃぁぶったまげた!」という印象でした。どうやったらあんな音が出るのか皆目見当もつきませんでした。ノーベル賞をあげたいくらいです。強いて贅沢を言えば1楽章のカデンツアに入るときの露骨な音のつなぎ方は何とかならなかったのでしょうかね。真似することが必ずしもいいとは思いませんが(何度もしようとして挫折(^^ゞ)、彼のような音でのこの曲の録音を入れたものを聞いたことがないのはなぜなのでしょうね。同じは無理としても似た人がいてもいいと思うんだけど・・・ってこれがヲーボエの醍醐味でしょうけどね。


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