ANOREXIA NERVOSA
Interview with RMS Hreidmarr (Vocals)
聞き手・対訳:Sataness
Updated on 2000/3/29

まずはANOREXIA NERVOSAについてよく知らない人達の為に、簡単にバンドの歴史について話して頂けますか? 貴方方はフランス出身で…
Hreidmarr:うんそうだよ。 俺達は1995年に結成されたんだ。 結成当時のラインナップはStefan Bayle (guitar)、Pierre Couquet (bass)、 Nilcas Vant (drums)、 Marc Zabe (guitar) 、Stephane Gerbaud (vocals)という5人組だった。 1200本以上売れたファースト・デモテープ"Nihil Negativum"を出した後、 1997年の10月にフランスのローカル・レーベルSeasons Of Mistから"Exile"というタイトルのデビュー・フルアルバムを発表した。 この"Exile"は徹底したコンセプト・アルバムで、音楽的にはインダストリアル、メタル、ゴシックを融合させ、ニヒリズムに究極の狂気、そして存在の否定について歌っている。 この作品は実験的な要素の集大成といってもいいだろう。 しかし、これは同時にバンド内部での痛い人間関係のもつれを表してもいるんだ。 メンバーはお互いの言動にとても敏感だったんだ… そんな緊張感の中で生み出された作品だからその狂気は決して偽じゃないよ。 それで結局後にStephane GerbaudとMarc Zabeがバンドを辞めさせられたんだ。
彼ら2人が抜けた後しばらくの間、バンドは後任者探し、そしてバンドの音楽的なアイデンティティーは何かを再確認することにとにかく一生懸命だった。 そんな時を経て、Neb Xort (シンセ、ストリングス、オーケストレーション) と俺が加入して、ミニアルバム"Sodomizing the Archedangel"をレコーディングしたんだ。 このミニアルバムはOsmose Productionsからリリースされていて、音楽的には前作よりもっとメタルっぽさとオーケストラ風味を加担させている。 俺達の存在を今まで以上にアピールし、他の軟弱なバンド達を蹴落とし、世界の頂点に立つ為の宣戦布告としてこのミニアルバムをリリースしたんだ!!

なぜ1stアルバム1枚出しただけで、Season Of MistからOsmoseへ移籍したのですか?
Hreidmarr:Season Of Mistはとにかくプロフェッショナルじゃなかったし、最悪のレーベルだった。 レーベルの社長との約束とは裏腹に俺達は一度だって印税をもらってないんだ!! アルバムをプロモーションする為のツアーすら組んでもらえなかったし、本当にサポートなんて皆無だった。 正しくあの社長は最低最悪野郎だ!! MAYHEMがあのレーベルと契約したなんて本当に驚きだよ!!
だからSeason Of Mistを離れてOsmoseと契約したんだ。 Osmoseを選んだ理由は、彼らはとても献身的で正直なレーベルだし、一番良いサポートを得られるからだよ。 社長のHerveとOsmoseがこの数年間シーンに貢献し続けてきた事に対しては本当に頭が上がらないよ。 俺達は今はOsmoseの一員であることを非常に誇りに思っている。 本当に素晴らしいことだよ!!

Hreidmarr、実際には貴方はいつバンドに加入したんですか? 貴方の音楽的な経歴を教えて下さい。
Hreidmarr:俺がこの"ANOREXIA NERVOSA ニヒリスティック・オーケストラ"に加入したのは1998年の11月のことだ。 俺は1993年頃からエクストリーム・メタルの世界に入り、ANOREXIA NERVOSA加入前にはMALVELIANCE (シンフォニック・ブラック/デス)、 MY DARKEST DREAM (ゴシック・ブラック)、COUNT NOSFERATU (ブルータル・ウォー・メタル) といったバンドで活動していた。 COUNT NOSFERATUでは今でも俺は歌ってるよ。
ANOREXIA NERVOSA加入のきっかけは、俺がまだMY DARKEST DREAMに在籍してた頃にさかのぼる。 1998年の6月か7月に、MY DARKEST DREAMANOREXIA NERVOSAが所有するスタジオDrudenhausでミニ・アルバムをレコーデイングしていたんだ。 そこでStefanが俺の声と曲中での声の使い分け方をとても気に入ってくれたんだ。 その数ヶ月後、彼は俺のところに電話をしてきて、ANOREXIA NERVOSAに入らないか誘ってきたわけ。 俺はもちろん快諾したよ。

貴方とNeb Xortが加入してバンドの音で変わった点は何ですか?
Hreidmarr:俺が思うに俺達2人が加入する前からバンドは音の方向性は変えてはいたんだろうけど… それでもNebのキーボードは曲のシンフォニックな面を増強してくれたね。 Nebのシンセの使い方は本当に荘厳でユニークだ。 Nebみたいに弾ける奴は他にいないから、俺達の音楽はオーケストラルで仰々しいんだ。 まるで本物のオーケストラみたいにね。
そして俺はもっと暗くてブルータルな部分をバンドに持ちこんだんだ。 俺の強暴でひねったヴォーカルと歌詞でね…

ここ日本では貴方方の音楽を 「CRADLE OF FILTHをもっとアバンギャルド(前衛的)にシアトリカルにした感じ」 というように紹介していることが多い様ですが、如何でしょうか? ここ日本ではCRADLE OF FILTHが比較対象として提示されるようですが…
Hreidmarr:うん、こちらでもCRADLE OF FILTHはよく引き合いに出されているよ。 でも俺としては全然そうは思わないし、彼らと比べるなんてとても浅薄だよ。 …でも言われてみれば確かにそうだね、俺達はシンセを使い高域ヴォーカルもたまに入れる速いテンポの音楽をやってるけど、CRADLE OF FILTHと共通点があるとしたらそこの部分だけだね。 それ以外は全く比較できないよ。
とにかく俺達は俺達であって、CRADLE OF FILTHと同じようなプレイはしないよ。 俺達はCRADLE OF FILTHよりアバンギャルドだというだけでなく、もっと攻撃的でブルータルだし、もっとオーケストラルで退廃的だ。 それからこれが大事なことなんだけど、もちろんそういった要素の中にフランス独特の芸術的エッセンスも含まれているんだよ。
俺達の音楽は自分達の感情、そしてありのままの自分達を映し出した鏡のようなものなんだ。 俺達はよく考えに考えて曲作りをしている。 他のバンドと同じようなサウンドにならないように、絶対に妥協なんてしやしないさ。

Hreidmarr、私は"Sodomizing the Archangel"のMCDを初めて聴いたとき、貴方のヴォーカルに非常に強い印象を持ちました。 単にブラック風なだけではなくとてもひねりがあって感情的に歌っていますよね。 
Hreidmarr:ありがとう。 確かに君が言う通り俺の歌い方はとてもエモーショナルだと思うよ。 俺は歌うときにはできるだけいろんなタイプの感情を移入しようとしてるんだ。 今では多くのブラックメタルのシンガー達は歌に感情を入れて歌うことをしないだろ。 愛を歌うのも、憎悪や絶望を歌うのも彼らにとっては単なるギミックみたいだよね。 そういう部分は残念に思うな。
俺は、ステージで歌う時もスタジオで歌う時も、まるで我を忘れたかのように恍惚状態に陥るんだ。 俺は常に歌詞を通して表現される物に深く傾倒しているよ… 狂気、苦痛、神に対する憎悪、復習、情熱、償いといったことにね。 俺の言葉はいつも俺のハートから込み上がってくるものなんだ。

貴方はどんな人から影響を受けたのですか? またクラシック音楽やオペラ、フランスのシャンソンなどからも触発されたのですか?
Hreidmarr:ああ、確かに俺はオペラや 「フランスの現実的な歌」 と呼ばれているものに影響されているよ。 だけどそれ以外にもちろんメタルやゴシックのシンガーからも影響を受けている。 Mika Luttinen、Peter Murphy、Varg Vikernes、Robert Smith、Marilyn Manson、Fenriz、Sopor Aeternusといった人達からもね…

もうすぐ新作"Drudenhaus"が発売されますが (注:ヨーロッパではすでに発売中)、新作についてどんな感じかもしよろしければ教えて下さい。 
Hreidmarr:うん、新作はもう発売されているはずさ。 作風は"Sodomizing the Archedangel"のMCDの延長路線なんだけど、もっと完成した仕上がりになっている。 "Sodomizing the Archedangel"で聴けたサウンドの個性は新作の"Drudenhaus"ではもっと強調されている。 だから新作は前作の100倍以上もオーケストラルでシンフォニックだ。 事実いくつかの曲ではヴァイオリンが10トラックもはいってるんだぜ!! もちろんもっともっとブルータルでひねりがあるし、48トラックでレコーディングしたからサウンドも格段に良くなっている。 新作には9曲収録されているけど、内1曲、"Divine White Light of a Cuming Decadence"(オリジナルは"Sodomizing the Archangel"MCDに収録) のパワーアップした再録ヴァージョンも含まれている。 とてつもなく凄いアルバムさ!!

"Drudenhaus"というタイトルはドイツ語のようですが、どういった意味なのですか?
Hreidmarr:"Drudenhaus"は中世のドイツにあった、魔女狩で捉えられた魔女達のいわば収容所みたいなところだ。 そこで沢山の魔女達が拷問を受け、強姦され、そしてしまいには火炙りにされてしまったんだ。 なかなかクールだろ?

新作の歌詞はどんなことについて書かれているのですか? これも作詞しているのは貴方ですよね?
Hreidmarr:その通り。 歌詞は全部俺が書いた。 主にニヒリズム、神秘主義、情熱、荒廃、そしてダークなロマンティシズムなどについて歌われているよ。 それにいくつかの歌詞には19世紀のフランスやドイツのロマン主義派の作家達からの影響が反映されているだろう。 でも、俺の書く歌詞は全て時代や場所を超えた俺自身の経験からインスパイアされたものであるんだ。 どの曲もお互い関連性があるのは確かだけど、一貫したストーリー性は無いよ。 無秩序で全てが混沌としていて支離滅裂だけど何か含みのあるものなんだ。 これ以上はもう秘密にしておくよ。 でも歌詞を注意深く読んでみれば意図は汲み取れるはずさ。

ところで以前Osmoseのオフィシャル・サイトで読んだのですが… フランス国内を襲った嵐の為にスタジオが浸水被害を受けたということですが、レコーディングには大きな悪影響は無かったかどうかちょっと心配でした。
Hreidmarr:そんなことは全く無いよ!! 今はもう大丈夫だ。 Drudenhaus Studiosが入居している古い建物の屋根が壊れてしまって、それで確かにいくらか問題はあったけど、結果として1週間レコーディングを中断した程度で済んだよ。

話しは変わって、貴方方はライヴを頻繁に行っているのですか? ライヴはどのような感じなのでしょうか? CDで聴けるようにシアトリカルなんですか?
Hreidmarr:ああ、そうだよ!! 俺達は凄いライヴバンドでもあるし、ライヴ活動は俺達にとってとても重要なんだ。 俺達とオーディエンスの間に神秘的な一体感が生まれて、とにかく素晴らしいんだよ。 俺達のパフォーマンスは憎悪に狂気、そしてピュアな暴虐的エネルギーで満ち溢れているんだ。 俺が言葉で説明するより実際に観てもらうべきだよ!! 俺達は今までENSLAVED、ABSU、OPERA IX、CRADLE OF FILTHといったバンド達と競演した経験があるし、1999年の9月にはIMMORTALのフランス国内ツアーにも同行しているよ。

それではフランスのシーンについて少し話していただけますか? 私個人的には現在のフランスは個性的なバンドや良いレーベルがたくさんあって、とてもヘルシーな状況ではないかと想像しているのですが…
Hreidmarr:俺はそうは思わないな。 殆どのフランスのバンド達は 「True Norweigian Black Metal」 を真似しようとしてるだけのトレンド追いかけポーザーさ。 無意味だよ。 それにシーンに関わる大勢の人達はお互いのバンドや関係者の悪口ばかり言い合ってるんだ。 本当に痛々しいことだね。 俺達はOsmoseと契約した最初のフランスのバンドのうちの一つで、言っておくけどOsmoseはフランスが拠点のレーベルだ。 これは (注:つまりあのOsmoseが契約しやすいはずの自国バンドと今までなかなか契約しなかったということ) 多くのフランスのバンドが腐ってるっていう良い証拠だと思うよ。
でも、もちろんサポートされるべき良いバンドもいくつかあるよ。 FORBIDDEN SITE (多分フランスでは彼らが最高だよ!!)、HIMNINBJORG、KEMET、GORGON、ROSA CRUX、MISANTHROPE、AGRESSOR、そしてANTAEUSなんかだね。 それに確かにクールなレーベルもいくつかあるよ。 Osmose Productions以外にもHoly Records、Listenable Records、Drakkar Productions辺りは良いよ。

私は、フランス人は一般的に芸術というものをとても大事にし、どんなタイプの芸術であれ常に創造し保護していく姿勢を貫いていくといった様なことを以前聞いたことがあります。 このようなフランスの国民性が、多かれ少なかれ、フランスのメタル・シーンをユニークかつ個性的にしていることに貢献しているのではないかと思うのですが…
Hreidmarr:そうだね、その通りだ。 俺達のバンドも含めて多くのフランス人は芸術的なものを愛しているし、芸術はフランスの文化、歴史、財産に多大なる価値を与え続けてきているんだ。 俺達はこうしたフランスの芸術的財産をANOREXIA NERVOSAに応用しているんだよ… 音楽、歌詞両方の面においてね。 そしてこの 「フランス風味」 を加えた良質で個性的で面白い独自のシーンはFORBIDDEN SITEみたいなバンドが頭角を表してきたことにより育みつつあるんだよ。 これはクールなことだね!!
しかし一方では、前にも述べたように、フランスにはまだまだ没個性的なバンドも沢山あるんだ。 大勢の人々が単にトレンドを追ったりすることだけに満足してしまっているのも確かだね。

フランスで音楽活動を続ける上で何か良い点、悪い点はありますか? 
Hreidmarr:う〜ん、よく分からないけど… フランスには前に述べたような文化的なバックグラウンドがあるから、そういう意味では音楽をプレイするには良い環境だと言えるよ。 フランスは確かに芸術の宝庫だからね… もちろんイタリアやドイツ、オーストリアもそうだけど。 それにこういった環境はANOREXIA NERVOSAみたいなバンドにとってはインスピレーションの源でもあるんだ。 だから例えば、もし俺達がアメリカに住んでいたら多分このような音楽はプレイできなかっただろうね…
悪い点としては… 俺はフランスのバンドは国外では評判が悪いんじゃないかと思っているんだけど… 今まで世界を股に掛けて活躍したフランスのバンドなんて知らないし。 それにフランスは決して 「メタル大国」 とは言えないしね… 君もわかると思うけど。

それでは、2000年の予定をお知らせ下さい。
Hreidmarr:4月から5月にかけてIMPALED NAZARENEとフランス国内をツアーするんだ。 夏には多分ベルギーとスイスで何回かショウを行い、その後9月にはヨーロッパツアーを行う予定だ。 これは多分Osmoseの企画シリーズ"World Domination Tour 2000"に組みこまれると思うよ (注:昨日Osmoseから入ってきた情報によると、このツアーにはANOREXIA NERVOSA以外にIMMORTAL、IMPALED NAZARENE、RITUAL CARNAGE、THE CROWNなどが参加する模様)。 とにかくライヴを沢山演るよ。 もちろんその合間を縫って次のアルバムの為の曲作りもする。 実はもう次のアルバム用にすでに完成された曲も何曲かあるんだ。

最後に、日本のファンになにかメッセージを。
Hreidmarr:俺は本当にすぐにでも日本でプレイできたらいいと思っているよ。 日本は是非訪れてみたい神話的な国だし、日本のファンはとても熱くて容赦無いって聞いてるからね!! だから日本のメタル・フリークのみんな、是非ツアーで会いたいよ!!

Thank you, Hredimarr!!!

<HREIDMARR'S PLAY LIST>
1. MOTLEY CRUE "Shout at the Devil"  カルトバンドのカルトアルバムだ!! これぞヘヴィメタル!!
2. METALLICA "Master of Puppets"  メタルのリリース作品の中でも最高のうちの一つだ!!
3. FORBIDDEN SITE "Astralgeist" フランス出身のロマンティックなダークメタルだ。 デビュー作の"Sturm und Drang"も凄いよ!!
4. DARKTHRONE "Under a Funeral Moon"  "Panzerfaust"もいいね。 DARKTHRONEは本物のブラックメタルだ!!
5. NOTRE DAME "Le theatre du Vampire"  凄いスウェーデンのバンドだ!! ゴシックとエクストリームな部分が素晴らしく表現されている。

<関連リンク>
OSMOSE PRODUCTIONS



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