『菊地家の謎 2』 菊地英昭+菊地英二

インタビュー=市川哲史




 ●一応合言葉代わりに―“JAM”の無事発売おめでとうございます(笑)。

  エマ  「ありがとうございます。好評・・・・・・らしいです」

  アニー 「お蔭様で本当に」

 ●今年の追加公演シリーズでは、各地で“JAM”を披露してたらしいけども。

  エマ  「そうですね。でもこんな事言っちゃあれなんですけど、僕はCDの“”JAM よりもライヴの“JAM”の方が       凄い力があって、説得力があるように感じて――演ってて」

  アニー 「それは感じますね」

 ●よし次のシングルB面曲は“JAM”のライヴ・バージョンだあ!

  アニー 「あはははは。そんな手ありましたね」

 ●ちなみにXのシングル“DAHLIA”のB面は“Tears”のライヴ・バージョンなんだけども、何故か93年音源―何な
  んだ。わはははは。


  エマ  「ははははは」

 ●さて今年に入って、もう音専誌を筆頭に皆掌を返したように取材ラッシュが(笑)。そういう急な好状況をどう思いま
  すかね、正直な話。


  エマ  「正直な話―服をもっと持ってなきゃいけないなと思ってます」

 ●(爆失笑)今まで消極的だったのに急に表紙を依頼してきたりさあ。この野郎とか思わない?

  エマ  「まあ相手によっては(笑)」

  アニー 「ははははは」

  エマ  「それはそれで・・・・・逆に愉しんじゃえばいいかなっていう」

  アニー 「相手の顔も覚えられないもんね」

  エマ  「こっちの接し方もちょっと仕事的になっちゃいますよね」

  アニー 「でもこれからまた長く付き合って下さればいいんですよ」

 ●うわ、聖人みたいな事言うなあ。

  アニー 「(笑)わかって貰えたと思うしかないですよね。金になるから寄ってきたというよりは、やっとわかって貰え
       たのかなって(笑)」

 ●思うようにしてると(笑)。

  アニー 「してます。ははははは」

  エマ  「はははは」

 ●だけど『FOUR SEASONS』一枚、下手すりゃ“太陽が燃えている”や“JAM”一曲で理解した気になられても
  なあ、的な居心地の悪さはどう?


  エマ  「居心地の悪さ!」

  アニー 「もう決めつけられてる(笑)」

 ●(笑)じゃあ居心地の「曖昧さ」は?

  エマ  「ある意味ではそれが、自分達も多少世の中に出てきたなって実感だったりして・・・・多少は気持ち良くさ
       せてくれるとこもあるじゃないですか。優越感を少し」

 ●だけど考えてみたら、この兄弟ならキラーメイから数えると約10年目にして初の優越感だったりして。

  エマ  「ははははは!」

  アニー 「でももう一声ですかねやっぱり(笑)」

 ●気がつきゃウルフルズが売れてるわ――。

  アニー 「もう抜かれてる(笑)」

  エマ  「(笑)でもウルフルズは売れて欲しいと思ってたから」

  アニー 「そう。でもちょっと寂しいもんですよね。ファンの気持ちが少しわかった―俺もウルフルズが好きだったか
       ら、あまりにも短期間で急にガーンと売れたのが」

  エマ  「愉しむ暇っつうのが無いかもしれない」

 ●確かにイエモンは『smile』という助走があって、一年半がかりでブレイクしたからね。

  アニー 「感想訊いてみたいですけどね(笑)。俺らはこの昇り方をベストだと思ってるけど、たぶん俺なんかだとウ
       ルフルズのパターンには対応出来なかったと思うんですね(笑)。変わり過ぎちゃって」

 ●無垢なやつ。でも実際、売れてから変わった事って沢山ある?

  アニー 「取材とかだとやっぱり、一年前と較べると全然違う人と仕事してるし。あとお店とかでやっぱり見られてる
       気がします、周りの人に。ただロビンは凄いだろうけど、俺はまだ全然電車に乗れる(笑)」

  エマ  「でもちょっと身なりに気ぃつけるようになった(笑)」

 ●でもやっぱ40万枚ぐらいじゃ―。

  エマ  「まだまだ、全然まだまだですよ」

  アニー 「まだまだですね」

  エマ  「でも本当にね、『jaguar hard pain』から『smile』の時に多少変わった感じはしたんだけど、今は逆に
       あんまり気にしてないっちゃ気にしてないんですよ(笑)、僕はね。逆によけいに自分の演りたいように演っ
       ちゃってる感じ・・・・・・・かな」

 ●俺思うんだけどさ、一般人から見るとイエモンって実はヒーセが一番目立つんじゃないかと。

  エマ  「憶え易いんですよ、ヒーセ」

  アニー 「だってメンバーも目印にするぐらいだから(笑)」

  エマ  「そうそうそう!」

 ●わはははは。編集部に似顔絵葉書沢山来るじゃない?ヒーセの似顔絵ってさ、老若男女出身地問わず、どんな
  画風であろうと皆同じ絵になってるから怖い(笑)。

  兄弟  「わはははははは」

 ●ヒーセの顔自体がロゴになってる(笑)。

  アニー 「(爆笑)確かに。いい表現だ。ロゴですねえ。俺なんか描き方によっては全然違う風に描けるしね、綺麗に
       も汚くにも」

 ●吉井の顔も描く者の主観によって変わるし。しかし主観が入るのを許さないヒーセの顔!

  エマ  「許さないっスよ、あれは(笑)」

  アニー 「さすがですよ。唯一無二とはよく言った(笑)」

  エマ  「俺でも描けるヒーセの顔(笑)」

  アニー 「ふはははは」

 ●ヒーセの顔を描けない奴は一生絵を描けん。

  エマ  「俺でぎりぎりってとこですか(笑)」

 ●ちなみに菊地家は盛り上がってんでしょ、やっぱり。

  エマ  「盛り上がってますね、かなり。チケット取るように頼まれる事多いし(笑)」

  アニー 「相当嬉しいみたいですよ、両親は」

 ●昔「頼むからロックやめてくれ」と夜中に泣いて頼まれたのが嘘のような(笑)。

  エマ  「ねえ?」

  アニー 「でもまだ恩返し出来てない」

  エマ  「でも真面目なんですよウチは。だから『不動産を買え』とか、考え方はやっぱり普通の人。『ちゃんとした
       事をしながら売れてけ』みたいな」

 ●堅いねえ。

  アニー 「堅いっスよ?」

  エマ  「だからそこを説得するのがまたちょっと」

 ●説得って?

  エマ  「例えば車が欲しいと言っても『いや、お金は貯めときなさい』って言われるじゃないですか」

 ●(笑)そこで必死に説得すると。

  アニー 「そこで自分を徹すのが兄貴で、『はい』って言う事聞いちゃうのが俺なんです(笑)。この大きな違いがある
       この兄弟の間には」

  エマ  「ああ、そうだよね。僕はね、親も一度言い出したら聞かないと思ってるから」

 ●言っても無駄だと思われてるのね。

  エマ  「そうみたい」

 ●その分が全部弟に回ると。「おまえはそうじゃないよね?」的な(笑)。

  アニー 「ね?(笑)。『お兄ちゃんはもうしょうがないから』って言葉がそこで出てくるんですよ」

 ●そうした菊地家の風景が未だ続いてるか(笑)。

  アニー 「そう、『言ってもあの子は自分の考え徹すから』と、ね」

 ●「あんたは貯めときなさい」と。

  アニー 「そう、『あんただけでも』(笑)」

 ●「もしもどちらかが倒れた時の為にも」と。

  アニー 「はははは!保険ですか俺は。でも俺だって駄々こねる時も―例えば今回俺も車買おうかと思ってるんで
       すけど、兄貴が煽るわけですよ。自分も欲しいから弟にも買わせようと(笑)」

  エマ  「いや、それだけじゃねえよ(笑)」

  アニー 「そう、最近気がついたの。俺ずーっと兄貴の趣味とかを真似してるようにやってきたつもりでいたんだけど
       も・・・・・それだけじゃないです。兄貴が勧めるもの、自分の気に入ってる事を(笑)」

 ●俺も弟居るけども、子供の頃とか自分の欲しい物を弟に勧めて、親にねだらせたもん。

  アニー 「ですよね」

 ●いいように利用して、買って貰ったら「貸せ」みたいな(笑)

  エマ  「あはははは。そうそう」

  アニー 「『お兄ちゃんなんだから我慢しなさい』と言われちゃう辛い立場の人が考える苦肉の策?(笑)」

 ●だってそれ以外に方法無かったんだもん。

  エマ  「はははは。利用するっつうか―」

 ●しかしロック・ミュージシャン、何故まとまった金が入るとまず車という発想になるのか。

  エマ  「そうですね。皆何買うんだろう―オールドギターとか?俺興味無いっスもん。古いタイプのギター好きじゃ
       ないし(笑)」

 ●わはははは。わかり易い!

  エマ  「あの、中途半端ぐらい古いのが好き。70何年式とか80何年式―式じゃないよね、型ですね」

  アニー 「それ車だよ、〜年式って(笑)」

 ●頭の中が完全に車になってる(笑)。

  エマ  「おっかしいなあ(笑)」

  アニー 「でも兄貴はねえ、欲しいもんがあったらちゃんと金使って買うんですよ」

  エマ  「そう、すぐ買っちゃう」

  アニー 「俺は欲しくても買わないクチですね」