吉井和哉・18歳の恋 (95年)


18歳までは遊ぼうって決めてたんだよね。
お袋にそういう教育されたの。若い頃に遊んでないと、年とってから上手に遊べなくなるって。
だから昔はものすごい無茶してた。女の子にもひどいこといっぱいしてたし(笑)
18歳っていったら、ちょうど無茶の始まりのころかな。
俺、高校行ってなかったから、故郷の静岡の工場でバイトしながらバンド活動をしてたのね。
もうツアーとかをやったりもしてたし。だから、毎日忙しかったけど、ちゃんと恋愛もしてましたよ。そりゃあ、もちろん。
 でも俺ね、全然モテなかったの。
なんか気取ってたからね。ムスっとして、女の子に話しかけたりもしなかったから、“コワイ人”って思われてたみたい。
しかもオクテで、好きな女の子に自分から行動することもできなかったから、女っ気なかったな。
今思うと、あのころってあんまり女の子でいい目にあってなかったんだよね。
初めて勇気出して告白した子には、相手にすらされないフラれ方をしたり、
地元のお祭り――お祭りってのがカッコ悪いんだけどさ(笑)――に行こうって誘われた女の子が
教えてくれた電話番号がデタラメだったり・・・・。
だから当時は、はっきりいって、女そのものを恨んでました(笑)。
東京に出てきてから女の子にさんざんひどいことをしたのは、その復讐だったんだと思う。
今は幸せな恋愛してますけど。

そういえば、初めてちゃんとした恋愛というのをしたのも、18歳のころだった。
静岡の『サーカスタウン』っていうライブハウスに出入りしてた子で、めちゃめちゃきれいな子だったの。
俺、基本的にはきれいな子ってあんまり好きじゃないんだけど、その子は性格がざっくばらんで、美人ぶった人じゃな
かったのね。
それで、なんとなく気持ちを伝えてつきあうようになった。
そのころの俺はもう、言葉じゃなくて、そぶりとか目でモーションかけるの得意になってたから。
それはもう天才的にうまかったね(笑)。今はおっさんになっちゃったからダメだけど。
 その子とは17歳から1年くらいつきあった。すごく好きだったね。
毎日静岡の繁華街にある喫茶店で会ってさ。旅行に行ったりもしたし。
なんかいつもドキドキワクワクしてて、これぞ恋愛って感じだった。
けっこうのめりこんでたから、彼女に会いたくてバイトがまだ途中なのに帰っちゃったりっていうのもしょっちゅうで。
あ、でもバンド活動は怠らなかったけどね。いつでも音楽は俺の中で一番だったから。
 そんなに燃えてたのになぜ1年で終わってしまったかというと、俺が東京に行くことになったから。
彼女を一緒に連れて行く気にはならなかったから、それで別れた。
だって当時18歳だよ!東京行ったら、もっと素敵な子がいるに決まってるじゃない(笑)。
それで、さっさと違う女の子とつきあいだした。・・・・・ひどいなあ。
でも、恋のために夢を捨てないでよかったな、とは思う。

まあ、すでにふたりのピークは過ぎてたんだよね。
彼女は僕がバンドをやるのにずーっと反対してたし。それが大きかった。
彼女はもともと現実的な子だったから、“そんな夢ばっか見てないで”っていう感じで。
でも俺はさ、恋愛よりも何よりもバンドがおもしろかったから。要するに生きてる次元が違ってたんだろうね。
 で、そのまま終われば切ない思い出になるんだろうけど、終われないのが、俺の情けないところで(笑)。
実は、東京に出てきて、別の女を作ってからも関係はスパッと切れず・・・・。
金借りたりしてたんだよね。いや、俺はきっぱり終わるつもりだったんですけど、むこうがね、電話かけてきたりしてね・
・・・あ、これ、すべて言い訳ですけど(笑)。
 そう、だからね、俺は昔はほんと、ひどかったの。
アマチュアのころは、金なかったから貧乏な子はNGだし、すく゜相手の家にころがりこむから、ひとり暮らししてない子
もだめ。
ヒモ願望?あるある(笑)。
 でも、ふり返ってみると俺はいつも恋愛してきたね。してないとダメ。歌詞ができないもん。
最近はそうでもないけど、昔は恋愛の歌多かったし。
体験した恋愛を歌にして音楽シーンでがんばることが、過去の恋人へのワビになる気がするんだよね。