『smile』
全曲解説インタヴュ−1
(95年)



 smile

LOVIN




EMMA



HEESEY





ANNIE
アルバムの真ん中に入れようと思って作った曲なんだけど、バランスを考えた時に“やっぱり、この曲
はオープニングだな”って(笑)。
アタマのラジオ放送みたいなところは、アルバム全体を表すようなメッセージを入れたくて、ロシア語
にしたんだ。そこからライヴの歓声を入れて、次の曲に続く。


「こういう感じのアルバムが始まるよ」っていうプレリュードっていうの?ギター・オーケストレーション
でやってもよかったけど(笑)。


『jaguar〜』で戦争という重たいテーマをやってみて日本が平和ボケしてるんじゃないかと思ってさ。
みんな、気楽に好きなことやったりしてるけど、「平和だから、そんなことしてられるんだぜ」っていう啓
示。世紀末を迎えて、“もう笑うしかないとこまで来ている”っていうのと、“笑っているのがいちばん幸
せだよ”っていう“笑い”の裏腹な部分をテーマづけてもいる。


ドラム、ムズカしかったです・・・・・。なんて、じつは何もやってないんだけど(笑)。
シンバルの音は打ち込み。自分のアルバムに自分がやってない音が入ってると、新鮮ですね。



 ■マリーにくちづけ■

LOVIN





EMMA





HEESEY




ANNIE

インチキっぽいロック・スターが武道館にやってきたようなカッコよさを、この曲で出したかったし、
ハード・フレンチ・パンクっていうことも頭にあった。この曲の“マリー”は、今までのマリーとは別だと
思ってもらっていい。歌詞の中に、“僕に会いに来るパリジェンヌ”って書いてあるんだけど、本当は
“パリジャン”って歌っている。


曲調的には13曲の中でいちばん好きな曲。ギターは4本ぐらい重ねてて、ビートはストレートだけど、
レコーディングの楽しみって感じで遊んでる。エイドリアン・ブリュー(キング・クリムゾン)とか、あの手
のちょっと変わったタイプの音にしたくて、(ピックアップが)ハムバッカーだと骨太でそれなりのロック
っぽい感じになっちゃうからシングル・コイルを使った。


すごく明るいポップな曲だけど、思いっきり重くてダークな『jaguar〜』を作り終えたオレら自身が、
そのギャップを楽しんでる(笑)。
ポップになっちゃったって思われがちだけど、ファーストの『FOXY BLUE LOVE』とかから聴いてる
人にとっては、逆に自然に感じると思う。


ハード・フレンチ・パンク。パンクっていう言葉がなかったら、もっとライトでポップになってたと思う。
ハイ・ハットのニュアンスがいちばん大きいんだけど、“チチチ”じゃなくて“ズズズッ”って感じ。
サビは暴れまくってる。“パンク”っていうヒトコトが曲をまとめた感じ。



 ■LOVE COMMUNICATION■

LOVIN





EMMA




HEESEY




ANNIE
この曲は、個人的な恋愛の歌詞でもあるけれど、イエロー・モンキーのオーディエンスがオレたちを観
た時の気持ちを歌った曲でもある。個人的な恋愛の歌ばかり書いていてもつまらないし、ロック・バン
ドっていうのは“バンド対ファン”っていうものがあるわけだからね。この曲では、今まで以上にそういう
部分をわかりやすく出した。


気持ちはUKチャートにいそうな、“ちゃんとギター弾いてるんだか弾いてないんだか、
わからないヤツ(笑)”みたいな感じにしたかった。コード進行とか展開でイエロー・モンキー節は出せ
るから。
サビなんかのギターとヴォーカルのアンサンブルは、とくにね。


これは、シングルを完全に意識している。媚は売らずにシングルは売るぞ(笑)!!16ビート・パター
ンでちょっと跳ね系の曲をいろいろやってきたけど、これはその95年型最新版。
このリズム・パターンは、オレたちの武器になっているよね。


完全にシングル仕様だから、アプローチも他とは違う。有線で前のシングル(「熱帯夜」)がかかった
時、バス・ドラムが聴こえなくて、ヘンなリズムに聴こえた。で、スネアだけでも、ちゃんとしたリズムを
刻むように今回はかなり気をつかった。ノリ一辺倒じゃなく、オン・タイムで叩いてるから、プロモーショ
ン・ビデオの撮影でも合わせやすかった。



 ■サイケデリック・ブルー■

LOVIN





EMMA




HEESEY




ANNIE

ちょっと猟奇的なニオイのする詩にしたかったんだけれど、マニアックにしたくなくてね。
人間って、ぜったいにもうひとつの人格を持っているはずだと思うんだけど、それを歌にしたんだ。
セックスのことも入ってるし、ドラッグのことも感じるだろうし、イエロー・モンキーのライヴのことも感じ
るだろうし。


「必ずアルバムに1曲はこういうのがないと・・・・・」っていうアマチュア時代からやってる感じの曲。
この手に関しては、アイディアの引き出しがすごい多くて、「どれを使おうかな?」って今まではフレー
ズとかを探してたんだけど、今回は手グセで思いついたままにやった。自然にうまくいったけどね。


他のバンドはやっていないイエロー・モンキー十八番のリズム。裏代表作というか(笑)、シングルに
はならないけど、アルバムの大事に一色。曲調的には、ローリング・ストーンズとかキンクスとかの、
60年代のブリティシュ・ロックっぽくなったかな。


ウチのお得意の曲調。他の人がいろんな味つけはやってくれるから、オレはベーシックを支える部分
に徹した。3拍子の部分は気持ちいいですよ、グルグル回る感じで。



 ■SEE−SAW GIRL■

LOVIN





EMMA





HEESEY





ANNIE

公園にあるシーソーって、見えたり見えなかったりするでしょ。すごく後ろ向きの人間っているよね。
なんかアンニュイぶっているようなヤツが。見えたり見えなかったりして、たいへんなんだなって思う
んだ(笑)
曲の中でセックスをしているんだけれど、シーソーの上下運動がグルーヴから感じられたらいいな。
エアロスミス的だね(笑)。


ファンクっぽいところが、イエロー・モンキーとしては初の試み。HEESEYとANNIEは黒人系とかが
わりと好きで、そういうリズムなんだけど、オレとLOVINはもっとエレクトリックというか、白人がやるよ
うなファンクが好きだから、うまく混ざるとイエロー・モンキー流になる。バッキングは、ギターだけどギ
ターっぽくないようなカチっとしたフレーズを弾いてる。
ソロは、思いきり白人ファンクみたいにしたけど。


これは、新しいイエロー・モンキーの一面が出ている代表例かな。ファンキーなんだけど、昔のいなた
いハード・ロック・バンドがやるようなファンキーさ(笑)。新しいことをやっても、イエロー・モンキーの色
がちゃんと出せるようになった証明になった曲。このベースは指で弾いているんだけど、苦労した。
苦労しつつも、最初にジャムった時の感覚を大切にして、組み立てていったベース・ラインになってい
る。


ドラマーだから、こういう16ビートは大好き。
94年、いちばん聴いたのがレッド・ホット・チリ・ペッパーズだったからね。今では「やりたくても、うち
のバンドじゃ・・・・」っていうのがあったけど、やったらけっこうハマった。



 ■争いの街■

LOVIN




EMMA





HEESEY





ANNIE

“smile”っていうテーマに沿っていて、明日、戦争が起こるかもしれないっていうふうになった時に、
きっとオレはこういう気持ちになるだろうなって思う。聴く人が聴いたら、不倫とか三角関係にも通じる
かもしれないし。マニアならばジャガーとマリーが出会った時の歌ともとれるだろうし。


インディーズの時にアルバムに入れようと思ったけど、うまくいかなくて・・・・。
すごくやりたかったタイプなのに、できなかったから悔しかったという曲。リズム自体はわりと得意な
シャッフルなんだけど、醸し出す雰囲気というか、ヨーロッパ的な感じが(前は)出せなかったのかな。
でも、今回はできた。アンサンブルも、けっこうおもしろい。わりと神経質になったけど。


シャッフルなんだけど、サウンド的に考えて、イエロー・モンキーにしかない特徴って、シャッフルをう
まく活かすところだと思う。
同じビートでも、典型的な方法でやるんじゃなくて、いかに崩していくか・・・・。
ふつうにやったら、この曲はバラードっぽくなるでしょ?だけど、リズムのおもしろさや、いろんな要素
で盛り上げていってる。


原曲は昔っからあったんだけど、今回初めてちゃんと曲になった。Aメロの感じがどうしても忘れられ
なくてずっとやりたかった。最初はすごいアプローチをしてて、レゲエ調でもやった。
今回は“おフレンチ”でまとめました(笑)