「劣化ウラン弾=放射能兵器」という報道の虚実を冷静に受け止めよう

信じたいために 全てあらゆる物を 疑うのだ(by ジャックス「ラブ・ジェネレーション」)
「知らない」ということは,そこに付け込まれてどんな嘘でも信じ込まされてしまう可能性がある,ということを心に留めておいた方がよい。Y2K問題しかり,劣化ウランしかり。善意に見えながら,その裏側に悪意や策略が秘められていることはよくあるのです。素朴な純粋さや理想を目指す気持ちを利用するために味方の振りをして近づく者を見分けるのは容易なことではありません。

ある団体のウェブサイトで見た《劣化ウラン弾による戦争は、放射性物質による大量無差別殺戮であり、「もう一つのヒロシマ」=新しい型の核戦争に他ならない。》との表現は,無知と不安に突け込んだ性質の悪いプロパガンダと言わざるを得ません。それにしても何故「劣化ウラン弾」だけを目の敵にするのか。「非人道的な兵器」と言うが,そもそも近代戦において「人道的な兵器」など存在するものか。

劣化ウラン弾の使用に賛成しているわけではありません。放射能汚染のない無害な兵器だとは思ってはいません。世界には軍縮の方向で進んでもらいたい,兵器の使用は軍需産業を太らせるだけだ,という気持ちでいます。ただ「ウラン」=「放射能」=「危険!」という短絡的な連想から,よく調べもせず拒否的な反応を示している人が多くはありませんか。ここでは一方的なキャンペーンやよく調べもしないで視聴者の不安を煽る報道に乗せられるのはいやだという思いで,様々な情報を読み・書き進めることにしました。専門家ではありませんので,間違いがあれば指摘していただけるとありがたいです。

【1】劣化ウランとは
科学的資料や論文も少し集まって来ましたので,批判派・擁護派バランス良く纏めたページを作らねば・・と思っています。 お待ち下さい。

【2】湾岸戦争症候群
1991年の多国籍軍によるイラク攻撃から帰った兵士の多くが原因不明の健康障害・出産異常に苦しんでいることを言います。またイラクの人達も同様な障害を起こしていると言われています。多くの記事やウェブサイトでは「原因=劣化ウラン弾」と記されていることが多いのですが,実際には神経ガス・油井破壊による粉塵や煤煙・派遣前の予防接種等数え切れないさまざまな原因が考えられ,研究されています。劣化ウランにしても重金属としての毒性より放射能の危険の方だけを指摘するのは,人の不安を煽り易いからではないのかと勘ぐってしまいます。。

【3】バルカン症候群
バルカン(コソボ)紛争の時にNATOから派遣された兵士の中に白血病・がんが「多発」したとされ,騒がれた事件。2001年の初頭に突然大きくなった騒ぎですが,ここにはイタリア国内の政治的問題やEUとアメリカの対立,反NATO勢力による悪役作り・・という図式が見え隠れしています。

まず被害報告が確認されたのはイタリア,ベルギー,フランスの3国で,ドイツ,ロシア,ポーランド,ブルガリア,ルーマニア,ユーゴスラビア,カナダでは該当症例は見られなかったということ。次にWHO(世界保健機構)の発表では,コソボでの2000年の白血病発生の数が97年,98年の調査と比較して減少しているということ。さらに「白血病は放射線を浴びてから5年〜10年後に発病するものだ」という多くの医者には当り前のことが無視され,「劣化ウラン弾=放射能障害」の恐怖だけが取り沙汰されたこと。使用するアメリカへの不信感が募り,その後EUのアメリカのミサイル防衛構想への牽制とロシアへの接近が加速されることも頭に入れておきたいことです。今回のイラク攻撃に対するフランス・ロシアの態度を見ていても何やら臭う所があります。

【4】被曝について
自然放射能について聞いたことはありますか? 人間はふつうに生活していても自然界から放射線を受けます。地面から,宇宙から降ってくる宇宙線,空気中のラドン等,体内のRI(カリウム40や炭素14等)から年間約2mSv(ミリシーベルト)の被曝を受けています。癌発生の閾値は大人で400mSvだとされています。<閾値についてはまだ諸説あり,閾値はないという説から低いレベルの放射線が体に良いという説まであるという指摘を頂きました。有難うございます。(2004/09/15)

劣化ウラン弾が戦車に当たった際に出る蒸気が危険だと言われていますが,着弾時の蒸気・埃を一度に量に吸い込んだ場合でも被曝量は10mSv程度で,放射能症のような吐き気・めまい・下痢等は有り得ないと思われ,むしろ肺への損傷の方が心配されるくらいです。拡散して広がった汚染がどの程度のものなのか,正しく調査し報道するのがメディアの努めでしょうに,どれもこれも右へならえなのはいかがなものでしょう。国連環境計画(UNEP)の現地調査報告で,広範囲の地表汚染はないという発表がなされていることを踏まえた報道はあまり見ませんし,それすら「アメリカに阿った」ものだと批判するのは行き過ぎではないでしょうか。

【5】報道
早い内から積極的に報道を行ってきた毎日新聞の記事から引用しましょう。
イラク情報省のガイドに付き添われ,湾岸戦争で破壊されたイラク軍戦車の“墓場”を見た時の記事です。
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「あまり近寄らないように。劣化ウラン弾で破壊されたんですよ」
 振り返ると、口元を布で覆ったガイドの心配げな顔が目に飛び込んできた。思わず防塵(ぼうじん)マスクに手をやった。微細なチリになって周辺に残っているかもしれない劣化ウラン対策に日本から持参したものだ。放射線量計を近づけてみる。しばらく様子を見たが、数値はゼロのまま。それでも、ガイドは気が気ではないようだ。「長時間いないほうがいい。帰りましょう」。その声に引き寄せられるように、帰りの車に乗り込んだ。
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いかがですか。ガイガー・カウンターの数値は「ゼロのまま」です。
あるテレビ局の番組で戦車の残骸でばりばり反応していたのと大違いで印象に残っています。その場所で反応するなら,それ以外の場所で検出できていないとおかしい。ちょっと詳しい人ならヤラセかな?と疑問を持ったことでしょう。別の番組では,やはり残骸の側で生活する人々が映っており,もし放射線汚染があるのならイラクがその対策を全くとっていないか,わざと自国民を危険にさらしているとしか思えないではないですか。この番組がいつのなんという番組だったか思い出せません。もしご存知の方がいらっしゃいましたら,ぜひご教示ください。

★閾値:その値より低い時にはいかなる影響も受けない放射線量と考えてください。
Y2K問題:西暦2000年をコンピューターが認識できず世界が破滅するかもしれないとパニックが演出された事件。この騒動の裏については,近日詳しく書きたいと思います。


数人の方から「もう少し分かりやすく書いて欲しい」という頼りをいただきましたので,次のページで書いてみました。ご覧下さい。
「カウンターがゼロ」であれば,それはスイッチが入っていなかったか何かの測定ミスではないだろうか,と突っ込めるとの指摘がありました。なるほど,記者さんがカウンターの使用法を誤っていた可能性もありますね。持ち帰ろうとした爆弾を空港で爆発させたり,機器の使い方も不十分なまま取材したり,これで急先鋒なんだから呆れちゃいますね。毎日新聞。ちゃんと社員教育しなさいって。

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