楽器やコラム 11

九州の某ショップにて part2

楽器やコラム5で取り上げた某ショップですが、私 寿庵皆男も最近は足が遠のいておりました。そんなある日、そこが移転したということをRS氏から聞きました。

RS氏はたまたま子供と散歩中に新店舗の前を通りがかり発見したらしいのですが、とても自分一人(子連れではありますが)で店内に入る勇気は無く、そっとその場を立ち去ったとのこと。そのうち二人で言ってみようかと話していました。

それから数ヶ月が経ちすっかり某ショップのことなど忘れていた私は、たまたま元のお店の近くを通りかかりそこが重機で取り壊されている光景を目にしたのです。ようやく移転の件を思い出した私は、ちょっと行ってみようと思い場所を聞くためにRS氏に電話してみました。
(ホントは一人で行く勇気が無いので一緒に来ないかなと思ったのですが。)
しかし残念ながらRS氏は来ることが出来ないとのこと。
しかたなく場所だけ聞いて一人で行ってみることにしました。
新しいお店はなかなか小綺麗な外観で、ガラスの扉から中を覗くと例の店主が 居るようです。
勇気を振り絞って(何もそこまでして行かなくても笑)中に入ってみると

ここから先は・・・・デジャブのように以前と同じ様相が繰り返されます。

『お店に入る際に「こんにちは〜。」と挨拶しても何の反応も無し、店主は奥のレジ兼リペアブースに腰を下ろし、LPジュニアの修理中のようでした。こちらに気がついても何の挨拶もなしに黙々と作業を続けております。
(なんか無愛想だな〜。でもこの手の店で元気良く「いらっしゃい!」と言われても困るので丁度良いけど・・。)と思いつつ、壁に掛けてあるギターを見てみました。
丁度'54年製LPがあったのをゴールドトップフェチの寿庵氏が見つけ、すかさず値段を聞いて見ました。
寿庵「あの、これはおいくらですか?」いままで黙々と作業を続けていた店主 がおもむろに顔をあげ、「それはxxx万円」という返事。』
楽器やコラム5「九州の某ショップにて」より抜粋>

上記文中の「LPジュニア」が別のギターだったこと、「'54年製LP」が「'66年製PB」だったことを除いて全く同じです(笑)。

しかしここから全く別の展開に!!
値段を答えた店主はにっこり微笑みながら
「これ持ってセッションに行くとね、みんな音の素晴らしさに驚くんだよね。
しかもここまで綺麗な物はなかなか無いからね。でも値段を言うとみんなもっと驚くんだよね。そんなにするんじゃ買えないって言って。今はこれでも安い方なんだけどね〜。」


思いがけない店主の愛想の良さに拍子抜けした私はその後二言三言会話して狐につままれたような気分で店を出ました。
帰り道、私は以前と一体何が違うのかを考えてみました。

「ええっ!!'54年でもそんなにするんですか?」と驚いた前回と違い今回は

「へぇえ・・」と、大して驚かなかった点です。事実店主の言った価格は昨今の米国の状況と商品の状態からすると決して高いとは思えませんでした。

そうです。変わったのは店主ではなく私だったのです。
以前の自分は木しか見えてなかった、森を見ていなかったんだ・・・。
米国をはじめとする世界のヴィンテージギターの相場を知り尽くし、その上で日本の顧客により良い物をより安く提供しようと努力している店主に比べ、国内の数少ない売り物しか知らずに安直に高い安いと言っていた私。
なんと浅はかだったのでしょう・・・・。

後悔。

反省。

と思ったのも束の間、ふと'66年製PBの近くに下がっていた'52年製LPがかなりの次世代価格(by 久保ちゃん)だったことを思い出しました。
店主は単に機嫌が良かっただけなのかもしれません(笑)。
でも良いんです。店主のスーパーレアな笑顔はとても素敵でしたから。
(終わり)