楽器やコラム 3

中野の某店にて

数年前、某店にリフの'60年製Burstがあるのでそれを買いに行く!という人がいたので 後学のためについて行くことにしました。
その人は買う気マンマンで、気が早いことに下取りに出すつもりで'53年のコンバージョン を持って来ておりました。
で、店に入ってその'60年製Burstを見せてもらうことにし、奥の部屋に行ってみると、 ガラスケースの中に貴重なギター達が無造作に立てかけられていました。
店主がそのガラスケースの中から問題のリフ'60Burstを取り出す際に、周りのギターに ゴツッゴツッとぶつけながら取り出したのにはちょっと驚きましたが、まあ、所詮、新品じゃ ないギターだからこんな扱いなんだろうな?と思いました。

「キャビティの中も見せてあげるよ」と言いながらこの店主にしては親切にドライバー を取り出しました。固唾を飲んで見守る我々の前で、スツールに座った彼はリフ'60 Burstをお気軽にくるっと裏返してひざの上に置き手早くキャビティのすべてのネジ を回すと、ひざの上でリフ'60Burstを少し跳ね上げネジを飛び出させて外したのでした。
その間ものの十数秒。
当時まだ高額ギターに不慣れだった我々が考えていた「数百万もするギターの扱い」 とはかけ離れた早業にあっけにとられていると「PAFは付いているけどハンダがやり 直してあるので元々付いていたモノかどうかはわかんない」云々と早口で説明しつつ、 再度超スピードでフタを閉めてくれました。
それから店主が忙しそうにそのギターをチューニングし、「ハイッ!!」と買おうとしている 私の知人に手渡しました。知人はボディの軽さ、音の良さに感動しつつも、頭の中に 疑問符が沢山浮かんできたようでした。
で、パーツのオリジナリティに関する質問を何点か したところ、店主は「ま、たぶんオリジナルだろうね。」とか「わかんない。」とかを 繰り返し、「とりあえず悪いほうに考えておいてよ。」とも言われました。
極めつけは「僕が判るのはこれだけ、あとは自己責任ということで。ヨロシク。」と 言う言葉を最後に商品説明を終了しました。
私が見た限りでも塗装面に磨き残しのザラザラした部分があり、なんか怪しげなギターだと 思ったのですが、リフとは言えそれなりの価格の商品を買うのに自己責任と言われてはね〜? さすがに即決は出来ず、もっと検討するという事になりました。

結局、持ってきた'53コンバーは委託販売してもらうことにして、状態をチェックして もらいました。
キャビティの中も見るのかと思いきや、いきなり音を出してみて、「これ、ピックアップ 何ついてんの?」と聞かれました。知人が「トムホームズです。」と答えると「あ、そう」 というだけで、チェックOK。ものの2〜3分の出来事でした。
私たちが居る間に電話で買取りの問い合わせが入ってきて、おそらく電話の主はピックアップ を交換しているギターだけど買い取ってくれるかという質問を店主にしたのでしょう、 店主は「ああ、いいよ。音は出るんでしょ?ウチは音が出ればOKだから。」と恐ろしい答え をしておりました。
これで自己責任の意味が良くわかりました。
買う側が自分でそれなりの鑑定眼を持っていなければいけないという事だったのですね。
でも鑑定眼をもっていれば掘り出し物を低価格で購入できる可能性があるお店だと言えますね。
(終わり)