楽器やコラム 6

市内の電器店LMコーナーにて

2年ほど前、ある電器店のLMコーナーが売り出しを行うというので、早速行ってきました。
狙いは事前配布されていた広告に載っていたカスタムショップの'66マスグレ。
朝早くから並んでたのですが、その甲斐あって私は一番乗りでした。こんな時って後から来る人 が皆自分と同じ物を狙ってるんじゃないかという気持ちになりますよね?何故か・・・。
一番乗りの私は開店と同時に目標が置いてあるコーナーに駆けつけました。
すると、そこで見たものは、本物の'66とはスペックが異なるマスグレでした。
確かにサンバーストの赤の部分の面積が狭いところは似ていますが、トラロゴじゃなく、 ブラックロゴにクルーソンタイプのペグがついています。私の求めていた'66はトラロゴで クルーソンペグですから納得が行きません。「ブラックロゴならペグはFキーなのに・・・。」 と納得が行かずにその場に立ち尽くしてしまいました。(いったい私は何のために朝から並んでいたのだろう?)
するとそこに現れたのは店員のN村氏。ちょっとドスの効いた落ち着いた声で「これはマスターグレードといってですね。普通の カスタムショップとは違ってより厳選された材を使用して細部まで拘って組み上げられた 貴重なモノです。あまり数が出回ってない上に、既に生産を中止しておりますからこの機会を 逃すともう手に入らないと思いますよ。しかも売り出し価格なので大変お買い得だと思います。」 と説明してきます。私はマスグレのことは知っていましたので、そんなこたぁどうでも 良かったのですが、更に彼は続けます。
「まあ、お客さんお悩みでしたら、今日一日じっくり考えて、明日また来られても良いですが、明日 来られてもこの商品があるかどうか判りませんよ。今の時期、サンバーストは良く売れます からねぇ。」
えっ????時期とギターの色が売れ行きに関係あるのか?と不思議に思った 私は「今は冬ですけど、季節とギターの売れ行きに何か関係があるんですか?」と素朴な疑問を 投げかけてみました。
すると彼は「夏は青系が良く売れるんですよ。青は涼しい感じがするでしょう?それに比べると サンバーストは暖かい感じがするでしょう?だからサンバーストは冬に良く売れるんですよ。」 と自信満々の回答でした。
恐ろしい理論だなぁと思いつつも大手電器店なので多分、この人は冷蔵庫コーナーかエアコン コーナーから異動でLMコーナーにきたばかりなんだろうなぁと思って納得してしまいました。 結局、別の店員さんにスペックがおかしいと言うと早速電話で山野楽器さんに問い合わせてくださいました。
山野楽器さんからの回答ではこの商品は'96スペックのマスグレといって完璧な仕様が固まって いない時期の製品であり、'97年から細部を見直したモデルを発売しているとのこと。要は旧モデルの在庫処分品と いうことで安かった訳です。「な〜んだ。だったら要らないや。」という事で買わずに帰りました。

もちろん、その後、一旦沸き上がった物欲は押さえ切れずに銀座山野楽器本店のバーゲンにて '97スペックの'66マスグレを購入してしまったのは言うまでもありません。

後日判ったことですが、「サンバーストは冬に売れる理論」を確立したN村氏という店員さんは このLMコーナーでもっとも古参の店員だったそうです。(笑)
(終わり)