銀の戦車 後編

 




 「アヴドゥルの『クロスファイヤーハリケーン』恐るべき威力!」

 ブスブスと焦げ音を立てて倒れているポルナレフ見てジョセフが言った。
 「まともにくらった奴のスタンドはバラバラでしかも溶解してもう終わりだ・・・」
 「ひでーヤケドだ。こいつは死んだな。運が良くて重傷だな・・・いや運が悪けりゃかな・・・」承太郎が冷ややかに言った。
 アヴドゥルが一同を促すように言った。「どっちみち3ヶ月は立ち上がれんだろ。スタンドもズタボロで戦闘は不可能!さあ!ジョースターさん、我々は飛行機には乗れぬ身・・・エジプトへの道を急ごうではないか」
 その時、ポルナレフの『銀の戦車』がピクッと動いたかと思うと、いきなり鎧の各パーツを吹き飛ばして、消えた。
 「な・・・なんだ!?奴のスタンドがバラバラに分解したぞ!」ジョセフがいぶかしむように言った。
 突然、倒れていたポルナレフの体が空中に跳ね上がった。
 「し・・・信じられん」アヴドゥルが驚愕して言った。
 「ブラボー!おお・・・ブラボー!!」ポルナレフが空中に浮いたままの姿勢で手を叩いた。
 「こ・・・こいつはッ!ピンピンしている・・・火傷もよく見るとほとんど軽傷だ・・・し、しかし奴の体がなぜ宙に浮くんだ!?」ジョセフが叫んだ。
 ポルナレフが不敵な笑みを浮かべて言った。「フフフ・・・感覚の目でよーく見てみろ!」
 「こ、これはッ!」アヴドゥルが驚愕した。
 ポルナレフがクルクルと回転して、地上に降り立つと、側にさっきとは違った『銀の戦車』が現れた。「これだ!甲冑をはずしたスタンド・・・『銀の戦車』」
 呆然とするアヴドゥルにポルナレフが言った。「あっけにとられているようだが、私の持ってる能力を説明せずにこれから君を始末するのは騎士道に恥じる闇討ちにも等しい行為。どういうことか説明する時間を頂けるかな?」
 「畏れ入る。説明していただこう」アヴドゥルが素直にうなずいた。
 「スタンドはさっき分解して消えたのではない。私のスタンドには『防御甲冑』がついていた。今脱ぎ去ったのはそれだ。君の炎に焼かれたのは甲冑の部分・・・だから私は軽傷で済んだのだ」
 「そして」ポルナレフが首を回しながら言った。「甲冑を脱ぎ捨てた分、身軽になった。私を持ち上げた『スタンド』の動きが君らは見えたかね?それほどのスピードで動けるようになったのだ!」
 アヴドゥルが言った。「なるほど。さっきは甲冑の重さゆえ、私の『C・F・H(クロスファイヤーハリケーン)』をくらったということか・・・しかし逆に、もう今は裸・・・プロテクターがないということは、今度再びくらったら命はないということ」
 「フムム〜・・・」ポルナレフが唸った。「ウイごもっとも。だが無理だね」
 「無理と?試してみたいな」
 「なぜなら君にとっても『ゾッ』とすることをお見せするからだ」
 「ほう、どうぞ」








 「な!?なんじゃ・・・!?奴のスタンドが6・・・いや7体にも増えたぞッ!」ジョセフが驚愕の表情で叫んだ。
 「ば・・・ばかな!スタンドはひとり一体のはず」花京院が言った。
 あっけにとられて、増殖した『銀の戦車』を見つめるアヴドゥルに、ポルナレフが不敵な笑みを浮かべていった。「『ゾッ』としたようだな。これは残像だ。フフフ・・・視覚ではなく君の感覚へ訴える『スタンド』の残像群だ。君の感覚はこの動きについて来れないのだ」
 突然、『銀の戦車』の分身が一斉にアヴドゥルに襲いかかった。「今度の剣さばきはどうだァアアアアッ!?」
 「おおおお」アヴドゥルもすかさず『魔術師の赤』で応戦する。「クロスファイヤーハリケーン!」
 しかし炎は『銀の戦車』を突き抜けて、地面に激突し、穴があいた。
 「ノンノンノンノンノンノン、無理と言ったろう。今のは残像だ。私のスタンドには君の業(わざ)は通じない。また君の火は地面に穴をあけるだけさ」
 突然アヴドゥルの顔にアンクの形の傷ができ、鮮血がほとばしった。「アヴドゥル!」ジョセフが叫ぶ。
 「何という正確さ・・・これは相当訓練されたスタンド能力・・・」
 「フム・・・理由あって10年近く修行をした・・・さあいざ参られい!次なる君の攻撃で君にとどめをさす」
 アヴドゥルが額の血を拭って言った。「騎士道精神とやらで手の内を明かしてからの攻撃・・・礼に失せぬ奴。ゆえに私も秘密を明かしてから次の攻撃に移ろう」
 「ほう」ポルナレフが腕を組んで言った。
 「実は私のC・F・Hにはバリエーションがある。アンクの形の炎だが、一体だけではない。分裂させ、数体で飛ばすことが可能!」
 アヴドゥルの『魔術師の赤』が再び構えを取った。




「クロスファイヤーハリケーンスペシャルかわせるかーッ!!」
 「くだらん!アヴドゥルッ!おおおおお」








 『銀の戦車』がポルナレフの周りを取り囲み、死角をを無くして、C・F・H・Sを迎え撃った。
 「あまいあまいあまいあまいあまいあまいあまいっ!前と同様このパワーをそのまま貴様にィーッ!」
 『銀の戦車』が炎の最後のひとつを切り裂こうとしていた。「切断!はじき返してェェェェェ・・・」
 その時、突如として『銀の戦車』の目の前の地面が割れ、炎が吹き出した。
 「なにィ〜」ポルナレフが驚愕する。しかしもう遅かった。




「ギャアアーッ」








 アヴドゥルの足下に煙を噴き上げる穴があいていた。
 「さっき炎であけた穴だ。さっきの炎はトンネルを掘っていた。そこからクロスファイヤーハリケーンをッ!」ジョセフが感嘆のため息をもらした。
 「一撃目はトンネルを掘るためだった。言っただろう。私の炎は分裂、何体にも分かれて飛ばせると!」
 アヴドゥルが懐から短剣を取り出し、炎に包まれて倒れているポルナレフの目の前に投げ刺した。
 「炎に焼かれて死ぬのは苦しかろう。その短剣で・・・」アヴドゥルがくるっと背を向けて言った。「自害するといい・・・」
 ポルナレフはその後ろ姿を睨み付け、短剣を拾うと振りかぶった。しかし目を閉じるとその手を納め、今度はピタッと自分の喉にあてた。
 「うぬぼれていた・・・炎なんかに私の剣さばきが負けるはずがないと・・・」そう言うと、ポルナレフは短剣を捨て、静かに横たわった。「フフ・・・やはりこのまま潔く焼け死ぬとしよう・・・それが君との闘いに敗れた私の、君の『能力』への礼儀・・・自害するのは無礼だな・・・」

 それを聞くと、アヴドゥルは振り返り、パチンと指を鳴らした。するとポルナレフを包んでいた炎が消えた。ニヤリと承太郎がほくそ笑む。
 「あくまでも騎士道とやらの礼を失せぬ奴!しかも私の背後からも短剣を投げなかった・・・!DIOからの命令をも越える誇り高き精神!」
 アヴドゥルがポルナレフの額に『肉の芽』を確認して言った。「殺すのは惜しい!何かわけがあるなこいつ・・・JOJO!」
 「うむ」承太郎が『星の白金』を出す。
 


 ビチャ!ブチャ!グニ!「うええ〜この触手が気持ち悪いんじゃよなァ〜!肉の芽を早く抜き取れよ!早く!」(ジョセフ)



 「・・・と、これで肉の芽が無くなってに・く・めない奴になったわけじゃな。ジャンジャン!ヒヒ」
 『肉の芽の儀式』が終わると、ジョセフがポルナレフを抱きかかえて言った。それを聞いた承太郎が言った。
 「おい花京院、オメーこーゆーダジャレいう奴ってよーっ!ムショーにハラが立ってこねーか!」

・・・to be continued

 

 

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