
日本適性と成長力
1.日本適性とは
日本の馬場は、海外のそれとは異なり、非常に硬く、その分だけスピードを発揮しやすく、時計が出やすいという特徴を持っています。そのために、スタミナ要求度が低くなり、結果として、血統もスピード偏重に陥り、日本の競走馬から良質のスタミナの血が消滅してきています。そのことは、配合面にもはっきりと表れています。つまり、海外ではほとんど通用しないが、日本だけなら活躍できるという血統構成の特殊なパターンができているのです。それを、ここでは《日本適性》と呼んでいます。
日本適性は、血統構成全体から判断しますが、「8項目」との関係では、主にF《質・傾向》、G《スピード・スタミナ》の項目と深く関わってきます。
「日本適性が高い」血統構成の代表的なパターンは、血の質は低いが、スピードを豊富に持つといったタイプや、欠陥をかかえているためにクロス馬が少なかったり、近親度が強いために、開花は早いという早熟タイプの血統構成です。
ビワビーナスは日本適性が高く(Hの評価は○)、タイプとしては後者(近親早熟タイプ)に分類されます。それに対して、ビワハヤヒデは、どちらのパターンにも当てはまりませんが、父シャルードが豊富にスピードの血を持ち、それらが十分に生きていることから、比較的日本の馬場にも向くタイプでした。半弟ナリタブライアンとの比較でも、日本適性はハヤヒデのほうが高いといえます。
2.成長力とは
成長力は、「8項目」との関係では、C《弱点・欠陥》、F《質・傾向》、およびG《スピード・スタミナ》の項目と、深く関わってきます。弱点・欠陥をかかえた馬や、質の高さ、しっかりとしたスタミナの核のない馬は、4歳前半までは通用しても、秋以降、古馬になってからの成長力に大きな期待は持てません。つまり、日本適性と成長力とは、基本的に相反するケースが多いといえます。これは、日本適性の項目でも触れたように、日本の馬場の特殊性によるところが大きいといえます。
この点では、ハヤヒデは、しっかりとしたスタミナの血を持ち、質の高さも備えているので、成長力は十分期待できる血統構成です。そして、実績もそれを裏づけてくれました。一方のビーナスは、良質のスタミナを備えながらも、欠陥をかかえたために、「成長力への過信は禁物」という判断をせざるを得ないのです。
もう一つ付け加えると、一見しっかりした血統構成でも、クロス馬の種類が多く、それら相互の結合が弱い場合には、仕上がりにくく開花に手間どり、思ったほどの成長をみせないことが多いという傾向が見られます。