FOR YOUNGER FANS

Part I: 1965〜1966

個人的且つ独断と偏見に満ちたトム・ジョーンズ考察

by SHIRO

30年来のTJファンかつトム研究家のSHIROさんが、若いファンのために、と膨大な解説付きディスコグラフィーを執筆してくださっています。イギリス、アメリカ、日本での発売時期、チャート最高位、トラックリスト、それに当時の世相やSHIROさんの解説・個人史も織り込んだ、大変読み応えのある著作で、レア盤も多く、オールド・ファンの方にとっても懐かしいだけでなく新しい発見が多いものになると思われます。それでは連載の第1回をお楽しみください。(Mari)
ALBUMS

1965

@ Along Came Jones DECCA LK4693 1965 MAY 21 Rel.
UK#11  5wks

I've Got A Heart /* It Takes A Worried Man / Skye Boat Song / Once Upon A Time / Memphis Tennessee / Whatcha Gonna Do / I Need Your Lovin' / **It's Not Unusual / *Autumn Leaves / The Rose / If You Need Me / Some Other Guy / Endlessly /It's Just A Matter Of Time / *Spanish Harlem / When The World Was Beautiful

日本盤1987年発売
*=1965 3/15、16 **=1964 11/11 Other Tracks = Undated 1965
Another take of ONCE UPON A TIME recorded on 15 or 16 of March 1965 is unissued.

@ It's Not Unusual PA61004/PAS71004 1965
US Billboard #54 42wks/ CashBox#37

It's Not Unusual/ Memphis Tennessee/ I Need Your Lovin' / Whatcha Gonna Do / Skye Boat Song / Once Upon A Time / Autumn Leaves / Worried Man / It's Just A Matter Of Time /Spanish Harlem / If You Need Me / When The World Was Beautiful :12 tracks  

1972年「よくあることさ〜トム・ジョーンズ・デビューアルバム」GP-121

Additional Tracks On CD Only: I Can't Stop Loving You / Lucille / Chills And Fever / Breathless / Never Give Away Love / Once There Was A Time / I Get A Kick Out Of You*** ***recorded on 1966 June 8

@ What's New Pussycat? PA61006/PAS71006 1965
US/BB#114 5wks/CB#77 

What's New Pussycat? /Some Other Guy* / I've Got A Heart / Little By Little **/ One More Chance ***/ Bama Lama Bama Loo** / With These Hands* / Untrue Unfaithful* / To Wait For Love*** / And I Tell The Sea* / The Rose / Endlessly: 12 Songs
On CD only = Memphis Tennessee/Kiss, Kiss */ Whatcha Gonna Do/Once Upon A Time

1972年「トム・ジョーンズ・セカンド・アルバム~何かいいことないか子猫チャン」GP-122
*=Undated 1965/ **=1965 2/27/***=1964 11/11

 デビュー・アルバムはやはりトータルで聞いて欲しい一品。イギリス盤とアメリカ盤で微妙に選曲が違うが、70年代の前半辺りから、トムに失せて行き始めた、若い性の臭みのようなものが嗅ぎ取れるはず。
 CDよりもむしろアナログ盤の方が鮮烈かもしれない。特にモノラルで聞くとトム・ジョーンズの初期のぎこちなさや、不器用さが、その上手さと非凡な才能とが融合して、クリアでない分ヴォーカルが強調されるようで面白いと思う。あとは好み次第。
 僕個人としては、アメリカでのセカンド・アルバムと上手くミックスして2枚に分けてみれば面白いと思うのだが。
イギリスの、ある種ひねった作り方が、トムという歌手をぼやけさせてしまっている感じもする。そのあたりが微妙にセールスにも響いているだろうし、無論、ご時世もあったに違いないが、「一体この歌手はどちらの方向を目指しているのか」が、多少かすんでいる。生きていれば、ゴードンと話してみたいポイントだ。シングルの「君いとし」とアルバムのそれはしっかりと聞き分けていただきたい。

Tracks On CD only: Memphis Tennessee / Kiss Kiss / Once Upon A Time / Whatcha Gonna Do

@ What's New Pussycat ?  Sound Track  US#14

@ Do It Yourself By Gordon Mills
Sings; The Rose(another take)
 あらためてこのアルバムを聞きなおしてみると、ゴードン・ミルズという人の才能が見える。決して悪くない声だし、「A Little You」など、トムのヴァージョンより聞きやすく、新たな曲の魅力を感じる出来のものもある。MONO盤であることもあいまって、何か懐かしい感じのするアルバムである。強烈な個性こそ感じないし,故に,売れなかったのだろうが、ゴードンの卓越したセンスを感じる。ジャケットの「ブラを釣るゴードン」はシュールだ。

@ The Lord Taverness  (Charity Album)  Various artists (Stones, The Zombies, Lulu etc.)
Sings; Kiss, Kiss 日本盤なし
ロックン・ロールを歌わせると、トム・ジョーンズは素晴らしいと思わせてくれるご機嫌な1曲。
後年、様々なCDに入れられたが、先にも書いたようにアナログで聞くと逆に新鮮な感じがする。

1966

@ A -Tom Ic Jones LK/SKL4743 1966 1/14 =UK 2nd Album

Dr. Love / Face Of A Loser / It's Been A Long Time Coming / In A Woman's Eyes / More / I'll Never Let You Go / The Loser/ To Make A Big Man Cry / Key To My Heart / True Love Comes Only Once In A Life Time / A Little You / You're So Good For Me / Where Do You Belong / These Things You Don't Forget Additional Tracks On CD Only: Stop Breaking My Heart / Hide And Seek / Not Responsible / This And That / Promise Her Anything

 1974年の来日記念に「熱唱!!トム・ジョーンズ」GP-136というタイトルで初お目見え
All the tracks are recorded on 196510/12~10/14

@ A -Tom Ic Jones PA61107/PAS71107 1966 = US 3rd Album

Thunderball * / Promise Her Anything ** / True Love Comes Only Once In A Life Time / Key To My Heart / These Things You Don't Forget / Dr. Love / I'll Never Let You Go / A Little You / In A Woman's Eyes /More /Face Of A Loser / Where Do You Belong? 

1972年「トム・ジョーンズ・サード・アルバム/サンダーボール」GP-123初来日記念に日本に初お目見え
*=1965 10/11 **=1965 11/9

  ある意味で、男性ヴォーカルとしての位置付けをこのアルバムで示しているように思える。セールス的には今ひとつ伸びなかったようだが、初期のトムを語る上では重要な作品。特にイギリス盤は「出来がよい」と個人的に固く信じている。 アメリカ盤は商業主義が前面に出されている。だから駄目ではなく、その意図がよくわかる分、もったいない。つまり、アメリカというマーケットをもう少し考えると、ファースト・アルバム同様に焦点がぼやけてしまう。才能ゆえの先走りか。

 しばらくは、ロック、R&Bとポップに焦点を当てたほうが今後のアルバムの動向に、あるいはトム・ジョーンズという歌手の本流に上手く乗れたのではないかという気がする。つまり、音楽史に残るような、記録に残るような売り方が出来たような気がする。いずれおとずれる、歌手トム・ジョーンズのイメージ展開とは別の側面が展開できたかもしれない。

 「プロミス・ハー・エニーシング」はバカラックの作品だが1965 11/9、「CITY GIRL」と同じ日に録音されている。
 この頃は、日本のあのシンコーミュージックから出されていた、僕たち70年代ロック・ファンのある種の重要な情報雑誌「ミュージック・ライフ」でも、しょっちゅう大きく取り上げられていた。そのときのイメージは、後にすっかりビッグ・ネームになった「THIS IS TOM JONES」の頃のものとは違った扱われ方だったのも間違いないと思う。

@ Thunderball  Sound Track US #10

@ 007/Thunderball Tom Jones Special Japan Debut Album SLH-44

Thunderball / What's New Pussycat? /With These Hands / Memphis Tennessee / Once Upon A Time / Key To My Heart / When The World Was Beautiful / It Takes A Worried Man / If You Need Me /Spanish Harlem / Autumn Leaves / Skye Boat Song  *日本盤としては最初のもの.発表年時不明

 「トム・ジョーンズ・スペシャル/サンダーボール」として最初に出された。コンピレーションだが、非常によく計算されて編集されていると思う。キングの洋楽部は相当売りたいと思っていたはず。この編集に拍手を送りたい。
 割合とイージーな編集のUS盤よりこちらのアルバムのクオリテイーを買いたい。ところで、シングル「サンダーボール作戦」のB面、紹介はトム・ジョーンズになっているが、全く違っている。タイトルは「ミスター・キス・キス・バン・バン」である。タイトルからしてシュールだ。
 このLPのジャケットもかっこいい。ただし、現物にはまだお目にかかっていない。正確に言えば、昔、中古レコード店で発見したが、コンピなので買わなかった。今なら是非とも手に入れたい1枚である。

@ From The Heart  LK/SKL4814 1966 8/26 UK#23 8wks

Begin The Beguine / You Came A Long Way From St. Louis / My Foolish Heart / It's Magic / Someday (You'll Want Me To Want You) / Georgia On My Mind / Kansas City / Hello Young Lovers / A Taste Of Honey / The Nearness Of You / When I Fall In Love / If Ever I Would Leave You / My Prayer / That Old Black Magic
On CD Only Additional Tracks: A Thing Called Love / Any Day Now / I'm Coming Home / Green, Green Grass Of Home

日本盤「思い出のグリーングラス」はイギリスオリジナルに「思い出のグリーングラス」を加えて67年発売 。SLC-172

1966年2/14のセッションで「NEVER GIVE AWAY LOVE(僕だけの愛)、STOP BREAKING MY HEART(俺は悲しくない)、HIDE AND SEEK」の3曲を吹き込んだ後、1966・4/5に66年度2度目のセッションを行なう。未発売の「I CAN'T BREAK THE NEWS TO MYSELF(我を忘れて)」の別ヴァージョンが「無責任節」「古い恋の思い出」と共に録音されている。その後トムは同年6/6〜6/10までアルバムのためのレコーデイン グに入るが、この時のものが「フロム・ザ・ハート」である。「I GET A KICK OUT OF YOU、THIS AND THAT」がこの折に録音されているが、前者は後年になってCD化された。後者はエンゲルの作品である。「WHAT A PARTY」は6/8に同じセッションで録音されたもの。「ONCE IN A WHILE, BEFORE」は後年CDの「STOP BREAKING MY HEART」に収められている。

日本盤は1967年になってSLC-172 「思い出のグリーングラス」として発売。上記の曲に「思い出のグリーングラス」を加えたかたちで出された。既に、当時から同タイトル曲はスタンダード・ナンバー扱いされたのかと勝手に思いこんでしまうのはわたしだけであろうか。しかしながら「サムデイ」「我が心のジョージア」、あるいはジャジーにスイングする「セントルイスから来た人」など、ヴォーカル・アルバムとして、若いが故に、強引で荒削りではあるけれど、最高の歌声を聞かせてくれているのはうれしい限りである。

エルヴィスはこの路線が当時は理解できなかったようだ。前作のインタヴューのとき、彼自身が、ある種のカテゴリーアルバムを作っていきたいと答えていたが、それを地で行った作品である。これを迷走ととるか歌手としてのステップとしてとるかは個人の判断によるが、チャレンジ精神に充ちた、歌手をアピールするような作品群であるといえる。

よく巷の評論家の先生方は「思い出のグリーングラス」をトムの転換期とおっしゃるが、それは正解とは言えないと思う。この「From The Heart」こそがトム・ジョーンズのもうひとつの顔を見せる、それを、転換期と呼びたければそれで良いけれど、格好のアルバムであったと言いたい。そもそもが素養があり、その歌詞の解釈力等実力はあったわけだから、ジャズ・スタンダード的なものへの飛躍は当然考えられるわけである。まさに、その試行錯誤、意欲が生み出した力作ではある。ファンは戸惑っただろうし、市場もそうだったであろうが、当然の成り行きとして、また、将来を予測するようなトム・ジョーンズ第一期黄金時代の方向性を決めるような一枚である。エンゲルや他のイギリス系の歌手がこうしたスタンダードを歌うと、重く、軽やかさ、粋さに欠ける部分がある。トムも決して例外ではない。しかし、決してべたついていないし、アメリカンではないけれど、決してイングリシュではない、非常に面白い歌の世界が繰り広げられていると思う。繰り返しになるが、「セントルイスから来た人」などに見られる、ジャジーな歌唱は見事だし、そのスイング感も立派だ。「我が心のジョージア」などは最高のものだし、自分流にこなしているのも若干26歳とは思えない。日本の歌手で26歳でこれだけ歌えるアーテイストを探し出してみたい。 初期トム・ジョーンズを語る上で避けては通ることの出来ない1枚だろう。希望として、60歳を超えたトムにこうしたいわゆるスタンダードをじっくりとアコーステイックに歌って欲しい。カラフルなサウンドをバックにつけるのも一興だけれど、あくまでも、アコーステイックに、シンプルに、それこそ、中にはエコーさえかけない、そんなセッションを繰り広げて欲しいと望む。

Part1了

   


©SHIRO, uploaded by Mari

最終更新2002年5月26日


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