FOR YOUNGER FANS

Part 2: 1967〜1968

個人的且つ独断と偏見に満ちたトム・ジョーンズ考察

by SHIRO

ALBUMS

1967

@ Green, Green Grass Of Home   LK /SKL4855 1967 3/24 UK#3 49wks

Riders In The Sky / He'll Have To Go / Funny Familiar Forgotten Feelings / Sixteen Tons / Two Brothers /My Mother's Eyes / Green, Green Grass Of Home / Ring Of Fire / Field Of Yellow Daisies / Wish I Could Say No To You / All I Get From You Is Heartaches / Mohair Sam / Cool Water / Detroit City

1971年「ライダース・イン・ザ・スカイ〜トム・ジョーンズ/ポップ・カントリー・デラックス」 SLC-350

「思い出のグリーングラス」から一連のヒット曲を日本では(?)ポップカントリーと名付け、もてはやされた。
カントリーの曲を散りばめた名盤。「思い出のグリーングラス」は1966 10/5のセッションから。「わが母の瞳(MY MOTHER'S EYES)」も同じ日の録音。同日「SHAKE」のスタジオ・ヴァージョンが録音されている。10/14のセッションでは「I KNOW, IF I HAD YOU, ANYDAY NOW, IT AIN'T GONNA BE THAT WAY」が録音されている。
このLPに入っている曲は1966 12/6、9及び1967 1/16のセッションからのものである。
1966 12/6には「DETROIT CITY, RELEASE ME」が録音される。後年「Heart Touching Songs」に入れられたものとは別ヴァージョンの「リリース・ミー」は未発表作品である。「リリース・ミー」は実は次のシングルにと考えられていたようである。1/16には「TEN GUITARS, I'LL NEVER FALL IN LOVE AGAIN, YOU CAN'T STOP LOVE, MY YIDDISHE MOMME」も録音されている。「イスラエルの母」のスタジオ録音は早く日の目を見て欲しい作品のひとつである。

@ Green, Green Grass Of Home  PA61109/PAS71009 1967
US/BB#65 45wks (1969 11/24 Gold Disc Awarded) / CB#39

Green, Green Grass Of Home / Taste Of Honey / Georgia On My Mind / That Old Magic / If Ever I Would Leave You / Any Day Now / Someday (You'll Want Me To Want You) / You Came A Long Way From St. Louis / My Mother's Eyes / My Prayer / Kansas City / When I Fall In Love

1974年に来日記念盤の一貫として「思い出のグリーングラス」で発売 GP-135

@ Funny Familiar Forgotten Feelings PA61011/PAS71011 1967

As UK Album Green, Green Grass Of Home / Except Delete; My Mother's Eyes/ Green, Green Grass Of Home
日本盤なし
*The album called Detroit City might exist and it has the same format as US Funny Familiar Forgotten Feelings, but I am sure 'Funny …' is the formal release in US. Guess `Detroit City' might be changed the title from 'Funny …' later for some reasons, but unknown.

「イギリス盤について言えば名盤である。」と、私は思う。ドラマ性から歌唱の隅々までの気配り、そのトラックの組み立てまで、いわゆるトムのロック・ルーツとは別の視点で、名唱集だと固く信じる。その点、さすがにアメリカ盤は捉え方が違うのか、全く別の作品になっている。ある意味で隙が全くないのがイギリス盤で、良くも悪くもあらを捜し難い出来映えだが重い。アメリカ盤は「思い出のグリーングラス」を軸にして、トム・ジョーンズという歌手を歌手として捉えようとしている。ロック歌手という、あるいはポップ・シンガーという領域から、ヴォーカリストとしての側面を打ち出そうとしている。その中で、ヴァラエテイーを求めるが故に、こうした寄せ集め的編集になったのかもしれない。
日本盤の同名タイトルLPが「フロム・ザ・ハート」「思い出のグリーングラス」を1曲加えただけで、ヴォーカルという枠で売られていたことなどは顕著な例だろう。

明らかに、エルヴィスとは違っている。タイトル曲をスタンダード・ナンバーとして捉えるのかポップ・カントリーとして捉えるのか。ここで編集方針が変わってきている。また「フロム・ザ・ハート」はイギリス本国では売られても、日米の市場ではその歴史の浅さから考えてもストレートには出せなかったのが恐らく本音だろう。

特にアメリカはC&Wの本場だし、日本でのカントリーはトムの歌うカントリーとは違っていたはずだ。アメリカ古来のカントリーのイメージだったと思える。(カントリーのルーツはスコットランドにありはするのですが)
そういう意味では、アメリカでとしてこのアルバムが出されたことが実は悔しい。マーケテイングの難しさがここにあると思う。エルヴィスの半分以下の宣伝費であったことを考えると仕方ないかもしれないが、トムへの過少評価が見えてならない。

「16トン」は最高の出来であるし、つぶだった曲が多いこのアルバムはトム・ジョーンズの歴史の中で初期の最高傑作として特筆すべきであると思う。イギリスのファンの評価がその売上にも現れている。
後年のポリグラムから発売のC&W系アルバム群とは一線を画す出来栄えであるし、湯川れい子さん辺りもこの頃のトムを切ない気持ちで聞かれていたはずである。

@ Tom Jones Live At The Talk Of The Town LK/SKL4855 1967 6/16
UK#6 90wks 1967 4/6,7
録音 

The Star Theme 〜 Ain't That Good News / Hello Young Lovers / I Can't Stop Loving You / What's New Pussycat? / Not Responsible / I Believe / My Yiddishe Momme / Shake / That Lucky Old Sun / Thunderball / That Old Black Magic / Green, Green Grass Of Home / It's Not Unusual / Land of 1,000 Dances 〜It's Not Unusual-Instrumental reprise 

1967年発売/1971年再発売(イギリス盤に同じ)「トム・ジョーンズ・オン・ステージ」SLC-348

@ Tom Jones Live! PA61014/PAS71014 1967
US /BB#13(1969) 58wks / CB#10 Gold Disc Awarded 1969 7/3
 

As UK Album Tom Jones Live At The Talk Of The Town Except Delete: The Star Theme / Thunderball / That Old Black Magic

プリシラがお気に入りのアルバム。これでエルヴィスは1968年400マイルの距離を飛ばして、トムのステージを見にいったし、後のカムバックに大きな影響を与えることになった。ソリッドでストレートでダイナミックなライヴということでは、有名なフラミンゴでのライヴよりも、ある意味でトムジョーンズしている。
トーク・オブ・ザ・タウンという場所柄、ロックン・ロールというルーツからは少し路線が違ってきてはいるけれど、テクニカルになってない分、トムの本来のよさを残して、素直に聞けるアルバム。ロング・セラーになったことは充分うなづける。

個人的にライヴ3部作の中で、最初とっつきやすかったのはシーザースパレスの、充分に世界のエンターテイナーになってからのものだったし、このロンドンでのライヴは最低の評価をしていた。しかし聞きこんでいく内に逆転したのは自分でも驚きである。フラミンゴのものは良きにつけ悪しきにつけ、十分に商売を意識した作りだし、売れて当然の状況、即ちトムの第2期黄金時代のシンボル的作品だと思う。
シーザース・パレスでの録音はもう「つぼ」を心得た職人的なライヴ。個人差はあるだろうが、個人的には若いファンにこのライヴを聞き込んでみてほしい。わたしなりの答えは持っているつもりだが、敢えてコメントせずにこの項を終わる。聞きこんでみてほしい。

@ 13 Smash Hits  LK/SKL 4909 1967 12/?? UK #5 49wks 

Don't Fight It / You Keep Me Hangin' On / Hold On, I'm Coming / I Was Made To Love Her / Keep On Running / Get Ready / (It Looks Like) I'll Never Fall In Love Again* / I Know*** / I Wake Up Crying **/ Funny How Time Slips Away / Danny Boy / It's A Man's Man's World / Yesterday 

日本盤「トム・ジョーンズ・ゴールド・デイスク」はAB面が逆の構成、1967年「最後の恋」として発売 1969年にジャケットも新装で再発売
「トム・ジョーンズ・ゴールド・デイスク」 SLC-250
*=1967 1/16 **=1966 12/9 ***=1966 10/14
DANNY BOY, FUNNY…., IT'S A MAN'S… =1967 10/27
OTHERS =UNDATED 1967

1968

Delilah LK/SKL4946 1968 7/12 UK#1 29wks

Delilah #/ Weeping Annaleah / One Day Soon# / Laula(What's He Got That I Ain't Got) #/ Make This Heart Of Mine Smile Again ***/ Lingering On #/ You Can't Stop Love* / My Elusive Dreams ***/ Just Out Of Reach / Only A Fool Breaks His Own Heart** / Why Can't I Cry? ****/ Take Me**

1968「トム・ジョーンズ・デラックス/デライラ」SLC-301 発売 1970再発売 ジャケット違い
*=1967 1/16 **=19671 5/21 ***=1967 6/28 ****=196710/27 #=196712/20 others=undated 1967

初期シングル(MONO盤)では「デライラ」の別テイクが使用されている。
また1967 5/21のセッションでは 「IF I PROMISE(明日への誓い)」の別ヴァージョン(未発表)が録音されている。
「家路」は1967 undatedであるが、最初のテイクはオーケストラの真中で、(サミー・デイヴィスが多用した録音方法だが)トムが歌うスタイルをとった。皆が涙するほどの最高の出来栄え。一発OKのはずが、ブースはこれから本番!即ち感動の歌唱は録音されなかった。市場には2種類のテイクが存在するので注意されたい。陰の名曲「FOR THE FIRST TIME IN MY LIFE」も1967年の吹込みである。

@ Help Yourself   LK/SKL4982 1968 11/29
UK #4 9wks
 

Help Yourself*** / I Can't Break The News To Myself ****/ The Bed **/Isadora**** / Set Me Free ****/ I Get Carried Away*** / This House (The House Song) **/ So Afraid ****/ If I Promise */ If You Go Away**** / My Girl Maria**** / All I Can Say Is Goodbye****

日本盤1969年発売「栄光のトム・ジョーンズ‘69」SLC-238
1972年「栄光のトム・ジョーンズ〜ささやく瞳」GP-124として再発売

Additional Tracks On CD Only: Ten Guitars / What A Party / Looking Out My Window / Can't Stop Loving You/ Let There Be Love / Without Love

*=1967 6/28 **=1968 5/27 ***=1968 5/30 ****=1968 10/3、6

この頃のセッションでの特筆すべき作品群は1967・ 5/31 「HOW DO YOU SAY GOODBYE, THINGS I WANNA DO 1967 12/20 「TUPELO MISSISSIPPI FLASH, SMILE 」1968・ 6/5 「A THING CALLED LOVE, WITHOUT LOVE (different version=unissued)」 1968・ 6/16 「DAY BY DAY」があげられる。このLPでの「IF I PROMISE, I GET CARRIED AWAY」 は、無論、先にレコーデイングされた未発表のものとは別ヴァージョンである。
1968 10/3、6のセッションでは「OUT IN THE COLD AGAIN, AN UNFINISHED SONG, LOOKING OUT MY WINDOW, A MINUTE OF YOUR TIME, ONLY ONCE」も録音されている。

@ The Tom Jones Fever Zone  PAS71019 Stereo Only 1968 (1969 Reissued as Tom Jones Fever Zone)
US/BB#14 / CB#22 1969 Gold Disc Awarded: 1969 7/5
 

Don't Fight It / You Keep Me Hanging On / Hold On, I'm Coming/ I Was Made To Love Her / Keep On Running/ Get Ready / Delilah /I Know / I Wake Up Crying / Funny, How Time Slips Away / Danny Boy / It's A Man's, Man's World 日本盤無し

 このアルバムは正にアメリカにおいては画期的なコンピレーションである。コンピレーションとしては先の日本におけるデビューLPと肩を並べるものであろう。  

@ Help Yourself   PAS71025 Stereo Only 1968
US/BB#5 / CB#4 Gold Disc Awarded 1969 7/5
 

Help Yourself / I Can't Break The News To Myself / The Bed / Set Me Free / I Get Carried Away / Laura / My Elusive Dreams / The House Song / So Afraid / If I Promise / If You Go Away / My Girl Maria / All I Can Say Is Goodbye

初期の黄金時代を「思い出のグリーングラス」からの1年間に置くとすれば、このあたりは第2期黄金時代へのステップを踏んでいる、レコーデイングについて言えば、いわばトムの最も乗っていた時代かもしれない。
歌唱について言えば、良い意味でこなれてきているし、ヴォーカリストとして入魂の作品群を残せている時期なのではないだろうか。どれとは言わなくても、それぞれを手にし、聞きこんでいくと、次の1枚に手を出したくなる作品群だ。多少、彼の持つロック・ルーツとは離れて行っている感があるが、骨太の、ロック時代に通用するヴォーカリストとして、また、かつてなかった、大人のヴォーカリストとは一線を画するような、多様性に充ちた仕上がりのものが多い。

ある意味でリアル・タイムでトムに接して来たファンの中には、この頃のトムこそがトム・ジョーンズであるという方たちも多くいらっしゃるだろう。この後の「THIS IS TOM JONES」でその歌手トム・ジョーンズが一応完結するように思える。「LIVE IN LAS VEGAS」というアルバムはベストセラーだが、ある種の類型化の始まりかもしれないし、シーザース・パレスでのライヴともなれば、これは、もうテレヴィの世界再現の感さえする。発声及びその声の響きのピークに向けてのプレリュードが正に1967〜68にかけての膨大な録音群であり、1969〜1971第2黄金期―特に声の―はこの時期に作られたといっても過言ではないのではないだろうか。
レコーデイングにおける黄金期が1967〜68第1期としイギリスでのシングルの売上のピークすれば、その声の展示会のような、またオーラに包まれたようなステージ、ヴォーカルの黄金期でありアルバム・セールスのピークであり世界的成功を収めていった時期が1969〜1971第2期であり、これは、その次に襲ってくる、ある種、類型化の始まりの時期と名付けても良いと思う。

恐らく、エルヴィスのこの頃の作品、即ち1967〜カムバック・スペシャルあたりまでのスタジオ録音盤を聞き比べると、明らかに(ファンや研究家には申し訳ないけれど)アルバム・クオリテイーの点でトムが勝っている。以降1968〜のエルヴィスは明らかにトムを意識しながら、自分の素晴らしい世界を創造し、ラス・ヴェガスなどコンサートの成功に象徴される黄金時代の幕開けを迎えようとしているような感じがする。
恐らく、トムは、いやプロデューサー、デイレクターはモータウン・サウンドやフィル・スペクター・サウンドを意識下においていただろう。トム・ジョーンズ・サウンドにまで発展できなかったのは残念だが、十分な説得力を持って、厚みのあるアレンジとそれに負けない声の厚みで、トム・ジョーンズの世界を作り出していると思う。

 「ダニー・ボーイ」などは、「トム・ジョーンズです。」という出来だと思うし、これは、どのアーテイストでもなし得なかった仕上がりだと思う。好き嫌いはあるだろうが、オリジナルの持つイメージとは別の世界で、例えばエルヴィスのものと比較しても、確かにエルヴィスの歌唱も美しいし、その説得力は後期エルヴィスの独特の感性を生かした作品ではあるが、トムのものはブルースの要素を取り入れ、あくまでもソウルフルに、直接ハートをつかみにくるような迫力で迫っている。惜しむらくは、ピアノで最初のヴァースをじっくり語る部分が欲しいような気もするし、別のアレンジも考えられるけれど、この時期トム・ジョーンズのひとつの側面をちゃんと語っていると思う。ハリー・ベラフォンテの演唱にはかなわないかもしれないが、その個性と圧倒的な説得力は見事と言える出来映えだと思う。
「トムのオリジナルだよ。」「何も言わなくてもトム・ジョーンズ以外考えられない歌声だよね。」と言える世界がそこにあるのが立派。「ダニー・ボーイ」は60年代にしかも67〜68年辺りが、聞くには旬であったのだろうと想像する。70年代、80年代に歌っている録画,録音を聞いても、上手いとは思うし、迫力もあるだろうけれど、感動がストレートに伝わるのは、この頃の歌ではないかと察する。悪評高いカナダのテレヴィ・シリーズの録音は、別の意味で新鮮な響きがあったし、美しかったが。それぞれの曲について語る余裕はもはやないけれど、それぞれに粒だった出来の内容である。
イギリス盤、アメリカ盤関係なく楽しめる内容だと思っているし、アルバム・「デライラ」がアメリカでは発売にならなかったことが(あまりにもヨーロッパ的であったのか?それとも、その詞の持つ暴力性をあまりに意識しすぎたのか?)残念。
「13スマッシュ・ヒット」「フィーヴァー・ゾーン」に衣替えしているが、状況を考えるとうなづけるし、アメリカ盤LPとして、はじめて納得できる内容だと思う。個人的には「マンズ・マンズ・ワールド」「ジス・ハウス」「冷たいベッド」「涙のめざめ」「我を忘れて」などバラード系の曲にむしろトムの個性を感じるのだが、如何だろうか。 「マンズ・マンズ・ワールド」は出色の出来として位置付けたい。正にアルバム中の白眉。また、全体像として、ピーター・サリヴァンの存在感を感じてしまうのは何故だろうか。特にイギリス盤における彼のプロデュースの腕の冴えを感じるのである。

シングル盤のヒットに関しては、当然別項目を設けるが、ざっとここまでデビューから最初のピークまでを追いかけてみた。当然、それぞれに感じ方、考え方があって良いわけであるし、何もこれを基準としなければならないわけではないけれど、ある意味でこれからコレクターになろうとする人、トム・ジョーンズをこれから聞こうとする人には参考にしていただきたいものである。

Part2了

   


©SHIRO, uploaded by Mari

最終更新2002年7月7日


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