FOR YOUNGER FANS

Part 3: 1969 〜 1976 輝ける日々

個人的且つ独断と偏見に満ちたトム・ジョーンズ考察

by SHIRO

ALBUMS

1969

@This Is Tom Jones LK/SKL5007 1969 6/13 PAS71028 Stereo Only
UK #2 20wks / US-BB#4 43wks / CB#4 Gold Disc Awarded: 1969 6/4

Sold more than 2 million copies

Fly Me To The Moon*** / Little Green Apples **** / Wichita Lineman*** / The Dock Of The Bay** / Dance Of Love / Hey Jude **/ Without You** / That's All Any Man Can Say + / That Wonderful Sound**** / Only Once* / I'm A Fool To Want You
****/ Let It Be Me***
*=1968 10/3,6 **=1969 2/24 ***=1969 3/4  ****=1969 3/10 +=1969 3/18 Dance Of Love =1969 undated
1969 3/18のセッションにおいてLOVE ME TONIGHTが吹き込まれている。

日本盤 SLC-266「デイス・イズ・トム・ジョーンズ」

個人的に、トム・ジョーンズ中期の傑作ヴォーカル・アルバムだと思う。ダイナミズム、ソウルフルなタッチ。センシテイヴィテイ、そしてジャジーな表現。折り目正しさ。ロック・センス。どれをとっても隙がない。情熱的なイクスプレッションの見事さ。ここにないのは、ストレートなトム独特のロックの持つストレートでワイルドな部分だけである。聞く人によればかったるいのだろうが、じっくり味わってみて欲しい一品。

@ Tom Jones Live In Las Vegas , LK/SKL 1969 11/?? PAS71031 Stereo Only 1969 UK #3 45wks /US-BB#3 51wks / CB#2 Gold Disc Awarded:1969 10/27

Recorded in1969 June 日本盤「トム・ジョーンズ・ゴールデン・プライズ/ライヴ・イン・ラスヴェガス」GP-101 Turn On Your Love Light / Bright Lights And You, Girl / I Can't Stop Loving You / Hard To Handle / Delilah / Danny Boy / I'll Never Fall In Love Again/ Help Yourself / Yesterday / Hey Jude / Love Me Tonight / It's Not Unusual / Twist And Shout

日本で最も売れたトムのアルバム。1980年までの統計でオール・タイム・ベスト・セリングのアルバム・チャート・ベスト10に入っていた。繰り返しチャート・インしたアルバム。音が古めかしく感じてしまう難点はあるのだけれど, その実、バックの演奏は素晴らしいものがある。また、非常に気を使って録音されていると思われる。1971年のライヴより神経を使っているように感じる。専門ではないのだが、そういった緻密さを感じる。レコーデイングの詳しいデータは不明だが、聞き所を編集したものであるらしい。複数のライヴの編集盤と言えるようだ。と、すればテイクの違う録音が出てきてもよさそうなのだが。「最後の恋」は発売当時アメリカで再発売されチャート#6まで上ったこともあいまって、特に付け加えられたようだ。いわゆるフェイク・ライヴでノイズをかぶせたものであるようだ。バックのコーラスを聞いてみればわかると思う。
 先のロンドンでのライヴとこのライヴの2枚をあわせ聞くと、トム・ジョーンズの正体がつかめてきそうな出来である。

@ In Aid Of The World Refugees 
Various Artists / Sings; For The First Time In My Life  Recorded: undated , 1967

 私にとっては、このアルバムは捜し求めて長らく歩き回った思い出深いアルバム。シナトラ、サミー・デイヴィスJR、サイモンとガーファンクルなど豪華な顔ぶれが集ったチャリテイー・アルバムである。もう1つ同趣旨のものでこちらはエンゲルやニール・ダイアモンドなどが参加している。 ともかくこの曲のやさしさは何なのだろう。トムのぬくもりがヴェルヴェットの肌触りを持って伝わってくる出来映えだ。後年、CD 「STOP BREAKING MY HEART」に挿入された。

1970

@ Tom LK/SKL5045 1970 4/?? UK#4 10wk

I Can't Turn You Loose/ Polk Salad Annie /Proud Mary*** / Sugar, Sugar /Venus /I Thank You*** / Without Love* / You've Lost That Loving Feeling / If I Ruled The World / The Impossible Dream / Can't Stop Loving You* / Let There Be Love** *=1969 11/?? **=1969 3/18 ***=1970 2/2 Others = 1970 2/24,25 日本では1970年発売「トム・ジョーンズの世界」SLC―311 1972年裏ジャケットが変わって来日記念盤「ラ・マンチャの男〜見果てぬ夢」GP-128として再発。 当時、各出版社芸能誌、音楽誌、映画雑誌等で絶賛、推薦されたアルバム。全体的にR&B的トーンが強すぎるとされつつ、いわゆる黒人的な世界をここまで表現できる歌手はいないとまでいわれたアルバム。「見果てぬ夢」はシングルカットされヒット。各誌絶賛。

@Tom US Parrot 1970 US BB/#6 20wks /CB#7 Gold Disc Awarded
As UK Album Version Except Delete: Can't Stop Loving You

第2期黄金時代。ひとつのピーク。商業的な側面とアーテイスト的側面が上手く調和している時代だと思う。アルバム、「デイス・イズ・トム・ジョーンズ」は名盤だし、中期トムを語るときその音楽性においてはずせないアルバムである。そもそもが、トムの音楽そのものを語られることが少なすぎることに切歯扼腕してきた方だが、若い方には、今の音とはずいぶん違うだろうけれど、絶対に聞いてほしいアルバムである。アルバム、「トム・ジョーンズの世界」に至っては、全体R&Bのトーンがやや強すぎるとはいえ、よい意味でも悪い意味でもトム・ジョーンズを語り尽くすような内容であると思う。どなたかがおっしゃっていたが、「トムはR&B、ソウルも歌えるバラード歌手ではなくバラードの歌えるR&B、ソウル歌手。」という定義にある程度うなづける出来だと思う。
湯川れい子さんは正直「ラヴ・ミー・トゥナイト」あたりからトムのことをさほど評価されていないはずである。このアルバム以降を聞くと、ある程度、その事が何を意味しているか、わかる気はする。「パターン化」という一言で片付けると申し訳ないかもしれないが、まさにそれだと思う。手馴れすぎてきて、「トムの泣き節が、切なく迫ってこない…。」という湯川さん。わたしはさすがに当たっていると思う。一応、よい意味でも悪い意味でもトムの黄金期は1969〜1971にあると思うが、ビッグになり、テレヴィが成功し、アルバムが売れたとき、手慣れ過ぎてしまい、そのサウンドや音楽面への配慮をもう少しすべきであったかもしれない。エルヴィスと並び称され、そのふたりでヴェガスを、いやソロ・シンガーとしてアメリカの芸能界を席巻していた時代…。
パンテイーが降り、ハンカチが飛んでくる。クリネックスでさえも、その沁み込んだ汗故に、女性の宝物になる。こういった現象を最初に創り出したのは、誰あろうトムである。エルヴィスを賛辞する人たちは、エルヴィスがその先駆者であると言われるが、断じてそうではない。以後、トムにとっては、ある種の不幸を招くことにはなるのだが。
エルヴィスはこの頃、スタジオ録音にも精を出していたが、エルヴィス自身が納得行くものを追求していた。その一点でトムとの違いが浮き彫りにされてくるような気がしてならない。無論、彼もまた、72年以降、ライヴに頼ることになるが、随所で聞かれるスタジオ録音がコンスタントにヒットし、チャート上位を占めつづけるにはそれなりの理由があるように思える。エルヴィスのその時の感性から来る飽くなきエルヴィス・サウンドの追及とでも言おうか。また、カムバックして以来、音を楽しみながらステージを作っていった彼の姿勢から生まれたエルヴィスの世界は、ヴォーカル、技術を超えた所で、大衆にアピールしたし、彼の持つ独特の感性は、常にパターン化を許さなかった(出来なかった=もろい、ガラスのような、汗でさえ涙に見えるような不安定な要素が常にあった。)し、聴衆は、常に変化する彼のステージでの姿や歌に一喜一憂した。
エルヴィスは芸人として成り立たない、ガラス細工のような、もろい感性であったが故に、サミー・デイヴィスやあるいはトムのようなそれぞれのショウを、確実に、それなりの質で提供出来ないところに、ライヴ感、スリルがある。 トムの生き抜いた時代や戦ってきたものを見ると、ある種の不運を感じるのではあるけれど、トムは、生活者として、エルヴィスのような甘いことは言っていられなかった。「エルヴィスの汗は涙に見えるがトムの汗は汗に見える。」湯川さんの評だが名文句だ。存在感として、しっかり根の生えたトムは、あらゆるサウンドに対して、トム・ジョーンズの音としてのアルバムを制作したのだろうし、エルヴィスはそのクリスタルのような感性であったが故に、そのときの気分でアルバムを作った。後は好みの問題。僕は両方を称えて止まないが、世の中の評論家はエルヴィスの音楽を研究するが、トムに関しては、うっちゃっておく傾向が、この頃から生まれ始めたのではないかと思う。 いずれにせよ,この辺りまでが音楽的なトム・ジョーンズ時代のピークだと思われる。ピーター・サリヴァンの存在理由がここでクローズアップされることとなる。アルバム・シンガーとしてトムはここで一応ピリオドを打つことになる。セールスにも如実にそれが現れていると思う。

@ I (Who Have Nothing) LK/SKL5072 1970 10/?? UK#10 8wks

Daughter Of Darkness*/ I Have Dreamed** / Love's Been Good To Me*** /Lodi #/ Try A Little Tenderness* / I (Who Have Nothing) * / What The World Needs Now Is Love **/ With One Exception + / To Love Somebody*** / Brother Can You Spare A Dime ***/ See Saw*** +=1967 10/27 #=1970 2/2 *=1970 2/24,25 **=1970 3/2 ***=1970 2/9

日本盤「アイ/トム・ジョーンズ」SLC―340

 「With One Exception」は196710月27日のセッションから。また「Love's Been Good To Me」はシナトラが録音発売をしなければトムの手に落ちていた曲で1968〜69年に録音しようと思っていた曲。このアルバムが出た時の彼自身が語るアルバム評から。

@I (Who Have Nothing) US Parrot 1970
US BB#23 15wks / CB#19 Gold Disc Awarded

Daughter Of Darkness / I Have Dreamed /Love's Been Good To Me / Lodi/ Try A Little Tenderness / I (Who Have Nothing) / What The World Needs Now Is Love/ Can't Stop Loving You / Brother Can You Spare A Dime / See Saw

個人的には嫌いではないが、新曲・新録音なのだろうが、テレヴィ・ショウからのコンピ的な印象が目立ってしまう。これは一重にピーター・サリヴァンの抜けたトム・ジョーンズ丸の厳しい船出を物語っているようで、今後の新展開をいい意味でも悪い意味でも伝えてくれるような感じがする。個人的には、きらきらした豪華なオーケストレーションを施し、熱唱し、途中から踊りまくるTITJでも魅了してくれた「Try A Little Tenderness」はこのアルバムの中でも安心して聞ける一曲。トム自身が語るところによれば、「To Love Somebody」はトリッキーな歌だそうだし、それなりに苦労して歌い上げているのだろう。イギリスの批評家からは「What The World…」中のmountainの発音が良くないとこき下ろされていた。彼自身がこのアルバムをNMEだかMMだかで一つ一つについて語っていた。
この後もトムはデッカ・レーベルに録音を残すわけだが、1976年にEMIに移籍する。その際の契約で1970 3/2までのセッションの作品以降はEMIの有するところとなる。録音データがここで途切れてしまうのはまことに残念だが、デッカに残された未発表曲をここに列挙する。推測ではあるが、この頃と相前後した録音が「You'll Never Walk Alone」であろう。幸運にもそれは1990年代になって初めて世間様の耳にふれる事になる。
これから列挙する曲に関しては、デッカの蔵に眠っているのか、紛失されたのか定かではない。

1965 3/15,16 Once Upon A Time (Different version)
1966 4/5 I Can't Break The News To Myself (Different version)
1966 12/9 Release Me 1969 1/16 My Yiddishe Momme (Studio version)
1967 5/21 If I Promise (Different version)
1968 6/5 Without Love (Different version)
19702/9,23 Treat Her Right /Gonna Build A Mountain / Green River / Cabaret / Get Back / Georgia On My Mind (Different version) / My Funny Valentine / Funny (Not Much) /September Song / There's No Such Thing As Love
1970 2/24,25 I Got It Bad And That Ain't Good / I've Grown Accustomed To Her Face / Until It's Time For You To Go 1970 3/2 Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me)

人気投票に勝ちぬき、SHOW BUSINESS PERSONALITY、ENTERTAINER OF THE YEAR,NO.1 MALE VOCALIST, US MAJOR CHART SURVEY TOP ALBUM ARTIST, US DJ POLL, PLAY BOY POLL, TV TIMES PERSONS OF THE YEARなどのかずかずの賞をとり、テレヴィ・シリーズは後にギネス・ブックで英国におけるソロ・アーテイストで最も大きな契約となったシリーズとして認定されている。2日間2回のマデイソンスクエア・ガーデンを44、000人で埋め尽くしたのもこの年で、翌年からは45、000〜50、000人の聴衆を集めるMSGのレギュラー・ヘッドライナーとなる。(‘73年までMSG公演は続く。)この69年〜70年は、トム・ジョーンズが世界をまたにかけて歩き回り始めた記念の年でもある。
1971年のNMEの記録ではOHIO STATES FAIRにおいて、2日間で250、000人のファンがショウにつめかけたようである。圧倒的な時の人であったには違いない。
本当のところ、日本では、前年のラヴ・ミー・トウナイトまでは、一部マニアの中での名声であったことは否めない。それが一気に火がついたのは、1970年以降で、ピークは無論、初来日’73年であろう。
日本の洋楽の世界でも1970年を境に、トム・ジョーンズは圧倒的人気を得るのである。レコードの再発ラッシュはこの年からである。

1971

@ Tom Jones Sings She's A Lady UK#9 12wks US―BB#17  20wks / CB#11  Gold Disc Awarded

She's A Lady / Do What You Gotta Do / In Dreams / Nothing Rhymed / 'Til I Can't Take It Anymore / Resurrection Shuffle / Puppet Man / It's Up To The Woman / Ebb Tide / One Night Only Love Maker / You're My World

日本盤「シーズ・ア・レデイ/トム・ジョーンズ・グランプリ」GP-110  ポールアンカがトムのヴァージョンを嫌いだと後年言ったそうだが、酔っ払って,へべれけで、しかもワン・テイクでやってしまったという曰く付。その勢いもあってかアメリカにおける最大のセールスを記録。キャッシュ・ボックスの1位、ビルボードの2位で文句無しのミリオンヒット。
 ただ、ゴードンの商売上手は目立つが、やはり、プロデューサーが変わった影響は否めないと思う。ピーターならば恐らく細部に凝るはずだし、細部が緻密に計算された音になっていると思う。TITJの延長の音でかつダイナミックできらきらして、かなり後期TITJに見られるアメリカナイズされた出来栄えではあるが、果たして、本当に成功したアルバムと言えるだろうか。私の75になる母は、「NOTHING RHYMED」がお気に入りだが。 「パペットマン」と「復活」は別のシングルリリースをするべきだったと思う。
「引き潮」などはそれなりにトムらしい歌唱。こういったスタンダードをもってしても、トムの世界となっているところはさすがだ。サミー・デイヴィスのヴァージョン「DO WHAT YOU GOTTA DO 愛を信じて」を聞き比べて面白いと思う。むしろサミー・デイヴィスのヴァージョンの方が勇み足に聞こえてしまうのはひいきめなのだろうか。それぞれが、均整が取れているかのような出来だが、これといった決め手が無いのも事実である。
選曲としてはバランスがとれてはいるが、その分逆に印象が薄い仕上がりになっているのではないだろうか。
以降、概してトムのオール・ラウンドさを出そうとしたり、ある一面を極端に強調しようとしすぎたりする傾向が強くなっているような気がするのは、私の気のせいだろうか。それぞれはよく出来ているけれど、サクマドロップスのような感じのアルバムだと思う。

@ Tom Jones Live At Caesars Palace UK#27 15wks US-BB43 14wks / CB #42 Gold Disc Awarded

Dance Of Love / Cabaret / Soul Man/I (Who Have Nothing) / Delilah /Bridge Over Troubled Water / My Way / God Bless The Children/ Band Introduction ~ Resurrection Shuffle / She's A Lady / Till / Hit Medley : I'll Never Fall In Love Again ~Daughter Of Darkness ~ Love Me Tonight ~ It's not Unusual / Hi Heel Sneakers / Rock `n' Roll Medley; Good Old Rock`n'Roll~Johnny B Goode ~ Bonny Morony ~ Long Tall Sally ~ Good Old Rock`n'Roll

 職人芸。悪い意味ではなく、まとまっているが、スリルがない。上手い。そして美しく雄大。語り尽くしてはいけないかもしれないが、そこに集約されてしまうと感じるのは僕だけだろうか。同じダブルLPでエルヴィスがNo.1になったのに、と思うと悔しい。無論プロジェクトの大きさが違うが、それでも、理由を尋ねたくなる。なぜ?
しかしながら、音的にも、カラフルであるが故に若い人たちにはとっつきやすいかもしれない。特に「シーズ・ア・レデイ」〜「ロックン・ロール・メドレー」の一連の流れはお勧め。トムジョーンズ入門篇として必携の一枚。入っていきやすいアルバム。私の友人の女の子がお気に入りでこのアルバムを譲ってくれとしつこいので¥1、000で売ってあげた覚えがある。考えると、それは最初のリリースもので、後に購入した物とは別の意味で貴重なものだったのが悔やまれる。
「ゴッド・ブレス・ザ・チルドレン」と「愛の誓い」はフェイクライヴの可能性が高い。

1972

@ Close Up UK #17  / US-/BB# 64 17wks / CB#43

Witch Queen Of New Orleans / Tired Of Being Alone / Woman You Took My Life / If / All I Ever Need Is You/ The Young New Mexican Puppeteer / You've Got A Friend / Time To Get It Together / Won't Be Sorry To See Suzanne Again / Kiss An Angel Good Morning
1972年発売来日記念盤 「メキシカン・パペッテイア/トム・ジョーンズ(クローズ・アップ)」GP-120
サイン入り色紙付き。

しぶ好みかもしれないが、ヒット曲の大きさでは前作に譲るが、このアルバムにちりばめられた、トムの感性の鋭さは是非聞いて欲しい一枚。地味である。しかし、選曲にしろ、声にしろ、(さすがにこの頃から、あのお化けのような声使いは少し引っ込んでしまっているが)渋さが加わり、いい意味でテクニカル(これは恐らく余裕の成せる技)な面が強調され、叩かれもしたけれど(トム自信が自分をパロデイー化しているなどと)、中期トムジョーンズを語る上で、彼の歌の普遍性が出ているアルバムだと評価する。セールス的には陰りが見えてくるが、後年出てくる、「タッチ・マイ・ハート」というCD(何の事ないこのLPと「アット・ジス・モーメント」を組み合わせて出来たものだが)を聞けば、言わんとするところを分っていただけるはずだ。名盤とは言わないにせよ、聞けば聞くほど、これまでとは違った、トム・ジョーンズの味を発見できる。
「メキシカン・パペッテイア」をトム自身評価はしていないけれど、少なくともUK#6になった曲であるし、そうだからというわけではないが、クオリテイーとしては低くない。むしろ、アメリアッチ風のバックとトムの声、含蓄のある詞とのコンビネーションはよい出来だ。ストレートでない曲想が、トム的でないとアメリカの市場は判断したのかもしれないが、この際言わしていただければ、イギリスのファンの方が聞く耳を持っていたと思う。アルバム全体としてもお勧めの一枚。不思議に飽きが来ない一枚。このアルバムにおける、プロデユーサー・ゴードンは評価してもよいと思う。渋すぎたのが災いしたが。

1973

@ The Body And Soul Of Tom Jones UK#31 5wks US-BB#93 10wks / CB#95

Running Bear / Ain't No Sunshine / If Loving You Is Wrong (I Don't Wanna Be Right) / Since I Loved You Last / Lean On Me / Letter To Lucille / Today I Started Loving You Again / I'll Share My World With You/ I Still Love You Enough / Ballad Of Billy Joe

1973年「いとしのルシール/トム・ジョーンズ【ボデイー・アンド・ソウル】」GP-130

シングルが大ヒットしたためにイギリス本国よりも話題になった感が強いアルバム。かなり売れていたとも思えるが、好みによって賛否分れると思う。重厚なヴォーカルがかったるいとも言われた。「いとしのルシール」はヒット曲のお手本みたいな曲。日本では、同年5月発売だが英米よりも大きな反響を呼んで、かなりラジオでもプッシュされ大ヒットの感が強い。個人的にはミリー・ジャクソンなどが歌っていた「愛が罪なら」、「悲しきインデイアン」やいくつかのカントリー調の美しいバラードが印象的。「ビリー・ジョーのバラード」は上手さを感じうなってしまう。中にはこのアルバムをトムのベストに選んだ評論家もいたくらい、クオリテイ―としてはそう低くはないと思われるのだが…。「LEAN ON ME 私を頼りに」はこの中の白眉。写真集付き!
個人的には多少重く、かったるい。

@Tom Jones: Greatest Hits UK#15 5wks US/BB#185/CB#102 (1974)

はじめてのグレーテスト・ヒットとして話題を呼んだ。
「トム・ジョーンズ・グレーテスト・ヒッツ」GP-134

It's Not Unusual / I'll Never Fall In Love Again / What's New Pussycat? / Till / The Green, Green Grass Of Home / Love Me Tonight /She's A Lady / Funny Familiar Forgotten Feelings / Delilah / I'm Coming Home / Help Yourself / Daughter Of Darkness

70年代中盤までのグレーテストヒットとしては非の打ち所がない一枚。「家路」、「ラヴ・ミー・トゥナイト」、「愛の誓い」が初めてLP化されたということで評判。

1974

@ Something 'Bout You Baby I Like US- CB #146 7wks

Somethin' `Bout You Baby I Like/ You Make Me Smile / Till I Get It Right / Raining In My Heart / It Never Hurts To Be Nice To Somebody / Run, Clero, Run / Make Believe The World / Which Way Home / Sing For The Good Times / Right Place, Wrong Time

日本来日記念盤。「モア・シャウト!!」GP-137 豪華レターペーパーつき。
 タイトルは勘弁して欲しいが、この頃出ていたEPなどは「ヴィヴァ!トム」とか…、なんだかな〜という感じ。 「思いこがれて」はレコードの出来としては出色。ピート・マレイも自分の番組で、「トムのシングルの中ではベストの一枚」としてプッシュしていたのですが。結果的にはそれ程でもなく、アメリカではイージー・リスニングチャートに21位、イギリスポップチャートに36位という結果。グレン・キャンベルとリタ・クーリッジのデュエット盤がアメリカではトップ40に入った。
個人的に言えばA面が重過ぎる。多少老いを感じた人が一所懸命若返ろうとし、アメリカナイズされたものを詰め込もうとして、もがいているように感じられる作品群。A面にそうしたヘヴィーなモノを詰め込みすぎた感じがする。もう少し軽いポップナンバーをちりばめた方が良かったのではないか。それぞれの曲の出来は悪くないが故に、アルバム構成に気をつけて欲しかった。結局A面の出来でアルバムセールスは決まると個人的に思っている。
最初と真ん中、そして最後にポイントを置くべきだが、あまりにA面が間延びすると、B面に行きつかない。
B面の出来が良いだけに惜しい。全てに聞きやすい構成だし、「それ行けクレロ」(邦題も素晴らしいではないですか!)も今で言えばラップっぽいでしょ?中押しの曲としてOK。
最後の曲はこの年代ではトップ10に入る出来だと思います。友人とこのアルバムを聞いていたら、A面2曲目から眠りに入ってB面4曲目あたりで起き出して、フィナーレで「やるな〜」とうなずいていました。

1975

@10th Anniversary Of Tom Jones 20 Greatest Hits TJD 1 1/2 1975 3/?? UK #1

It's Not Unusual / Only Once/ I'll Never Fall In Love Again / Somethin' `Bout You Baby I Like / What's New Pussycat? / Till / Running Bear /Green, Green Grass Of Home / Thunderball / Love Me Tonight/ She's A Lady / Pledging My Love / Funny Familiar Forgotten Feelings / With These Hands / Delilah / I'm Coming Home / To Make A Big Man Cry / Help Yourself/ The Sun Died/ Daughter Of Darkness

日本盤は愛蔵家ナンバーがつけられ豪華!?解説集がついていた。
「10周年記念・栄光の軌跡トム・ジョーンズのすべて」GP-517~8

 生まれてはじめて予約購入したもの。イギリス盤と共に私の宝。聞き物はイギリスのシングル「愛の誓い」のB面の「燃えつきた太陽 The Sun Died」。テレヴィでは何度も見聞きしていたが、レコードとなると又別の味があるものだ。「家路」のテイクは現存する2つを知っているが、これは一般的にマーケットに流れている方。「サンダーボール」も前奏が短い分である。「君いとし」もLPヴァージョンとなっている。「デライラ」もステレオ・ヴァージョンである。

@Memories Don't Leave Like People Do

Memories Don't Leave Like People Do /I Got Your Number / The Pain Of Love/ Mr. Helping Hand / City Life / Lusty Lady / We Got Love / Son Of A Fisherman / You Inspired Me / Us

日本盤タイトル 「ファンキー・トム・ジョーンズ」GP-173

せめて、アルバム名はすてきな日本語タイトルの「想い出は消えるだけ」か「恋のテレフォン」くらいにして欲しかった。 これはこれでトムの求めた世界かもしれないけれど、Memories Don't Leave Like People Do ,I Got Your Number,The Pain Of LoveやUsという印象に残る曲はあるにせよ、トータルではいまさらトムは何を求め、どこを走るつもりだという感じのアルバム。出来れば、プロデューサーを変えたりしたのなら(ジョニー・ブリストルやHB・バーナム)もう少し練り上げて時間と金をかけてじっくり、世相を,マーケットを読みきった、少なくとも今後の方向性やヴィジョンが伝わるアルバムにして欲しかったものだ。
トムの声もあれている。かなり力は入れていたようだけれど、多少、その力みが空回りしている。自慢すれば、ここからのシングルカットの「恋のテレフォン」の限定500枚・スペシャルDJ・ヴァージョン・デモ盤を所有しているのだが、彼らなりにヒットを出すぞという意気込みは感じられる。タイトル曲などはビルボードで推薦盤として取り上げられたくらいなのだが。これまたトータルするとB面に愛着があるのは何故かしら。

@ The World Of Tom Jones
コンピレーション

1976

@ Tom Jones Sings 24 Standards DKL7 1/2

Green,Green Grass Of Home/ Fly Me To The Moon/ More/ (It Looks Like) I'll Never Fall In Love Again/ Autumn Leaves/ That Old Black Magic (Live)/ Spanish Harlem/ My Mother's Eyes/ My Foolish Heart/ Begin The Beguine/ Georgia On My Mind/ I Believe (Live)/ Hello Young Lovers/ The Nearness Of You/ If You Go Away/ Let It Be Me/ With These Hands/ It's Magic/ When I Fall In Love/ A Taste Of Honey/ Yesterday/ Someday(You'll Want Me To Want You)/ My Prayer/ I Can't Stop Loving You (Live)

 良くも悪くも、この頃のトム・ジョーンズの一般イメージは、このアルバムに集約されているのだろうと思う。ロンドンのレコード店でこれを求めた際、悲しいかな嘘を言った。他のロック,ジャズ系のレコードと共にレジにこれを差し出すと、若いニイチャンが「なんで,こんなん、買うねん?」とクイーンズ・イングリッシュで聞くので「いや、おいらんじゃ〜なくってよ、友人に,ちょい,頼まれた〜ってわけさ。」と江戸前ジャパングリシュで答えた自分が情けなかった。若い連中は、この頃トム・ジョーンズを無視し始めていた。いや、なめておった。
 しかしながら、この編集ものは、一枚のレコードとしては立派に成り立っている。タイトルの通りであり、それ以上もそれ以下もないという、これはこれで存在感のある一枚だろう。

@ South African Tour '76 Souvenir Album Tom Jones MAM(L)1

Papa/What The World Needs Now / Daughter Of Darkness / Tired Of Being Alone / Resurrection Shuffle / I Who Have Nothing / She's A Lady / Till / Sugar, Sugar/ The Impossible Dream/Kiss An Angel Good Morning/ Love's Been Good To Me

 ほとんど知られていないアルバム。しかし,公式にはこのLPが南アフリカ・ツアー76の記念盤として存在する。裏面ジャケットのトムの声を以下に書いておくことにする。この際のツアー・ブローシャを高い値段で手に入れたのもひとつ自慢である。このツアーで75、000人を動員した。

This album commemorates my first visit to your wonderful country. It includes many of my own favourite songs and is therefore something special to me. I hope you will enjoy listening to it long after my tour, as I know I will cherish the memories of my visit. Until the next time, I dedicate this album to you all. TOM JONES

@ Pink Panther Strikes Again Sound Track

Sings; Come To Me

アカデミー賞にノミネートされたもの。一度この時の映像を大学時代に飯屋のテレヴィで見た。「トムだ〜。」と思った。

@South African Tour `76 Love Machine

Guess You Know Me Girl / Ooh Baby/ We Had It All (Different Version) / Spread Your Love On Me / Home Town / Love Machine / Memories Don't Leave Like People Do/ One Man Woman / Our Love / Don't Leave Me In The Morning / Greenwood Mississippi / Take Me Tonight (different version)

幻の一品。恐らくMAMはこれを流通させたかったに違いないが、版権の問題であるとか、いろいろありそうである。ギルバートのオリジナルよりはるかに良いと僕は思っている2曲目、そして3曲目も「去り行く面影」に入っていたものより数段良い。目の前に映像が浮かぶような出来だし、映画のシーンのようでもある。「Don't Leave Me In The Morning」はフランスのシングルのB面になって日の目を見る。曲想が素晴らしい出来で、両サイドA扱いだったと思う。
「Greenwood Mississippi 」はこの時代の傑作。格好いい。「ファンキー」という前作アルバムの日本語タイトルをそのままあやかりたい。全体にしまっていて素晴らしい出来のアルバム。公式リリースされていれば、恐らく久々のスマッシュになり得たと思う。「Love Machine」 はステージで良く歌われた曲とは別のもの。恐らく最初のシングル・カットはこれで狙っていたのだろう。

Part3了

   


©SHIRO, uploaded by Mari

最終更新2003年2月14日


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