99年3月 OBE を叙勲した直後のインタビューで、何か後悔していることはないか聞かれたトム・ジョーンズはこう答えた。
「若い時に映画に出ていたら、という思いがあります。」
トム・ジョーンズには意外と今まで主演映画がなかった。トムのようなすばらしいルックスで広い年令層の聴衆にアピールするスター歌手としては信じられないことだ。ライヴではカリスマ的なステージを作り上げるし、事実、最初のヒット・シングル "It's Not Unusual" が出た直後にはもう多くの映画会社から出演の打診があった。トムの映画はこれまでハリウッドで何度か計画されてはさまざまな事情で座礁していた。予定されていた主演映画としては、ユナイテッド・アーティスト社と契約していた "Gospel Singer", "Studd", "Yockowald" の3本が知られている。このうち "Studd" はトムが脚本を読んで内容のあまりの猥雑さに断ったものだが、あとの2本はもし完成していたらすばらしいものになったと惜しまれている。しかしトムの映画に対する歌での貢献は非常に大きい。
トム・ジョーンズの出演映画
- ヘックス Hex (aka The Shrieking) (Leo Garen, 1970) USA
共演は「羊たちの沈黙」のスコット・グレンら。トムは「エルストン Elston」役で出演。
- プレジャー・コウブ Pleasure Cove (Bruce Bilson, 1979) USA, for TV
タニア・ロバーツ共演のテレビ用ムービー。トムはロサンゼルスのディスコではタキシードで、ビーチではこれ以下はない、というビキニで登場。79年1月に放送された。
- シルクンサボタージュ Silk n' Sabotage (Joe Cauley, 1994) USA
カメラマンの役で出演。
- ジャーキー・ボーイズ The Jerky Boys (Jasmes Melkonian, 1995) USA
本人役で出演。レニー・クラヴィッツのカバー曲 Are You Gonna Go My Way を歌う。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (Atlantic/Select 82708-2)
- マーズ・アタック! Mars Attacks! (Tim Burton, 1996) USA
96年公開のティム・バートン監督のコメディー「マーズ・アタック!」は 理解不能のおもしろさ。一流のスタッフや俳優たちが脚本を受け取ると嬉々として集まって来たという。 無能な大統領を演じたジャック・ニコルソンなど全ての役をやりたがったとのこと。トム・ジョーンズは本人役で出演、ラス・ベガスの舞台で It's Not Unusual を歌っているところを火星人に襲われるがトムの操縦する飛行機で脱出する。エンディングはトムの It's Not Unusual が高らかに響く。
プロモーションのため来日したティム・バートン監督は記者会見で
「もし本当に火星人が攻めてきたらどんな人たちが生き残ると思いますか?」
と質問され、即座に答えた。
「トム・ジョーンズ!」
サウンドトラックCD Soundtrack あり (WB/Atlantic 82992-2)- チャールズ皇太子のハイドパーク・コンサート Prince's Trust Party in the Park (1998) UK, for TV
1998年7月4日にロンドンのハイド・パークで開かれた皇太子主催のチャリティー・コンサートのテレビ映画。トムは ユー・キャン・リーブ・ユア・ハット・オン You Can Leave Your Hat On と、ボールツ・オブ・ヘブン Vaults Of Heaven を歌い、「ウェールズの声帯が健在で嬉しく思います。」と皇太子を喜ばせた。
他の出演者として All Saints, Tina Arena, David Duchovny, Boyzone, Natalie Imbruglia, Louise, Lionel Richie, Shania Twain らが参加。- アグネス・ブラウン Agnes Browne (別題:マミー The Mammy) (Anjelica Huston, 1999) 12月3日一部で公開!
トム・ジョーンズ久々の本格的出演映画。この映画は アンジェリカ・ヒューストン の監督・主演映画で、トム・ジョーンズの長年のファンであった主婦がついに本人に会うという内容(原作ではクリフ・リチャード)。98年夏にアイルランドで2週間のロケが行われた。99年5月のカンヌ国際映画祭では監督週間にプレミエされた。一般公開は今年から来年春にかけて各地で予定されているが、日本での公開については未定。99年12月3日から1週間、ニューヨークとロサンジェルスでのみ先行上映されたので、ニューヨークのTJファン「ローズNY」さんのレポートをこちらでご覧下さい。配役、世界の封切り予定なども掲載。
サウンドトラックCD Soundtrack あり(Decca, released 2/15/2000)
トム・ジョーンズが主題歌を歌っている映画
- 何かいいことないか子猫ちゃん What's New Pussycat (aka Quoi de neuf, Pussycat) (Clive Donner, 1965) France/USA
バート・バカラックの自宅で、バカラックのピアノの弾き語りで初めてこの曲を聞かせられたトムは初め冗談かと思ったという。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (Rykodisc RYK10740CD , released 10/13/1998 )
- 007サンダーボール作戦 Thunderball (Terence Young, 1965) UK
テレンス・ヤング監督の007シリーズのひとつ。
サウンドトラックCD Soundtracks あり (Cema/Capitol 90628, EMI CDP 7 90628 2)
- プロミス・ハー・エニシング Promise Her Anything (Arthur Hiller, 1966) UK
ウォーレン・ビーティ Warren Beatty 主演。主題歌はバート・バカラック作曲の Promise Her Anything でトムが歌っている。
- 花嫁はエイリアン My Stepmother Is An Alien (Richard Benjamin, 1988) USA
88年アメリカ。美しい異星人と結婚した科学者の話。オープニングに Kiss が使われている。
トム・ジョーンズの歌が使われている映画
- ピンク・パンサー3 The Pink Panther Strikes Again (Blake Edwards, 1976) UK
ブレーク・エドワーズ監督、ピーター・セラーズ主演。クルーゾー警部 が美女とベッドで暴れる(?)時に カム・トゥー・ミー Come to Me が使われている。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (98年に出た。) (Warner Classics RCD10739, released in 1998)
- シザー・ハンズ Edward Scissorhands (Tim Burton, 1990) USA
ティム・バートン監督。With These Hands はサントラ盤で聞ける。しかし Delilah, It's Not Unusual もさりげなく使われている。Delilah はまさに歌詞どおりの場面で笑ってしまう。It's Not Unusual はそのリズムが効果的に使われている。ティム・バートン監督のトム好きがわかる。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (MCA D10133)
- ホット・ショット Hot Shots (Jim Abrahams, 1991) USA
父の汚名挽回をめざすパイロットをチャーリー・シーンが演じている。戦闘パイロットの一人が目がおかしくなりラスベガスに着陸しなければならなくなったが、そのときカジノの「トム・ジョーンズ」という広告が目にはいり、バックには It's Not Unusual が流れている。(あらすじは Christine)
- ポリス・ストーリー3 スーパー・コップ Supercop, Jing cha gu shi III: Chao ji jing cha (Stanley Tong, 1992) UK
スタンレー・トン監督、ジャッキー・チェン主演のアクション映画。カンフー・ファイティング Kung Fu Fighting が使われている。
サウンドトラックCD Soundtracks あり (Interscope INTD90088) and single CD (IND95533)
- Home For The Holidays (Jodie Foster, 1995) USA
ホリー・ハンター主演。相当おかしな家族が感謝祭で集まったときのブラック・コメディー。トムは It's Not Unusual を歌う。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (PLG528871CD, released 11/14/1995)
- 3人のエンジェル To Wong Foo, Thanks For Everything, Julie Newmar (Beeban Kidron, 1995) USA
ビーバン・キドロン監督。女装した男性たちの美しさを競う大会で She's a Lady が使われている。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (MCAD-11231) (4種類のリミックス。)
- あなたに言えなかったこと Things I Never Told You (aka Cosas que nunca te dije) (Isabel Coixet, 1996) Spain/USA
スペインの女流監督 イサベル・コヘットの95年制作の映画。 挿入歌とエンディングに It's Not Unusual が使われている。
- バウンド Bound (Larry & Andy Wachowski, 1996) USA
ラリー& アンディ・ウォシャウスキー兄弟の監督によるサスベンス映画。マフィアの情婦が女性配管工とレズの関係になり、二人でたくらんでマフィアのお金200万ドルを盗み、殺されそうになるが最後は逆にダンナを撃ち殺し、まんまと他のマフィア連中もだまして二人で車に乗って悠然と逃走する、というもので、そのラストの車に乗り込むところで She's A Lady が流れる。
- フリッパー Flipper (Alan Shapiro, 1996) USA
いるかのフリッパーの冒険物語。It's Not Unusual が使われている。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (TRKDE 11445)- Alles nur Tarnung (aka Life Is A Bluff) (Peter Zingler, 1996) Germany
ドイツの監獄を扱ったコメディー。エルケ・ソマー主演。It's Not Unusual が使われている。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (DA Records 870213-2 EAN-Code 4002587021320)- フル・モンティ The Full Monty (Peter Cattaneo 1997) UK
97年公開のピーター・カッタネオ監督のコメディ。鉄鋼不況で職を失った冴えない男たち6人が一儲けしようとストリップに挑む。最後のショーの場面でトムの You Can Leave Your Hat On が使われている。映画は英・米ともに興行記録をとり、イギリスでは 98年度の Brit Awards(最優秀映画賞)に輝いた。俳優のヒューゴ・スピーアは授賞式で、
「350人のクレージーな女性たちの前でストリップができたのもこの歌のおかげです。」と笑わせた。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (BMG 68904-2)
- House of America (Marc Evans, 1997) UK
Green, Green Grass Of Home を歌っている。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (8217932)
- The Girl With Brains In Her Feet (Roberto Bangura, 1997) UK
70年代の音楽が使われているイギリスのブラック・コメディー。トム・ジョーンズは Green, Green Grass Of Home を歌っている。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (V2 VVR1002652)
- ディープ・インパクト Deep Impact (Mimi Leder, 1998) USA
ガーデン・パーティーの場面でバックに Fly Me To The Moon が流れている。(サウンドトラックCDには含まれず。)
- ポーリー Paulie (John Roberts, 1998) USA
オウムがラジオのトムと一緒に 何かいいことないか子猫ちゃん What's New Pussycat を歌う。
- リトル・ボイス Little Voice (Mark Herman, 1998) UK
マーク・ヘルマン監督。大歌手とそっくりに歌うことのできる大人しい少女の話。It's not unusual が使われている。しかしこの映画のタイトルはトムの声とは正反対だ。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (EMD/CAPITOL, released 12/01/98)
- ラスベガスをやっつけろ! Fear and Loathing in Las Vegas (Terry Gilliam, 1998) USA
She's A Lady が使われている。
サウンドトラックCD Soundtrack あり (Uni/Geffen; ASIN: B000006NN1, 5/19/1998)
- Pushing Tin (Mike Newell, 1999) USA
女性のボディー・ビル・コンテストの場面で She's A Lady が使われている。99年4月22日公開。
- Lake Placid (Steve Miner, 1999) USA
巨大なワニを求めて湖のほとりでキャンプする人たち。最初の夜テントの一つでパーティーがあり、トムの歌う It's Not Unusual に合わせて踊る。99年7月16日公開。(サウンド・トラックCDには入っていない。)
[参考にしたサイトと本] IMDb, All-Movie Guide, Amazon, Reel, iMVS, Tom Jones - A Biography
このページはゲストの原井さん、 New Jack Swing さん、Anita さん、Christine さん、Rose NY さん、Tom Terry さんのご協力で作成しました。他の映画についてご存知の方がありましたらぜひメールでお知らせください。 Mari