
以前、「ホルモンをやる」ということは、はっきり言って自分の頭の中には全くありませんでした。くいーんやひまわりなどの女装雑誌には記載してあるものの、それは遠いどこかのお話(実際就職までは九州にいたし)のように感じていたのです。その考えが変わったのは、とあるパソ通のオフ会に出てからでした。当時の私(今はもうちょっと目が肥えてるよ)にとっては、どう見ても女性としか見えないようなMtFの人が来ていたのです。その顔つきや髪質、肌の艶。私はこういう女性らしい雰囲気を身に付けたかった。羨ましく思い、彼女をじろじろ見ていました(^^;。
でも、その時は何もアクションは起こしませんでした。なぜなんだろう。。。。やっぱり自分とは無関係なのかもしれない、と思ったような気がします。それから少しづつ情報を集めていくと、当然のことですが男性として不妊状態になることを知ります。これも躊躇した理由です。自分の子供を持つためには自分の精子と女性のパートナーが必要ですから。父親「役」をやりたい(体は女でも(笑))と思っていましたので、葛藤しつつも手を出すことはありませんでした。
しかし、しばらく経って今度は大きな転機がやって来たのです。約半年ぶりくらいにとあるMtFの人に再会しました。その人は今までは「そのへんに良くいるようなお兄ちゃん」だったのが、半年後にすっかり女性の雰囲気を身に付けていたのです。私は彼女の変わりようを見て、いてもたってもいられないようになりました。この時はじめて「ホルモンを投与したい」と決心したのです。
・・・要は、周りの環境に流されやすい性格なのね>私(笑)。
私が最初にかかったA病院は、ホルモン療法の実績も多く、ドクターもGIDに関して理解ある方でした。彼にお願いしたところ、まずはプレマリンの投与からはじめよう、となりました。そして、体にホルモンを慣らすために徐々に増やしていきました。 数週間白玉(0.625mg)を2錠、これを数ヶ月。次に白玉4錠を数ヶ月。そして最終的には6錠を服用するようにしました。
その結果、テストステロン(男性ホルモン)値は、一時的な反動(急に高くなってしまった(T T))がありましたが、徐々に下がっていきました。○はテストステロンの測定値(基準値: 男 270〜1070ng/dl、 女 6〜86ng/dl)です。また、これに平行して、内科的な副作用をチェックするための血液検査もやっていきました。○ 1998-02-04 974 ng/dl
1998-02-07よりプレマリン(白玉3錠)の投与開始。
○ 1998-03-17 1374 ng/dl ・・・なぜか一時的に基準値をoverしてしまいました。
1998-04-07 462 ng/dl
○ 1998-05-21 378 ng/dl
1998-05-23よりプレマリン(白玉4錠)の投与開始。
1998-06-13よりプレマリン(白玉5錠)の投与開始。
1998-07-04よりプレマリン(白玉6錠)の投与開始。
○ 1998-08-03 83 ng/dl凝固系(APTT、PT、PT(血漿PT時間)、対照、PT活性値、ヘパプラスチンテスト(HPT))私の場合、血液凝固系の数値が非常に悪くなり(ヘパプラスチンテスト(HPT)、基準値は70〜130なのに、173.2まで上がってしまった)、また極端にお酒が弱くなった(=肝臓に良くないのではないか?と判断した)ので、ホルモンの種類を変えてみようと思い、今度は注射の、商品名:プロギノンデポー(成分:吉草酸エストラジオール)10mg/週にしてみました。A病院では安めの1570円なのですが、交通費を入れると2000円を超してしまいますし、毎週通う必要があります。
その他(白血球数(WBC)、赤血球数(RBC)、血色素量(Hb)、ヘマトクリット(Ht)、MCV、MCH、MCHC、血小板数、TP、ALB、総ビリルビン(T-Bil)、直接ビリルビン(D-Bil)、AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、LDH、コリンエステラーゼ(CH・E)、γーGPT、LAP、CPK、アミラーゼ(AMY)、総コレステロール(T-Cho)、中性脂肪(T-G)、尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CREA)、Na、K、Cl)
薬を変えた効果というのは、直ぐに現れました。血液検査の副作用の値が良くなり、男性ホルモンのさらなる低下が見られました。1998-09-07よりプロギノンデポー(10mg/week)の投与開始。副作用を示す血液凝固系の値は全て基準値内に入りました。よかったよかった。
○ 1998-11-25 47 ng/dl
○ 1999-06-04 28 ng/dl
しかしながら、毎週A病院へ通うのは大変なことでした。時には職場に遅刻したり・・・・。何か良い方法はないかと考えて、TSとTGを支える人々の会で埼玉医科大学の産婦人科の石原先生がいらっしゃったときに「紹介状を書いていただけるか」と質問したところ了解していただいたので、埼玉医科大学に行き紹介状を書いてもらい、近場のB病院の産婦人科に出したところ、特段何も言われずに注射を打ってもらうことになりました。職場から歩いていける病院なので通院は楽ですし交通費もかかりません。費用もかなり安くなりました。現在(99年7月)もそのB病院へ私は通院しています。
私が感じるメリット(^^)というのはこういうことです。
- 「これ以上男であること、これからどんどんオジさんになること」から解放されたこと
- タイトルのままなんですけど、電車の中などで、禿げあがって脂ぎって小太りの中年のオジさんなんかを見ると「ああいうのにだけはなりたくない」と思います。自分がイメージする将来の自分と違うんです。きれいでかわいい女性にはなれないけれど、少なくともこれ以上100%男であり続ける事はない、と考えると安心できます。
- 髪の毛がストレートになった
- 小学生くらいまではサラサラのストレートヘアだったのが、高校生くらいになると、いつの間にかくせ毛に変わっていました。でも女性ホルモン(特に注射に変えてから)を投与すると髪質が変わって直毛に近くなり、今まで必要だったストレートパーマがいらなくなりました。自分の体が昔に戻ったような気がして、すごく嬉しいです。
- 何となく女性っぽい雰囲気が身に付いた
- たぶんこれは肌質の変化と皮下脂肪の付き方が女性らしくなったせいでしょう。肌が少し白くなって、なめらかに柔らかくなって、今まで脂性だったのが乾燥肌に変わって、体全体的に脂肪が付いて顔つきも少し変わったせいだと思います。
- おっぱいが出てきた
- と言っても、Aカップに満たないぐらいの粗乳(笑)なんですけど、あると安心します。ずっと昔から自分の体はこうだったような、懐かしい感じがします。ただ、ゴルフの時や、お風呂で体を洗うときには邪魔です。
一方で、デメリット(@_@)だぁ〜と感じるのは、こういうことです。
- 感情的にもろくなった
- ホルモンをやり始めた時期と職場での移動の時期が重なってしまい、体・精神の変化と環境の変化に対応できずに、精神的にすごくまいってしまいました。しまいには涙が止まらなくなってしまい、カウンセリングに行っている医師から精神安定剤をもらったり、結局、一ヶ月間ほど休職したりしてしまいました。
現在は以前より安定していますが、涙もろいところや精神的に打たれ弱くなったような(仕事とかのストレスをうまく処理できない)ような気がします。
- 疲れやすくなった
- 女性ホルモン(卵胞ホルモン)を定期的に投与すると、筋肉(筋力)が落ちてきます。そのせいなのか、すごく疲れやすくなりました(昔から体力はなかった方だけど)。睡眠時間を長くとらないと疲れます。無理が出来ない体になったようです。
- 集中力が続かない
- これも昔からムラっけのある性格でしたが、輪をかけて集中力がなくなったような気がします。
- お酒が弱くなった
- もともと飲める方ではありませんでしたが(つきあい程度)、プレマリンを飲んでいるときにはビールコップ1杯でダウンしていました。注射に変えてからは少々元に戻りはしましたが、それでも昔の半分程度でしょうか。仕事の席で、飲めなくなるのは辛いです。
全然、まったく変わらないことも多いです。
- 体毛(むだ毛)は変わらない
- 現在はレーザー脱毛という画期的な装置があります。日焼け止めクリームを塗って、色が黒くならないようにして、アレキサンドライトレーザーに当たりましょう。
- 骨格も変わりません
- 当たり前ですね。形成外科医のところに行って削るか、10歳ぐらいからホルモン始めましょう。
- 声も高くなったりはしません
- 自分でボイストレーニングをやるか、こういう先生のところへ行って手術してもらいましょう。
メリットなのかデメリットなのか分かりませんが、こういうことも起きました。
- 男性的な性欲がなくなった
- 以前は自慰行為を週に何回かやっていましたが、今は勃起もしませんし精液も出ません。裸の女性の写真を見ても昔のようには興奮しないし、逆に性的な変なものを見せつけられるとすごい嫌悪感を感じるようになってしまいました。
「性的な気持ち良さ」というのは昔は性器の接触を意味していましたが、今はそれ以外の精神的な満足感で性的な快感が得られるような気がします。
- 甘党になりました
- 元々甘党だったんですけど、「無性に」チョコやビスケット等を食べたくなってしまうんです。昔は、昼食後にお菓子を食べている女性を「そんなに食うから太るんだよ」と馬鹿にしていましたが(^^;、「うーん、これって一種の生理現象なんだな」と今は納得しています(笑)。
そうですねぇ・・・・一度はじめちゃうともう後へは戻れません。
デメリットも決して無視できる範囲ではありませんし、とりあえずじっくり考えてみませんか?。
それでも、やりたい!と思われる方は、とりあえずガイドラインを読んで、その通りに出来そうだったら精神科のカウンセリングへ。そうでない人は、ホルモンを処方してくれる病院を探してみましょう(自分で探してね)。
お互い健康には気をつけたいですね。
● ホルモン関係(MtF中心です)のリンク